女性の離婚のメリット・デメリット|リスクを理解して後悔ない離婚を
離婚をすれば、夫から解放されて自由になることができますが、見過ごせないリスクやデメリットもたくさんあります。その場の感情にまかせて離婚を決断してしまうのはおすすめできません。
離婚で後悔しないためには、メリットとデメリットを理解した上で決断をすることが大切です。
この記事では、女性の離婚のメリット・デメリットを解説します。あわせて、離婚以外の選択肢もご紹介します。
目次
女性が離婚するメリット
女性の離婚メリット①夫から解放される
離婚を検討している方が一番望んでいるのは、おそらく夫から離れることでしょう。
たとえ離婚をして生活水準が下がっても、夫と暮らさなくていいのなら構わないと考えている方は多いです。DV・モラハラや夫のお世話から解放されるだけでも、離婚のメリットは大きいといえます。
離婚してみると、知らず知らずのうちに夫に怯えて過ごしていたことに気づいたり、ずっと続いていた体調不良が治ったりする方もいるようです。
また、高齢になった時、夫の介護をしなくて済むのもメリットです。
女性の離婚メリット②夫から子どもを守れる
- 夫が子どもを虐待している
- 子どもの前でDV・モラハラを受けている
- 子どもの前で夫婦喧嘩をしたり、険悪な空気で過ごしている
こういった環境は、子どもに悪影響を与えます。離婚をすれば、子どもを守ることに繋がります。
また、このような状況を見てきた子ども自身が、両親の離婚を望んでいる場合もあります。
女性の離婚メリット③時間を自由に使える
離婚をすれば、夫の分の家事をしなくてよくなる上に、ひとりで過ごす時間も増えます。また、夫の帰宅時間や生活リズムに気を遣う必要もありません。
一緒に暮らしている間は、当たり前に相手のペースに合わせていたかもしれませんが、いざ離れてみるとそれが思っていた以上に負担だったと気づきます。
空いた時間を自分の趣味や友人との交流に使ったり、好きなように仕事をしたりと、自分らしい生き方ができるでしょう。
女性の離婚メリット④新しい恋愛ができる
もちろん子どもの有無や自分の状況にもよりますが、離婚後は自由に恋愛ができるようになります。
2021年の人口動態調査によれば、結婚する夫婦のうち4組に1組は、夫婦のどちらかまたは両方が再婚です。事実婚を選ぶカップルも存在するため、実際はもっと多くの人が新しいパートナーを得ていると考えられます。
一度離婚を経験したからこそ、充実した恋愛ができるのではないでしょうか。
女性の離婚メリット⑤夫の親戚付き合いから解放される
義実家との付き合いに悩んでいる妻は多く、嫁姑問題のストレスで体調を崩す人がいるほどです。夫の親族の集まりでは気を抜くことができませんし、義両親の介護まで押し付けられることもあります。
離婚によって夫の親戚付き合いから解放されるのは大きな魅力です。
女性が離婚するデメリット・リスク
女性の離婚デメリット①経済的に苦しくなる
女性は離婚後に経済的に苦境に立たされるリスクが非常に高いため、注意が必要です。
特に、離婚前は専業主婦だった方や、パート・アルバイトで働いていた方にとっては、すぐに十分な収入を得るのは簡単ではありません。
離婚前から仕事を探しておく、貯金を作っておくなどの備えがあると安心です。
また、離婚時に夫から受け取れるお金は、最大限受け取っておくと良いでしょう。
請求できるお金
- 財産分与
- 年金分割
- 慰謝料
- 養育費
お金のやりとりについて話し合いで取り決めを行った場合は、取り決めの内容を公正証書として残しておくことをおすすめします。
強制執行認諾文言付きの公正証書を作成しておくと、相手が支払いを怠った際に裁判を経ずに強制執行(差し押さえ)を行えるようになります。
なお、自分の方が夫より収入や財産が多かった場合は、財産分与で財産が減ったり、年金分割によってもらえる年金が少なくなってしまうというデメリットがあります。
女性の離婚デメリット②子どもの父親がいなくなる
子どもが父親を失ってしまうのは、子持ち離婚の大きなデメリットといえます。
父親がいないことで、金銭的に苦労を強いる可能性が高いですし、寂しい思いをさせてしまうでしょう。
また、学校行事に父親が来なかったりすると、子どもは周りの目が気になると感じます。自分の家庭が普通ではないことを、コンプレックスに感じる子どももいるようです。
父親にも行事に参加してもらったり、面会交流を充実させるなどして、子どもと父親との繋がりを維持できると良いですね。
女性の離婚デメリット③話し合いや手続きが大変
離婚をするには夫との話し合いが必要ですが、非常にストレスのかかることです。
話し合って決めるのは離婚をするか否かだけではなく、親権や養育費、面会交流、財産分与、慰謝料など多岐に渡ります。
これらの全てがスムーズに決まるとは限りませんし、財産分与の額や親権争いに決着がつかず、なかなか離婚ができないケースもよくあります。
夫婦間での話し合いで合意ができなければ、家庭裁判所で離婚調停を行うことになるでしょう。それでも合意に至らなければ、離婚裁判で争うことになります。
調停や裁判には、ある程度の期間が必要です。離婚が成立するまでの間、夫との敵対的な関係が続くため、精神的な苦痛は大きいでしょう。
さらに、離婚が成立した後も、引っ越しや苗字の変更に伴う手続きが待っています。特に苗字が変わる女性は、名義変更のためにあちこちと回ることになるでしょう。
女性の離婚デメリット④家事・育児の負担が増える
婚姻中は夫が担当していた分もひとりで担うことになるため、家事・育児の負担が大きくなります。
自分の仕事や子どもの世話の合間に全ての家事を行うのは、簡単ではありません。体力的にも厳しいと感じる方が多いでしょう。
子どもを預ける場合は、保育園・幼稚園やベビーシッターの費用もかかります。
女性の離婚デメリット⑤介護・看護してくれる人がいなくなる
結婚していれば、夫婦どちらかが病気になったり介護が必要な状態になったときは、互いに助け合うことができます。
しかし、離婚をすると、自分の介護や看護をしてくれる人がいなくなります。孤独死のリスクも軽視できません。
また、本来であれば夫婦同士で行えた介護・看護を、子どもに負担させることになってしまうかもしれません。
離婚以外の選択肢はある?
別居
離婚しないで別居生活を続けるという選択肢もあります。別居をすると、夫とは離れて生活できる上に、籍を入れたままにすることのメリットが受けられます。
別居のメリット
- 夫が亡くなった時に妻が遺産を相続することができる
- 収入の多い方の配偶者に対して婚姻費用(別居中の生活費)を請求することができる
- 親権者をどちらかに決めなくて良い
- 苗字の変更などの手続きが不要
別居のデメリット
- 新しいパートナーを作って肉体関係を持つと、不貞行為を理由に離婚や慰謝料を請求されてしまう可能性がある
- 自分の方が収入が多い場合は、夫から婚姻費用を請求されてしまう
- 夫が亡くなっても遺族年金が受け取れない可能性がある
- 児童扶養手当など、ひとり親家庭向けの公的支援を受けることができない
家庭内別居
家庭内別居(家庭内離婚)とは、夫婦が同じ家に住みながらも、互いに一切かかわらずに生活することをいいます。
それぞれの生活リズムが違えば、全く顔を合わせず、会話もせずに過ごすことができます。
家庭内別居は、完全に別居したり離婚したりするよりも金銭的なメリットが大きいですが、同じ家にいる以上はストレスも少なくはないでしょう。
家庭内別居のメリット
- 別居よりも経済的な負担が少ない
- 夫が亡くなった時に遺産相続や遺族年金を受けられる
- 親権者をどちらかに決めなくて良い
- 苗字の変更などの手続きが不要
- 世間体が守られる
家庭内別居のデメリット
- 夫と同じ家で過ごし続けなければならない
- 一緒に暮らす子どもが気まずい思いをする
- 新しいパートナーを作って肉体関係を持つと、不貞行為を理由に離婚や慰謝料を請求されてしまう可能性がある
- 児童扶養手当など、ひとり親家庭向けの公的支援を受けることはできない
- 家事や生活費の分担が難しい
家庭内別居と離婚については「家庭内別居は離婚の理由になる?財産分与や婚姻費用はどうなる?」の記事でも、詳しく解説しているので、ご参考になさってください。
離婚約
離婚約(りこんやく)とは、近年登場した新しい離婚のかたちで、結婚生活を続けながら将来離婚することやその時期を約束することです。
例えば、「子どもが成人したら離婚する」「3年後に離婚する」などと決めて、それまでの間は変わらず婚姻生活を送ります。
離婚約のメリット
- 子どもの環境の変化を抑えられる
- 離婚を覚悟することで、夫婦関係を修復できる可能性がある
- 離婚準備に時間をかけられる
- 離婚までの間は経済的な変化が起こらない
- 世間体が守られる
離婚約のデメリット
- 夫と同じ家で過ごし続けなければならない
- 財産隠しの恐れがある
- 開き直って夫婦関係が悪化する可能性がある
- 約束が守られるとは限らない
卒婚
卒婚(そつこん)とは、夫婦が籍を残したまま、互いに干渉することなく自由に生活するという生活形態です。卒婚を選ぶのは、子育てを終えた夫婦が多いようです。
卒婚のメリット
- 夫が亡くなった時に遺産相続や遺族年金を受けられる
- 苗字の変更などの手続きが不要
- 世間体が守られる
- いつでも元の関係に戻れる
- 子どもに心配をかけない
卒婚のデメリット
- 新しいパートナーを作って肉体関係を持つと、不貞行為を理由に離婚や慰謝料を請求されてしまう可能性がある
- 双方が経済面・生活面で自立している必要がある
- 離婚に繋がるリスクがある
再構築
再構築とは、破綻してしまった夫婦関係を一から作り直して、夫婦としてリスタートすることです。互いの信頼を取り戻すために、夫婦がしっかりと話し合い、協力する必要があります。
再構築のメリット
- 生活水準が保てる
- 子どもに影響が出ない
- 良好な夫婦関係を取り戻せる
再構築のデメリット
- 双方の努力が必要
- 失敗する可能性もある
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了