再構築中にやっぱり離婚を考えたときに読む記事|慰謝料請求は可能?
再構築を選んだにもかかわらず、あとから「やっぱり離婚したい」と感じるようになってしまうことは、多くの夫婦が経験する悩みです。不倫や裏切りを乗り越えようと決意しても、フラッシュバックに苦しんだり、信頼関係が戻らなかったりすることで、再構築の限界を感じることがあります。
この記事では、再構築中に離婚を考えるようになる主な理由や、つらいフラッシュバックの症状と対処法、離婚を選んだ場合のメリット・デメリットについて解説します。再構築後の離婚でも慰謝料請求できるのかという法的な疑問にもお答えしますので、ぜひ最後までお読みください。
目次
「再構築」を選んだのに、やっぱり離婚したくなる理由
「やっぱり無理かも」と感じるあなたへ
再構築を選んだにもかかわらず、後から「やっぱり無理かも」と感じるようになってしまう。このような気持ちの揺れは、多くの人が通る道です。
こうした感情は、あなたの努力が足りないからではありません。「再構築」が思っていた以上に難しいプロセスだからです。
「やり直そう」と決めたときの前向きな気持ちがあっても、時間が経つにつれて現実とのギャップや相手への不信感が再び顔を出してしまうこともあるでしょう。
そんなときは、まず「揺れている自分」を責めずに受け止め、今の心の状態を整理しながらこれからの選択肢をゆっくり見つめ直してみましょう。
再構築したのに離婚したくなってしまう理由とは?
再構築中に離婚を考える理由
- 努力が見えず信頼が戻らない
- 愛情が冷めきってしまった
- フラッシュバックがつらい
- 相手が不倫を辞めなかった
- どうしても許せない
努力が見えず信頼が戻らない
「話し合いの後も、何も変わってないように感じる。口では謝るけど、行動が伴っていない。」
信頼は、言葉よりも日々の行動で回復されるものです。再構築には双方の努力が必要ですが、一方だけが頑張っているように感じると、不満や疑念が積み重なります。
愛情が冷めきってしまった
「もう配偶者としての愛情は残っていない。会話したいと思わない。」
再構築を続けるうちに、かつての愛情が戻らないことに気づくケースもあります。恋愛感情が薄れ、生活のためだけに一緒にいると感じてしまうと、離婚を考えるきっかけになります。
フラッシュバックがつらい
「ふとした瞬間にあの時のことが頭をよぎって、苦しくなる。普通の会話も心から楽しめない。」
過去の裏切りや暴言の記憶が突然よみがえるフラッシュバックは、心に大きな負担をかけます。表面的には穏やかに見えても、内面ではその記憶に苦しめられ続けていることがあります。
不倫やDV・モラハラを辞めなかった
「もう浮気しないと約束したのに、また隠れて連絡を取っていた。やっぱり変わらなかった。」
再構築の前提となる「相手の変化」が見られない場合、再び傷つく不安から離婚を選ぶ人も多いです。不倫や暴力、精神的な支配が継続する限り、安全で安心な関係を築くことは困難です。
どうしても許せない
「気持ちの整理をしようとしたけど、あの時の言葉や態度がどうしても頭から離れない。」
再構築には「許すこと」が求められる場面がありますが、それができないからといって失敗ではありません。無理に許そうとすると、かえって心が消耗し、自分を追い詰めてしまうこともあります。
再構築中のつらいフラッシュバック
再構築を選んでも、ふとした瞬間に過去にされたことが頭によぎって、「またあの時の気持ちが蘇ってきた」「突然苦しくなった」という体験をしたことはありませんか?
こうした症状をフラッシュバックといいます。フラッシュバックは不貞や裏切りによって心に受けた深いダメージの表れであり、多くの人が再構築の途中で経験するものです。
フラッシュバックとは?よくある症状
フラッシュバックとは、過去に受けた精神的ショックやトラウマを、まるで今この瞬間に起こったかのように感じてしまう心の反応です。
再構築の過程では次のような場面でフラッシュバックが起こりやすいと言われています。
- 会話の中で当時のことを思い出させる言葉が出たとき
- 不倫に関連する場所や日時、出来事に触れたとき
- 明確なきっかけがないのに、突然気分が沈む
フラッシュバックの典型的な症状
症状例 | 解説 |
---|---|
涙が止まらない | 不安や怒りがよみがえり、感情のコントロールが効かなくなることも |
動悸・吐き気・頭痛 | 心理的ストレスが身体に表れる |
相手のすべてが信じられなくなる | 一度受けた裏切りに対する「防衛本能」が強く働く場合がある |
フラッシュバックが続くときに考えるべきこと
フラッシュバックが長く続いて以下のような状態になっている場合は、このまま再構築への努力を続けるか、離婚するかを選ぶべき時かもしれません。
- 数ヶ月経っても苦しい気持ちが薄れない
- 相手への不信感が強まり、話し合いが成り立たない
- 日常生活に支障が出ている(例:仕事に集中できない、眠れない)
- 以前よりイライラや無気力が増している
心理的ケアや専門家への相談も選択肢に
フラッシュバックを抱える人の中には、カウンセラーや医師のサポートを受けることで心が楽になったという方も少なくありません。
また、離婚を考える場合には、法的な問題(慰謝料・親権・財産分与)も関係してくるため、法律の専門家である弁護士にも早めに相談することをおすすめします。
やっぱり離婚するべき?再構築に迷ったときの判断軸
再構築を試みたもののやっぱり離婚すべきか迷っている方は、以下のような視点であらためて夫婦の現状と向き合ってみましょう。また、離婚することと婚姻関係を続けることの現実的なメリット・デメリットを比較してみましょう。
再構築で関係が改善するケース
再構築がうまくいきやすいのは以下のようなケースです。
- 相手が反省して再構築に努力している
- 今後も信頼関係が回復していく見込みがある
- フラッシュバックや不安な気持ちは改善に向かっている
- 原因が明確で対処可能である
これらの条件がそろっている場合、再構築が現実的に機能しやすいと言えます。問題に対して双方が向き合い、相手の誠実な姿勢や変化が感じられることで、関係の再構築に前向きな流れが生まれます。
また、過去の出来事による感情面の揺れが徐々に落ち着き、日常生活の中で安心感が増していると感じられることも重要です。原因が整理され、対応策が明確であれば、再構築が実を結ぶ可能性も十分にあります。
再構築がうまくいかないケース
一方、以下のような状態では、再構築は成功しづらいでしょう。
- 不倫した側が開き直っている
- 根本的な問題が解決していない
- 加害行為が継続している
- 被害を受けた側が無理に許そうとしている
これらの状態が続いている場合、関係の修復が機能せず、再構築が現実的に難しくなることがあります。一方が努力を続けても、相手に変化や協力の意思が見られない場合、関係のバランスが崩れたままとなります。
また、問題の根本が解決されないまま再構築を進めても、感情面や信頼関係の回復にはつながりにくいといえます。例えば、セックスレスが原因で不倫に及んでしまった夫婦が再構築を目指して話し合ったとしても、セックスレスという根本的な問題を解決できなければいずれ歪みが生じてしまうでしょう。
結果として、再構築がうまくいかず、双方にとって満足のいく関係や生活が築けない可能性が高いです。
再構築をやめて離婚するメリット・デメリット
離婚のメリット
- 精神的な緊張から解放される
- 無理に相手を許さなくてもよくなる
- 両親の不仲から子どもを解放できる
- 新しい恋愛ができる
関係修復への無理な努力を手放すことで、心の消耗を減らし、自分の価値観を尊重した生き方に切り替えられます。家庭内の不和が続くよりも、子どもにとって安定した環境を用意しやすくなる側面もあります。
加えて、新たな人間関係や将来設計を前向きに考えられるようになるというメリットもあります。
離婚のデメリット
- 喪失感や孤独を感じて離婚を後悔する
- 周囲の目が気になる
- 経済的に苦しくなる
- 子どもの養育環境が変わる
一度は再構築を選んだ方が離婚する際には、「もっとうまくできたかもしれない」「我慢が足りなかったのではないか」という後悔がつきまとうものです。離婚に対する偏見や周囲の視線が気になる場面もあるでしょう。
また、2人分の収入で生活していたものが1人分になってしまうため、生活が苦しくなってしまうことは避けられません。さらに、引っ越しで子どもが転校を余儀なくされたり、経済的な理由で進路が制限されるなど子どもへの影響も軽視できません。
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再構築の末に離婚をしても慰謝料は請求できるの?
再構築期間後に「やっぱり離婚」となった場合、「もう慰謝料は請求できないのでは…?」と不安に思う方も多いかもしれません。
しかし、再構築後の離婚でも慰謝料を請求できるケースはあります。
慰謝料が認められる可能性があるケース
- 再構築の合意が形式的だった(内心では許していなかった)
- 相手から十分な謝罪・償いがされていない
- 再構築後も相手が誠意を見せず、心理的苦痛が継続している
- 有責配偶者の反省が見られず離婚に至った
法的には、「1度許した=損害賠償請求放棄」とみなされることもありますが、必ずしも一律ではありません。またどのような場合を「許した」と捉えるかについてはケースごとの判断が必要です。
離婚慰謝料の請求において重要なのは、以下の3点です。
- 不貞行為の証拠があること
- 再構築の経緯を記録していること(LINE、メール、会話メモなども有効)
- 精神的苦痛の証明(診断書など)
慰謝料を請求したい場合は、なるべく早く弁護士に相談し、証拠保全のアドバイスを受けましょう。
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慰謝料が認められない・減額されるケース
以下のようなケースでは、再構築後の離婚慰謝料請求が認められないか、慰謝料が減額される可能性があります。
- 不倫発覚時に不倫相手から慰謝料を受け取っている
- 不倫を許すことや慰謝料を放棄することを明確に表明していた
- 再構築時とは違う理由で離婚に至った
まとめ|再構築ができなかった自分を責めないで
再構築を選んだのに、うまくいかず「やっぱり離婚したい」と思うのはおかしなことではありません。
大切なのは、自分の気持ちの変化を正直に受け止め、心と向き合って判断することです。再構築に努力したからこそ、離婚を選ぶ決断にも価値があります。
再構築を試みた末に離婚を決意した方は、慰謝料請求や財産分与、親権、養育費などで有利な条件を実現する方法について、ぜひ一度弁護士にご相談ください。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了