50代女性の離婚率や離婚準備は?アラフィフ離婚の実態を解説

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50代の離婚

50代は、人生の折り返し地点とも言える時期です。そのため、これまでの結婚生活を振り返った女性が、「人生をやり直すなら今だ!」と離婚を決意するタイミンでもあります。

令和4年には、離婚した夫婦のうち同居期間20年以上の夫婦が約20%を占めていますから、アラフィフ世代の離婚はいまや珍しいことではありません。

しかし、全ての女性が順風満帆な新生活を手に入れられるとは限りません。50代の女性にとって特に深刻なのは、お金の問題です。そこで、離婚後の生活のカギとなるのが財産分与です。

この記事では、50代の女性の離婚率、離婚の背景や、50代での離婚で後悔しないための3つのポイント、財産分与の実態などを解説します。是非さいごまでお読みください。

50代の女性の離婚原因・離婚率は?

50代女性の離婚率は?割合は多い?

人口統計資料集(2024)によると、2022年度、50代女性の離婚数は、20代から40代女性に比べて少ないです。

しかし、50代女性の離婚数は年代別にみると4番目に多く、2022年度では、女性の離婚数全体に対して14.4%を占めます。

2022年 女性の離婚数・離婚率

国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集(2024)」『表6-7 性,年齢(5歳階級)別離婚数:1930~2022年』より抜粋のうえ編集しました。

また、人口統計資料集(2024)によると、2022年度、50~54歳の女性の離婚数は12,205件で、普通離婚率は2.67‰でした。

55~59歳の女性の離婚数は6,263件で、普通離婚率は1.58‰でした。

岡野タケシ弁護士
岡野タケシ
弁護士

「普通離婚率」とは、人口1,000人あたりの年間離婚件数をいい、‰(パーミル)で表します。

例えば、2022年度の55~59歳の女性の普通離婚率が2.05‰という場合、2022年に55~59歳の女性1,000人あたり2.05人が離婚したということを意味しています。

2022年度 50代女性の普通離婚率

年齢離婚数離婚率
50~54歳12,205件2.67‰
55~59歳6,263件1.58‰

国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集(2024)」『表6-7 性,年齢(5歳階級)別離婚数:1930~2022年』『表6-8 性,年齢(5歳階級)別離婚率:1930~2022年』より抜粋のうえ編集しました。

これらの数値を参考にして計算してみると、50代女性全体に対する普通離婚率は約2.16‰となります。

50代女性の普通離婚率の推移については、増加傾向にあるといえます。

50代女性の普通離婚率の推移

国立社会保障・人口問題研究所「人口統計資料集(2024)」『表6-7 性,年齢(5歳階級)別離婚数:1930~2022年』『表6-8 性,年齢(5歳階級)別離婚率:1930~2022年』より抜粋のうえ編集しました。

より詳しい離婚率については『離婚率は3組に1組?離婚原因や年齢別の離婚割合について解説』で解説しています。気になる方はあわせてお読みください。

よくある離婚理由は?

令和5年司法統計では、離婚原因の第一位が性格の不一致となっています。

そのほか、暴力、異性関係、浪費、性の不一致(性的不調和)などもよくある離婚の理由になります。

妻(申立人総数41,652)
第1位性格が合わない(15,835)
第2位暴力を振るう(7,711)
第3位異性関係(5,362)
第4位浪費する(3,550)
第5位性的不調和(2,642)

(令和5年司法統計年報家事編 第19表 婚姻関係事件数ー申立ての動機別)
(注)申立ての動機は、申立人の言う動機のうち主なものを3個まで挙げる方法で調査重複集計

50代の女性が離婚を決意するのはなぜ?

子供が独立したから

50代になると、子どもが成人を迎えたり、学校を卒業するという夫婦が多いでしょう。

子どものために離婚を我慢していた方が、子どもが独立したタイミングで離婚に踏み切るというケースは、非常によく見られます。

夫が役職定年をむかえ年収が下がるから

55歳をむかえると役職定年になる企業も多いものです。

夫が役職定年をむかえれば、当然、役職手当はつかなくなり、それまでの水準と比べると夫のお給料は少なくなります。

お金の切れ目が縁の切れ目という言葉もあるように、収入が減ったのに、相変わらず自分勝手な振る舞いを続ける夫に嫌気がさし、離婚を決意する妻もいるでしょう。

好きな人ができたから・セックスレスだから

好きな人ができたという理由で、夫との離婚を決意するケースも意外とあります。

同窓会で昔好きだった人と再会し、恋愛に発展するというのも、50代に多いシチュエーションです。

また、長年連れ添った夫婦に多いのが、セックスレス夫から女性として見られないという悩みです。自分を女性として扱ってくれる男性を求めて、離婚に至るケースも見られます。

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人生をやり直すチャンスが欲しいから

夫のDVやモラハラに苦しんできた方や、夫の生活リズムに合わせて不自由な生活を送ってきた方は、人生をやり直すために離婚を決意することがあります。

我慢の限界に達し、あるいは子どもも大きくなり時間的な余裕がでてきたころ、ふと自分の人生を思い返して、離婚の文字が頭に浮かぶタイミングが、ちょうど50代といえるでしょう。

  • 人生をやり直したい
  • 人生をリセットしたい
  • もう一度、自分らしく生きたい

まだまだ恋愛のチャンスはありますし、夫がいたらできなかった趣味を始めたり、仕事に没頭するのもよいでしょう。

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財産分与の目途が立ったから

離婚について日頃から情報収集をしている方は、離婚にともなう「財産分与」で、これまでの旦那への貸しを清算したいと考える方もいるでしょう。

財産分与とは、婚姻中に夫婦がためた財産を、離婚時に、公平に分配する制度です。

50代ともなると、夫婦の財産も大きくなり、財産分与の金額・内容についてある程度の目途が立ってきます。

また、すでに受け取った退職金は財産分与に含まれるので、会社を転職した場合には、それを夫婦で分け合えます。

将来、確実に支給される見込みのある退職金も、財産分与に含めることができます。50代になれば、将来の夫の退職金を、財産分与してもられる可能性が高くなります。

なお、50代での離婚では、年金も強く意識し始める時期です。年金については、「年金分割」という制度を活用できます。

年金分割とは、厚生年金の保険料納付記録を、婚姻期間に応じて、分ける制度です。

財産分与や年金分割である程度大きな額が受け取れることが、50代女性の離婚を後押しするのです。

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親の介護があるから

50代は、親の介護を担うことの多い世代です。

自分の親の介護

しかし、自分の親の介護に対し、夫の理解が得られない、夫が介護に非協力的であるなどして、夫婦関係が悪化するケースは少なくありません。

夫と別れ、自分の親と過ごす時間を増やすというのも、人生の選択肢といえます。

夫の親の介護(義両親の介護)

また、義両親の介護を押し付けられたことが原因で、離婚を決意するケースもあります。

義両親は、夫の親といえど他人です。無料で他人の介護までしろと言われれば、離婚を考えるのも無理はありません。

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アラフィフ離婚で後悔?克服すべき3つのポイント

①経済面が苦しくて離婚を後悔?

アラフィフ離婚は、離婚後の生活が経済的に苦しくなるリスクを、常に考えなければなりません。

そのため、離婚後に幸せな人生をリスタートさせるには、離婚前から経済面の準備をしておく必要があります。

経済面の離婚準備

  • 経済的自立を目指す
    例:貯金をする
      仕事を探す
      本業の仕事のほかに副業をする
  • 慰謝料請求の準備
    例:夫の不貞の証拠を集める
    例:慰謝料の相場金額を調べる
  • 財産分与の請求の準備
    例:夫の財産を調べる
    例:財産分与の相場を調べる

経済面の準備としては、まず、貯金を作ること、仕事を探すこと、副業を始めることなどです。
これらは、離婚後の生活を営むための準備として非常に重要です。

一方、離婚時には、配偶者から慰謝料や財産分与などの形でお金を受け取れる可能性があります。

慰謝料や財産分与などのお金を、相手から最大限受け取るためには、離婚を切り出す前に、しっかりと証拠集めをおこない、その後、夫との話し合いの段階では、うまく立ち回る必要があります。

経済面の準備には、ある程度時間がかかるので、離婚を考え始めたら、すぐにとりかかるべきです。

早く夫と別れたい一心で準備もせずに離婚に踏み切ることは、あまりおすすめできません。

可能な限り時間をかけて入念に準備し、準備万全な状態で離婚を切り出すことをおすすめします。

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②離婚の条件が不利で後悔?

アラフィフ離婚で後悔しないためには、納得できる条件で離婚することもポイントです。

離婚の条件には、財産分与や慰謝料、養育費などのお金のことや、どちらが親権を取るか、どちらが家に住み続けるか、年金をどう分けるか(年金分割)などがあります。

早く離婚をしたい場合でも、急がば回れです。

離婚条件の話し合いを後回しにすると、離婚後にもめて、相手と関わる必要がでてきます。

不倫した夫の顔を見たくないからと、慰謝料請求もせずに離婚してしまい、あとから「慰謝料をもらっておけばよかった」と後悔するケースもあります。

相手と直接かかわりたくないと思った時は、離婚調停を活用したり、弁護士をご自身の代理人にしたりして、顔を合わせずに離婚条件の話し合いを進めるべきでしょう。

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③身近に頼れる人がいなくて後悔?離婚後の生活は寂しい?

離婚によって、同じ屋根の下に、すぐに頼れる人がいなくなったことで、不安や寂しさを感じて、50代での離婚を後悔する方もいます。

ですが、思い出してみてください。あなたが病気の時や精神的につらくて助けて欲しかった時、一番近くに居たあなたの配偶者は、助けてくれましたか。

ただ「配偶者がいる」というだけの意味のない保険をかけ続けることで、かえって心がつらくなったことはありませんか?

独り身になった後の不安があるなら、ほかに、困った時に頼れる人を見つければ良いのです。

離婚を決める前に、自分の子どもや両親、周りの人に離婚後の生活について相談し、協力を仰いでおくのがよいでしょう。

「自立するぞ!」という意気込みで新生活を始める方にっても、自立とは独りぼっちになることではありません。いざという時に頼れる人の存在は大きいものです。

50代女性の離婚は財産分与はカギ

50代の離婚で財産分与が重要な理由

経済状況が不安な50代女性の離婚において、財産分与は死活問題です。

婚姻期間が長くなるほど夫婦が協力して築いた財産は多くなり、財産分与の額も大きくなります

こちらは、婚姻期間が20年以上の夫婦と20年以下の夫婦の財産分与の金額を比べたグラフです。

令和4年度司法統計年報 家事編

婚姻年数が20年以下の夫婦の財産分与額は、100万円に満たないケースが最も多いのに対して、婚姻期間が20年以上の夫婦では600万〜2000万円が相場となっています。

このように、50代の離婚では多額の財産分与が見込まれるため、しっかりと話し合わなければ、離婚後の経済状況が著しく不公平になってしまう可能性があります。

もちろん、金額が大きい分、財産隠しや分与額をめぐってトラブルも起きやすくなるため、対策が必要です。

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財産状況を把握し、最大限の分与を受け取ろう

財産分与を最大限受け取るためには、すべての財産を明らかにすることが重要です。

財産分与で財産が減ってしまうことを恐れた配偶者が、隠し口座を作ったり、黙って不動産を買ったりなどして財産隠しを行っていることがあります。財産隠しをされると、自分が受け取れる財産が減ってしまうため、相手の財産状況を把握しておかなければ、財産分与で損をしてしまいます。

こういった隠し財産を証明し、交渉の場で認めさせるためには、財産隠しの証拠を集める必要があります。しかし、離婚の意思を知られてからでは証拠を消されてしまう可能性が高いため、離婚を切り出す前に証拠を探しましょう。

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50代女性の離婚は弁護士に相談!

弁護士は離婚準備・実務を熟知している!

離婚後の金銭面の不安を解消するためには、財産分与や慰謝料を最大限受け取ることが重要です。

弁護士がいることで、実務の相場や個別の事案において、妥当なラインが分かり、スムーズな解決を目指すことができます。

財産分与については、自分の権利を最大化するためには、ひとつひとつ財産をリストアップし、それを計算して分けるという作業が必要です。

また、公正証書を作成する場合や、調停・審判を申し立てる場合は、複雑な手続きをしなければなりません。

離婚の慰謝料を最大限請求するためには、慰謝料請求の原因(不倫やDVなど)の存在を証明する証拠を集めたり、夫と交渉して認めさせなければいけません。

手続きや証拠集めを自力で行うことも可能ではありますが、弁護士に任せることで負担を減らせるでしょう。また弁護士は、経験や専門知識をもとに、増額を目指して交渉することができます。

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離婚後の手続きチェックリスト

弁護士は離婚交渉のプロ!話し合いはお任せ!

また、50代の男性の中には、仕事で重要なポジションに就いており、部下から尊敬を集めている方もいるでしょう。

そういった男性の多くはプライドが高く、妻から離婚を突きつけられた事実が受け入れられず意地でも離婚に応じてくれない可能性があります。

また、世間体も気にしているため、妻に捨てられたことを周りに知られたくないという理由で離婚を拒むケースも見られます。

このような相手と離婚について話し合おうとしても、激昂して話し合いにならないことが多いものです。

冷静な話し合いができない場合、相手と直接話し合いをしたくない場合などは、とくに弁護士に離婚問題の解決をまかせるべきです。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了