離婚したいけどお金がない!必要なお金はいくら?費用の工面と離婚準備

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離婚したいけどお金がない方必見!

「お金があれば離婚したい」「旦那と別れたいけどお金がない」

実際には、お金がなくても離婚することは可能です。協議離婚であれば実質的な費用はかからず、調停離婚でも数千円程度で手続きを進められます。

離婚前の別居期間は婚姻費用として生活費を相手に請求でき、離婚時には財産分与や養育費、慰謝料を受け取れる可能性もあります。さらに、児童扶養手当をはじめとする公的支援制度も用意されています。

もっとも重要なのは、離婚を切り出す前に夫婦の財産状況を把握し、必要な証拠を確保しておくことです。離婚の話が出た後では、相手が財産を隠したり使い込んだりするリスクが高まります。

この記事では、経済的な不安を抱えながら離婚を検討している方に向けて、必要となる費用の目安、資金を確保する方法、公的支援の活用法について、離婚の進め方に沿って弁護士がわかりやすく解説します。

目次

「お金があれば離婚したい」現状を打破するには?

ある調査によれば、「離婚したいけどできないと思う」と回答した女性の割合は全体の9.6%にのぼり、離婚したいけどできないと思う理由のうち、65.8%を「経済的な自立ができない」ことが占めるという結果がでています。

今後離婚する可能性はある?(単位:%)

離婚したいけどできない理由のグラフ 経済的理由が6割

離婚したくてもできない理由は?(単位:%)

離婚したくてもできない理由の内訳

2006年7月第一生命NEWS宅配便『結婚生活に関するアンケート調査』P12~13の数値を抜粋、編集しました(2024.6.25現在)。

このように、お金の問題は離婚を踏み出せない大きな要因ですが、だからといって焦って行動するのは危険です。

状況を整理し、計画的に進めれば、経済的な負担やリスクを最小限に抑えることができます。

夫婦の財産把握と当面の資金確保

「お金があれば離婚したい」と悩んでいる段階から一歩進むために必要なのは、漠然とした不安を具体的な数字に変えることです。

まず行うべきは、夫婦の共有財産の調査です。

たとえ妻名義の預金が少なくても、夫名義の預貯金、保険の解約返戻金、株式、不動産などは、離婚時に財産分与として原則2分の1を受け取る権利があります。

しかし、別居や離婚の話が出た後では、相手が財産を隠したり使い込んだりするリスクが高まります。

預貯金通帳、給与明細、不動産の権利証、生命保険証券など、同居している今のうちに証拠を集めておくことがポイントです。

実務上、離婚を切り出した直後に預金が大幅に減っているケースは珍しくありません。特に注意すべきは、給与振込口座から不自然な引き出し、生命保険の解約、株式の売却です。

可能であれば、直近3か月分の通帳記録をコピーまたは写真で残し、保険証券や不動産の権利証も撮影しておくことをおすすめします。同居中であれば、これらの行為は夫婦の財産を守るための正当な行為として認められます。

また、並行して別居に向けたへそくりの確保や、実家に一時的な援助が可能か相談するなど、水面下での資金作りを進めましょう。

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婚姻費用を請求して生活費を確保する

「お金がないから」と我慢して同居を続ける必要はありません。

収入の多い夫に対しては、別居中の生活費である婚姻費用を請求する権利があります。

婚姻費用は、離婚後の養育費よりも金額が高くなる傾向にあります。これを生活費の柱にすることで、別居後の生活が成り立ちます。

ただし、婚姻費用は原則として請求した時点から発生します。

別居したらすぐに内容証明郵便で請求するか、家庭裁判所に調停を申し立てましょう。相手が任意に支払わない場合でも、調停や審判を経て強制執行により給与や預金から回収できます。

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法テラスを活用して弁護士費用を工面する

「弁護士に頼むとお金がかかる」とためらう人もいますが、資金面で心配がある場合は、「法テラス(日本司法支援センター)」を利用しましょう。

手持ちのお金がなくても、弁護士費用の立替えを行ってくれます。

また、DVなどの事情がある場合は、自治体の相談窓口やシェルターへの避難も検討してください。

離婚条件(財産分与・養育費)を確実にする

早く離婚したい一心で「お金はいらない」と妥協するのは危険です。

財産分与や慰謝料、養育費など、本来受け取れるお金をしっかり確認し、確保したうえで離婚に進みましょう。

離婚準備で知っておくべき3種類のお金

漠然と離婚するお金がないと思い悩む前に、どのくらいのお金が必要になるのか、具体的に計算してみましょう。

離婚で得られるお金と、離婚にかかる費用の両方がわかれば、離婚に向けてどのように準備していけばよいか具体的に計画できるようになります。

離婚にかかる費用は、主に以下のとおりです。

離婚にかかる費用

  1. 離婚手続きにかかるお金
    (離婚調停・離婚裁判の費用、公正証書の作成費用、弁護士費用など)
  2. 別居にかかるお金
  3. 離婚後の生活費
  4. その他の費用

以下では、それぞれの費用についてご説明します。

【1】離婚手続きにかかるお金

離婚する場合、離婚手続きにかかる費用、公正証書作成費用、弁護士費用、その他の費用がかかります。

協議離婚にかかるお金

協議離婚の場合は、相手方配偶者との話し合いによって離婚を決めるものなので、協議離婚そのものにかかるお金は0円です。

協議離婚をするには、最低限、離婚届を準備するだけでよく、離婚届は役所から無料でもらえます。

戸籍の届出用紙はインターネットからダウンロードしたものでも届出可能です。

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注意点

協議離婚は、調停離婚や裁判離婚とは違い、裁判所への申立て費用はかかりません。

ただし、協議離婚の内容を公正証書にしたためる場合、その作成のためにお金がかかります。

協議離婚の公正証書の作成費用

公正証書とは、公証役場の公証人が作成する書面です。

公正証書に、強制執行認諾文言を盛り込むことで、書面に記載した請求について裁判をおこさなくても、強制執行できるようになります。

このため、協議離婚にともない、離婚条件(慰謝料、財産分与、養育費の支払い等)を合意できたら、強制執行認諾文言付きの公正証書を作成する夫婦もいます。

ただし、公正証書作成には、公証人手数料がかかります。

公証人手数料の金額は、公正証書で取り決める金銭の支払総額(目的金額)に応じて決まります。

公証人手数料をまとめると以下のとおりです。

目的金額公証人手数料
50万円以下3,000円
50万円を超え100万円以下5,000円
100万円を超え200万円以下7,000円
200万円を超え500万円以下1万3,000円
500万円を超え1000万円以下2万円
1000万円を超え3000万円以下2万6,000円
3000万円を超え5000万円以下3万3,000円
5000万円を超え1億円以下4万9,000円
1億円を超え3億円以下4万9,000円に超過額5,000万円までごとに
1万5,000円を加算した額
3億円を超え10億円以下10万9,000円に超過額5,000万円までごとに
1万3,000円を加算した額
10億円を超える場合29万1,000円に超過額5,000万円までごとに9,000円を加算した額

※2025年10月1日改定後の金額です。

具体的にどのくらいのお金がかかるのかについては、事前に、公証人役場に問い合わせるのが確実です。

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離婚調停・離婚裁判のお金

調停離婚とは、家庭裁判所の調停委員会の司会のもと、夫婦で離婚を合意する手続きです。

調停離婚の場合は、裁判所への申立て費用など、手続きをおこなうためのお金がかかります。

裁判離婚とは、裁判官の離婚判決によって、離婚する手続きです。

裁判離婚の場合も、離婚裁判をおこなう費用など、手続きをおこなうためのお金がかかります。

調停離婚、裁判離婚にかかるお金は、収入印紙代、郵便切手代、戸籍謄本を取得するお金など、以下のとおりです。

自分でおこなえば数千円程度で済みますが、手続きが複雑なため弁護士に依頼するケースが一般的です。

離婚手続き費用
協議離婚基本的に費用はかからない。ただし、公正証書を作成する場合は、その作成費用がかかる。
調停離婚収入印紙代1,200円
戸籍謄本の取得費用450円程度
郵便切手代1000円程度
(管轄の家庭裁判所によって異なる)
裁判離婚収入印紙代
離婚請求のみの場合:1万3,000円
慰謝料請求等も行う場合:2万円程度
(請求額によって異なる)
郵便切手代6,000円程度
(管轄の家庭裁判所によって異なる)

上記のほか、書類作成や証拠収集に必要な実費などもかかることが予想されます。

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離婚の弁護士費用

弁護士に離婚問題の解決を依頼する場合、弁護士費用がかかります。

通常、離婚の仕方としては、協議離婚→調停離婚→裁判離婚の順番で進めていくので、ここでは裁判離婚にかかる弁護士費用の相場(一例)を確認しておきましょう。

離婚裁判を行う場合の弁護士費用の相場は、以下のとおりです。

弁護士費用の相場(一例)

項目相場
相談料0円~1万円
着手金33~55万円
成功報酬33~55万円
諸経費数万円程度
合計70~120万円

弁護士費用は法律で一律に決められているわけではなく、事務所によって異なります

費用面はもちろん大切ですが、弁護士との相性も非常に重要です。

初回無料相談を行っている事務所も多いため、まずは実際に会ってみて、信頼できる相手かどうかを確認するとよいでしょう。
その際、正式に依頼する場合の費用についてもしっかり説明を受けておくことをおすすめします。

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その他(浮気調査のお金)

離婚する際にかかるお金としては、上記のような費用のほかに、調査会社への依頼費用などもあります。

配偶者の浮気を理由に離婚をする場合、不貞行為の証拠収集等のために調査会社に依頼することも多いものですが、そのお金については、30万円〜100万円程度の調査費用がかかります。

費用を抑えるためには、依頼する前に自分で証拠をある程度集めておくことや、調査日程を必要な日に絞り込むなどの工夫が効果的です。

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【2】離婚までの別居にかかるお金

引っ越し費用、家賃など

離婚にともない別居をする際、引っ越し業者の作業代や不動産会社に支払うお金など、以下のような費用がかかります。

一般的に賃貸物件の初期費用は家賃の5か月分以上、家具家電を揃えるには20万円程度かかると言われています。

別居にかかる費用

  • 引っ越し費用(引っ越し業者の作業代、レンタカー代など)
  • 敷金・礼金、仲介手数料
  • 日割り家賃・前家賃
  • 家電製品、日用品の購入費用

資金が足りず引っ越しが難しい場合、たとえば、実家に戻れば初期費用をほとんどかけずに生活を立て直せます。

公営住宅を利用する方法もあり、家賃が安いうえに、ひとり親世帯を優先して入居させる自治体も少なくありません。

DV被害がある場合には、公的な一時保護所(シェルター)へ避難することもできます。

公的な支援制度や低予算で入居できる住まいは、関連記事『離婚後住む場所がない!お金がなくても住むところを確保する公的支援』で詳しく解説しています。

別居中の生活費(婚姻費用)

「お金がない」と悩む方にとって、最も重要なのが婚姻費用です。

婚姻費用とは、夫婦が結婚生活を続けるうえで必要となる生活費のことです。

夫婦の生活費だけでなく、子どもの生活費や教育費も含まれます。
これらの費用は夫婦が収入に応じて分担する仕組みになっており、離婚前であれば別居中でも相手に婚姻費用を請求できます。

婚姻費用の相場

種類相場
婚姻費用月額4万円~15万円
※夫から妻へ支払われる場合

別居中でも、専業主婦で収入がない場合や、相手より収入が少ない場合、または相手より収入が多くても子どもを自分が育てている場合は、相手に婚姻費用を請求できます。

婚姻費用は夫婦それぞれの年収をもとに、「改定標準算定表」を参考にしながら決めますが、婚姻費用の相場としては、月額6万円~15万円が目安になるでしょう。

婚姻費用の計算方法や詳しい条件については、関連記事『婚姻費用の相場は月10~15万円?別居・離婚調停の生活費請求を解説』をご覧ください。

婚姻費用の請求でお金はかかる?

話し合いで婚姻費用を決める場合、夫婦が合意すれば金額は自由に設定できます。
口頭で請求するだけなら費用もかかりません。

ただし、請求する側は増額を求め、請求される側は減額を望むことが多いため、協議だけでは金額がまとまらないことも多々あります。

合意できない場合は、家庭裁判所に婚姻費用分担請求の調停を申し立て、調停手続を通じて金額を決めることになります。
この際には、裁判所の手数料が必要です。

婚姻費用分担調停の申立てには、収入印紙1200円分、および連絡用の郵便切手(各家庭裁判所ごとに額面は異なる)が必要です。

婚姻費用は別居したらすぐに請求を!

婚姻費用の支払い義務は、原則として請求した時点から発生します。
別居を始めたら、内容証明郵便や調停申立てなどで、早めに請求の意思を示すことが重要です。

相手が支払いに同意した場合は、必ず書面を作成しましょう。不払いに備えるためにも、強制執行認諾文言付きの公正証書を作っておくと安心です。

一方、相手が支払いに応じない場合は、家庭裁判所へ婚姻費用分担請求の調停を申し立てます。

調停に相手が来なければ審判に移行し、裁判所が支払いを命じる審判が出ます。審判書があれば強制執行も可能です。

婚姻費用は原則としてさかのぼって請求できないため、別居後は速やかに手続きを始めることが大切です。

婚姻費用を自分で請求する方法を詳しく解説した関連記事『婚姻費用の請求方法|弁護士なしで自分で進める手順と注意点』をあわせてご覧ください。

【3】離婚後の生活費と公的支援

離婚後、辛かったこと上位3つについてのあるアンケート結果では、「特にない」と答える割合が一番多かったものの、その割合は約3割にとどまるものでした。

そして、離婚後、辛かった理由のなかで最も多かったのが「家計が苦しくなった」という理由で、全体の21.1%を占める結果となっています。

離婚後、辛かった理由(単位:%)

離婚後につらかったことランキング 家計が苦しくなったが1位

2024年3月5日 株式会社リライフテクノロジー「離婚に至る過程で大切にすべきポイントとは」より数値を抜粋、編集しました(2024.6.25現在)。

離婚後の生活費としては、住まいにかかる費用のほかにも、食費、水道光熱費、通信費、税金の支払いなどお金がかかることになります。

これは離婚後の1か月の生活費の目安となるものとして、総務省統計局の家計調査報告〔家計収支編〕を参照してみると、単身世帯の消費支出の月平均額は180,007円という結果がでています。

ただし、あくまで参考となる数値です。

子どもと暮らす場合など、離婚後に必要なお金は家庭ごとに大きく異なります。
そのため、離婚を考える際は、離婚後の生活費を事前にシミュレーションしておくことが重要です。

婚姻費用や慰謝料、財産分与を受け取れる可能性はありますが、実際にお金が入るまでには時間がかかります。離婚を決断する前に、当面の収支を含めて現実的に確認しておきましょう。

実家に頼れない場合の対処法

親に迷惑をかけたくない、実家との関係が悪い、親自身が経済的に厳しいといった理由で実家に頼れない方は以下の選択肢を検討しましょう。

  • 公営住宅への入居
    ひとり親世帯は優先的に入居でき、家賃も所得に応じて減額されます。
  • 母子生活支援施設
    18歳未満の子どもがいる母子家庭が利用できる施設で、生活指導や就労支援も受けられます。
  • シェアハウス
    初期費用が安く、家具家電付きの物件もあるため、すぐに生活を始められます。
  • 友人宅への一時的な避難
    信頼できる友人に事情を説明し、数週間だけでも居候させてもらうことで、準備期間を確保できます。

DV被害がある場合は、配偶者暴力相談支援センターや女性相談支援センターに連絡することで、公的なシェルターへの一時保護が可能です。一時保護の費用は原則無料であり、保護後は自立支援や住まい、仕事等の相談も受けられます。

お金がないけど離婚を叶える公的支援

離婚後は、国や自治体から様々な手当・助成金を受けられる可能性があります。

「お金がない」と不安になる前に、自分が利用できる制度を確認しましょう。

離婚後の主な公的支援

  • 児童扶養手当
  • 児童手当
  • 医療費助成
  • 所得税・住民税の軽減
  • 水道料金の減免
  • 公営住宅の優先入居
  • 母子父子寡婦福祉資金の貸付
  • 生活保護

特に、ひとり親家庭等の児童に支給される児童扶養手当が離婚後すぐに受給できる状況かどうかは重要です。

離婚を考えている方は、事前に市役所に相談に行き、支給額や支給時期について確認してみましょう。

また、自治体ごとに母子家庭や父子家庭に対する支援内容が異なりますので、ご自分の場合どのような公的支援の対象になるか、あわせて確認してみると良いでしょう。

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離婚後の生活再建と「生活保護」の申請

病気や事情があって働けず、生活が立ち行かない場合は、生活保護の受給を検討しましょう。

離婚成立前であっても、世帯分離や個別の事情を考慮して受給が認められる可能性があります。

ただし要件は厳格ですので、離婚後に生活保護を受けられるケースや、申請するときの方法、注意点など関連記事『離婚後に生活保護は受給できる?金額シミュレーションと申請手続き』をご確認ください。

実際に生活費を一覧表にしてみよう!

まずは以下の表に数字を書き込んでみてください。

収入見込みから支出見込みを差し引いて差額がある場合、その不足分を補うための対処法を離婚前から十分に考えておきましょう。

【収入見込み】

項目金額
給与
養育費
児童扶養手当
児童手当
収入合計

【支出見込み】

項目金額
家賃
水道代
電気代
ガス代
携帯電話代
インターネット代
生命保険料
食費
日用品費
被服費
教育費
交際費
その他
支出合計

【差額の算出】

項目金額
収入見込み
支出見込み
【収入見込み】-【支出見込み】

ポイント

専業主婦の方は、離婚前から計画的に就職活動を進めておくことがとても大切です。

専業主婦の再就職を支援する公的制度も充実しているため、こうした制度を活用して安定した収入の見通しを立ててから離婚を切り出すほうが安心です。

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離婚相手に請求し得るお金&相場一覧

「離婚したいけれどお金がない」と感じている方でも、離婚に伴って受け取れる可能性のあるお金は意外と多くあります。相手にきちんと請求することで、離婚後の生活への不安を軽減できる場合もあります。

貯金がまったくないまま離婚するのは不安ですが、財産分与や慰謝料などを受け取れれば、当面の生活費を確保できる可能性があります。

離婚に関して受け取れる可能性のあるお金と、その相場を以下の表にまとめました。

【離婚相手に請求しうるお金・相場】

種類相場
財産分与  一般的には100万円以下のケースが多い
※婚姻期間が長い場合は1,000万円以上となることも
慰謝料100万円~300万円
養育費子ども1人あたり月額2~6万円
※夫から妻へ支払われる場合
年金分割月3万円程度の増額
公的支援各種制度による
婚姻費用月額6万円~15万円
※夫から妻へ支払われる場合

出典:令和5年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況 「離婚分割 受給権者の分割改定前後の平均年金月額等の推移
   令和6年司法統計年報家事編 第25~27表

以下では、それぞれのお金の内容、請求のポイントや注意点について詳しくご説明します。

離婚による財産分与

財産分与とは、離婚の際に、結婚中に夫婦で築いた共有財産を分け合う制度です。

原則として、財産分与の割合は夫婦それぞれ2分の1で、専業主婦の方にも同じ割合が認められます。話し合いで別の割合に合意した場合は、その内容が優先されます。

「離婚したいけれどお金がない」と感じている方は、まず共有財産の内容と金額を把握することが大切です。以下の表を参考に、整理してみましょう。

【プラスの共有財産】

項目評価方法等
現金生活費を差し引いた残額
預貯金通帳を調べる、金融機関で残高照会を行う
株式上場株式:市場価格を基準にする非上場株式:財産評価基本通達を参考にする
その他有価証券取引残高報告書等で評価額を確認する
債権契約書等から他人に貸しているお金がないか調べる
不動産不動産業者に無料査定してもらう
自動車中古車販売業者に査定してもらう
企業年金会社に問い合わせる
積立型保険保険会社に解約返戻金を問い合わせる
退職金勤務先で退職金見込計算書を発行してもらう
美術品専門業者に査定してもらう
会員権取引相場や、専門業者に評価してもらう
家財道具等の動産評価額を出さず、現物で分けるケースが多い

【マイナスの共有財産】

項目評価方法等
住宅ローン金融機関で残高証明書を発行してもらう
その他借金(カードローン等)金融機関で残高証明書を発行してもらう

財産分与の対象になるのは、プラスの財産 − マイナスの財産で算出される夫婦の純資産です。

財産分与の請求のポイント

財産分与のための証拠は、離婚を切り出す前に集めておくことが大切です。話し合いの後では、相手が財産を隠したり使い込んだりするおそれがあります。

相手の財産が分からない場合は、弁護士を通じて金融機関に照会できる弁護士会照会制度を利用できます。

また、専業主婦や熟年離婚では、離婚後の生活を支えるために、扶養的財産分与が認められる可能性があります。扶養的財産分与については詳しくは『扶養的財産分与とは?|離婚後の生活を守るための基礎知識』をご覧ください。

岡野タケシ弁護士
岡野タケシ
弁護士

財産分与の取り決めは、必ず書面に残しましょう。公正証書または調停調書として残すことで、支払いが滞った場合でも強制執行が可能になります。

なお、現行法では、財産分与は離婚後2年以内に請求しないと時効になります。2026年4月1日の民法改正により請求期限は5年に延長されますが、施行日前に離婚が成立した場合は原則として2年のままなので注意が必要です。

離婚による慰謝料

お金がないまま離婚しても、慰謝料を請求できる場合には当面の生活費の助けとなる可能性があります。
ただし、慰謝料は離婚すれば誰でももらえるものではありません。

慰謝料を請求できるのは、相手方配偶者が、不貞(浮気、不倫)、DV、悪意の遺棄、性行為の拒否などをした場合です。

性格の不一致や、双方に離婚の原因がある場合は慰謝料請求はできません。

離婚にともない慰謝料を請求できる場合、原因ごとの慰謝料相場は以下のとおりです。

【慰謝料の原因ごとの相場】

原因相場
不貞(浮気、不倫)100~500万円
※不貞相手に対する慰謝料請求の場合、100万円〜200万円が相場
DV50~500万円
悪意の遺棄50~300万円
性行為の拒否100~300万円

たとえば不貞の場合に請求できる慰謝料金額としては、約100万円以上のケースが多いでしょう。

離婚慰謝料の請求のポイント

上記の表はあくまで相場に過ぎません。

慰謝料の金額は、具体的な事情によって変わります。
慰謝料額はいくらになるか知りたい場合、弁護士に直接相談するのがおすすめです。

弁護士に相談すれば、最新の裁判例から実務の動向まで踏まえた、より現実的な慰謝料額を知ることができます。

離婚時の慰謝料金額についてもっと詳しく知りたい方は、『離婚慰謝料の相場は?慰謝料がもらえるケース・種類・条件を弁護士が解説』の記事もご覧ください。

離婚後の養育費を請求する

養育費は、離婚後、子どもを監護する親が、監護していない親に対し請求できるお金です。

離婚後、お子さんを養育したいと希望している方は、養育費について必ず合意しておくべきです。

養育費は夫婦それぞれの年収をもとに、「改定標準算定表」に従って決まります。

アトム法律事務所の「婚姻費用・養育費計算機」であなたがもらえる養育費の目安がすぐにわかります。
ぜひシミュレーションしてみてください。

養育費の請求のポイント

将来、相手が養育費を支払わなくなったときに備えた対策を必ずとりましょう。

協議離婚の場合、強制執行認諾文言付き公正証書を作成するのがおすすめです。公正証書の内容に不安があれば、事前に弁護士に相談してみてください。

裁判所の手続を利用して養育費を決めた場合は、調停調書や審判書が強制執行する場合の債務名義になります。

離婚後の養育費についてより詳しく知りたい方は『離婚後の養育費の相場はいくら?支払われなかったらどうする?』の記事もご覧ください。

離婚時の年金分割

年金分割とは、離婚の際に、婚姻期間中に納めた厚生年金の記録を分け合う制度です。

たとえば、夫が会社員で妻が専業主婦の場合、夫は国民年金と厚生年金を受け取れますが、妻は国民年金のみとなり、老後の年金額に差が生じます。

この格差を解消するために創設されたのが、離婚時の年金分割制度です。

特に熟年離婚では離婚後の生活に大きく関わるため、忘れずに手続きを行いましょう。

なお、年金分割は、原則として離婚をした日の翌日から2年経過すると請求できなくなります。

離婚時の年金分割の手続き、お金については『離婚時の年金分割手続きとは?必要書類は?共働き・拒否した場合も解説』の記事もご覧ください。

「お金があれば」を叶える自立準備

専業主婦の方が熟年離婚を考える場合、仕事のブランクが長く、就職への不安を感じやすいものです。しかし、資格取得や非正規雇用から始めるなど、無理のない形で仕事に慣れ、少しずつ収入を得ることが大切です。

自分に向いている仕事が分からない場合は、これまでの専業主婦としての経験を生かせる仕事を探してみるのも一つの方法です。

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離婚とお金に関するよくある質問

Q. お金があれば離婚したいけど貯金がない時は?

手元に資金がなくても、法的な制度を利用することで離婚準備を進めることは可能です。法テラスの費用立替制度や、別居中の生活費を夫に請求する婚姻費用の活用を検討してください。

Q. 旦那と別れたいけどお金がない場合の対処法は?

まずは夫婦の財産(預金通帳、給与明細、保険証券、不動産権利証等)の内容を把握し、証拠として写真やコピーで記録しておきましょう。その上で、別居直後から婚姻費用を請求し、離婚後の生活には児童扶養手当などの公的支援をフル活用する計画を立てます。

Q. お金がないまま離婚しても生活できる?

可能です。ただし、勢いで家を出る前に離婚後の収支シミュレーションを行うことが重要です。自治体の福祉窓口や弁護士に相談し、母子家庭向けの支援制度や就労支援を事前に確認しておきましょう。

まとめ

お金がないけど離婚したいなら計画的に準備を!

お金に不安がある場合でも離婚を考えるなら、別居中や離婚後の生活費を見据えて、計画的に準備することが大切です。自立に向けた準備や公的支援の活用とあわせて、相手に請求できるお金はきちんと整理しておきましょう。

お金の話し合いは、離婚が成立する前に合意しておくのが重要です。先に離婚してしまうと、話し合いが難しくなったり、受け取れる金額が減るおそれがあるためです。

気持ちがつらくなり「お金はいらないから早く離婚したい」と考えてしまうこともありますが、後悔しやすいため避けたほうがよいでしょう。

お金がないなら無料相談!離婚のお悩みは弁護士まで

「離婚したいけれどお金がない」と悩んでいる方は、まず弁護士の無料相談を利用してみましょう。費用をかけずに、今後に必要な法的なアドバイスを受けることができます。

弁護士費用の見通しが立つ場合は、依頼も検討できます。法テラスを利用すれば、初期費用を抑えることも可能です。お金を理由に離婚を諦める前に、一度専門家に相談してみてください。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了