離婚率は3組に1組?離婚原因や年代別の離婚割合について解説

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日本では3組に1組は離婚をするといわれています。

2022年の特殊離婚率(年間の離婚数を婚姻数で割った値)は、約35%となっています。

また、離婚原因では、よく耳にする不倫やDVではなく、「性格の不一致」が最も多くなっています。

他の夫婦はどのくらい離婚をしているのか、どんな理由で離婚したのか、離婚方法の割合といった客観的なデータは、離婚を検討するうえでひとつの参考になります。

この記事では、離婚率、割合の推移、世界の離婚率との比較、離婚原因の割合、離婚方法の割合について解説します。

3組に1組は離婚する?離婚率は約35%

離婚率の指標には、特殊離婚率と普通離婚率の2種類があります。

  • 特殊離婚率:年間の離婚件数を婚姻件数で割った値
  • 普通離婚率:人口1,000人あたりの離婚件数の値

特殊離婚率は約35%

2022年の特殊離婚率は約35%でした。

厚生労働省の統計データ「令和4年(2022)人口動態統計月報年計(概数)の概況」によると、令和4年の婚姻件数は504,878組、離婚件数は179,096組です。

年間あたりの離婚件数を婚姻件数で割った「特殊離婚率」を見てみると、2022年の特殊離婚率は約35.5%となります。

参考までに1989年の特殊離婚率は約22.3%、特殊離婚率の推移としては年々増加傾向にあるようです。

なお、特殊離婚率はあくまで「その年に離婚した件数」を「その年に婚姻した件数」で割った数値です。

特殊離婚率が3割を超えるからといって、その年に婚姻関係にあるすべての夫婦の約3分の1が離婚をしているというわけではありません。

人口1,000人あたりの離婚率と推移

2022年の人口1,000人あたりの離婚件数(普通離婚率)は約1.47件でした。

厚生労働省の「令和4年(2022)人口動態統計月報年計(概数)の概況」では、人口1,000人あたりの離婚件数にあたる「普通離婚率」の数値も出されています。

(令和4年(2022)人口動態統計月報年計(概数)の概況 人口動態総覧(率)の年次推移)

普通離婚率は1989年の1.29件から徐々に増え始め、2002年には2.3件と過去最高の数値となっています。

そこから、年々減少し、現在は1990年代前半の普通離婚率と同程度の件数に落ち着いています。2022年の普通離婚率は1.47件です。

世間のイメージとは異なり、ここ20年の普通離婚率は減少傾向にあるといえます。

同居期間別にみた離婚件数の割合

婚姻後の同居の年数別に、離婚件数の割合も見てみましょう。

(令和4年度 離婚に関する統計の概況 統計表 同居期間別にみた離婚件数・平均同居期間の年次推移)
※総数について、同居期間不詳の離婚件数を除く。

同居期間別にみた離婚の割合からは、5年未満の早期離婚が最も多く、その次に同居期間20年以上の熟年離婚が多くなっています。

離婚した夫妻の同居期間が「5年未満」が占める割合は、ピーク時の1996年、1997年から低下傾向となり、2020年では32.5%となっています。

一方、同居期間が「20 年以上」の割合は、1950年以降、上昇傾向にあり、2020年には 約21.5%となっています

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日本は離婚が多い?世界の離婚率

世界の離婚率と比較して、日本の離婚率は高いのでしょうか。

厚生労働省の統計データ「令和4年(2022)人口動態統計月報年計(概数)の概況」では、日本以外にも、スウェーデン、アメリカ、フランス、シンガポール、韓国、ドイツ、イギリス、イタリアの普通離婚率をみることができます。

普通離婚率(データを集計した年)
日本1.47(2022年)
スウェーデン2.28(2021年)
アメリカ2.5 (2021年)
フランス1.93(2016年)
シンガポール1.9(2021年)
韓国1.8(2022年)
ドイツ1.73(2020年)
イギリス1.61(2019年)
イタリア1.12(2020年)

(令和4年(2022)人口動態統計月報年計(概数)の概況 人口動態総覧(率)の国際比較)

普通離婚率が最も高い国は2.28のスウェーデン、最も低い国は1.12のイタリアとなります。

これらの国の平均離婚率1.82と比べると、日本の離婚率は世界的にみれば低いといえます。

最も多い離婚原因は?

第1位は性格の不一致

離婚する理由の中で、最も多い理由はどんな理由でしょう。

様々な理由が考えられますが、令和4年司法統計では、婚姻関係事件の申し立てを動機別に集計しています。

夫(申立人総数15,176)妻(申立人総数41,886)
第1位性格が合わない(9,127)性格が合わない(16,151)
第2位異性関係(1,779)暴力を振るう(7,861)
第3位浪費する(1,773)異性関係(5,655)
第4位性的不協和(1,669)浪費する(3,531)
第5位暴力を振るう(1,353)性的不協和(2,733)
第6位病気(577)酒を飲み過ぎる(2,383)
第7位酒を飲み過ぎる(382)病気(637)

(令和4年司法統計年報家事編 第19表 婚姻関係事件数ー申立ての動機別)
(注)申立ての動機は、申立人の言う動機のうち主なものを3個まで挙げる方法で調査重複集計

DV(家庭内暴力)や浮気といった離婚原因はよく耳にしますが、夫・妻ともに「性格が合わない」という理由が最も多い離婚理由となっています。

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他の離婚原因はどんな理由?

その他にも、不倫などの異性関係浪費などの経済問題、セックスレスなどの性的不協和DVなども理由として挙げられます。

病気暴飲も離婚理由として挙げられます。

最も選択される離婚方法は?

協議離婚が最も選ばれている

離婚は、夫婦で合意して離婚届を提出する「協議離婚」の他、家庭裁判所での調停・裁判手続を通じての離婚など、複数の方法があります。

離婚の種類別にみた離婚件数で、最も多いのは「協議離婚」です。

離婚の種類離婚件数割合
協議離婚170,60388.3%
調停離婚16,1348.3%
審判離婚2,2291.2%
裁判離婚1,7400.9%
認諾離婚20%
和解離婚2,5451.3%
合計193,253100%

(令和4年度 離婚に関する統計の概況 離婚の種類別にみた離婚件数の年次推移(令和2年))

協議離婚とは、夫婦が話し合って、離婚に合意をしたうえで離婚届を作成し、役所に提出することで離婚が成立する方法です。

離婚理由が問われることはなく、夫婦が合意をすれば離婚をすることができるため、最も簡単な離婚の方法になります。

そのため、離婚件数の割合でみても協議離婚が88.3%と全体の約9割を占めており、最も多く選択される離婚方法となっています。

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調停離婚・裁判離婚とは?

協議離婚ができない場合には「調停離婚」その調停も成立しない場合には「裁判離婚」にて離婚をしていくことになります。

「調停」とは家庭裁判所にて裁判官と男女各1名ずつの調停委員が間に入ったうえでの話し合いを指します。

調停では、夫婦が直接話し合うわけではなく、調停委員会を通じてやりとりを行います。

調停の結果、双方が離婚とその条件について合意をすれば、調停が成立します。

調停が成立しない場合、離婚訴訟を起こし、判決によって離婚を認めてもらう「裁判離婚」の手続きを利用することになります。

裁判離婚では、協議離婚や調停離婚と違って夫婦間の合意は必要ありませんが、法定離婚原因がなければ離婚をすることができません。

このほか、調停内で裁判官から命じられる「審判離婚」、裁判中に被告が言い分を全面的に受け入れる「認諾離婚」、裁判中に和解を行う「和解離婚」といった方法もあります。

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離婚以外の選択肢

もう一度夫婦で話し合う

夫婦間で抱えた問題を解決する手段は、離婚だけではありません。

離婚を検討する程度には夫婦関係に悩んでいることを、相手に伝え、もう一度夫婦で話し合ってみることも重要です。

普段、家族としていっしょに暮らしているからこそ、自分の本心を相手に伝える機会が少なく、夫婦間の問題を一人で抱え込んでしまう人もいます。

夫婦で話し合ってみることで、相手が深刻に夫婦の問題を受け止めて、いっしょに夫婦関係を修復する方法を探していけるかもしれません。

別居をしてみる

一度別居をしてみる方法もあります。

常にいっしょに暮らしているからこそ、相手のことを疎ましく感じてしまうこともあります。

その場合、改めて夫婦関係を見つめ直すきっかけを得るために一度、別々に暮らしてみることも夫婦が抱える問題を解決するひとつの選択肢となります。

いっしょに暮らしているなかで離婚の話し合いをした際に、つい感情的になってしまい、協議がスムーズに進まないケースも多いです。

別居をすれば、ひとりで夫婦関係について考える機会を得られ、冷静に相手と話し合えることも期待できます。

離婚を検討している方は弁護士に相談

離婚率や離婚原因など様々なデータを見てきましたが、夫婦関係の悩みを解決する方法は人それぞれ、夫婦それぞれの事情によって大きく変わってきます。

自分たちが置かれた状況では離婚をすることができるのか、スムーズに離婚をするにはどうしたらよいか、といったお悩みがある際にはぜひ弁護士にご相談ください。

法的な専門知識や培ってきた実績を生かした、状況や事情に応じて夫婦間の問題の解決に向けた適切なアドバイスやサポートを弁護士から受けることができます。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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