離婚弁護士の選び方【失敗しないための8つのポイント】

更新日:
離婚弁護士の選び方

離婚事件において、弁護士は非常に大きな役割を果たします。その分、弁護士選びに失敗してしまうと、望んでいた結果が得られなくなってしまうことも十分にあり得るのです。

弁護士にはそれぞれの得意分野がありますので、離婚を得意としている弁護士に任せる必要があるでしょう。また、ストレスなく付き合える人物であることも大切です。

しかし、現在日本には4万人以上の弁護士がおり、その中から自分に合う弁護士を探し出すのは簡単ではありません。

そこで今回は、離婚で失敗しないための弁護士選びのポイントや、弁護士を探す方法をご紹介します。

離婚弁護士選びの8つのポイント

離婚弁護士で失敗しないために重要な8つのポイントをご紹介します。

  1. 離婚が得意な弁護士を選ぶ
  2. 実績と経験を確認する
  3. 初回無料相談を活用する
  4. 費用体系を比較する
  5. 口コミで評判を調べる
  6. 誠実に説明してくれるかを見る
  7. 相性を大切にする
  8. 自分のニーズに合った弁護士を選ぶ

1.離婚が得意な弁護士を選ぶ

どの弁護士にも得意分野があります。たとえば離婚や相続、企業法務、刑事事件などです。離婚問題を依頼するならば、やはり離婚が得意な弁護士を選ぶのが良いでしょう。

その弁護士や法律事務所が離婚を取り扱っているかは、ホームページの「取扱分野」の欄などで知ることができるほか、特に力を入れている分野については特設ページを設けている法律事務所もあります。

また、離婚弁護士に特化したポータルサイトに掲載されている法律事務所は、離婚に注力しているということが分かります。

一方で、取扱業務としてあらゆる分野を列挙している法律事務所も多く、あなたを担当する弁護士が本当に離婚の知識や経験を持っているのかを、見極める必要があります。そのためには、次で説明するように実績や経験を確認するのが良いでしょう。

2.実績と経験を確認する

その弁護士が離婚事件の解決実績や経験を多く持っているかも重要です。

ホームページに解決実績や事例を掲載している法律事務所もありますので、確認してみてください。込み入った事案であるなら特に、似たような事案の解決実績がある弁護士の方が安心です。

それらとあわせて、依頼者からの手紙が掲載されていることもあります。弁護士の人となりや実際に依頼した時の雰囲気を知るのに役立つでしょう。

3.初回無料相談を活用する

初回相談が無料の法律事務所も多くあります。

相談したからと言って必ず依頼しなければならないわけではありませんので、無料相談を活用して複数の弁護士と話してみるのがおすすめです。

初回の相談では、離婚できそうか、親権が獲得できそうかなどの見通しについて聞けるほか、弁護士費用や今後の流れについても知ることができます。そして、その答えは弁護士によって異なる可能性があります。

たとえば、A弁護士が「親権を取るのは難しい」と答えたとしても、B弁護士は「調停を起こしてみれば可能性はゼロではない」と答えるかもしれません。

このように、何人かの見解を聞いてみれば、より自分に合った解決方法やそれを実現できる弁護士が分かってくるのではないでしょうか。

4.費用体系を比較する

離婚の弁護士費用は、多くの場合「着手金」「成功報酬」「日当・実費」などに分かれています。事件を依頼する際に着手金を支払い、事件が解決したら成功報酬を支払うといった費用体系です。

また、タイムチャージ制といって弁護士が動いた時間に応じて費用が発生する仕組みを採用している法律事務所もありますが、離婚事件の場合は多くはありません。

成功報酬は、「獲得した経済的利益(慰謝料や養育費、財産分与など)の〇%」という形や、「離婚が成立したら〇〇万円」「親権が獲得出来たら〇〇万円」という形で設定されており、事務所によって大きく異なります。また、その両方を採用していることもよくあります。

したがって、請求する額や請求の内容によって、どういった費用体系を選べば一番費用を抑えられるのかも変わってきます。

弁護士費用は法律事務所のホームページで確認できるほか、初回相談の際に弁護士費用についての説明を聞くことができるので、複数の弁護士の費用を比べて、自分の依頼したい内容や予算とマッチする費用体系の弁護士を選ぶと良いでしょう。

5.口コミで評判を調べる

依頼する前に、その弁護士の口コミで評判を調べてみるのも良いでしょう。インターネットの口コミサイトなどで見ることができます。

口コミでチェックすべきなのは、問題なくコミュニケーションを取れそうか、連絡が取れそうか、誠実に仕事を遂行してくれるかなどです。

残念ですが、依頼を受けた後になかなか連絡が取れなくなってしまう弁護士も存在します。そういった弁護士を初回の相談だけで見抜くのは中々難しいですが、口コミでは実際に依頼をした人の声を聞くことができます。

とはいえ、口コミの中には「依頼を断られた」などの実際に依頼した人以外からのコメントも含まれていますし、プライベートな依頼の内容までわざわざネットに書き込む人もあまりいないでしょうから、口コミが完全に公平な意見であるとは考えづらいでしょう。口コミだけを見て決めるのは早計であるといえます。

6.誠実に説明してくれるかを見る

弁護士に依頼する際には、デメリットもつきまといます。離婚事件の場合に考えられる主なデメリットは、費用を払っても望む結果が得られない可能性があるという点です。

しかし、デメリットについて説明せずに「絶対に裁判に勝てますよ!」と言って依頼させようとしてくる弁護士は、信頼に値するでしょうか。また、本当は弁護士を入れなくても解決できる事案なのに、無理に依頼を勧めてくる弁護士はどうでしょうか。

このように、弁護士に相談する際には、メリットだけでなくデメリットも誠実に説明してくれるかをチェックしてみましょう。

また、費用を明確に説明してもらえることも重要です。最初は安いと思って依頼したのに、後からあれこれと追加されて、聞いていた費用よりも高くなってしまったというような事態も考えられます。誠実な見積りを出してくれる弁護士を選ぶのが良いでしょう。

7.相性を大切にする

離婚問題を弁護士に依頼する場合、短くても数か月、長ければ数年間にわたって、何度もやり取りをしながら事件を進めていくことになりますので、自分と相性の良い弁護士であることは大切です。

「本当はこういう要望があったけれど、弁護士には話しづらくて実現できなかった・・・」といった事態は避けたいところですし、何でも話せる関係性を築けるのが理想です。

弁護士との相性を知るためには、実際に話してみるしかありません。

弁護士と話す際は、こちらの話を親身になって聞いてくれるかや、自分の希望に沿った解決策を提案してくれるかも見てみましょう。自分は交渉で解決させたいと言っているのに、最初から調停や裁判を勧めてくる弁護士は、あなたに寄り添ってくれるとは考えづらいです。

無料相談などを活用して、信頼して任せられる弁護士を探しましょう。

8.自分のニーズに合った弁護士を選ぶ

離婚が得意な弁護士の中でも、男性側・女性側に特化した弁護士や、不倫慰謝料に強い弁護士など、もっと細かな得意分野を持っていることがあります。

また、夜間や休日にも対応している弁護士や、電話やメールでの相談が可能な弁護士など、スケジュールや連絡方法の面でも弁護士によって様々な特色があります。

離婚で最善の結果を得るためには、ご自身のニーズに合った弁護士を選ぶようにしましょう。

離婚弁護士の探し方

ここまでは離婚の弁護士選びのポイントについて解説してきました。では、これらを満たす弁護士は、どのような方法で探すのでしょうか。弁護士を探す方法は、大きく分けると以下の4種類です。それぞれのメリット・デメリットについても説明します。

  1. 知人の弁護士や、紹介してもらった弁護士から選ぶ
  2. 弁護士会から弁護士を紹介してもらう
  3. 法テラスで法律相談をする
  4. インターネットで弁護士を探す

1.知人の弁護士や、紹介してもらった弁護士から選ぶ

知人に弁護士がいる場合や、知人から弁護士を紹介してもらった場合は、どのような人か分かるため安心して任せることができます。

一方で、その弁護士が離婚事件の経験を持っているとは限らないため、希望通りの成果が得られない可能性もあります。なかなか聞きづらいかもしれませんが、依頼をする前に確認しておくのが良いでしょう。

また、離婚という極めてプライベートな内容を知人に相談するのは気が引けると感じる方もいらっしゃるでしょう。とはいえ、弁護士は守秘義務を負っていますので、弁護士から情報が漏れてしまう心配はないと言えます。

2.弁護士会から弁護士を紹介してもらう

各都道府県の弁護士会は、弁護士相談サービス弁護士紹介サービスを有料または無料で行っています。ここで相談した弁護士にそのまま依頼をすることも可能で、自分で弁護士を探す手間を省くことができます。

一方で、離婚事件の経験が豊富な弁護士を紹介してもらえるとは限らないというデメリットもあり、その弁護士が離婚に精通しているかどうかは自身で見極める必要があります。

3.法テラスで法律相談をする

法テラスとは、国民向けに法的支援を行う機関で、電話やメールで相談をすると適切な相談窓口などを案内してくれるほか、資産と収入が一定以下の方には、無料の法律相談や、弁護士・司法書士費用の立替えといったサービスを提供しています。

無料相談を担当した弁護士にそのまま依頼をすることも可能です。ただし、全ての弁護士が法テラスと契約しているわけではありませんし、登録している弁護士の中から担当弁護士が選ばれるため、離婚に強い弁護士を紹介してもらうということはできません

したがって、法テラスは弁護士費用の支払いに不安がある方や、どこに相談すべきか分からない方におすすめの窓口です。

4.インターネットで弁護士を探す

弁護士の情報に触れるには、インターネットが最良の手段です。多くの法律事務所がホームページを掲載しているほか、条件に合わせて弁護士を探すことができるポータルサイトもあります。

多くのポータルサイトでは、地域や相談内容で弁護士を絞り込むことができます。また、離婚を扱っている弁護士だけを専門的に掲載しているポータルサイトもあり、離婚に力を入れている弁護士を見つけやすい点が魅力です。

また、初回相談の申し込みをインターネット上で行っている弁護士も多く、気軽に相談することができるのもメリットです。

日本弁護士連合会(日弁連)の「ひまわりサーチ」というサービスでも離婚を取り扱っている弁護士を探すことができますが、登録は任意であるため、全ての弁護士が登録されているわけではない点に注意してください。

同じく日弁連が運営する「弁護士検索」というサービスがあり、こちらでは全ての弁護士を検索することができますが、取扱い分野を調べることはできません。

離婚を弁護士に依頼するメリット

離婚の交渉を任せられるのは弁護士だけ

弁護士以外にも、行政書士や離婚カウンセラーなどが離婚の相談を行っている場合があります。行政書士には離婚協議書の作成などを任せることができますし、離婚カウンセラーからは心理的なサポートを受けられるでしょう。

しかし、弁護士資格を持たない人は、依頼者の代理人となって相手方と離婚の交渉をすることができません

弁護士であれば、依頼者の代わりに相手方との交渉をすることが認められているため、話し合いの場に同席してもらったり、代理で出席してもらうこともできるのです。つまり、DVやモラハラなどで身の危険を感じるような場合でも、相手と顔を合わせずに離婚の話し合いを進めることも可能になります。

したがって、専門家に相手方との交渉を任せたいと考えている方は、弁護士に相談することをおすすめします。

関連記事

協議離婚とは?弁護士に依頼する必要はある?

弁護士照会で財産の調査ができる

離婚の際の財産分与では、請求する側が対象の共有財産を明らかにしなければなりません。

配偶者が財産を隠しているおそれがある場合、弁護士であれば弁護士会照会いう制度を用いて金融機関や証券会社、不動産会社などに財産の開示を請求することができます

弁護士会照会の手続きは弁護士以外はすることができませんので、この制度を利用して財産調査をしたいのであれば弁護士に相談することをおすすめします。

また、財産分与の資料集めや複雑な財産の評価・計算を弁護士に任せることで、自分の負担を減らすことができます。

関連記事

離婚時の財産分与とは?対象となる財産と分け方を解説!

離婚調停をサポートしてくれる

弁護士は、離婚調停でどのように答えたらよいかアドバイスをしたり、調停に同席することができます。

離婚調停を有利に進めるには、調停委員に良い印象を与えて味方についてもらうことが重要です。そのためには、冷静に、論理的に、説得力のある話をしなければなりません。弁護士ならばそのサポートをすることができます。

また、一度調停を成立させてしまうと、たとえこちらに一方的に不利な条件があったとしても、結果を覆すことはできません。ですので、調停の内容についても弁護士によるチェックを受けることをおすすめします。

関連記事

離婚調停の流れは?有利に進める方法を解説!

離婚裁判を任せられるのは弁護士だけ

裁判となると、実際に裁判所に出向いておこなう話し合いよりも、書面でのやりとりの比重が大きくなります。

離婚裁判を有利に進めるためには、自分の主張をうまく伝えられるような書面を作らなければなりません。裁判の知識がないままこれをやろうとすると、相当な負担となりますので、弁護士に任せてしまうことをおすすめします。

ちなみに、裁判は平日の日中に行われます。仕事などで出廷が難しい場合でも、ほとんどの場面では弁護士が代理で出廷すれば問題ありません。弁護士に依頼することで、仕事と両立しつつスムーズに離婚を進めることができるでしょう。

離婚の法律相談の流れ

離婚についての法律相談は、主に以下のような流れで進みます。

1.弁護士を探す

知人や弁護士会、法テラスから紹介を受けたり、インターネットを使ったりして相談したい弁護士を探します。

2.相談の申し込み

基本的に、対面や電話、ビデオ通話などでの法律相談は予約制です。弁護士会や法テラスを通して相談をしたい場合は、それぞれの機関に申し込みましょう。

インターネットで見つけた弁護士であれば、ホームページ上に相談の申し込みフォームがあるか、電話番号やメールアドレスが記載されているはずですので、そこから相談を申し込み、予約を取りましょう。

また、メールやメッセージでの相談を行っている弁護士もいます。こういった形であれば予約が必要ないため、より気軽に相談することができます。

3.法律相談

予約の日時が来たら、事務所に足を運んだり、電話を繋いだりして相談を行います。

多くの場合、法律相談は30分~1時間程度です。限られた時間を有意義に使えるように、これまでの経緯や聞きたいことをメモにして持って行くのがおすすめです。

初回相談をしてみてこの人に任せたいと思えなかった場合は、無理に依頼する必要はありません。依頼は一旦保留にして、他の弁護士とも話してみるのも良いでしょう。

もし依頼したい弁護士が決まったら、委任契約書を交わして、依頼が成立します。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

全国/24時間/無料

無料相談窓口のご案内