50代の離婚で後悔しないための3つのポイント
50代は、人生の折り返し地点とも言える時期です。
これまでの結婚生活を振り返り、「人生をやり直すなら今だ!」と離婚を決意する女性が多いタイミングでもあります。
令和4年には、離婚した夫婦のうち同居期間20年以上の夫婦が約20%を占めています。このことからも分かるように、アラフィフ世代の離婚はいまや珍しいことではありません。
しかし、全ての女性が順風満帆な新生活を手に入れられるとは限りません。50代の女性にとって特に深刻なのは、お金の問題です。そこで、離婚後の生活のカギとなるのが財産分与です。
この記事では、50代の女性の離婚の背景や、50代の離婚で後悔しないための3つのポイントについて解説します。
目次
50代の女性が離婚を決意するのはなぜ?
子供が独立したから
50代になると、子どもが成人を迎えたり、学校を卒業するという夫婦が多いでしょう。
子どものために離婚を我慢していた方が、子どもが独立したタイミングで離婚に踏み切るというケースは、非常によく見られます。
好きな人ができたから
好きな人ができたという理由で、夫との離婚を決意するケースは少なくありません。
同窓会で昔好きだった人と再会し、恋愛に発展するというのも、50代に多いシチュエーションです。
また、長年連れ添った夫婦に多いのが、セックスレスや夫から女性として見られないという悩みです。自分を女性として扱ってくれる男性を求めて、離婚に至るケースも見られます。
人生をやり直すチャンスだから
夫のDVやモラハラに苦しんできた方や、夫の生活リズムに合わせて不自由な生活を送ってきた方が、人生をやり直すために離婚を決意するタイミングでもあります。
まだまだ恋愛のチャンスはありますし、夫がいたらできなかった趣味を始めたり、仕事に没頭するのもよいでしょう。
財産分与の目途が立ったから
50代になると、夫婦の財産も大きくなり、財産分与の額や内容にある程度の目途が立ってきます。
また、既に受け取った退職金や、確実に支給される見込みのある退職金も、財産分与に含めることができます。このように、50代の離婚では夫の退職金の財産分与も見込めるでしょう。
さらに、年金分割も強く意識し始める時期です。年金分割も婚姻期間に応じて額が大きくなります。
財産分与や年金分割である程度大きな額が受け取れることが、50代女性の離婚を後押しするのです。
親の介護があるから
50代は、親の介護を担うことの多い世代です。
しかし、自分の親の介護に対し、夫の理解が得られない、夫が介護に非協力的であるなどして、夫婦関係が悪化するケースは少なくありません。
夫と別れ、自分の親と過ごす時間を増やすというのも、人生の選択肢といえます。
また、義両親の介護を押し付けられたことが原因で、離婚を決意するケースもあります。義両親は、夫の親といえど他人です。無料で他人の介護までしろと言われれば、離婚を考えるのも無理はありません。
50代女性が離婚で後悔するのはどんなこと?
50代で離婚した女性が後悔しやすいポイントを紹介します。それぞれについて対策を行い、幸せな人生を手に入れましょう。
- 経済的に苦しくなった
- 生活レベルが下がった
- 一人になってみると寂しい
- 子どもに迷惑を掛けている
経済的に苦しくなった
50代で離婚を検討する女性にとって、お金は最も重要な問題です。
離婚すれば夫の収入はなくなります。長い間専業主婦やパート勤務だった方にとっては、離婚後に自分1人で生活できるだけの収入を得るのは簡単ではありませんし、年金の受給開始もまだ先です。
したがって、一生懸命働いたり、貯金を切り崩したりして、生活資金を確保しなければなりません。
生活レベルが下がった
妻が夫を養っていたというケースでない限り、離婚すると自由に使えるお金は少なくなり、生活のレベルが下がってしまうことがほとんどです。夫と暮らしていた家を出て1人暮らしを始めるなら、住居のレベルも落とさなければならないでしょう。
夫と離れて自由な暮らしができると思って離婚したのに、実際は仕事や家事に追われて自由な時間がなくなってしまうという落とし穴があります。
とはいえ、夫と暮らさなくてよいのならそれでも構わないと感じる女性は少なくありません。
一人になってみると寂しい
自分に酷い態度を取っていた夫でも、いざいなくなってしまうと家の中が静まり返って寂しく感じるかもしれませんし、やはりまだ愛情が残っていると気づくこともあります。
特に、体調を崩した時などは、一人でいると不安に感じるものです。
話し相手がいない、支えてくれる人もいない生活には、覚悟が必要かもしれません。
子どもに迷惑を掛けている
既に子どもが家を出ていても、帰省する家や家族団らんを奪ってしまったという罪悪感を抱く方もいます。
また、親の年齢が高い時期の離婚となると、ゆくゆくは金銭面や生活面で子どもを頼ることになってしまいます。
夫婦が一緒に暮らしていれば互いに看病や介護ができますが、別々に暮らすとなると、子どもが父母それぞれの看病や介護を担うことになるかもしれません。2か所で親の面倒を見るのですから、かなりの負担です。
50代女性の離婚は財産分与はカギ
50代の離婚で財産分与が重要な理由
経済状況が不安な50代女性の離婚において、財産分与は死活問題です。
婚姻期間が長くなるほど夫婦が協力して築いた財産は多くなり、財産分与の額も大きくなります。
こちらは、婚姻期間が20年以上の夫婦と20年以下の夫婦の財産分与の金額を比べたグラフです。
婚姻年数が20年以下の夫婦の財産分与額は、100万円に満たないケースが最も多いのに対して、婚姻期間が20年以上の夫婦では600万〜2000万円が相場となっています。
このように、50代の離婚では多額の財産分与が見込まれるため、しっかりと話し合わなければ、離婚後の経済状況が著しく不公平になってしまう可能性があります。
もちろん、金額が大きい分、財産隠しや分与額をめぐってトラブルも起きやすくなるため、対策が必要です。
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財産状況を把握して、最大限の分与を受け取ろう
財産分与を最大限受け取るためには、すべての財産を明らかにすることが重要です。
財産分与で財産が減ってしまうことを恐れた配偶者が、隠し口座を作ったり、黙って不動産を買ったりなどして財産隠しを行っていることがあります。財産隠しをされると、自分が受け取れる財産が減ってしまうため、相手の財産状況を把握しておかなければ、財産分与で損をしてしまいます。
こういった隠し財産を証明し、交渉の場で認めさせるためには、財産隠しの証拠を集める必要があります。しかし、離婚の意思を知られてからでは証拠を消されてしまう可能性が高いため、離婚を切り出す前に証拠を探しましょう。
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50代の離婚で後悔しないための3つのポイント
①経済面の準備は前もって
離婚によって経済的に苦しくなってしまうリスクは常に考えなければなりません。
離婚後に幸せな人生をリスタートさせるためには、離婚前からの準備が必要です。
経済面の備えとしては、貯金を作っておくことや、仕事を探すこと、副業を始めることなど、離婚が成立する前から準備できることがたくさんあります。
また、離婚時には配偶者から慰謝料や財産分与などの形でお金を受け取れる可能性があります。こういったお金を最大限受け取るためには、離婚を切り出す前の証拠集めや夫との話し合いの段階で、うまく立ち回る必要があります。
これらの準備は、時間をかけて行いましょう。早く夫と別れたい一心で準備もせずに離婚に踏み切ると、生活が立ち行かなくなってしまうかもしれません。
②納得できる条件で離婚する
離婚の条件とは、たとえば財産分与や慰謝料、養育費などのお金のことや、どちらが家に住み続けるか、どちらが親権を取るかなどです。
これらを納得するまで話し合ってから離婚をするのが理想ですが、話し合うのが億劫、早く離婚をしたいなどの理由で、十分に話し合わずに離婚を成立させてしまう方もいます。
しかし、いざ離婚してみると思ったより生活が厳しく、もっとお金を受け取っておくべきだったと後悔することになるかもしれません。
もう夫の顔も見たくないと感じるかもしれませんが、弁護士や離婚調停も活用しつつ、離婚条件に納得ができるまで話し合うのが、離婚で後悔しないためのポイントです。
③周りに頼れる人を見つける
周りに頼れる人がおらず不安というのは、50代の離婚の後悔ポイントのひとつです。いざというときに頼れる人がいないと、自分が病気になったり介護が必要になった時にどうしたらいいのかという不安が付きまといます。
「自立するぞ!」という意気込みで新生活を始める方にとっても、困ったときに頼れる人を見つけておくことは重要です。
離婚を決める前に、自分の子どもや両親、周りの人に離婚後の生活について相談し、協力を仰いでおくのがよいでしょう。
50代の離婚は弁護士に相談!
経済的な不安を解消するために
離婚後の金銭面の不安を解消するためには、財産分与や慰謝料を最大限受け取ることが重要です。
公平に財産分与をするためには、ひとつひとつ財産をリストアップし、それを計算して分けるという作業が必要です。また、公正証書を作成する場合や、調停・審判を申し立てる場合は、複雑な手続きをしなければなりません。
慰謝料を最大限請求するためには、慰謝料請求の原因(不倫やDVなど)の存在を証明する証拠を集めたり、夫と交渉して認めさせなければいけません。
手続きや証拠集めを自力で行うことも可能ではありますが、弁護士に任せてしまうことで負担を減らせるでしょう。また弁護士は、経験や専門知識をもとに、増額を目指して交渉することができます。
弁護士を入れて冷静な話し合いを
50代の男性の中には、仕事で重要なポジションに就いており、部下から尊敬を集めている方もいるでしょう。
そういった男性の多くはプライドが高く、妻から離婚を突きつけられた事実が受け入れられず意地でも離婚に応じてくれない可能性があります。
また、世間体も気にしているため、妻に捨てられたことを周りに知られたくないという理由で離婚を拒むケースも見られます。
こんな相手と離婚について話し合おうとしても、激昂して話し合いにならないことが多く、場合によっては妻の心身に危険が及ぶかもしれません。相手がどうしても離婚に応じない場合は、弁護士を挟んで冷静な話し合いを目指すのがよいでしょう。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了
生活は苦しくなるかもしれませんが、夫から自立したという実感を得ることはできるでしょう。