家庭内別居とはどういう状態?離婚率は高い?離婚するならここに注意

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家庭内別居とは?

家庭内別居(家庭内離婚)とは、夫婦が同じ家に住み続けながら、別々の生活を営む状態のことです。

家庭内別居の目的やきっかけは様々で、相手と関わりを絶つため、夫婦関係改善のための冷却期間、離婚までの待機期間といったものが代表例です。

家庭内別居をすれば、離婚せずに相手との接触を減らすことができる一方で、家庭内別居から離婚に至る夫婦の割合は約80%に上るとも言われます。

この記事では、家庭内別居を考えている方や、家庭内別居から離婚に発展しそうな方に向けて、以下のようなことについて解説します。

  • 家庭内別居とはどういう状態?離婚率は?
  • 家庭内別居のメリット・デメリットは?
  • 家庭内別居から離婚する方法・準備は?
  • 家庭内別居から離婚する際の注意点

家庭内別居とは?離婚率は何%?

家庭内別居(家庭内離婚)とは?

家庭内別居とは、夫婦が、同じ家に住みながらも、夫婦のコミュニケーションはほとんどなく、夫婦仲が冷めきった状態のことです。家庭内離婚も、家庭内別居と同様の意味で用いられる言葉です。

家庭内別居(家庭内離婚)の態様や程度は、夫婦によって様々です。

炊事・洗濯は各自でおこない、生活リズムも違うなど、まったく相手の生活に干渉しない夫婦もいるでしょう。

また、夫は夫婦の口座にお金を入れ、妻は夫のごはんの準備や洗濯もするけれど、夫婦で顔を合わせることを避けているといった夫婦もいるでしょう。

家庭内別居(家庭内離婚)はどんな状態?

  • 同じ屋根の下でも、夫婦が顔を合わせないように生活する
  • 干渉しない。相手の予定も知らない
  • 会話がない。または最低限の会話だけ
  • 連絡はLINEやメールでする
  • 寝室を分ける
  • 各自で家事をする。相手のご飯を用意しない
  • 洗濯も自分の物だけする
    etc.

家庭内別居(家庭内離婚)と仮面夫婦の違いは?

家庭内別居(家庭内離婚)と似た言葉に、仮面夫婦というものもあります。

仮面夫婦とは、仮面をかぶったように、円満な夫婦を演じる状態をいいます。

仮面夫婦も、家庭内別居(家庭内離婚)と同じく、婚姻関係が冷え切った夫婦になります。

子供の学校行事や、職場の懇親会など、夫婦2人で参加しなければならないイベントにおいて、仮面夫婦を演じることもあるのではないでしょうか。

ただし、夫婦で参加するイベントがない場合、仮面夫婦を演じる必要はないでしょうし、夫婦関係が非常に険悪な場合は、仮面夫婦を装うことすらできないかもしれません。

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家庭内別居からの離婚率は83%?

ある調査では、家庭内別居の経験が「ある」と回答した人の割合が44%でした。

また、家庭内別居をした夫婦の離婚率は83%という調査結果もでています。

家庭内別居をした場合、離婚に至る確率は約8割と高いことがわかります。

家庭内別居の経験率

家庭内別居の経験割合
経験あり44%
経験なし56%

2021.10.9 PR TIMES「家庭内別居の割合って!?「きっかけ」「期間」「男性・女性の心理」「離婚率」について徹底調査」(2024.5.21現在)より抜粋して編集。30歳以上の男女100名(男性26名・女性74名)の家庭内別居の経験率に関する調査結果(e-venz調べ)。

家庭内別居からの離婚率

家庭内別居から離婚したか割合
離婚した83%
離婚しない17%

2021.10.9 PR TIMES「家庭内別居の割合って!?「きっかけ」「期間」「男性・女性の心理」「離婚率」について徹底調査」(2024.5.21現在)より抜粋して編集。30歳以上の男女98名(男性54名・女性44名)の家庭内別居後の離婚率に関する調査結果(e-venz調べ)。

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家庭内別居から離婚までの期間は?

ちなみに家庭内別居から離婚までの期間は、3年超え5年以内がもっとも多いようです。

家庭内別居から離婚までの期間

期間割合
1ヶ月以内5%
3ヶ月以内10%
半年以内15%
1年以内17%
2年以内12%
3年以内10%
5年以内22%
10年以内6%
その他3%

2021.10.9 PR TIMES「家庭内別居の割合って!?「きっかけ」「期間」「男性・女性の心理」「離婚率」について徹底調査」(2024.5.21現在)より抜粋して編集。30歳以上の男女81名(男性41名・女性40名)の家庭内別居から離婚までの期間に関する調査結果(e-venz調べ)。

家庭内別居のメリット・デメリット|子どもに与える影響は?

家庭内別居のメリットは?

家庭内別居を続けるのは、離婚に踏み切るほどではない場合や、離婚や完全別居(住まいを分ける別居)より、家庭内別居のほうがメリットが大きいと感じる場合などでしょう。

家庭内別居のメリットには、以下のようなものがあります。

家庭内別居のメリット(一例)

  • 経済的な負担が軽い
  • 世間体を気にする必要がない
  • 夫婦関係の修復の可能性がある

経済的な負担が軽い

離婚や完全別居の場合は、新居を探す必要が生じます。
しかし、家庭内別居(家庭内離婚)であれば、今の家に住み続けることができるので、家賃や引っ越し費用などの経済的負担をおさえることができます。

また、家庭内別居中でも、夫が生活費を負担してくれるのであれば、ご自身の経済的自立を先送りすることもできます。

逆に、離婚や完全別居にともない実家に戻れる場合などでは、家庭内別居の経済的メリットを感じにくいかもしれません。

家庭内別居のメリットが半減する例

  • 実家に戻れる
  • 夫が生活費を出してくれない
  • 自分も働いているので生活費は困らない

世間体を気にする必要がない

夫婦仲がいくら険悪でも、家庭内別居(家庭内離婚)なら住まいは同じなので、周りからは普通の夫婦に見えます。

そのため、子どもの学校関係、親戚づきあい、職場の人間関係などに与える影響は少ないといえます。

夫婦関係の修復の可能性がある

家庭内別居が夫婦の冷却期間となり、夫婦の関係改善の道が開けることもあります。完全に別居するよりも、家庭内別居のほうが夫婦の関係改善のチャンスは多いといえます。

住む場所が離れると話し合いの機会が失われてしまうため、同じ屋根の下で家庭内別居をしつつ、お互いに冷静になってから話し合うのもよいでしょう。

家庭内別居のデメリットは?

一方で、家庭内別居(家庭内離婚)には、以下のようなデメリットもあります。

家庭内別居のデメリット

  • 相手と同じ家で暮らす精神的ストレス
  • 金銭的なトラブルのおそれ

相手と同じ家で暮らす精神的ストレス

家庭内別居(家庭内離婚)の場合、相手と同じ家で過ごさなければならないため、ストレスが溜まってしまいます。

声をかけても無視される、一方的に連絡するだけの関係性を続けることで、自己肯定感が失われ、心が疲弊してしまうケースも多いでしょう。

金銭的なトラブルのおそれ

家庭内別居(家庭内離婚)の場合、家計が完全に分離されていないと、金銭トラブルに発展する可能性があります。

夫名義の自宅のローンは旦那が返済しているけれど、子どもの教育費については一切出してもらえず、貯金を切り崩して生活をしなければならないといった状況に陥るケースもあります。

家庭内別居においては、家事や家計に関するルール決めは欠かせません。

家庭内別居が子どもに与える影響は?

家庭内別居は、一緒に暮らす子どもにとってメリット・デメリットがあります。

両親が子どもと一緒にいられる

家庭内別居を選択する理由として、子どもと一緒に居られるという理由もあげられます。

親権をとることが難しい場合、完全別居や離婚をすると、子どもとの交流は月に数回と限定されてしまう可能性があります。

そのため、完全別居や離婚という選択肢をとらずに、配偶者への不満に我慢しながら、子どもと生活し続けられる家庭内別居を選択するケースも多いでしょう。

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子どもへの金銭的な影響は少ない

離婚してひとり親になると、経済的に苦しくなって子どもの学費や生活費に影響が出てしまうことも多いものです。

しかし、家庭内別居であれば、その心配は少ないでしょう。

夫婦の状況にもよりますが、完全に家計を分けない限りは教育費や生活費を両親が分担できるため、離婚するよりも子どもの生活への影響を抑えることができます。

両親が険悪だと子どもが気まずい思いをする

家庭内別居(家庭内離婚)の場合、家の中で、子どもは両親の不和を感じ取り、不安やストレスを抱える可能性があります。

父親に声をかけてはいけない、母親の話題を出してはいけないなど、子どもなりに神経をつかって生活を続けるケースも多いでしょう。

また、両親が不仲な様子を見ると、子どもは「自分が悪いから2人が怒っている」と思ってしまいます。

子どもがいる家庭の家庭内別居は、両親の子どもとの関わり方に注意が必要です。

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家庭内離婚からの離婚を回避!関係修復の注意点は?

漫然と家庭内離婚を続けない

暗黙のルールにしたがって、家庭内別居をしている夫婦もおられるでしょう。

たとえば、共働き夫婦で出社時刻をずらすなどの暗黙のルールが出来上がってしまっていることもあると思います。

  • 夫が起きるまでに、身支度を終えて、出勤する
  • 夫が帰宅するまでに、就寝する
  • 妻が就寝する時間帯を見計らって、時間つぶしをしてから、帰宅する
  • 連絡は、もっぱらLINEやメール
    etc.

このような暗黙のルールをよしとして、漫然と家庭内別居を継続してしまうと、夫婦関係の改善はおろか、時間だけが過ぎて行き、さらに夫婦関係が悪化する可能性があります。

一定の冷却期間をもうけるとしても、その間、自分は今後どうしたいのか、これから相手にどのように接することができるかなど、よく考えてみてください。

そして、今後も夫婦であり続けたいと思った場合は、相手との話し合いの機会をもうけてみてください。

家庭内別居中の連絡ツールに頼らない

家庭内別居中は、直接口頭ではなく、LINEやメールのみのやりとりになることもあるでしょう。

家庭内別居からの離婚を回避するために、話し合いをおこなうには、まずはLINEなどで話し合いたい旨を連絡し、スケジュールを調整してみるという方法が考えられます。

しかし、LINEなどで連絡しても無視されるケースもあるでしょう。そのような場合は、相手の帰宅を待ち伏せするなどして、話し合いの機会をもうけるなどの対応も必要かもしれません。

家庭内別居から離婚を決意したら?

家庭内別居から離婚する方法3つ

家庭内別居から離婚する方法としては、大きく分けて「協議離婚」「調停離婚」「裁判離婚」の3つがあります。

実務では、通常、協議離婚→調停離婚→裁判離婚の順で、離婚の成立を目指します。

離婚する主な方法と手続きの流れ

協議離婚

協議離婚とは、話し合いによる離婚のことです。
離婚届が受理されることで、協議離婚は成立します。

調停離婚

調停離婚とは、離婚調停の成立による離婚のことです。
離婚調停は、家庭裁判所の調停委員の仲介によって、離婚の話し合いを進めます。期日中は、基本的に、夫婦は顔を合わせません。

裁判離婚

裁判離婚とは、裁判所の判決による離婚のことです。

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家庭内別居からの離婚のしやすさ

協議離婚と家庭内別居

協議離婚は、夫婦で離婚の合意さえできれば、どのような理由でも離婚できます。

家庭内別居、完全別居のいずれが離婚しやすいかは、夫婦のお互いの性格や、別居の原因などの事情にもよると思われます。

ただ、完全別居をする場合は、夫婦関係の見直しについての真剣度が、相手により伝わりやすくなる傾向はあるでしょう。

調停離婚と家庭内別居

夫婦間の話し合いだけでは、協議離婚ができない場合もあります。

そのような場合は、次に、調停離婚をこころみます。

離婚のしやすさの観点からいうと、家庭内別居よりも、完全別居のほうが調停離婚を進めやすい傾向はあるでしょう。

家庭内別居と、完全別居では調停委員の印象も、かなり変わるからです。

また、家庭内別居中の離婚裁判、離婚調停はかなり気まずく感じるものです。

代理人を立ててしまえば、直接顔を合わせずとも、裁判所の手続きは進められるかもしれませんが、同じ家に帰らなければなりません。家で相手から嫌がらせを受ける可能性も捨てきれません。

裁判離婚と家庭内別居

協議や調停を行っても離婚の合意ができなかった場合は、家庭裁判所に離婚裁判を申し立てて争います。

ただし、裁判離婚をするには、民法に書かれている法定離婚事由に該当する必要があります。

家庭内別居のみでは、裁判離婚は難しい傾向があります。

家庭内別居から裁判離婚できるケースは?

民法770条の離婚理由に該当する必要がある!

裁判で離婚するには、民法770条1項に定められる法定離婚事由が存在し、婚姻関係が破綻していると認められる必要があります。

民法770条1項の法定離婚事由5つ

  1. 不貞行為
  2. 悪意の遺棄
  3. 3年以上の生死不明
  4. 回復の見込みのない強度の精神病
  5. 婚姻を継続しがたい重大な事由

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家庭内別居は裁判離婚の理由になる?

長期間の完全別居は、夫婦関係の破綻を示す事情となり、「婚姻を継続しがたい重大な事由」(民法770条1項5号)が認められ、裁判離婚できる可能性があります。

裁判離婚に必要な「別居」の年数については、明確な基準はありませんが、裁判離婚できる目安としては3~5年以上といわれています。

それでは、家庭内別居も、完全別居と同様に3~5年以上の別居期間をもうければ、裁判離婚できるのでしょうか。

別居の形態裁判離婚の可能性
完全別居あり
3~5年以上
家庭内別居

家庭内別居は「別居」にならない?

実情としては、裁判において、家庭内別居が、裁判離婚で必要となる「別居」と評価される可能性は低いといえるでしょう。

同じ屋根の下で暮らす限り、何らかの協力関係があると考えられるため、家庭内別居の場合、完全別居のようには夫婦関係の破綻を認定できず、裁判離婚できない傾向が強いのです。

仮に、家庭内別居を理由として裁判離婚を主張する場合は、夫婦が協力して共同生活をしていないことを示す証拠を積み重ね、婚姻関係の破綻を証明する必要があります。

離婚をするための証拠(一例)

  • 完全に家計を分離している
  • 配偶者の家事を手伝わない
    etc.

ただし、このような証明が功を奏するとは断言できません。現実問題として、家庭内別居そのものを理由とした裁判離婚は非常に難しいものです。

とはいえ、家庭内別居でもまったく裁判離婚の可能性がないわけではありません。

家庭内別居でも裁判離婚しやすいケースは、家庭内別居の裏側に法定離婚原因が隠れている場合です。

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家庭内別居が「悪意の遺棄」になる場合

家庭内別居の状態が度を越しており、夫婦の義務を果たしていないといえる場合は、「悪意の遺棄」(民法770Ⅰ②)という離婚原因に該当し、裁判離婚ができる可能性があります。

悪意の遺棄とは、正当な理由がないのに、配偶者との同居・協力・扶助と言った義務を放棄することをいいます。

経済的DVをともなう家庭内別居なども、悪意の遺棄に含まれます。

悪意の遺棄の例

  • 生活費をいれない(経済的DVの一種)
  • 働かない。家事もしない
  • 病気療養中の配偶者を助けない
    etc.
岡野タケシ弁護士
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弁護士

個別の事案によって、悪意の遺棄に該当するかは判断が分かれるところです。

弁護士相談の際は、あなたのご家庭のご事情について、くわしくお聞かせください。

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夫の浮気がきっかけで家庭内別居

配偶者の浮気が原因で、家庭内別居に至った場合もあるでしょう。

肉体関係をともなう浮気は、法定離婚原因のなかの「不貞」(民法770Ⅰ①)に該当します。

そのため、このようなケースで裁判離婚を目指す場合は、不貞行為を離婚のメインの理由とするのがよいでしょう。

岡野タケシ弁護士
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弁護士

不貞行為を理由とする離婚の場合は、不貞慰謝料の請求などもご検討なさるのがよいでしょう。

不貞慰謝料は、配偶者のみならず、浮気相手にも請求することができます。

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モラハラ夫との家庭内別居

夫から「お前は頭が悪い」「クズ」などと日常的に罵倒され、自然と夫と距離を置くようになった方もおられるでしょう。

これらは、モラルハラスメント(モラハラ)に該当する可能性があります。

モラハラは、夫婦関係の信頼関係をこわす要因となるので、「婚姻を継続しがたい重大な事由」(民法770Ⅰ⑤)という離婚原因にあたり、裁判離婚できる可能性があります。

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家庭内別居から離婚をスムーズに進める準備

家庭内別居中に証拠を収集しておく

証拠をそろえておくことで、裁判離婚が認められる可能性を高めることができます。

裁判離婚を目指すための証拠を整理して、一例をご紹介しておきます。

離婚をするための証拠(一例)

  • 悪意の遺棄
    家計にお金を入れていないことが分かる資料
    夫婦のLINEなどのやりとり
  • 不貞
    配偶者と浮気相手とのLINE
    配偶者と浮気相手の写真
    配偶者や浮気相手の発言の録音
  • モラハラ
    LINE、メールなどのモラハラ発言
    モラハラ発言の録音
    モラハラのエピソードの記録と、それを裏付ける物的証拠

    etc.

離婚の切り出し方は?

家庭内別居中はそもそも顔を合わせないため、対面で離婚を切り出すのは難しいケースが多いでしょう。

その場合は、メールやLINE、置き手紙を用いて、離婚を申し入れたり話し合いのアポイントを取ることが考えられます。

家庭内別居中に、どうしても顔を合わせずに話し合いをしたい場合は、弁護士に交渉を依頼するのもよいでしょう。
弁護士は相手方と連絡窓口になってくれるため、家でも相手と話さずに離婚の手続きを進めることができます。

実際の離婚の切り出し方については『離婚の切り出し方は?|理由別の例文を紹介!』の記事で詳しくご紹介していますので、参考にしてみてください。

なお離婚を切り出した後は、離婚条件についての話し合いを始めなければならないので、財産分与、年金分割、慰謝料、親権、養育費などについて、譲れない条件を考えておくとよいです。

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家庭内別居からの離婚は、経済的自立が大切

家庭内別居から離婚をするには、さまざまな準備をしておく必要がありますが、まずは経済的に自立できるようにしておくことが大切でしょう。

貯金をする、仕事を探す、離婚に伴う財産分与や慰謝料請求の準備をするなど、離婚にむけて準備を進める必要があります。

完全別居・婚姻費用の請求を検討

離婚を手堅く進めたいのであれば、引っ越しをして完全に別居を始めるという手段もあります。家庭内別居から完全な別居に移行することで、相手に本気度が伝わりますし、別居の実績があれば裁判で離婚が認められる可能性が高まります。

また、別居中は、収入の多い方の配偶者に婚姻費用(別居中の生活費)の分担を請求することができます。婚姻費用は相手にとって負担になりますので、相手が離婚に応じる動機のひとつになるでしょう。

家庭内別居からの離婚…注意点は?

離婚の財産分与とは?基準時は家庭内別居の時?

離婚時には、財産分与が可能になります。

財産分与とは、婚姻中に夫婦が協力して築いた財産を、夫婦が公平に分け合うという制度です。

財産分与の対象となる財産は、夫婦の協力関係が失われるまでに築き上げた財産になります。夫婦の協力関係が失われた後に、築いた財産は、財産分与の対象外です。

財産分与の対象になる財産

夫婦が協力して築いた財産。夫婦の協力関係が失われた後の財産は、財産分与の対象にならない

完全別居から離婚した場合、一般的には、離婚時ではなく、別居開始時点までの共有財産が財産分与の対象となります。離婚を前提に別居を開始した時点で、夫婦の協力関係が失われるからです。

一方、家庭内別居の場合はどうなるのでしょうか。

家庭内別居の場合、まがりなりにも夫婦は同居しているので、裁判所は基本的には、夫婦の協力関係があると判断します。

そのため、ケースにもよりますが、家庭内別居中に離婚した場合は、離婚時までの財産が財産分与の対象とされる可能性が高いでしょう。

また、家庭内別居の後に、正式な完全別居をして、離婚に至った場合は、完全別居の開始時点までに築いた財産が財産分与の対象とされる可能性が高いものです。

家庭内別居の財産分与の対象

  • 家庭内別居→離婚の場合
    離婚時までの財産
  • 家庭内別居→完全別居→離婚の場合
    完全別居の開始までの財産

ただ、なるべく財産を渡したくない相手方は「家庭内別居を開始した後は、夫婦の協力関係が無いから、それ以後の財産は分与しない」などと、主張してくるかもしれません。

その結果として、財産分与をめぐる争いが白熱し、離婚まで時間がかかる可能性もあります。

早期に離婚を成立させたい場合などは、財産分与に関する相手方の主張を呑み(その代わりに、ほかの項目で増額交渉するなどして)、離婚成立を目指す対応も考えられるでしょう。

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家庭内別居中の交際は不倫になる?

家庭内別居の状態では、まだ正式には離婚してない状態です。

そのため、配偶者以外の第三者と肉体関係(不貞行為)をもった場合、不倫となります。不貞行為(不倫)は、絶対に避けましょう

配偶者以外の第三者と性交渉などをおこなえば、自分が「有責配偶者」とされ、離婚の責任を問われかねません。

「有責配偶者」というのは、夫婦のうち、夫婦関係を破綻させる原因となった方のことをいいます。

有責配偶者からの離婚請求は、原則的に認められませんので、離婚したくてもできなくなります。そのうえ、有責配偶者は、離婚慰謝料を請求される側となります。

例外はある?夫婦関係破綻後の不貞行為は?

とはいえ、実際に、既に婚姻関係が破綻した状態の夫婦もいるでしょう。

夫婦関係が破綻している場合に、別居中に不倫をしたときは、慰謝料請求や離婚請求の理由にならないケースもあります。

ただし、すでに述べたとおり、家庭内別居の場合は、夫婦関係が破綻していないと判断されやすい傾向があります。

住まいを別にする別居であっても、それだけで夫婦関係が破綻していると認定されるわけではないので、家庭内別居の場合はより慎重になるべきです。

家庭内別居であれ、完全別居であれ、不貞行為の時点で婚姻関係が破綻していたことを証明できなければ、こちらが有責配偶者になってしまうことは避けられません。

離婚が済むまでは、配偶者以外の第三者との肉体関係を結ぶことは控えるほうが無難です。

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家庭内別居は相手に生活費(婚姻費用)の分担請求を忘れずに!

別居中は、収入の多い方の配偶者に対して、婚姻費用(別居中の生活費)の分担を請求することができます。

婚姻費用の分担については、家庭内別居であっても同じく、請求することができます。

ひと月の婚姻費用の額を算出する際は、裁判所が公開している婚姻費用算定表(裁判所HP)がよく用いられます。

ただし、家庭内別居の婚姻費用は、完全に別居している場合に比べて低額になる可能性があります。

家庭内別居の場合は、同居しているので、家賃や光熱費はひと家庭分しかかからず、完全な別居よりも費用を抑えられるからです。

家庭内別居の場合は、同居のおかげで負担せずに済んだ部分を差し引いて、婚姻費用を支払ってもらうなどの方法をとることになるでしょう。

岡野タケシ弁護士
岡野タケシ
弁護士

もしも相手が婚姻費用の支払いに応じない場合は、婚姻費用分担請求調停を申し立てて、家庭裁判所の手続きによって請求することができます。

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いかがでしたでしょうか。

今回は、家庭内別居の離婚率、メリット・デメリット、家庭内別居から離婚する方法、注意点などを解説してきました。

家庭内別居の状態にあって、何か月も何年間もろくに会話をしていない夫婦は少なくありません。そのようなケースでは、離婚の話し合いを始めることすら困難な場合もあります。

弁護士は、依頼者の代理人となって相手方との交渉を行うことができます。

また、家庭内別居の夫婦の離婚では、婚姻費用や財産分与の計算・交渉が複雑になります。家庭内別居の離婚は、弁護士に相談して有利に進めましょう。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了