
第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。
「刑事事件弁護士アトム」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。
被害者との示談で刑事処分を軽くしたい、前科をつけずに事件を解決したいという相談は、アトム法律事務所にお電話ください。
アトムは夜間土日も受け付けの相談窓口で刑事事件のお悩みにスピーディーに対応いたします。
窃盗罪の刑罰は?裁判で実刑判決になる?時効は何年?

- 窃盗罪の刑罰は懲役何年?罰金も?
- 窃盗罪はどんな犯罪?窃盗容疑の弁護とは?
- 窃盗罪の時効(裁判・訴える期限)は?
窃盗罪の刑罰は、刑期が「1ヶ月以上10年以下の懲役」または「1万円以上50万円以下の罰金」です。
窃盗罪は人の物を盗む犯罪で、刑事事件化すれば、7年の公訴時効をむかえるまで、刑事裁判で刑罰を科される可能性があります。
この記事は、窃盗容疑での逮捕・起訴、刑罰の不安がある方に向けて、窃盗罪の刑罰、裁判の流れ、刑罰の軽減を目指す方法などを解説します。
アトム法律事務所は、過去にあつかった窃盗事件のうち、約65%で不起訴を獲得(アトム「窃盗事件の統計をみる」より)。
窃盗罪の裁判・刑罰のご不安は、アトム弁護士までご相談ください。
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目次
窃盗罪の刑罰・犯罪の要件
窃盗罪の刑罰は懲役何年?罰金も?
窃盗罪の刑罰は「1ヶ月以上10年以下の懲役」または「1万円以上50万円以下の罰金」です(刑法235条、同12条1項、同15条本文)。
窃盗罪は、他人の財物を盗む犯罪で、不法領得の意思をもって、故意におこなう必要がります。
窃盗事件が裁判になると、裁判官は証拠調べをして量刑を考え、懲役刑なら1ヶ月以上10年以下の範囲で、罰金なら1万円以上50万円以下の範囲で刑罰を決めます。
窃盗罪の量刑では、結果の重大性、行為の悪質性、示談の有無などが考慮されます。
窃盗被害の金額が高額、窃盗の犯行を繰り返すなど悪質性が高ければ高いほど、刑罰は重くなります。
裁判で有罪判決が確定すると、窃盗罪の前科がついてしまいます。
窃盗罪はどんな犯罪?要件は?
他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
刑法235条
窃盗罪とは、他人の財物を窃取することで成立する犯罪です。
不法領得の意思をもって、故意で、他人の財物を盗んだ場合、窃盗罪が成立します。窃盗罪を構成する要件・要素は、以下のとおりです。
窃盗罪の構成要件
- 他人の財物(たにんのざいぶつ)
他人が占有(事実上の支配)する財産的価値のある有体物を指す。
例1)他人のお金、店舗の商品など
注1)電気も財物になる(刑法245条) - 窃取(せっしゅ)
財物を占有する人の意思に反して、財物の占有を移転させることを指す。
例1)ジムのロッカーから人の財布を盗る
例2)店員の目が届かないところで万引き
例3)キーのついた車を何時間も乗り回す - 因果関係(いんがかんけい)
通常、その行為からその結果が生じるといえる関係性があることを指す。 - 故意(こい)
犯罪事実の発生を認識・認容することを指す。 - 不法領得(ふほうりょうとく)の意思
権利者を排除し、経済的用法に従い利用・処分する意思を指す。
注1)捨てる・隠す目的で他人の財物を持ち出すのは、窃盗罪ではなく毀棄隠匿罪
注2)自転車・傘等は、無断使用でも短時間で元に戻せば窃盗罪にならない事もある
窃盗罪は未遂でも刑罰がある犯罪!
窃盗罪は未遂でも、刑罰をうける可能性がある犯罪です(刑法243条)。
第二百三十五条から第二百三十六条まで、第二百三十八条から第二百四十条まで及び第二百四十一条第三項の罪の未遂は、罰する。
刑法243条
窃盗の未遂罪に問われる行為の例としては、財布などの目的物を探るスリのあたり行為や、金目の物がないか物色する行為などがあげられます。
万引きは窃盗罪になる?量刑は?
スーパーやコンビニエンスストアで万引きをすることは窃盗事件の典型例です。
万引き罪という名前の犯罪はないので、少額の万引きであっても窃盗罪として処罰されます。
窃盗罪の刑罰は、10年以下の懲役または50万円以下の罰金です。
万引きというと言葉のイメージから軽い罪だと勘違いされる方も多いのですが、実際はかなり重い刑が科され得る犯罪なのです。
万引きは繰り返す人が多い犯罪です。
万引きをくり返すと、【微罪処分→不起訴→罰金→懲役の執行猶予判決→懲役の実刑判決】というふうに段々と処分が重くなっていきます。
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・万引きで起訴されるのはどんなとき?初犯でも起訴される?再犯の場合は?
空き巣(住居侵入・窃盗)の刑罰は?
空き巣も、窃盗罪の刑罰で処罰されます。
窃盗の目的で他人の住居に侵入し、実際に窃盗事件をおこした場合、窃盗罪のほか、住居侵入罪にも問われ得ます。
空き巣とは
- 窃盗目的で住居に侵入し、金品を盗む犯罪
- 住居侵入罪と窃盗罪が成立
実務では、1つの刑事事件において、目的と手段の関係にある2個以上の犯罪が含まれている場合、牽連犯(けんれんぱん)として処理され、重たい方の刑罰が科されます(刑法54条1項)。
窃盗と住居侵入(または建造物侵入)も牽連犯で、窃盗罪の刑罰の方が重いです。
そのため、空き巣には、窃盗罪の刑罰が科されます。
刑罰の比較
- 窃盗罪
10年以下の懲役または50万円以下の罰金 - 住居侵入罪
3年以下の懲役または10万円以下の罰金 - 量刑
窃盗罪の方が重いので、空き巣は窃盗罪の刑罰が科される
窃盗罪の時効(裁判・訴える期限)は何年?
窃盗の時効には、刑事事件で問題になる公訴時効、民事の時効(損害賠償請求権の消滅時効)のおもに2種類があります。
窃盗罪の公訴時効は7年
窃盗罪の公訴時効は犯罪行為を終えてから7年です。
公訴時効とは、一定期間が経過することで、検察官が起訴(刑事裁判をおこすこと)ができなくなる制度のことです。
窃盗罪の場合は、7年経過すると公訴時効が成立するため、起訴されなくなります。
公訴時効が経過すれば、刑罰を科せなくなるので、捜査は打ち切られ、逮捕の心配もなくなり、前科がつく恐れもなくなります。
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窃盗事件の民事の時効は3年?20年?
民事の時効は被害者が事件とその加害者を知ってから3年、あるいは実際に事件が起きた時から20年のどちらかが経過すると成立します(民法724条)。
民事の時効が成立すると、被害者が加害者に事件についての損害賠償を請求できなくなります。
請求の方法としては、当事者の話し合い(示談)や、民事裁判などになります。
時効が成立した後は、加害者は、被害者から損害賠償請求をされても、その支払いに応じるべき法的義務はなくなります。
民事裁判の例外
被害者が民事裁判を提起して、請求権が認められたら、民事の時効は10年になります(民法169条1項)。
時効を待たずに窃盗事件を認める理由
窃盗罪は後日発覚して逮捕される可能性が高い刑事事件です。時効が成立すれば刑事訴追や賠償金支払いは避けられますが、それまでの長い期間を不安定な状態で過ごすことになります。
そのため、時効を待たずに、窃盗事件の責任を認めて前に進むのを選ぶことも多いです。
具体的には、窃盗の被害者の方と示談を進める、自首をする等の対応が考えられます。
示談交渉に取り組んだり、自首をしたりすることで、刑事事件の早期解決や量刑の軽減につながる可能性があります。
また、いつ逮捕されるか分からないという心理的な負担が解消され、人生の再スタートを切るきっかけにもなります。
窃盗が刑事事件になる場合の流れ
窃盗事件の発生・刑事事件の捜査開始

窃盗は、被害に気づいた被害者の申告で、捜査機関に発覚し刑事事件化することがほとんどでしょう。
刑事事件には、逮捕される事件と逮捕されない事件があります。
その場で、窃盗の容疑者として被害者につかまるケースや、被害届がきっかけになり警察に逮捕されるケースもあります。
窃盗事件の基本的な流れとは、(1)事件発生(被害の発覚)・捜査開始、(2)逮捕・勾留(または自宅で生活しながら在宅捜査を受ける)、(3)起訴・不起訴の判断、(4)裁判(有罪なら刑罰)です。
窃盗容疑での逮捕のパターン

窃盗は、犯行現場を目撃されれば、現行犯逮捕される可能性があります。また、窃盗事件の容疑が固まれば、逮捕状が発行され後日逮捕される可能性があります。
現行犯逮捕では、犯行中や犯行直後の現場を目撃され、被害者や目撃者に身柄を確保され、通報を受けた警察官に確保される、という流れが一般的です。
後日逮捕では、お店の防犯カメラなどから窃盗被害を確認し、身柄を特定された後、早朝に警察官が訪れて連行されたり、携帯電話に電話がかかってきて取調べに応じるよう言われたりするケースが多いです。
窃盗事件は現行犯逮捕が多い?
窃盗の実務では、現行犯逮捕されるケースが多いです。
例えば万引きでは、店舗内で万引きしたあと、お店を出たところを店員や万引きGメンに取り押さえられるケースが典型例です。
逮捕されたあとは駆けつけた警察官によって警察署にまで連行されて、取調べを受けることになるでしょう。
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窃盗容疑での逮捕・勾留(最大23日)
窃盗で逮捕された場合、起訴されるまで最大で23日にわたり身体拘束が継続する可能性があります。

逮捕後、48時間以内に警察は事件を検察官に送り、以降は警察と検察が共同で捜査を行います。
事件を送られた検察官は身体拘束を続けるべきかどうかを判断し、続けるべきだと判断すれば24時間以内に勾留請求を行います。
そして、勾留請求を受けた裁判官が勾留を認めれば、最大20日にわたり警察署内の留置場で身体拘束が継続されてしまうのです。
窃盗事件で逮捕・勾留される可能性が高いのは?
逮捕・勾留は「逃亡のおそれ」や「証拠隠滅のおそれ」が認められるときに行われる手続きです。
例えば集団で組織的に窃盗をしていたような場合、口裏合わせによる証拠隠滅の可能性が認められるため、逮捕・勾留の可能性は高まります。
窃盗容疑がかかったときの弁護活動は?
窃盗容疑で逮捕・勾留中の活動①
ご本人がすでに逮捕・勾留されている場合、弁護士は、ご家族からの要請で留置場へ出張し、ご本人と面会します(弁護士の接見)。
弁護士の接見では、窃盗事件の状況を確認して、その後の弁護活動に活かします。
また、取り調べ対応のアドバイスもおこないます。
弁護士の接見でできることの例
- 事件当時の状況を確認し弁護方針をたてる
- 取り調べ対応のアドバイスができる
- ご本人の様子を確認できる
弁護士の接見について詳しくは、『弁護士の接見|逮捕後すぐ面会可能!接見費用は?弁護士接見の必要性』をご覧ください。
窃盗容疑で逮捕・勾留中の活動②
逮捕・勾留は「逃亡のおそれ」「証拠隠滅のおそれ」が認められるときに行われます。
逮捕・勾留を避けたり、あるいは身体拘束されてから早期に釈放されるためには「逃亡のおそれ」や「証拠隠滅のおそれ」がないことを主張するのが効果的です。
例えば、窃盗を認める場合は、一人暮らしの場合には実家に引っ越して両親の監督の目が届く環境に身を置くようにする、被害者の被害を弁済し刑事手続きに真摯に応じる姿勢があることを示すなどの方法があります。
窃盗の逮捕・勾留を避ける対策の例
- 実家の両親の監督を受ける
→両親が誓約書を作成 - 被害弁償を進める
→示談交渉をする・被害弁償の段取りをととのえる
ただ、逮捕されているご本人が、これらの対策をご自身でとることは難しいので、代わりに弁護士に動いてもらう必要があります。
弁護士の依頼は、ご本人からでも、そのご家族からでも可能です。
捜査機関は被疑者本人からの主張を鵜呑みにはしないので、弁護士に、万全の対策を講じてもらい、客観的な根拠にもづきながら、断固とした姿勢で、「逃亡のおそれ」「証拠隠滅のおそれ」がないことを主張してもらうのが有効でしょう。
弁護士は、過去の刑事事件の経験からどのような主張が身体拘束回避に有効かを熟知しています。
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窃盗の刑事裁判の流れ
起訴されたら裁判になる

検察官によって、窃盗事件が起訴(きそ)されたら、刑事裁判になります。
起訴とは、刑事裁判を開廷する手続きのことです。起訴されれば、刑事裁判が開かれ、判決で刑罰を受ける可能性があります。
起訴・裁判の回避を目指したい方は、アトムの無料相談などをご活用ください。また、『刑事事件の不起訴とは?不起訴になるには?』の記事も参考になります。
窃盗の通常裁判

検察官に通常起訴(正式起訴)された場合、通常裁判(正式裁判)が開かれます。
通常裁判とは、公開の法廷で、刑事事件の審理をおこなう裁判のことです。
通常、起訴後約40日程度で第1回公判が開かれ、単純な認め事件であれば、その後約10日後には判決が出ます。
判決では、無罪か有罪か、有罪なら刑罰はどんなものかが言い渡されます。
刑事事件の裁判の具体的な流れ

刑事事件の裁判の具体的な流れは、上記の図のようになります。
もっと詳しく知りたい方は『刑事裁判の流れを図解!刑事事件の逮捕から裁判までを徹底解説』の記事をご覧ください。
窃盗の略式裁判
検察官に略式起訴された場合、略式裁判になります。
略式裁判では、裁判官が書面審理で、有罪判決をくだします。
略式裁判になる刑事事件には条件があります(刑事訴訟法461条以下)。
略式裁判の条件
- 簡易裁判所の管轄する事件
- 科される刑罰が100万円以下の罰金、又は科料*
- 被疑者が略式手続に同意
* 科料とは、1000円以上1万円未満のお金を納付する刑罰。
窃盗罪には懲役刑も規定されていますが、「50万円以下」の罰金刑もあります(刑法235条)。そのため、略式起訴・略式裁判を目指すことができます。
略式起訴・略式裁判は早期に結論が出て、刑罰も予測がつきやすいです。罪を認める場合などは、略式裁判を目指すメリットがあるでしょう。
略式起訴・略式裁判を目指す場合は、検察官に「比較的軽微な窃盗だから、罰金刑にしよう」と思ってもらう必要があります。
窃盗の略式裁判・通常裁判を比較
略式裁判 | 通常裁判 | |
---|---|---|
手続 | 早期に終わる | 数か月かかる |
審理 | 書面審理 | 法廷で審理 |
刑罰 | 罰金(50万円以下) | 懲役の可能性 |
窃盗事件の処分の軽減を目指すには
検察官の処分や裁判官の刑罰の決定では、犯罪の動機、犯罪の態様、犯罪の結果、犯罪後の情況(例:示談の有無)などの要素が、重要になります。
窃盗事件で処分の軽減を目指すには、これらの要素について、有利な事情がないかを確認する必要があります。
処分が重くなる要素・軽くなる要素
重くなる | 軽くなる | |
---|---|---|
犯罪の動機 | 転売目的 | 貧困 |
犯罪の態様 | 計画的犯行 組織的犯行 | 計画性がない 前科が無い |
犯罪の結果 | 被害が多額 | 被害が少額 |
犯罪後の情況 | 反省しない | 示談成立 窃盗症の治療 |
アトムの解決事例(窃盗の不起訴・裁判例)
アトム法律事務所の窃盗事件は約65%前後が不起訴になっています(アトム「窃盗の起訴/不起訴」の統計より)。
今回は、過去にアトム法律事務所が解決した窃盗事件について、不起訴の事例、裁判で罰金になった事例、裁判で執行猶予になった事例を一つずつご紹介します。
もっと沢山の解決事例をご覧になりたい方は『刑事事件データベース』をご確認ください。
窃盗事件(不起訴処分)
書店で、雑誌など数千円相当の商品を万引きしたほか、ディスカウントストアでも食品など数千円相当を万引きした。窃盗事件の事案。
弁護活動の成果
書店とは示談を締結。ディスカウントストアとの示談は不成立だったが、被害弁償と謝罪を尽くした結果、不起訴処分となった。
示談の有無
1件示談あり
最終処分
不起訴
窃盗事件(罰金20万円)
コンビニで栄養ドリンクなどを万引き。店員に見つかり警察に通報され、現行犯逮捕された。窃盗の事案。
弁護活動の成果
事件担当の検察官に意見書を提出したところ、勾留請求されずに早期釈放された。情状弁護を尽くし、罰金刑を獲得。
示談の有無
なし
最終処分
罰金20万円
窃盗事件(懲役1年4か月、執行猶予3年)
スーパーや薬局などで、食料品などを万引きした。同種の前科のほか余罪もあり。
弁護活動の成果
検察官に意見書を提出し、勾留請求を回避。早期釈放を実現した。また、カウンセリングの実施報告書、診断書などを提出。その結果、執行猶予付き判決となった。
示談の有無
なし
最終処分
懲役1年4か月、執行猶予3年
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窃盗の裁判・刑罰を回避できる?実刑の可能性は何%?
窃盗は不起訴、微罪処分の場合、刑罰はありませんが、窃盗の被害金額や悪質性によって、罰金、懲役の執行猶予判決、懲役の実刑判決を受ける可能性があります。
ここでは、全体の何%が罰金か、実刑かなどもあわせて、くわしく解説します。
窃盗は不起訴なら裁判・刑罰はない?

不起訴(ふきそ)の場合、刑罰を受けることはありません。
不起訴とは、「起訴」の反対で、刑事裁判をしない決定のことです。
不起訴になれば、刑事裁判にならないので、判決で刑罰を受けることはなくなります。前科も付きません。
検察官が「裁判で、窃盗を立証できない」と考えた場合、不起訴になります。
窃盗が事実でも不起訴になる場合
検察官が「裁判で窃盗を立証できる」と考えた場合でも、不起訴にすることもあります。このような不起訴のことを、起訴猶予(きそゆうよ)といいます。
被疑者が窃盗を認めており、示談が成立している場合などは、起訴猶予(による不起訴)を目指しやすいです。

不起訴のほとんどは、起訴猶予によるものです。
実際に窃盗をした場合であっても、裁判・刑罰を回避する可能性はまだ残されています。
不起訴処分について、くわしく知りたい方は『不起訴処分はいつわかる?刑事事件で不起訴になる理由とタイミングを解説』の記事もあわせてお読みください。
窃盗が微罪処分なら裁判・刑罰はない?
軽微な窃盗であれば、そもそも検察官に事件が送致されずに済む「微罪処分」になる可能性もあります。
微罪処分は、警察の逮捕・捜査の段階で事件終了となる手続きです。
窃盗が微罪処分になれば、検察官に送致されることはなく、裁判で刑罰くだされることはありません。

窃盗が懲役ではなく罰金になる可能性は?
窃盗罪には罰金刑もあるので、懲役刑ではなく罰金になる可能性もあります。
過去に、アトム法律事務所であつかった窃盗事件では、罰金刑は約26%前後、懲役刑は約74%前後でした(アトム「窃盗の罰金/懲役率」の統計より)。
なお、罰金判決がくだされるルートは2種類あります。
ひとつは通常どおり公開の法廷で正式な裁判が開かれ、2回程度の審理を経て、罰金判決が言い渡されるパターンです。
もうひとつは、略式罰金です。
略式罰金とは、略式起訴された場合に、略式裁判で言い渡される罰金判決のことです。
略式起訴・略式裁判の条件をおさらいしておきましょう。

略式起訴は、正式な裁判と比べ非常に簡易的な手続きで終わる裁判です。非常に短い期間で終了するため、手続き面の負担は軽くなります。
窃盗で実刑になる可能性は?
実刑とは、執行猶予がつかない刑罰のことです。懲役刑に執行猶予がつかなければ、裁判で判決が出された後、すぐに刑務所に入る必要があります。
窃盗は既に何回も罪に問われていたり、犯行がより悪質だったりすると、懲役の実刑判決がだされる可能性が上がります。
過去にアトム法律事務所であつかった窃盗事件では、執行猶予つき判決が約82%前後、実刑が約18%前後でした(アトム「窃盗の執行猶予率」の統計より)。

刑事裁判の流れ全体について知りたい方は『刑事裁判の流れを図解!刑事事件の期間は?証人尋問の流れは?刑事裁判の弁護士解説』もあわせてお読みください。
窃盗事件の刑罰・時効でよくある質問
Q.窃盗で裁判を避けるには示談が重要?
窃盗で裁判を避けたいというのは、不起訴を目指したい、前科を避けたいということでしょう。
窃盗事件で不起訴獲得・前科の回避を目指すには、被害者と示談をすることが重要です。
窃盗事件の被害者にお詫びをして許しを得ることができれば、不起訴処分になり、前科がつかない可能性が高くなります。
検察官は、被害者の存在する事件で被疑者の処分を検討するとき、被害者の被害感情や被害回復の有無を重視します。被害者が被疑者を許し、解決したと言っているのであれば、検察官も、その被害者の意思を尊重した処分が出すことになります。
窃盗事件では被害額が少額であり、被害者と示談を締結できている場合、不起訴が獲得できる可能性は非常に高いと言えます。
ただ示談の内容によっては、不起訴処分が望めないこともあるため、どのような内容で示談をするかは極めて重要です。
窃盗罪の不起訴の可能性を高めるためには、「加害者を許す」ことが記載された宥恕条項や、「加害者の処罰を求めない」旨の嘆願書、被害届の取下げなどを不足なく盛り込むことが重要です。
また、窃盗事件の示談では示談金を、被害者・被害店舗にお渡しすることも多いです。被害総額に相応する現金や、被害品の買い取りなどその態様は様々です。示談金の相場については『窃盗事件の示談金の相場は?示談交渉を弁護士に依頼するメリットは?』で解説しているので、あわせてご覧ください。
Q.窃盗事件で示談したいなら弁護士相談?
窃盗事件についてお悩みなら、弁護士にすぐにご相談いただき、示談などしかるべき対策を早期に講じるべきでしょう。
刑事事件の示談は、一般的みて、加害者ご本人からよりも、その代理人である弁護士から被害者側にアプローチした方がスムーズに進むことが多いです。
弁護士に相談・依頼することで、早急に示談を締結でき、早期解決を目指すことができます。
被害者個人との示談
刑事事件の被害者は、加害者に連絡先を教えてくれない、加害者からのコンタクトを拒否するという反応が多いです。
しかし、第三者かつ法律の専門家である弁護士の介入により、態度の軟化が見込まれます。
加害者本人には連絡先を教えない、連絡をとるときは弁護士をはさむという条件で、示談交渉を進められる可能性があるのです。

万引きなど被害店舗との示談
万引き事件の場合、チェーン店では、本部の意向で被害弁済も謝罪も一切を拒否するという場合が多いです。
しかし、弁護士は根気強くアプローチしていき、謝罪や被害弁償の受け入れの可能性を高めることができます。
また、示談不成立の場合でも、示談交渉の経過を報告書にまとめる等して、加害者側の反省や努力を主張し、不起訴や刑罰軽減に尽力します。
示談にまつわる書面作成は弁護士におまかせ
弁護士は、示談の際には法的な専門知識をもとに、必要な条項をしっかりと盛り込んだ示談書を作成することが可能です。後々のトラブルを回避するためにも、弁護士に依頼したほうがいいでしょう。
なお、示談書のイメージとしては『窃盗の示談書・謝罪文の書き方テンプレート』が参考になりますが、個別のケースに応じて弁護士が調整をおこないます。
Q.窃盗の刑罰を避けるには再犯防止策が重要?
窃盗に限らず、再犯防止策を実行できれば、不起訴や刑罰の軽減などにつながる可能性が高いです。
窃盗罪は、再犯が多い犯罪のひとつです。窃盗事件を二度と犯罪をくり返さないためにどのような対策を講じることができるのか、まずは真剣に考えることが重要です。
窃盗の再発防止策の具体例
組織的な窃盗事件なのであれば、関係者との連絡を絶ち更生を誓うなどの対応が考えられるでしょう。
また、ストレスや不安が原因で窃盗をくり返してしまう方は、クレプトマニア(窃盗症)の可能性もあります。
クレプトマニアは、精神疾患(精神障害)の一種なので、再犯防止策として治療が有効です。
また、買い物には家族に付き添ってもらうなどの対策も考えられます。
クレプトマニアについては『クレプトマニア(窃盗症)は無罪?必要な弁護活動と弁護士の選び方』の記事もご覧ください。クレプトマニアが問題になった裁判例や弁護活動の内容などを紹介しています。
Q.犯罪で逮捕される前でも相談が必要?
犯罪を犯してしまったけれど、いつ逮捕されるのか不安でたまらないという方もいるでしょう。
今後の流れを知るためにも、早期の弁護士相談が役立つことは多々あります。
窃盗事件の犯人であることについて、警察に発覚する前に出頭すれば自首が成立し、逮捕の可能性を下げることも期待できます。
また窃盗事件の被害届がまだ提出されていない時点であれば、早期の示談により刑事事件化せずに事件終了になるケースもあります。
弁護士相談のタイミングが早ければ早いほど、その分弁護活動のバリエーションが広がります。
アトム法律事務所の弁護士相談は、完全個室・秘密厳守で実施しています。
まずは、あなたの刑事事件のお悩みをお聞かせください。解決の道筋について検討し、具体的な流れをお伝えしていきます。
Q.7年以上前の窃盗でも時効にならず刑罰の可能性があるって本当ですか?
基本的には、窃盗罪の公訴時効は、犯罪終了から7年です。窃盗事件から7年経過すれば、裁判で刑罰をうける可能性がないのが原則です。
しかし例外として、途中で公訴できない期間があった場合、その間、時効期間としてカウントされません(公訴時効の停止)。結果として、窃盗罪の公訴時効の経過に7年以上かかることがあります。
公訴時効が進まない場合
- 犯人が国外にいる場合
- 犯人が逃げ隠れているため有効に起訴状の謄本の送達、略式命令の告知ができなかった場合
窃盗事件・犯罪の弁護活動をご希望の方へ
最後に一言
窃盗罪は、1ヶ月以上10年以下の懲役または1万円以上50万円以下の罰金という刑罰が科される犯罪です。
7年の公訴時効が経過するまでは、窃盗で逮捕・起訴され、有罪判決で刑罰を受ける可能性が続きます。
ですが、窃盗事件は、早期の示談・再犯防止策の実行等により、早期の釈放・不起訴の獲得・刑罰の軽減等を目指せる可能性もあります。
弁護士に早めに相談したことで刑事事件にならずに済んだケースや事件後すぐに釈放されて会社をクビにならずに済んだケースなどがあります。
弁護士相談が問題を早期に解決し、日常生活を取り戻すための第一歩になります。
窃盗初犯の方でも、再犯の方でも、窃盗の刑罰の不安がある方は、アトム法律事務所の弁護士までご相談ください。
24時間つながる刑事事件の弁護士相談ご予約窓口は?
アトム法律事務所では、24時間365日刑事事件の対面相談について、電話でのご予約が可能です。
当事務所では、警察沙汰になった事件について初回30分無料の対面相談を行っています。
お一人で悩まずにまずは気軽に弁護士へご相談ください。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了