
第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。
「刑事事件弁護士アトム」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。
被害者との示談で刑事処分を軽くしたい、前科をつけずに事件を解決したいという相談は、アトム法律事務所にお電話ください。
アトムは夜間土日も受け付けの相談窓口で刑事事件のお悩みにスピーディーに対応いたします。
執行猶予がつく条件とは?つかないケースや禁錮刑との関係までわかりやすく解説

刑事事件で有罪判決を受けた場合でも、「執行猶予」がつくことがあります。
執行猶予とは、裁判で言い渡された刑の執行を一定期間猶予し、その間に再び罪を犯さなければ刑の執行を免れる制度です。執行猶予がつかないと、直ちに刑務所に収容される実刑判決となるため、執行猶予がつくことは大きな意義があります。
しかし、執行猶予には条件があり、すべての判決に執行猶予がつくわけではありません。
この記事では、執行猶予がつく条件や適用されないケース、禁錮刑との関係、そしてその後の生活への影響について、法律に詳しくない方にもわかりやすく説明します。
刑事事件でお困りの方へ
ご希望される方はこちら
目次
執行猶予とは?基本的な意味と仕組み
執行猶予とは?
執行猶予とは、裁判で言い渡された刑の執行を一定期間猶予し、その間に再び罪を犯さなければ刑の執行を免れる制度のことです。わかりやすく言えば「今回は刑務所に送らずに様子を見る」という仕組みです。
執行猶予の期間
執行猶予の期間は1年〜5年の範囲で、判決時に裁判所が定めます。執行猶予期間中に再犯をしなければ、その刑の執行は免除されますが、期間中に再犯すれば、猶予が取り消されて刑が執行される可能性があります。
執行猶予がつく条件
執行猶予がつく3パターン
執行猶予がつく条件は、3パターンに分類することができます。具体的には、過去に受けた刑罰と今回言い渡される刑罰によって執行猶予がつくか否かが決まります。
執行猶予がつく3パターン
- 拘禁刑以上の刑に処せられたことがなく、今回の刑罰が3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金刑である場合
- 拘禁刑以上の刑を受けたことがあっても、その刑の執行終了から5年以内に拘禁刑以上の刑を受けておらず、今回の刑罰が3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金刑である場合
- 前に拘禁刑以上の刑を受けたことがあり、その執行猶予期間中に2年以下の拘禁刑の言渡しを受けたが、特に考慮すべき情状がある場合
まず1つ目が、「拘禁刑以上の刑に処せられたことがなく、今回の刑罰が3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金刑である場合」です。
初犯の場合は、この条件に当てはまるかどうかで執行猶予がつくか決まります。3年以下の拘禁刑を言い渡されれば、執行猶予がつく可能性は十分にあります。
2つ目が、「拘禁刑以上の刑を受けたことがあっても、その刑の執行終了から5年以内に拘禁刑以上の刑を受けておらず、今回の刑罰が3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金刑である場合」です。
過去5年以内に拘禁刑以上の刑を受けている場合は、原則として執行猶予はつきません。

3つ目が、「前に拘禁刑以上の刑を受けたことがあり、その執行猶予期間中に2年以下の拘禁刑の言渡しを受けたが、特に考慮すべき情状がある場合」です。
従来も、執行猶予中に再び有罪判決を受けた場合であっても、再度の執行猶予が全く認められなかったわけではありません。ただし、その要件は非常に厳しく、実際には再度の執行猶予が付されることは極めて稀でした。
しかし、2025年6月の刑法改正により、「特に考慮すべき情状」があると裁判所が判断した場合には、より柔軟に再度の執行猶予を言い渡すことができるよう、要件が緩和されました。
この「特に考慮すべき情状」とは、たとえば以下のような事情が該当します。
- 犯行に至った事情に酌むべき点がある(病気や家庭環境など)
- 被害者との間で示談が成立している
- 再犯防止のための治療・更生プログラムをすでに受けている
- 家族や支援者による監督体制が整っている
- 前科の内容と今回の犯罪が大きく異なる
再度の執行猶予が認められれば、刑務所に入ることなく社会内での更生が図れるため、被告人本人の立ち直りや社会復帰につながりやすくなります。

執行猶予を目指すには「情状」が重要!
執行猶予が付くかどうかは、刑事事件の「情状」しだいです。
「懲役3年以下になれば必ず執行猶予が付く」というわけではありません。
執行猶予付き判決をもらうには、裁判官に「刑務所での生活ではなく、一般社会の中のほうが更生できる」と判断してもらうことが必須です。
執行猶予をつけてもらうには、情状弁護(裁判官に刑罰を軽くすべきだと思ってもらえるような事情を主張する弁護活動)が必要です。
情状弁護では、刑事事件の動機、犯行態様、結果の重大性のほか、事件後の情況(例:示談成立、被害弁償済み)の中から、有利な事情を弁護士が主張してくれます。
不利な情状と有利な情状
不利な情状 | 有利な情状 | |
---|---|---|
刑事事件の動機 | 身勝手な動機 | 介護疲れ、貧困 |
刑事事件の態様 | 計画性がある 隠ぺい工作 組織的な事件 | 突発的な事件 |
刑事事件の結果 | 被害者が多数 甚大な被害 | 被害が軽微 |
事件後の情況 | 反省なし 更生の意欲なし | 示談・被害弁償 再発防止の治療 身元引受人(例:家族)の誓約 |
刑事事件の前科 | 過去数年以内に同じ犯罪で実刑判決を受けた | 初犯 前科・前歴なし |
アトムの解決事例(情状弁護を尽くし、執行猶予を獲得)
食料品や日用品を万引きしたり、落し物の磁気カードを拾って収得したとされた窃盗や横領のケース。同種余罪あり。
弁護活動の成果
横領については示談を締結し不起訴処分となった。検察官への説得等粘り強く弁護活動を継続し、逮捕後の勾留を回避した。また、情状弁護を尽くした結果、懲役の実刑判決を回避でき、執行猶予付き判決を獲得。
執行猶予がつかない罪・つきにくいケース
執行猶予がつくケースもあれば、つかない、あるいは非常につきづらい罪もあります。ここでは、どのような場合に執行猶予が認められにくくなるのか、その代表的なパターンをご紹介します。
(1) 重大な犯罪を犯した場合
殺人、強盗、放火といった凶悪事件で法定刑が重いものは、原則として実刑判決が言い渡される傾向があります。
特に人命が失われているケースでは、執行猶予がつくことは通常ありません。
(2)同じ犯行による再犯
すでに執行猶予や実刑を受けた前科があるにもかかわらず、再び罪を犯した場合、裁判所は再犯防止の観点からより厳しい処分を下す傾向にあり、執行猶予は非常につきにくくなります。
(3)犯行の悪質性が高い
計画的であったり、複数人による組織的な犯行、または被害が甚大で社会への影響が大きい事件などでは、刑の重さに加えて処罰感情も高く、執行猶予が認められにくい傾向があります。
(4)反省が見られない、被害者への謝罪がない
被害者に対する謝罪や弁済(損害の補填)がない、反省の態度が見られないといった場合も、執行猶予が認められにくくなります。裁判では「更生の可能性」を重視するため、誠実な対応が重要です。
禁錮刑と執行猶予の関係(刑法改正前)
2025年6月の刑法改正により、禁錮刑と懲役刑は拘禁刑に統一されました。
刑法改正前は、禁錮刑も執行猶予の対象であり、主に3年以下の禁錮刑に対して情状酌量が認められる場合に執行猶予が付されていました。
しかし、2025年6月の刑法改正によって、禁錮刑は廃止され、拘禁刑に統合されるとともに、執行猶予制度も新たな運用が始まっています。
執行猶予つき有罪判決が日常生活へ与える影響
執行猶予がついても、有罪判決であることに変わりはありません。つまり、「前科がある」という記録は残ります。そのため、次のような影響が生じる可能性があります。
- 就職・転職時: 前科の存在で就職や転職が難しくなる
- 資格制限: 一部の国家資格(士業、医師など)では資格を剥奪されるリスク
- 再犯リスク: 執行猶予期間中に再犯すれば、猶予中の刑と新たな刑の両方が執行
また、保護観察付き執行猶予の場合は、定期的な報告義務や指導を受けなければいけません。
関連記事
・執行猶予付き判決は前科になる?執行猶予が終わったら前科は消えるのか
まとめ:執行猶予の仕組みを正しく理解して備えましょう
執行猶予は、裁判で言い渡された刑の執行を一定期間猶予し、その間に再び罪を犯さなければ刑の執行を免れる制度です。刑務所に行かずに過ごせる一方で、有罪判決という事実は変わらず、再犯すれば即座に刑を受けるというリスクがあります。
ご家族やご自身が刑事事件で不安を抱えている場合は、お早めに刑事事件に強い弁護士に相談することを強くおすすめします。正しい知識を持ち、適切に対処することが、将来を左右する重要な一歩です。
弁護士の口コミ・アトムを選んだお客様の声
刑事事件に強い弁護士選びには、実際に依頼したユーザーの口コミを見ることも効果的です。アトム法律事務所が過去に解決した、刑事事件のお客様からいただいた感謝のお手紙の一部を紹介しますので、ぜひ弁護士選びの参考にしてください。
本当にすばらしい行動力と最善を尽くしていただきました。

(抜粋)先生のお力なくして、この事件は決して執行猶予判決などあり得ない事件だと思っております。息子の将来と、身上の事を考えますと、アトム法律事務所様以外にはお願いする事は考えられませんでした。
逮捕からの素早い対応で、報告も毎回してくれて安心できました。

右も左も分からないままご相談させていただきました。刑事事件がまさか身内にふりかかるとは思いもよらずあわてました。逮捕からす早く対応していただき毎回報告もきっちりしていただき不安な気持ちもやわらぐことができました。不起訴となりひと安心しています。本当にありがとうございました。感謝の気持ちでいっぱいです。
刑事事件のアトム│24時間相談ご予約受付中
アトム法律事務所では、これまで実刑判決を回避して、執行猶予つきの判決を獲得できた実績が多数あります。
「執行猶予を獲得して日常生活を取り戻したい」「再度の執行猶予つき判決を目指したい」という方は、一度アトム法律事務所の弁護士にご相談ください。
アトム法律事務所では、経験豊富な弁護士が迅速かつ丁寧に対応いたします。刑事事件における法的なアドバイスや状況に応じた弁護活動で、最善の解決へと導きます。
アトム法律事務所の弁護士相談のご予約窓口は、24時間365日つながります。警察が介入した刑事事件では初回30分無料の弁護士対面相談を実施中です。
くわしくはお電話でオペレーターにおたずねください。お電話お待ちしております。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了