岡野武志弁護士

第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。

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刑事事件の時効は何年?一覧表と時効がなくなった犯罪を解説

刑事事件の公訴時効

刑事事件における時効(公訴時効)とは、事件から一定期間が経過すると犯人を起訴できなくなる、つまり「実質的に罪に問えなくなる期限」のことです。

刑事事件の時効には「公訴時効」「刑の消滅時効」の2種類があります。時効の期間は犯罪ごとに異なり、重大な犯罪ほど長く設定されています。

時効の種類何の期限?期間の決まり方
①公訴時効
(刑事)
犯人を起訴できる期限法律で決まった法定刑(重さ)による
②刑の消滅時効
(刑事)
確定した刑罰を執行する期限裁判で決まった「宣告刑」(長さ)による
※「犯人が捕まらないまま時効を迎える」ケースは、①の公訴時効を指します。

2010年4月27日の法改正により、人を死亡させた罪のうち、最高刑が死刑に当たる犯罪(殺人、強盗殺人など)は公訴時効がなくなりました。また、その他の犯罪でも時効期間が延長されています。

本記事では、刑事事件の時効の種類や、罪名ごとの公訴時効の年数について詳しく解説します。刑事事件の時効についてお悩みの方は、ぜひ最後までお読みください。

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刑事事件の時効とは?過ぎれば逮捕されない?

時効とは、犯罪終了後、一定期間が経過することで、刑事裁判をおこす(起訴する)ことができなくなる制度です。

時効が経過すると、刑事裁判は開かれないので、有罪判決をうけて刑罰を科される可能性もなくなります。

時効が成立すると裁判を起こせなくなるため、警察も捜査を終了します。したがって、時効完成後にその事件で逮捕されることは原則としてありません。

刑事事件の公訴時効があるのはなぜ?

刑事事件に公訴時効がある理由として、ひとつには、時間の経過により、社会的影響・処罰感情が薄れ、刑罰を科す必要性が減少するからという説明をされることも多いです。

しかし、重大な事件であればあるほど、時間の経過により処罰感情が薄らぐとはいえません。

また、時間の経過により、証拠の劣化・散逸がおこり、公正な裁判の実施が困難になるから公訴時効があるとも言われています。

しかし、従前よりも鑑定技術が向上するなど、公正な裁判の実施が困難であるとは必ずしもいえない実情もあります。

そのため、2010年には、多くの犯罪で公訴時効が延長され、殺人など人を死亡させた刑事事件については公訴時効が廃止されました。

公訴時効を経過した後の起訴は無効になる

万一、公訴時効が経過した後に、手違いで起訴されてしまった場合には、免訴判決がだされます。

免訴判決は有罪・無罪の判決をせずに公訴を終わらせることをいい、免訴判決が出されると、その時点で訴訟手続が打ち切られることになります。

また、公訴を提起しても免訴判決が出ることから、時効完成後は基本的に逮捕されることもありません。

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【一覧表】刑事事件の時効は何年?

刑事事件の公訴時効は、原則として「犯罪の重さ(法定刑)」によって期間が決まっています。 重い罪ほど時効期間は長く、軽い罪ほど短くなります。

以下は、実務でよく扱われる主な犯罪の時効期間一覧です。

人を死亡させていない犯罪・財産犯など

人を死亡させていない犯罪は、以下の期間が経過すると起訴できなくなります。

罪名時効
殺人未遂罪、現住建造物等放火罪25年
強盗・不同意性交等罪20年
強盗致傷罪15年
強盗、傷害罪10年
窃盗罪、詐欺罪、恐喝罪、業務上横領罪7年
過失運転致傷罪5年
公務執行妨害罪、名誉毀損罪、器物損壊罪、侮辱罪、住居侵入罪、暴行罪、脅迫罪、撮影罪、過失致死罪3年
痴漢(迷惑防止条例)3年〜
軽犯罪法違反1年

人を死亡させた罪で拘禁刑以上(死刑を除く)にあたるもの

人を死亡させた刑事事件で、刑罰に死刑が含まれない罪の公訴時効は、以下のとおりです(刑事訴訟法250条1項参照)。

おもな罪名時効
傷害致死罪、危険運転致死罪20年
過失運転致死罪10年

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性犯罪の公訴時効について

不同意性交、不同意わいせつ、盗撮、児童買春などの性犯罪の公訴時効は、2023年7月13日の法改正により、公訴時効が長くなりました。

おもな罪名改正前の時効改正後の時効
不同意わいせつ致死罪
不同意性交等致死罪
監護者わいせつ致死罪
監護者性交致死罪   
30年30年
不同意性交等致傷罪
不同意わいせつ致傷罪
監護者性交等致傷罪
監護者わいせつ等致傷罪
強盗・不同意性交等罪
15年20年
不同意性交等罪
監護者性交等罪
10年15年
不同意わいせつ罪
監護者わいせつ罪
児童福祉法違反(児童淫行罪)
7年12年

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18歳までは時効が進まない(停止)

不同意わいせつ、不同意性交等の刑事事件では、犯罪行為が終わった時点で、被害者が18歳未満の場合、18歳になるまでの期間が公訴時効の期間に加算されます(刑事訴訟法250条4項)。

たとえば、不同意わいせつ罪の公訴時効は、通常、12年です。
しかし、被害者が17歳の場合、その不同意わいせつ罪の公訴時効は13年となります(通常の公訴時効12年+18歳までの期間1年)。

未成年を理由に時効延長される罪

  • 不同意わいせつ致傷罪
  • 監護者わいせつ致傷罪
  • 強盗・不同意性交等罪
  • 不同意性交等罪・不同意わいせつ罪
  • 監護者性交等罪・監護者わいせつ罪
  • 児童福祉法違反(児童淫行罪)etc.

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時効がなくなった犯罪(殺人罪など)

人を死亡させた刑事事件であって、刑罰に死刑がある罪には、公訴時効がありません。たとえば、殺人罪、強盗致死罪、強盗・不同意性交等致死罪(旧 強盗・強制性交等致死罪)などです。

かつてはこれらの犯罪にも25年の公訴時効がありましたが、重大な犯罪であることから2010年4月27日に公訴時効が撤廃されました。

おもな罪名改正前の時効改正後の時効
殺人罪25年なし
強盗致死罪25年なし
強盗・不同意性交等致死罪25年なし

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過去の事件にも適用される

この改正は、2010年4月27日の時点で公訴時効が完成していなかった事件にも適用されます。 具体的には、以下の通りです。

  • 1995年4月27日以降に起きた殺人事件
    当時まだ時効(25年)を迎えていなかったため、新法が適用され、時効は永久になくなりました。
  • 1995年4月26日以前に起きた殺人事件
    改正前に時効が成立してしまっているため、復活することはありません。

時効が停止するケース

時効は一定の条件を満たしたときに停止することがあります。時効が停止すると、その期間分時効の完成が遅れることになります。

時効の停止

具体的には、国外逃亡や完全に身をくらまして起訴状の謄本や略式命令の送付・告知ができない状況などが挙げられます。

犯人が国外にいる期間(海外逃亡)

犯人が日本国外にいる間は、時効のカウントが完全に停止します。 これは「捜査の手が及ばない海外への逃げ得」を防ぐための規定です。

逃亡目的ではない旅行や出張であっても、日本にいない期間はすべて時効計算から除外されます。実務では、パスポートの出入国記録などを元に1日単位で厳密に計算されます。

そのため、「時効が成立したと思って海外から帰国したら、過去の海外旅行の日数分時効が延びており、逮捕される」といった可能性もあります。

共犯者が裁判を受けている期間

複数人で犯罪を行った共犯事件において、共犯者のひとりが起訴された場合、その裁判が確定するまでの間、逃げている他の共犯者の時効も停止します。

たとえば、AとBが一緒に強盗をして、Aだけが捕まったとします。Aの裁判が長引き、確定するまでに3年かかった場合、逃げているBの時効は3年間停止します。

性犯罪の被害者が18歳未満の場合

先ほど「性犯罪の時効」の項目でも解説しましたが、2023年の法改正により、一部の性犯罪については被害者が18歳になるまでの期間は時効が進行しません。

  • 不同意性交等罪/不同意わいせつ罪
  • 監護者性交等罪/監護者わいせつ罪
  • 児童ポルノ製造罪 など

たとえば、被害者が10歳の時に事件が起きた場合、18歳になるまでの「8年間」は時効期間に加算されます。

この制度により、幼少期の被害についても、成人してから犯人を追及できる可能性が広がりました。

刑の消滅時効(刑罰を執行する期限)

刑事事件の消滅時効とは、「刑の消滅時効」を指しています。これは刑が確定した後、実際にその刑を執行できる期間を意味します(刑法第32条)。

通常、刑が確定すると速やかに執行が行われるため、刑の消滅時効が適用されることはほとんどありません。

実務上、消滅時効が問題となるのは、勾留されずに在宅起訴され、拘禁刑以上の刑を受けた者が服役前に逃亡するケースです。

なお、他人を死亡させた死刑に該当する罪については、公訴時効・消滅時効のいずれも適用されません。

刑の消滅時効は何年?

刑の消滅時効が適用されるケースは、非常にまれですが、ここでは刑の消滅時効の年数について紹介します。

刑の消滅時効は、裁判で言い渡された刑(宣告刑)の内容に応じて、変わります(刑法32条)。

宣告刑時効の年数
無期拘禁刑30年
10年以上の有期拘禁刑20年
3年以上10年未満の拘禁刑10年
3年未満の拘禁刑5年
罰金3年
拘留・科料・没収1年

2025年12月時点の情報です。

刑事事件の賠償の期限(民法の時効)

刑事事件で損害をうけた被害者は、加害者に賠償請求ができますが、期限があります。この期限のことを民法では、不法行為による損害賠償請求権の消滅時効といいます。

民法の消滅時効は何年?

不法行為による損害賠償請求権の消滅時効は、以下2つのうち、いずれか早い方になります。

  1. 被害者(やその法定代理人)が損害・加害者を知った時から3年間*
  2. 不法行為の時から20年間

* 生命・身体の侵害による損害賠償請求権は、被害者や法定代理人が損害および加害者を知った時から5年間になる。なお、こちらは 2025年12月時点の情報です。最新の情報についてはご自身でご確認ください。

刑事事件の加害者としては、民法の時効を待つのではなく、被害者の方との示談交渉のなかで、民事の賠償についても示談を進めることが多いでしょう。

刑事事件の示談については『刑事事件の示談とはどういうもの?示談の方法や流れ、タイミングを解説』の記事でご紹介しています。

刑事事件の公訴時効でよくある質問

Q.公訴時効の完成直前に逮捕されることは?

法律上、公訴時効が完成する直前まで逮捕される可能性はあります。しかし、逮捕後の取り調べや送致の手続きには時間がかかり、検察官が起訴・不起訴を判断するのにも時間がかかります。

公訴時効が完成すると検察は起訴できなくなるため、時効直前に逮捕して数日で捜査を終え、起訴するのは現実的ではありません。したがって、公訴時効直前に逮捕される可能性は低いといえます。

もっとも、被害者が死亡するような悪質な事案や、マスコミに報道されるような有名事件などの場合は、時効完成が目前になると、警察の捜査が活発になります。

過去にあった事件では、時効完成まで残り1か月となった段階で逮捕され、時効完成の直前で起訴された殺人のケースなどが存在します。

Q.公訴時効はいつから起算する?

公訴時効は、「犯罪行為が終わった時」から起算します。

この「犯罪行為」というのは、条文に規定されている犯罪にあたる事実のことを指します。

これは犯罪としての行為と、それから生じた結果を含むと解されています。
窃盗の場合は、他人の財物を自分の支配下におさめた時点が「犯罪が終わった時」になります。

例えば万引きの場合、商品を手を触れた瞬間ではなく、商品を懐に入れるなど自分の支配下におさめた瞬間が起算点になります。

傷害致死の場合は、例えば相手をナイフで誤って刺してしまったような事件の時、ナイフを刺した時ではなく相手が死亡した時が「犯罪が終わった時」に当たります。

Q.公訴時効を待つのはよくない?

刑事事件を起こして逃げている場合、公訴時効の完成を待つのはおすすめできません。

なぜなら、時効が完成する前に捕まると、逃げていたことで悪質性が高いと判断されるおそれがあるからです。

また、時効が完成するまでの間、いつ捕まるかわからないという不安を抱えながら生活するのは、精神的に大きな負担となります。

もし刑事事件を起こして逃げてしまった場合でも、自ら警察に出頭することで、逮捕を避けたり刑事処分が軽くなったりする可能性があります。

一度逃げてしまったことで悪い印象を持たれていることは確かですが、犯人が特定されていない場合には、自首が有効に成立することもあります。まずは弁護士に相談してみてください。

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Q.公訴時効と告訴期間の違いは?

刑事事件の公訴時効と告訴期間は、法的に重要な期間ですが性質が異なります。

公訴時効は、犯罪終了後、一定年数が経過すると起訴できなくなる制度で、全ての刑事事件で問題になります。

一方、告訴期間は「親告罪」でのみ問題になります。

親告罪とは、被害者等の告訴(犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める意思表示)がなければ、検察官が起訴できない犯罪のことです。

親告罪の告訴期間は、通常、被害者等が犯人を知った日から6か月以内です(刑事訴訟法235条本文)。

親告罪の場合、告訴期間を経過する前に告訴がなかったときは、たとえ刑事事件の公訴時効が経過していなくても、起訴できません。

告訴がないのに起訴された場合は、刑事訴訟の条件を満たさないとして、公訴棄却の判決がだされ、刑罰は科されません。

刑事事件の時効の不安は弁護士に相談を

さいごに一言

刑事事件の時効では、公訴時効、刑の消滅時効、民事の消滅時効が問題になります。

なかでも、刑事事件の公訴時効は、検察官が被疑者を起訴する期限です。

公訴時効の有無や年数は、刑事事件の内容(人を死亡させた罪かどうか、一定の性犯罪かどうか)と、法定刑の内容(法律に死刑が規定されているか、禁錮以上の刑が規定されているか)などで決まります。

公訴時効がなくなった刑事事件や、延長された刑事事件もあります。時効を待つのは得策とは言えません。被害者に大きな精神的なショックを与えた事件では、年月が経ち、被害を訴えられるほどに落ち着いてから事件化するケースもあります。

早期解決を目指すなら、刑事事件の弁護経験豊富な弁護士に相談するのがおすすめです。

アトムは24時間ご予約受付中

刑事事件を起こしてしまった場合、早めに弁護士に相談することが重要です。

逮捕・勾留の回避、早期釈放、不起訴獲得などの結果は、弁護士が早く対応すればするほど可能性が高まります。

アトムの解決事例(1)

数年間にわたり、小型カメラを用いて複数回盗撮した。何件かの盗撮について立件され、建造物侵入罪および軽犯罪法違反として検挙された。


弁護活動の成果

立件された被害者全員と示談を締結。不起訴処分となった。

アトムの解決事例(2)

居酒屋で店のサービスに腹を立て、店長の左頬を平手打ちして頸椎捻挫などのケガを負わせた。被害者に警察を呼ばれ、取り調べを受けた。傷害の事案。


弁護活動の成果

被害者に謝罪と賠償を尽くし、宥恕条項(加害者を許すという条項)付きの示談を締結。結果として、不送致で事件終了となった。

取り調べに適切に対処するためのアドバイス、捕まっている本人に代わっての示談交渉など、弁護士だけができることはたくさんあります。

逮捕後すぐに釈放されて会社をクビにならずに済んだケース、前科が付かず早期に日常生活に復帰できたケースなど弁護士への早めの相談が功を奏したケースは数多いです。

弁護士相談が問題を早期に解決し、日常生活を守るための最初のステップになります。刑事事件でお悩みの方は、ぜひアトム法律事務所にご相談ください。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了