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刑事事件の公訴時効とは?犯罪ごとに何年で時効が完成するのか解説
- 刑事事件の公訴時効とは?
- 公訴時効が完成したらどうなる?罪に問われない?
- 犯罪ごとの公訴時効の年数とは?
この記事では刑事事件の公訴時効に関して、公訴時効とはなにか、公訴時効が完成するとどうなるのかといったよくある疑問に答えています。
また、犯罪ごとに何年で時効が完成するかを紹介しています。
刑事事件の時効で不安な方はぜひ最後までご覧ください。
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目次
刑事事件における時効
公訴時効とは
「公訴時効」とは、犯罪後一定期間が経過することにより刑事訴追(起訴)が許されなくなる制度です。
起訴というのは裁判を開廷するように提起する手続きのことであり、起訴が不可能になるということは裁判は開かれず刑事罰を科されることがなくなることを意味します。
時効完成後に起訴された場合には、免訴の判決が言い渡されます。免訴判決が出されると、その時点で訴訟手続が打ち切られることになります。
公訴を提起しても免訴判決が出ることから、時効完成後は基本的に逮捕されることもありません。
消滅時効とは
刑事事件の消滅時効とは、「刑の消滅時効」を指しています。これは刑が確定した後、実際にその刑を執行できる期間を意味します(刑法第32条)。
通常、刑が確定すると速やかに執行が行われるため、刑の消滅時効が適用されることはほとんどありません。
実務上、消滅時効が問題となるのは、勾留されずに在宅起訴され、禁錮以上の刑を受けた者が服役前に逃亡するケースです。
なお、他人を死亡させた死刑に該当する罪については、公訴時効・消滅時効のいずれも適用されません。
刑事事件の時効は何年?犯罪ごとの一覧表で解説
各犯罪ごとの公訴時効一覧
ここからは具体的な罪名ごとに時効の長さを見ていきましょう。
人を死亡させた罪であって死刑にあたるものについては、公訴時効がありません。たとえば、殺人罪、強盗致死罪、強盗・不同意性交等致死罪(旧 強盗・強制性交等致死罪)などです。
かつてはこれらの犯罪にも公訴時効がありましたが、重大な犯罪であることから2010年に公訴時効が撤廃されました。
代表的な罪名 | 時効年数 |
---|---|
殺人罪 | なし |
強盗致死罪 | なし |
強盗・不同意性交等致死罪 | なし |
不同意わいせつ致死罪、不同意性交等致死罪 | 30年 |
傷害致死罪 | 20年 |
危険運転致死罪 | 20年 |
過失運転致死罪 | 10年 |
代表的な罪名 | 時効年数 |
---|---|
殺人未遂罪 | 25年 |
現住建造物等放火罪 | 25年 |
不同意性交等致傷罪、不同意わいせつ致傷罪 | 20年 |
強盗・不同意性交等罪 | 20年 |
強盗致傷罪 | 15年 |
不同意性交等罪、監護者性交等罪 | 15年 |
不同意わいせつ罪、監護者わいせつ罪 | 12年 |
強盗罪 | 10年 |
傷害罪 | 10年 |
窃盗罪 | 7年 |
詐欺罪 | 7年 |
恐喝罪 | 7年 |
業務上横領罪 | 7年 |
過失運転致傷罪 | 5年 |
児童買春 | 5年 |
公務執行妨害罪 | 3年 |
名誉毀損罪 | 3年 |
器物損壊罪 | 3年 |
侮辱罪 | 3年 |
軽犯罪法違反 | 1年 |
刑事事件の時効の長さを決める基準とは?
刑事事件の公訴時効の長さは、原則として「その罪が人を死に至らしめたものかどうか」「法定刑の上限」の2点によって規定されています。
具体的な基準は以下の通りです。法定刑の上限ごとに公訴時効の期間は異なります。
人を死亡させた罪(禁錮以上)
- 死刑:公訴時効なし
- 無期懲役・禁錮:30年
- 長期20年の有期懲役・禁錮:20年
- その他:10年
人を死亡させた罪(禁錮以上)以外
- 死刑:25年
- 無期懲役・禁錮:15年
- 長期15年以上の懲役・禁錮:10年
- 長期15年未満の懲役・禁錮:7年
- 長期10年未満の懲役・禁錮:5年
- 長期5年未満の懲役・禁錮または罰金:3年
- 拘留・科料:1年
なお、刑訴法250条3項に基づき、不同意わいせつ罪、不同意性交等罪などの公訴時効は、上記の基準よりも厳しく設定されています。
不同意わいせつ罪、不同意性交等罪の時効については関連記事をご確認ください。
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刑事事件の時効に関するよくある質問
公訴時効の完成直前に逮捕されることはある?
法律上、公訴時効が完成する直前まで逮捕される可能性はあります。しかし、逮捕後の取り調べや送致の手続きには時間がかかり、検察官が起訴・不起訴を判断するのにも時間がかかります。
公訴時効が完成すると検察は起訴できなくなるため、時効直前に逮捕して数日で捜査を終え、起訴するのは現実的ではありません。したがって、公訴時効直前に逮捕される可能性は低いといえます。
もっとも、被害者が死亡するような悪質な事案や、マスコミに報道されるような有名事件などの場合は、時効完成が目前になると、警察の捜査が活発になります。
過去にあった事件では、時効完成まで残り1か月となった段階で逮捕され、時効完成の直前で起訴された殺人のケースなどが存在します。
公訴時効はいつから起算する?
公訴時効は、「犯罪行為が終わった時」から起算します。
この「犯罪行為」というのは、条文に規定されている犯罪にあたる事実のことを指します。
これは犯罪としての行為と、それから生じた結果を含むと解されています。
窃盗の場合は、他人の財物を自分の支配下におさめた時点が「犯罪が終わった時」になります。
例えば万引きの場合、商品を手を触れた瞬間ではなく、商品を懐に入れるなど自分の支配下におさめた瞬間が起算点になります。
傷害致死の場合は、例えば相手をナイフで誤って刺してしまったような事件の時、ナイフを刺した時ではなく相手が死亡した時が「犯罪が終わった時」に当たります。
公訴時効の停止とは?
時効は一定の条件を満たしたときに停止することがあります。
時効が停止すると、その期間分時効の完成が遅れることになります。
時効が停止するのは、犯人が国外逃亡したり完全に身をくらませたりして起訴状の謄本や略式命令の送付・告知ができない状況になったときです。
刑事事件における公訴時効の停止は、続きから再開されます。
民事事件における時効では、時効の進行が一度停止すると期間がすべてリセットされるものがあります。これを「時効の更新」といいますが、刑事事件にはこのような制度はありません。
刑事事件における時効の停止は、すべてそれまでに経過した時効期間は有効に維持されたままになります。
公訴時効を待つのはよくない?
刑事事件を起こして逃げている場合、公訴時効の完成を待つのはおすすめできません。
なぜなら、時効が完成する前に捕まると、逃げていたことで悪質性が高いと判断されるおそれがあるからです。
また、時効が完成するまでの間、いつ捕まるかわからないという不安を抱えながら生活するのは、精神的に大きな負担となります。
もし刑事事件を起こして逃げてしまった場合でも、自ら警察に出頭することで、逮捕を避けたり刑事処分が軽くなったりする可能性があります。
一度逃げてしまったことで悪い印象を持たれていることは確かですが、犯人が特定されていない場合には、自首が有効に成立することもあります。まずは弁護士に相談してみてください。
公訴時効で不安な場合は弁護士に相談を
刑事事件を起こしてしまった場合、早めに弁護士に相談することが重要です。
逮捕・勾留の回避、早期釈放、不起訴獲得などの結果は、弁護士が早く対応すればするほど可能性が高まります。
取り調べに適切に対処するためのアドバイス、捕まっている本人に代わっての示談交渉など、弁護士だけができることはたくさんあります。
逮捕後すぐに釈放されて会社をクビにならずに済んだケース、前科が付かず早期に日常生活に復帰できたケースなど弁護士への早めの相談が功を奏したケースは数多いです。
弁護士相談が問題を早期に解決し、日常生活を守るための最初のステップになります。まずはデメリットなしの無料相談をぜひ試してみてください。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了