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強姦罪とは?構成要件・刑罰・時効を弁護士が解説

「強姦罪」とは、かつて日本の刑法177条に規定されていた犯罪の名称で、暴行または脅迫を用いて女性と性交した場合に成立する犯罪です。
しかし、「強姦罪」は、2017年の刑法改正によって「強制性交等罪」に改められ、さらに2023年7月13日からは「不同意性交等罪」へと名称・内容が変更されています。
本記事では、改正前の「強姦罪」とはどのような罪だったのかを中心に、強姦罪の構成要件・刑罰・時効期間などをわかりやすく解説します。
過去の強姦罪を正確に整理できる内容となっています。ぜひ最後までご覧ください。
目次
強姦罪とは?刑罰は3年以上の有期懲役
「強姦罪」とは、2017年7月13日の刑法改正前まで適用されていた犯罪の名称です。(1)暴行または脅迫を用いて13歳以上の女子を姦淫(2)13歳未満の女子を姦淫した場合に成立します。
姦淫とは、男性性器を女性性器に挿入することを指します。
暴行又は脅迫を用いて13歳以上の女子を姦淫した者は、強姦の罪とし、3年以上の有期懲役に処する。13歳未満の女子を姦淫した者も、同様とする。
刑法旧177条(旧強姦罪)
強姦罪の法定刑は「3年以上の有期懲役」です。有期懲役の上限は原則20年であるため、有罪判決を言い渡された場合には3年以上20年以内の範囲で刑罰が言い渡されることになります。
実際の裁判では、行為の悪質性、被害の大きさ、示談の有無など、様々な事情を考慮して具体的な刑期が決定されます。
【相手が13歳以上】強姦の構成要件
犯罪が成立するための法律上の条件を「構成要件」と呼びます。強姦罪の構成要件は、相手の年齢が13歳以上・未満で異なります。
まず、相手が13歳以上の場合、強姦罪は以下の4つの要件をすべて満たした場合に限り成立します。
強姦罪の構成要件
- 暴行または脅迫を用いたこと
- 姦淫すること
- 加害者は男性、被害者は女性
- 故意があること
(1)暴行または脅迫を用いたこと
構成要件の1つ目は、加害者が被害者に対して「暴行」または「脅迫」を用いたことです。
強姦罪が成立するための「暴行」または「脅迫」は、単に腕を掴んだり、大声を出したりするだけでは足りません。「被害者の反抗を著しく困難にさせる程度のもの」が必要と判断されています。
判断にあたっては、加害者と被害者の身体的な差やその場の状況、行為の具体的な態様など、個別の事情を総合的に見て、「被害者の抵抗を著しく困難にさせたかどうか」が評価されます。
なお、直接的な暴行や脅迫が用いられていなくても、以下のような要素があった場合、強姦罪が成立する可能性があります。
- 犯行に使った部屋が施錠されていた
- 周囲に人影がないような状況だった
- 集団で取り囲んだ
- 体格差があった
「抵抗が困難になると認められるような理由」があれば、暴力や脅迫が用いられたと解釈される可能性があります。
(2)姦淫をすること
強姦罪が成立するためには、姦淫をすることが必要です。「姦淫」とは、男性器を女性器に挿入する性交行為を指します。
そのため、口や肛門を使った性行為、または性交以外のわいせつな行為は強姦罪で処罰されることはありません。
なお、姦淫の判断基準に、射精の有無、妊娠の有無などは問われません。
つまり、「膣内等に陰茎を挿入後、被害者に同情して犯行を中止した」といった態様でも強姦罪は成立します。
(3)加害者は男性、被害者は女性
強姦罪の実行行為は姦淫のみであるため、加害者(主体)は男性、被害者(客体)は女性に限られています。
つまり、女性が加害者となる場合や男性が被害者となる場合は、強姦罪は成立しません。
(4)故意があること
強姦罪が成立するためには、「わざと行った(=故意)」こと、つまり暴行・脅迫によって相手の意思に反して姦淫をしたと本人が認識していた必要があります。
つまり、加害者が「相手が同意している」と思っていた場合には、原則として強姦罪の故意が認められません。
ただし、この点は判断が難しいため、事案によっては当事者の認識や証拠が慎重に検討されることになります。
【相手が13歳未満】強姦罪の構成要件
相手が13歳未満の場合、上記で解説した「暴行または脅迫」は必要ありません。
法律では、13歳に満たない子どもは、性的な行為に対して真の意味で同意する能力がないと考えられています。たとえ、子どもが「いいよ」と言ったり、抵抗していなかったりした場合でも、その意思表示は無効とされます。
つまり、暴行や脅迫をしなくても相手が13歳未満であることを認識したうえで姦淫を行えば、強姦罪が成立するということです。
強姦罪の相手の年齢による違い
| 13歳以上 | 13歳未満 | |
|---|---|---|
| 「暴行・脅迫」の要否 | 必要 | 不要 |
| 同意の法的効力 | 同意があれば強姦は不成立 ※条例違反となる可能性あり | 同意があっても法的に無効 |
強姦は逮捕される?刑事事件で逮捕された後の流れは?
強姦は逮捕される可能性が高い
強姦は逮捕される可能性が非常に高い行為です。重たい刑罰が科されやすい重大犯罪であるため、証拠が揃っていたり、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると判断されれば、逮捕に至るのが通常です。

改正された法律が過去にさかのぼって成立することはありません。強姦事件の日付によって、逮捕される際の罪名が異なる点には注意が必要です。
- 強姦罪:~2017年7月12日までの事件
- 強制性交等罪:2017年7月13日~2023年7月12日まで事件
- 不同意性交等罪:2023年7月13日からの事件
強姦で逮捕された後の流れは?

強姦で逮捕されると、刑事手続きは上記のような流れで進んでいきます。
警察は、強姦事件の被疑者(容疑者)を逮捕した後、48時間以内に、検察官に事件を送ります(送致)。以降は、警察と検察が共同で捜査を行います。
送致を受けた検察官は、被疑者の身体拘束を続けるべきかどうかを判断し、続けるべきだと判断すれば24時間以内に勾留請求を行います。
勾留請求を受けた裁判官は、勾留の審査をおこないます。勾留が認められた場合、最大20日にわたり警察署内の留置場で身体拘束が継続します。
つまり、逮捕から事件が起訴されるかどうか決まるまで最大で23日間身柄が拘束される可能性があるということです。
長期間身柄が拘束されてしまうと、会社や学校の解雇・退学リスクが高まり、スムーズに社会復帰することが困難になります。できる限り、早期の釈放を目指すための活動が求められます。
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・刑事事件で逮捕される場合とは?逮捕の種類、逮捕後の手続きを解説
昔のことでも逮捕される?強姦の公訴時効
「公訴時効」とは、犯罪が終わってから一定期間が経過すると、検察官が起訴できなくなる(=裁判にかけられなくなる)制度のことをいいます。
強姦罪の公訴時効は10年です。そのため、強姦から10年が経過すると、処罰されることはなくなりますが、時効成立前に被害届の提出などで事件が警察に認知されると、逮捕される可能性があります。
もっとも、強姦致傷罪の場合は15年、相手を死亡させてしまった強姦致死罪の場合は20年と、時効期間が長くなります。
強姦は事件の性質上、しばらくの間は精神的なショックから被害申告が困難なケースも少なくありません。年月が経ち、被害を訴えられるほどに落ち着いてから事件化するケースもあります。
時間が経過してから事件化した場合、被害者の処罰感情も高くなりやすく、有罪判決を受ければ、仕事上の地位や家庭などを築いていた場合、突然にすべてを失ってしまうことにもなりかねません。
過去に事件を起こしてしまった心当たりがあるのであれば、今後の対応について弁護士に相談しておくべきでしょう。
強姦を弁護士に相談するメリットは?
弁護士相談のメリット
- 刑事事件化を防ぐことができる
- 逮捕・勾留の回避や早期釈放が実現できる
- 不起訴を目指すことができる
- 起訴された場合でも執行猶予を獲得できる可能性がある
強姦は重大犯罪です。被害者対応が遅れてしまうと、逮捕・勾留されてしまい、長期間の身体拘束を余儀なくされるおそれもあります。
事件が起訴されると、99%の確率で有罪となります。罰金刑は規定されていないため、執行猶予がつかなければ、実刑判決となる可能性もあります。早期に弁護士に相談し、今後の方針を練りましょう。
強姦を弁護士に相談するメリットについて詳しく知りたい方は『不同意性交(強姦)を弁護士に相談するメリットは?弁護士費用と逮捕の可能性を解説』の記事をご覧ください。
強姦罪に関するよくある質問
Q. 強姦罪の示談金相場はいくらですか?
強姦罪の示談金に決まった相場はありませんが、一般的には150万円~500万円、あるいはそれ以上になるケースも少なくありません。
行為の悪質性、被害者の処罰感情の強さなどによって大きく変動します。具体的な金額は、弁護士が被害者側の意向を確認しながら、慎重に交渉を進めていくことになります。
示談金の相場は?刑事事件の示談交渉とはどんなもの?示談金相場まとめ
Q. 強姦事件を家族や会社に知られずに解決することはできますか?
逮捕・勾留される前に弁護士に依頼し、迅速に示談を成立させることができれば、誰にも知られずに事件を解決できる可能性は十分にあります。
身体拘束が長引けば、会社や学校を無断で休むことになり、発覚のリスクが高まります。だからこそ、一日も早い相談が重要なのです。
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アトムの強姦の解決事例
強姦・逮捕なし
アトムの解決事例(不送致)
複数名でホテルに宿泊し、同意の上で複数人で行った性交等につき、後日被害者が強姦である旨を主張したというケース。
弁護活動の成果
事件の状況等を意見書にまとめ提出したところ、送致されることなく事件終了となった。
強姦未遂・逮捕あり
アトムの解決事例(不起訴)
帰宅途中の女性を公園のトイレに連れ込み、乳房や陰部を舐めたほか、陰部に陰茎を押し当てたり女性の裸を撮影するなどした。わいせつ略取、強姦未遂、監禁の事案。
弁護活動の成果
被害者に謝罪と賠償を尽くし、宥恕条項(加害者を許すという条項)付きの示談を締結。その結果、不起訴処分となった。
過去に強姦してしまった可能性がある方へ
過去の強姦行為について不安を抱えている方は、時効の完成をただ待つのではなく、刑事事件に強い弁護士に相談することが重要です。
とくに強姦罪の時効が成立しているのか、強姦罪で今後の刑事処分はどうなってしまうのかなどを把握するには、刑事事件に詳しい弁護士の判断が必要不可欠です。
不安を抱えたまま一人で悩むよりも、早期に相談し、正確な情報と対策を得ることが、今後の人生を落ち着いて過ごすための第一歩となります。
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アトム法律事務所では現在、警察が介入した刑事事件で初回30分無料の弁護士相談を実施中です。
- 過去の強姦罪で警察から呼び出しを受けた
- 過去の強姦罪で被害届を出すと言われている
上記のようなお悩みを抱えている方は、今すぐに弁護士にご相談ください。
また、アトム法律事務所では、過去の性犯罪が刑事事件化した場合に備えて、弁護士と顧問契約を締結する方も多いです。顧問弁護士は、逮捕された場合に接見に駆け付けたり、会社や家族に事件が発覚するのを防ぐために捜査機関との調整を行ったりします。
不安な毎日から解放されるためにも、まずは一度弁護士までご相談ください。お電話お待ちしております。

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

