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不同意性交等罪の刑罰は?罰金・懲役・執行猶予について弁護士が解説
- 不同意性交の容疑をかけられて警察沙汰になった
- 不同意性交等罪の刑罰の内容は?
- 不同意性交でも執行猶予はつく?
不同意性交等罪は5年以上の拘禁刑が規定されている重大犯罪です。
不同意性交をしてしまった場合、執行猶予がつかず懲役の実刑になって刑務所に入らなければならないのでしょうか。
この記事では、不同意性交等罪がどんな犯罪か、法定刑はどれくらいか、執行猶予はつくのかなどを詳しく解説しています。
逮捕の可能性や被害者との示談の重要性についても触れていますので、ぜひ最後までご覧ください。
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目次
不同意性交等罪の刑罰は?懲役刑の相場は何年?
不同意性交等罪とはどんな犯罪?
不同意性交等罪は、刑法177条で定められた犯罪です。
1 前条第一項各号に掲げる行為又は事由(略)により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛門性交、口腔性交又は膣若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(略)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。
刑法177条
暴行または脅迫をはじめとする一定の事由により、被害者が「同意しない意思」を形成・表明・全うすることが困難な状態で、膣・肛門・口腔への陰茎挿入や膣・肛門への陰茎以外の挿入をすると、不同意性交等罪が成立します。
一定の事由というのは、おもに以下の8種類です。
不同意性交等罪の一定の事由
- 暴行・脅迫
- 心身の障害
- アルコール・薬物の影響
- 睡眠その他の意識不明瞭
- 同意しない意思を形成・表明・全うするいとまの不存在
- 予想と異なる事態との直面に起因する恐怖又は驚愕
- 虐待に起因する心理的反応
- 経済的・社会的関係上の地位に基づく影響力による不利益の憂慮
ここでは、「暴行・脅迫」という事由について補足しておきましょう。
実務における「暴行または脅迫」というのは、判例上「被害者の反抗を著しく困難にする」という程度の行為とされています。
つまり、直接的に殴る蹴るといった行為をしなくても、不同意性交等罪に該当する可能性があるのです。
また性交、肛門性交、口腔性交はそれぞれ膣内、肛門内、口腔内に陰茎を挿入する行為を指し、射精の有無を問いません。
不同意性交等罪の刑罰
不同意性交等罪の法定刑は5年以上の有期拘禁刑です。不同意性交等罪に罰金刑は規定されていません。
拘禁刑とは、従来の懲役と禁錮を統一するかたちで新設された刑罰です。
刑務所で生活しなければならない点は懲役や禁錮と共通しますが、更生のために必要な作業・指導をより柔軟にできるのが拘禁刑です。
なお、拘禁刑は2025年(予定)の改正刑法施行までは、適用されません。それまでは、不同意性交等罪でも「懲役刑」が科されることになります。
拘禁刑について詳しく知りたい方は『拘禁刑とは?拘禁刑の内容、創設の理由を解説』の記事をご覧ください。
強姦・レイプはもともと強姦罪・強制性交等罪で処罰されていた
不同意性交等罪として処罰されている強姦・レイプは、もともとは強姦罪という犯罪でした。
(強姦)
2004年改正刑法177条
第百七十七条 暴行又は脅迫を用いて十三歳以上の女子を姦淫した者は,強姦の罪とし,三年以上の有期懲役に処する。十三歳未満の女子を姦淫した者も,同様とする。
強姦罪は、男性器を女性器に挿入する行為(姦淫)のみを処罰対象としていた犯罪です。しかし、強姦罪が強制性交等罪となり、処罰対象が性交・肛門性交・口腔性交に広がるとともに、男性も被害者たり得ることになりました。
そして、現在の不同意性交等罪では、さらに処罰対象が広がっています。
強姦・レイプ事件で問われる具体的な罪名は以下の通りです。
- 2023年7月13日以降の事件は「不同意性交等罪」が適用
- 2023年7月12日以前の事件は「強制性交等罪」「準強制性交等罪」が適用
- 2017年7月12日以前の事件は「強姦罪」「準強姦罪」が適用
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不同意性交等罪の懲役刑の相場は?
では、不同意性交等罪で起訴され有罪となった場合、どれくらいの期間刑務所に行かなければならないのでしょうか。
有期懲役は原則として20年が上限であることから、不同意性交等罪で有罪判決を受けると条文上は5年以上20年以下の期間、刑務所に入らなければならない可能性があります。
懲役の期間は、不同意性交の手口の悪質性、結果の重大性、被害者と示談が成立しているかなどが主に考慮されます。
過去にアトム法律事務所で取り扱った不同意性交事件の懲役刑の相場は約4年5か月です。
不同意性交等罪で執行猶予はつく?初犯の場合は?
不同意性交等罪で執行猶予は原則つかない
不同意性交等罪に執行猶予は原則としてつきません。
執行猶予とは、刑事事件の裁判で有罪判決が言い渡された場合でも、刑罰の執行までに一定期間の猶予が与えられるという制度です。
たとえば、3年の懲役刑に執行猶予5年が言い渡された場合、すぐ刑務所には収監されず、罪を犯すことなく5年が経過すれば服役する必要はなくなります。
しかし、執行猶予がつくのは懲役刑が3年以下の刑罰のみとされています。
不同意性交等罪の刑罰は5年以上の有期懲役であるため、原則として執行猶予はつかないのです。
不同意性交等罪で例外的に執行猶予がつく場合とは?
原則として不同意性交等罪で執行猶予はつきません。ただし、例外的に刑が軽減された場合には執行猶予がつく場合もあります。
刑が軽減されるのは、たとえば自首が成立した、未遂であった、犯罪の情状で酌量すべき事情がある場合などです。
刑が減軽されると刑の上限と下限が半減するため、不同意性交等罪の場合は、「2年6か月以上10年以下」の懲役になります。
懲役3年以下の刑が科され得るため、執行猶予がつく可能性もあるわけです。
もっとも、実務上は刑の減軽による執行猶予付き判決の獲得は非常に難しいです。
ただし、被害者の方と示談を成立させ、被害者から許しを得ている等の事情があれば、執行猶予がつく可能性があるでしょう。
アトム法律事務所がとり扱った事例の中でも酌量減軽が認められ、執行猶予のついた事例はあるので、まずは早めに弁護士に相談することが重要です。
初犯でも執行猶予がつかずに懲役実刑になる?
不同意性交事件は、初犯であっても執行猶予がつかずに懲役実刑になる可能性があります。
特に被害者との示談が成立していないケースでは、起訴され、懲役実刑になる可能性が高まります。
不同意性交事件をはじめとした性犯罪では、特に被害者と示談を成立させているかどうかが処分に影響を与えます。
示談を締結し、被害者の許しも得ているということであれば、刑事罰を与える必要性は大きくないと判断されるからです。
初犯でも被害者対応をおろそかにせずに、早急な被害者対応が求められると言えます。
不同意性交で逮捕される?逮捕後の流れとは?
不同意性交は逮捕される可能性が高い
不同意性交は重大犯罪であるため、逮捕される可能性は高いです。
逮捕は「逃亡のおそれ」「証拠隠滅のおそれ」が認められるときに行われる手続きで、警察署内の留置場に身体拘束されることになります。
不同意性交等罪のような性犯罪は、被害者に脅迫をして証言を歪ませる等の証拠隠滅のおそれが認められやすく、逮捕も行われやすいです。
逮捕される流れとしては、現行犯逮捕と後日逮捕の2種類があります。
現行犯逮捕は、犯行中や犯行直後の現場を見られたことで通報され、やって来た警察官にその場で逮捕されるケースです。そのまま警察署まで連れていかれ、留置場に収監されます。
後日逮捕(通常逮捕)は、犯行から時間が経過し、裁判所が発付した逮捕状を持って警察がやって来るケースです。
後日逮捕では被害者の方が警察署に被害届を提出し、警察の捜査によって身柄を特定されて逮捕されるという流れが多いです。
後日逮捕の場合も、警察署に連れていかれ、そのまま留置場に収監されます。多くの場合、警察官が早朝に自宅まで訪ねてきて逮捕されることになるでしょう。
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不同意性交で逮捕された後の流れは?
不同意性交で逮捕された場合の流れは以下のようになっています。
逮捕後、警察は48時間以内に事件と被疑者の身柄を検察官に送ります。これを送致と言いますが、送致後は警察と検察が共同で事件の捜査にあたることになります。
送致から24時間以内に検察は勾留請求するかどうかを判断します。
勾留とは逮捕に引き続き留置場で被疑者を身体拘束する手続きです。逮捕と同じく「逃亡のおそれ」「証拠隠滅のおそれ」が認められるときに行われます。
勾留請求を受けた裁判官がこれらのおそれが認められると判断した場合、勾留が行われ起訴されるまで最大で20日にわたり身体拘束が継続します。
刑事事件は逮捕・勾留された事件も在宅事件も、最終的には原則として検察官によって起訴・不起訴の判断をされることになります。
起訴というのは裁判の開廷を提起する手続きで、統計上99.9%が有罪となります。
不起訴というのは事件終了とする手続きで、裁判は開かれず、前科が付くこともありません。
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不同意性交で逮捕されなかったらどうなる?
不同意性交事件で「逃亡のおそれ」や「証拠隠滅のおそれ」が認められずに逮捕されなかった場合には、在宅事件として手続きが進みます。
在宅事件では日常生活を送りながら、適宜、警察署に呼び出されて取り調べを受けることになります。
身体拘束されないので、逮捕されたケースに比べれば日常生活への影響を抑えられます。
弁護活動によって逮捕回避の可能性を高めることができるので、お悩みの方はまずは弁護士に相談してみてください。
不同意性交事件で被害者と示談するメリット
そもそも示談とはどういうもの?
示談というのは、民事上の賠償責任を当事者同士の話し合いによって解決するという手続きです。
不同意性交等罪(旧強制性交等罪)に問われたときは、被害者の方と示談を締結することで早期釈放や前科の回避、刑の減軽などが期待できます。
一般的に示談は加害者が被害者に示談金を支払い、被害者が加害者を許したことを確認し、それぞれ必要な条項を示談書に取りまとめて双方署名押印して取りまとめます。
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示談のメリット(1)逮捕・勾留の回避や早期釈放の実現
被害者の方と示談を締結すれば、逮捕・勾留されないで済む可能性や早期釈放される可能性が高まります。
示談を締結すれば「刑事事件に真摯に応じる姿勢がある」「被害者に対して脅迫などの働きかけができない」ということを示せます。
つまり、逃亡のおそれや証拠隠滅のおそれがないということを示す証拠になるわけです。
よって逮捕されたり勾留されたりする可能性を下げることができますし、また仮に逮捕・勾留されたとしても示談締結と同時に釈放されるケースも多いです。
示談のメリット(2)不起訴処分を獲得して前科を防ぐ
示談を締結すれば、不起訴処分を獲得し前科を付けずに済む可能性が高まります。
不起訴処分は罪を犯していない場合だけでなく、罪を犯していても犯罪後の情況によって訴追の必要がないと判断されれば不起訴になります。
示談を締結したという事実は、検察官の起訴・不起訴の判断に非常に大きな影響を与えます。
刑事事件で起訴されると、99%以上の確率で有罪となります。つまり、起訴された場合はほとんど有罪になってしまいます。
不起訴処分を獲得できれば、そこで事件が終了し前科がつくこともないため、被疑者にとって大きなメリットがあります。被害者との示談は極めて重要といえるでしょう。
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示談のメリット(3)執行猶予を獲得できる
示談を締結すれば、刑の減軽を獲得し執行猶予判決獲得の可能性を高めることができます。
不同意性交等罪で起訴され有罪になってしまった場合、原則として執行猶予はつきません。しかし、刑の減軽が獲得できれば執行猶予がつく可能性はあります。
刑の減軽は犯罪の情状に酌量すべきものがあるとき、裁判官の判断によって行われます。
示談を締結したという事実は裁判官の判断に非常に大きな影響を与えます。
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不同意性交事件の示談は弁護士に相談
不同意性交事件の示談は弁護士に任せるべき?
捜査機関は被害者の心情に配慮して、原則として加害者本人には被害者の連絡先を教えません。
実務上、被害者の方と示談を締結したい場合には、弁護士への依頼が必須となります。
弁護士であれば第三者として捜査機関に示談交渉したい旨を申し出て、被害者の連絡先を聞ける可能性があります。
また、不同意性交などの性犯罪における示談では、被害者の感情に配慮した慎重な交渉が必要です。
刑事弁護の経験豊富な弁護士は、過去の経験とノウハウを元に性犯罪被害者の被害感情に配慮した示談交渉を行うことができます。
また弁護士であれば示談締結後にはその事実を適切に検察官や裁判官に主張することができるので、示談交渉は弁護士に任せた方が良いでしょう。
不同意性交の示談金・慰謝料の相場について知りたい方は『強姦の示談金・慰謝料の相場はいくら?示談のメリットも解説』の記事も併せてご覧ください。
早めの弁護士相談で早期解決できる?
不同意性交事件を起こしてしまった場合、迅速に弁護士に相談することが重要です。弁護士が早く対応するほど、逮捕・勾留の回避や身体拘束からの早期釈放、不起訴の獲得などの可能性が上がります。
取り調べに冷静に対処するためのアドバイス、外に出られない本人に代わっての示談交渉など、弁護士にしかできないことはたくさんあります。
早めに相談したことで刑事事件にならずに済んだケースや事件後すぐに釈放されて仕事を失わないで済んだケースなど、日常生活への影響を最小限に食い止められたケースは数多くあります。
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・刑事事件で示談をした場合・しない場合のメリットとデメリットは?
不同意性交事件の弁護士相談窓口
不同意性交事件で「被害者と示談したい」「不起訴の獲得や刑罰を軽減したい」などのお悩みを抱えている方はアトム法律事務所に相談ください。
刑事事件の解決はスピードが命です。被害者対応が遅れてしまうと、逮捕・勾留されてしまい、長期間の身体拘束を余儀なくされるおそれもあります。
アトム法律事務所は刑事事件専門の弁護士事務所として設立された沿革があり、不同意性交の解決実績もあります。
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