
第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。
「刑事事件弁護士解決ナビ」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。
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勾留請求は阻止できる?勾留の要件や回避策は?刑事事件に強い弁護士

- 勾留請求とは?勾留の要件は?
- 勾留請求を阻止したい!どんな事情があれば勾留を回避できる?
- 勾留の悩みを相談できる弁護士は?
勾留とは、逮捕された後、さらに検察官のもとで身体拘束されるという刑事手続きのことです。
勾留は原則10日間ですが、最大で10日間延長される可能性もあります。
勾留を回避するには、勾留の要件に該当しないことを、検察官・裁判官に主張する必要があります。
この記事を読めば、勾留の要件、勾留請求を阻止する方法、勾留を回避する方法(面談、準抗告、起訴後勾留の保釈etc.)等が分かります。
釈放を求める際、弁護士が重視する主張のポイントを踏まえて解説しているので、ぜひ最後までご覧ください。
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Ⅰ.勾留請求とは?
勾留とは?
勾留とは、刑事事件をおこして逮捕された被疑者(あるいは被告人)が、その後、比較的長期間拘束される手続きのことです。
検察官が勾留すべきだと考えた場合、検察官から裁判官に対して、勾留請求がおこなわれます。そして裁判官が、勾留請求を認容したら、勾留されることが決定します。
被疑者として捜査を受けている段階で、勾留されることを「被疑者勾留」(あるいは起訴前勾留)といいます。
一方、刑事裁判にかけられることが決まって、起訴後に勾留されることを「被告人勾留」(あるいは起訴後勾留)といいます。
- 被疑者勾留(起訴前勾留)
起訴される前の被疑者段階で勾留されること - 被告人勾留(起訴後勾留)
起訴された後も勾留されること
「被疑者勾留」の場合は、警察署の留置場などで生活し取り調べに呼ばれれば応じるといった生活を送ります。
「被告人勾留」の場合、刑事施設である拘置所で寝泊まりし、刑事裁判の期日に呼ばれれば裁判所へ出廷するといった生活を送ります。
勾留請求の流れは?
被疑者勾留の流れは、以下のとおりです。

警察逮捕→検察官送致
まず、刑事事件をおこして警察に逮捕されたとします。
この場合、警察に逮捕されてから48時間以内に、警察から検察官へ事件が引き継がれます(送致)。
検察官の勾留請求
検察官送致後は、検察官のもとで取り調べを受けることになります。そして検察官によって留置の必要性があると判断された場合は、検察官から裁判官に対して「勾留請求」がだされます。
なお被疑者勾留の勾留請求には、時間制限があります。
警察に逮捕されてから72時間以内、かつ検察官のもとに着いてから24時間以内に、勾留請求はおこなわれます。
裁判官の勾留質問
その後、勾留請求を受けた裁判官によって、勾留されるかどうかが決定されます。
裁判官によって勾留の裁判が開かれ、被疑者に勾留質問をする等して、勾留すべきかどうかが吟味されます。
東京地方裁判所の場合、検察官から勾留請求があった翌日に勾留質問をおこない、勾留決定の判断をくだすことが多いと言われています。
そして、裁判官が、弁護士の面談に応じるのは、勾留質問当日の午前11時頃までとも言われているので、すみやかな弁護活動が必要とされます。

弁護士
勾留質問では、被疑事実に対する弁解を聞かれたり、勾留の要件に関する筆問を受けたりします。
勾留決定・勾留状の発付&執行
裁判官によって勾留決定がだされたら、勾留状が発付されて、いよいよ勾留されることになります。
勾留請求された日から、10日間勾留されるのが原則です。
ですが、勾留期間の延長も可能なので、検察官によって勾留延長請求がされた場合は、さらに10日以内の期間、勾留が延長されることもあります。
勾留延長が認められれば、逮捕されてから最大約23日間身体拘束を受け続けることになります。
勾留期間の満了後→起訴 or 不起訴
勾留期間の満期がきたら、起訴・不起訴・処分保留のいずれかになります。
不起訴になったら、刑事裁判を受けることなく、事件終了となり、前科もつきません。
起訴の場合、刑事裁判を受けることになります。起訴には、略式起訴と通常起訴の2種類があります。
通常起訴の場合、ドラマによくでてくるような公開の法廷で裁判を受けることになります。
第1回公判が開かれるのは、起訴から約30日~40日後くらいが目安になるでしょう。

弁護士
勾留請求は土日祝日でもおこなわれます。
当番の検察官によって勾留請求され、令状当番の裁判官によって勾留状が発行されれば、勾留は実施されます。
勾留請求書とは?
検察官から裁判官に対して、勾留請求される場合、勾留請求書が提出されます。
勾留請求書には、被疑者の情報、刑事事件の内容、勾留場所、弁護人の指名、勾留の理由等が記載されます。
勾留請求書の内容(一例)
- 被疑者の氏名、生年月日、職業、住居
- 被疑事実の要旨
- 勾留すべき刑事施設
- 弁護人の指名
- 罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由
- 刑事訴訟法60条1項各号のうち該当する事由
etc.
担当検事が勾留請求書を起案した後、上長の決裁がとれたら、いよいよ裁判所の令状部に勾留請求書が提出されることになります。

弁護士
検察官が勾留請求しなければ、被疑者勾留は実施されません。
勾留を回避するには、まずは検察官を説得する必要があるでしょう。
勾留請求を阻止するためには?
検察官に勾留請求をさせないようにするには、弁護士から、検察官に対して「勾留請求に対する意見書」を提出することが考えられます。
意見書のなかでは、勾留の要件を満たしていないことを述べることになります。

弁護士
検察官に電話面談をおこない、検察官が勾留請求をしようと考えている理由を聞き出し、その点に反論をするという対策もあり得るでしょう。
勾留請求の確率・勾留請求却下の確率
令和3年度、勾留請求された割合、勾留請求が却下された割合については、犯罪白書を見ると分かります。
令和3年度の身柄率は34.1%、そのうち勾留請求された割合は94.3%、勾留請求が認められなかった割合(却下率)は4.1%でした。
逮捕される割合は約3割と低いものですが、そのうち勾留請求される事件は約9割にのぼることが分かります。そして、勾留請求された事件のほとんどが、実際に勾留されているといえそうです。

弁護士
勾留請求が却下されず、勾留が実行された事案については、準抗告等の対策をとり、勾留の回避を目指します。
関連項目
・令和4年版 犯罪白書(身柄率・勾留請求率・勾留請求却下率の推移)
Ⅱ.勾留の要件は?
1.勾留の理由①「相当な理由」とは?
勾留の要件を満たしている場合にはじめて、勾留が決定されます。
これから刑事訴訟法の条文に規定されている「勾留の要件」を確認していきましょう。
一つ目の勾留の要件は「罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合」です。
裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。
刑事訴訟法60条1項柱書
ここでいう犯罪の「相当な」嫌疑とは、通常逮捕の場合よりも高いものが要求されます。
起訴されるくらいの嫌疑は不要です。ですが、勾留における「相当」の嫌疑とは、逮捕された時点に比べれば、かなり疑いの目が向けられている状況といえるでしょう。

弁護士
相当の嫌疑が認められる場合でも、罪証隠滅や逃亡のおそれがないとき、勾留の必要性がないとき等は、勾留を回避できます。
2.勾留の理由②「60条各号」とは?
刑事事件について相当な嫌疑があるとしても、①住居不定、②証拠隠滅のおそれ、③逃亡のおそれといった事情が認められなければ、勾留されることはありません。
ここでは①~③の意味について、確認していきましょう。
①住居不定(60条1項1号)
住居不定とは、条文上は「定まった住居を有しない」という表現になっています。
裁判所は、(略)左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。
刑事訴訟法60条1項2号
一 被告人が定まつた住居を有しないとき。
二 (略)
「定まった住居を有しない」とは、住所や居所を有しないという意味です。
具体的には、野宿、簡易旅館(カプセルホテルetc.)で寝泊まりしている、住居が判明しないといった事情があれば、住居不定に該当します。

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刑法の過失傷害罪(法定刑は、30万円以下の罰金、拘留、科料)については、この住居不定の場合に限り、勾留されます(刑訴法60条3項)。
以下で説明する、証拠隠滅や逃亡のおそれといった勾留の要件(刑訴法60条1項2号、同3号)は適用されません。
②罪証隠滅のおそれ(60条1項2号)
罪証隠滅のおそれがあるという要件に該当する場合、勾留される可能性があります。
第六十条 裁判所は、(略)左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。
刑事訴訟法60条1項2号
一(略)
二 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
罪証隠滅のおそれがあると判断されるのは、犯罪に関する物的証拠を捨てたり、共犯者と口裏合わせをしたり、被害者を脅して証言を変えさせたり、目撃者の口封じをしたりする具体的・現実的可能性がある場合です。
罪証隠滅のおそれがないと判断してもらうためには、以下のような事情があると有利でしょう。
罪障隠滅のおそれがない場合(一例)
- 被害者・目撃者の連絡先を知らない
- 被害者とすでに示談が成立している
- 共犯者がいない(そのため口裏合わせの心配がない)
- 証拠は押収済み(そのため隠滅すべき証拠がない)
- 事案が軽微であるため、重大な刑罰が科される見込みがない(そのため証拠隠滅をする動機付けがない)
etc.

弁護士
被害者の方がいる刑事事件では、示談交渉が可能です。
ただし一般的に、示談交渉は弁護士におまかせいただくケースが多いといえます。罪証隠滅のおそれがあるので、捜査機関が被害者の連絡先を教えてくれず、連絡をとることさえできない場合が多々あるからです。
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③逃亡のおそれ(60条1項3号)
逃亡のおそれがあるという要件に該当する場合、勾留される可能性があります。
裁判所は、(略)左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。
刑事訴訟法60条1項3号
一(略)
二(略)
三 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
「逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由」(逃亡のおそれ)とは、被疑者・被告人が所在不明になるおそれがあることを意味します。
逃亡のおそれの要件は、被疑者の生活状況、犯罪の軽重・態様、その他諸般の事情から判断されます。
逃亡のおそれが無いと判断してもらうためには、以下のような事情があると有利でしょう。
逃亡のおそれがない場合(一例)
- 生活状態が不安定でないこと
配偶者や子供がいる(そのため家族を捨ててまで逃亡するとは考えらない)
定職がある
持ち家に住んでいる - 処罰を回避する目的で身を隠そうとしていないこと
起訴猶予、罰金刑、執行猶予判決がみこまれる
前科前歴がない
組織的犯罪ではない(そのため逃亡を手助けする人物がいない)
etc.

弁護士
検察官や裁判官に対して、上記に該当するような事情を主張して、勾留を争うことになります。
3.勾留の必要性とは?
勾留の理由(相当な嫌疑、住居不定・罪証隠滅のおそれ・逃亡のおそれ)が認められる場合でも、「勾留の必要がなくなったとき」(刑事訴訟法87条1項)は、勾留されません。
(略)勾留の必要がなくなつたときは、(略)決定を以て勾留を取り消さなければならない。
刑事訴訟法87条1項
勾留の必要性とは、勾留することが相当でないと認められる場合のことをいいます。
この勾留の必要性の有無は、勾留によって得られる捜査上の利益よりも、勾留によって生じる権利・利益の侵害が明らかに均衡を失する場合、否定されることになります。
勾留の必要性が無いと判断してもらうためには、以下のような事情があると有利でしょう。
勾留の必要性がない場合(一例)
- 身元引受人によって出頭が確実に見込まれる
- 扶養家族がいる
- 家族を介護する必要がある
- 学生である。入学試験がある
- 健康状態がわるく、命があやぶまれる

弁護士
病気を理由に勾留の必要性がないことを主張していく際は、医師の診断書などを入手する必要があるでしょう。
4.逮捕前置主義とは?
勾留が認められるためには、勾留の前に逮捕手続きが先行していることが必要です。
このことを逮捕前置主義(たいほぜんちしゅぎ)といいます。

弁護士
勾留に先行する逮捕手続きは、適法な手続きでなければなりません。
逮捕手続きに違法があることを理由として、勾留請求が却下されることもあります。
5.勾留延長の要件は?再勾留の要件は?
勾留延長の要件
最初の10日間の勾留期間が満了しても、検察官が起訴・不起訴の判断ができないような場合は、「やむを得ない事由」があるとして、さらに勾留が延長されることもあります。
裁判官は、やむを得ない事由があると認めるときは、検察官の請求により、前項の期間を延長することができる。この期間の延長は、通じて十日を超えることができない。
刑事訴訟法208条2項
検察官が勾留延長を請求した場合、裁判官は要件の有無を吟味したうえで、10日以内の日数で勾留延長が決定される可能性があります。
勾留延長の要件とされる「やむを得ない事由」に該当する事情としては、被疑者取り調べ未了、捜査未了といった事情があるでしょう。

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弁護人としては、取り調べを続ける必要があるのか、捜査に怠慢がなかったか等を吟味します。
そして勾留延長の要件である「やむを得ない事由」が認められないという反論を出すことが考えられます。
再勾留の要件①(別の罪で再勾留)
窃盗容疑で警察に現行犯逮捕された後、起訴されて裁判中も勾留が続いている中、別件の窃盗が発覚し、別件で再び逮捕・勾留されることがあります。
署は1日、窃盗の疑いで(略)男(略)=別の窃盗罪で起訴済み=を再逮捕した。
2023.8.1 日本海新聞「【米子署】窃盗の疑いで男を再逮捕」https://www.nnn.co.jp/articles/-/107020(2023.9.8現在)
この場合、あらたに発覚した別件の犯罪について、逮捕・勾留の要件が判断されます。
逮捕の要件 | 勾留の要件 | |
---|---|---|
要件 | ・逮捕の理由 ・逮捕の必要性 | ・勾留の理由 ・勾留の必要性 ・逮捕前置主義 |
別件で再逮捕・再勾留された場合、その後、同じように勾留延長されることや、追起訴されることもあるでしょう。
再勾留の要件②(同じ罪で再勾留)
同じ犯罪について再勾留されるケースも、例外的に存在します。
原則として、同じ犯罪について「逮捕→勾留→釈放→逮捕→勾留…」という流れをくり返すことは許されません。このことは逮捕勾留の一回性の原則などと言われています。しかし例外的に、同じ犯罪が再勾留されることがあります。
再逮捕を想定した条文(刑訴法199条3項、刑事訴訟規則142条8号)があること、再逮捕のあとの再勾留を禁止する条文がないこと等を理由として、再勾留は、例外的に認められることがあります(東京地決S47.4.4判時665-103、広島高判H1.2.16高検速報(平成1)号209頁)。
再勾留が許される理由
- 再逮捕を想定した条文がある(刑訴法199条3項、刑事訴訟規則142条8号)
- 再逮捕の後の「再勾留」を禁止する条文はない
- 逮捕と勾留は密接不可分の制度である
再勾留の要件について判断した裁判例もあります。裁判所の判断過程としては、まず、再勾留されるかどうかについては、事情変更をはじめとする諸般の事情が考慮されます。そして、①社会通念上捜査を断念しがく、②身体拘束の不当な蒸し返しにならない場合、例外的に再勾留が許されることがあります。
いかなる場合に再勾留が許されるかについては、(略)先行の勾留期間の長短、その期間中の捜査経過、身柄釈放後の事情変更の内容、事案の軽重、検察官の意図その他の諸般の事情を考慮し、社会通念上捜査機関に強制捜査を断念させることが首肯し難く、また、身柄拘束の不当なむしかえしでないと認められる場合に限るとすべきである
東京地決S47.4.4判時665-103
Ⅲ.勾留を回避する方法は?
1.勾留を阻止するには裁判官を説得?
勾留するかどうかを決定するのは裁判官です。
勾留請求がされても、裁判官が勾留決定をしなければ、勾留を阻止することができます。

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勾留の裁判が始まるまでに、弁護人から裁判官に面談を申し入れ、勾留の要件を満たしていないことを説得する弁護活動を行う必要があるでしょう。
対面での交渉のほか、勾留請求の却下に対する意見書をファックス送信したり、電話面談をしたり等、裁判官を説得する手段は様々です。
勾留請求が却下されたら
勾留請求が却下されるとその後、釈放となります。ただし、勾留請求却下に対して、検察官が不服申し立てをして、勾留請求却下が取り消され、再び勾留されるという流れもありうるでしょう。
なお、勾留請求が却下されたのは、あくまで勾留の要件が満たされていなかったという意味にとどまります。勾留請求が却下されたとしても、その後は不起訴になるとは限りません。

弁護士
勾留請求が却下されて釈放された後も、不起訴を目指す弁護活動、検察官との交渉は続ける必要があります。
2.準抗告をだす?
裁判官によって勾留が決定されたら、準抗告という不服申し立てをおこないます。
準抗告では、勾留の要件が満たされていないことを主張していくことになります。
準抗告が認められれば、早期釈放がかないます。かりに準抗告が認められなくても、準抗告をおこなうことで、事件に対する裁判所の見方が分かったり、今後の勾留延長請求について慎重な判断をうながしたりする効果があるでしょう。

弁護士
準抗告のほかにも、勾留取消、勾留理由開示といった制度が活用できるケースもあります。
また、ご親族の葬儀等に出席したい時は、勾留の執行停止という制度を利用することで、一時的に釈放がかなう場合があります。
3.被告人勾留なら保釈請求を?
起訴されて刑事裁判にかけられる被告人となった後も、裁判に出席しないおそれがあるとき、証人に会って証言を変えさせるおそれがあるとき等は、勾留が続きます。
被告人の勾留期間は、基本的に2ヶ月ですが、勾留の要件を満たせば、その後1ヶ月ごとの更新も可能とされています。
すぐに終わる裁判であれば更新する必要はありませんが、審理が長期化する裁判の場合、被告人勾留の期間が更新されることもあるのです。
被告人勾留がされている場合、保釈という手続きをとり、釈放を求めることになります。保釈してもらうには、保釈の法律上の要件を満たすとともに、保釈金の納付が必要です。

弁護士
保釈中、保釈条件に違反した場合は、保釈が取り消され、保釈金が没取される(取り上げられる)こともあります。
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Ⅳ.勾留請求阻止・勾留回避の実例は?
・勾留請求を阻止した実例は?
過去、アトム法律事務所であつかった事案では、検察官に対して勾留阻止の意見書を提出し、勾留請求を阻止できた事案があります。
勾留請求を阻止した実例
- 事案
盗撮(迷惑防止条例違反) - 示談
あり。宥恕文言あり - 弁護活動
・勾留阻止の意見書を提出。
・略式命令を回避。 - 結果
不起訴

弁護士
この事案では、勾留阻止の意見書を提出したことで、検事の勾留請求を阻止することができました。
また、宥恕文言(「加害者の処罰を望まない」という被害者の意思表明)つきの示談を成立させるとともに、性嗜好障害のカウンセリングを受ける等して、不起訴処分を獲得できました。
・勾留決定を阻止した実例は?
過去、アトム法律事務所で扱った事案では、路上痴漢をおこない迷惑防止条例違反で逮捕された事件について、裁判官を説得して勾留請求を却下させた事案があります。
勾留請求を却下させた実例
- 事案
路上痴漢。後ろから胸をさわった(迷惑防止条例違反) - 示談
あり。宥恕文言あり - 弁護活動
・勾留請求の際、検察官と電話面談をおこない、裁判官に意見書を差し入れた結果、勾留請求が却下された。
・被害者との示談成立により、不起訴処分を獲得した。 - 結果
不起訴

弁護士
被害者の方に謝罪と賠償を尽くした結果、示談が成立し、不起訴処分となりました。
・準抗告で勾留を回避できた実例は?
過去、アトム法律事務所であつかった事案では、勾留決定に対する準抗告が認容されて、釈放されたものがあります。
同棲中の交際相手を殴り、傷害事件になった事案では、準抗告が認容されて釈放となりました。
勾留決定に対する準抗告が認容事例
- 事案
同棲中の交際相手を殴り、怪我を負わせた - 示談
有り。宥恕文言あり - 弁護活動
・「交際相手とは、解決するまで会わない。関係断絶も仕方ない」旨の誓約書を提出する等して、準抗告を認めさせた。
・被害者との示談成立等により、不起訴処分を獲得した。 - 結果
不起訴

弁護士
くり返される DV事件の場合、被害者と物理的な距離を置くことで、釈放が認められやすくなる傾向があるでしょう。
・保釈された実例は?(被告人勾留)
過去、アトム法律事務所であつかった事件において、保釈が認められた事例には以下のようなものがあります。
保釈 | 事案 | |
---|---|---|
① | 〇 | 大麻の単純所持。 合理性のない否認から、罪を認める供述に転じたことで、起訴直後に保釈が認められた。 |
② | 〇 | 妻へのDV(傷害事件)。 起訴直後に保釈が認められた。妻に近寄らない、実姉宅を住居とする等を誓約することで、保釈が認められた。 |
③ | 〇 | 覚醒剤使用2件。 当初、否認していたが、罪を認める供述に変えた結果、保釈が認められた。 |
④ | 〇 | 児童ポルノ製造・盗撮事件。 自宅兼職場から離れ、実家で生活することを条件とする等して、保釈が認められた。 |
⑤ | 〇 | ストーカー規制法・銃刀法違反。 保釈請求が却下されたことから、アトム法律事務所の弁護士に切り替えた。病院を制限住居にして、保釈が認められた。 |
⑥ | 〇 | 無免許運転かつ飲酒のうえ、事故を起こした(無免許危険運転致傷事件)。 起訴直後に保釈が認められた。 |

弁護士
供述の変遷、保釈後の環境等の要素が、保釈認容に大きく影響するでしょう。
保釈されるには必ず保釈金が必要です。保釈金の準備ができるかどうかも、重要です。
Ⅴ.勾留請求阻止・勾留回避は弁護士におまかせ?
勾留事件の弁護士費用は?
弁護士費用については、相談料、着手金、成功報酬、出張日当などがあります。
弁護士費用の内訳 | 金額(税込) |
---|---|
1.相談料 | 無料0円(初回30分、警察介入事件) |
2.着手金 | 44万円~ |
起訴による追加着手金 | 無料0円 |
3.成功報酬 | 11万円~(成果が無ければ0円)) |
4.出張日当 | 所要時間に応じて2.2万円~ |

弁護士
弁護士費用は、弁護士事務所によって異なります。
依頼を検討している弁護士事務所の料金体系をきちんと確認しておきましょう。
相談料
相談料とは、弁護士に正式依頼をする前に法律相談をする際の弁護士費用です。
初回無料、30分5000円、1時間1万円などで実施している弁護士事務所が多いでしょう。

弁護士
アトム法律事務所でも、警察に逮捕された事案、勾留された事案などでは、弁護士の相談料は初回30分無料です。
着手金
着手金とは、弁護活動に着手する対価となる弁護士費用です。事件の難易度によって、料金が変わることが多いでしょう。

弁護士
逮捕勾留されている事件、複数の被害者がいる事件では、それ以外の事件に比べて高額になる傾向があるでしょう。
成功報酬
成功報酬とは、弁護活動の成果の対価としてかかる弁護士費用です。弁護活動における成果が大きければ大きいほど、高額になりやすいといえます。

弁護士
どのような成果について、どのくらいの費用が発生するのかについて不明点がある場合、弁護士相談の際に、相談担当弁護士に直接確認するのがよいでしょう。
出張日当
出張日当は、弁護士の出張に対する実費日当としてかかる弁護士費用です。

弁護士
新幹線や飛行機など利用する乗り物によって、かかる費用が異なる場合があります。
勾留中の弁護士接見の費用は?
弁護士の接見日当についても、弁護士事務所ごとに異なります。
アトム法律事務所の弁護士接見日当の目安は、10分以内は2.2万円からです。
通常の出張日当の目安(交通費込み)
往復移動時間 | 金額(税込) |
---|---|
10分以内 | 2.2万円 |
30分以内 | 3.3万円 |
1時間以内 | 4.4万円 |
1時間30分以内 | 5.5万円 |
2時間以内 | 6.6万円 |
2時間30分以内 | 7.7万円 |
以降30分ごと | +1.1万円 |
* 新幹線や飛行機利用時の出張日当は除きます。「よくある質問」をご欄ください。
弁護士の法律相談予約窓口は?
勾留の要件がそろっている場合に、勾留されます。
裏を返せば、検察官の勾留請求を阻止したり、裁判官の勾留決定を回避したりするには、勾留の要件がそろっていないことを主張すればよいのです。
そのためには、ご自身のおかれた状況から、逃亡のおそれ・罪証隠滅のおそれが無いことを主張する必要があります。
身元引受人を立てたり、被害者との示談を進めたり等、やるべきことは沢山あるでしょう。
ですが、逮捕・勾留されたご本人・そのご家族が、これらを自力で成し遂げることは難しいものです。
このような時、刑事事件に強い弁護士に無料相談ができると、非常に心強いと思います。
アトム法律事務所は、設立当初から刑事事件をあつかってきた実績があります。
警察介入事件、逮捕勾留事件では、弁護士の相談料が初回30分無料です。

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了
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被疑者勾留を回避するには、検察官や裁判官と交渉して勾留を阻止する、準抗告で勾留決定を争う等の対策が考えられます。
被告人勾留については、保釈請求をおこない、早期釈放を目指すことが考えられます。