岡野武志弁護士

第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。

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微罪処分は前歴になる?公務員や就職への影響、バレる可能性、2回目はある?

更新日:

2025年6月より、懲役・禁錮刑が「拘禁刑」に統一されました。

  • 微罪処分は前歴になる?バレる可能性は?
  • 微罪処分で公務員や民間の就職への影響は?
  • 1回目で微罪処分、2回目はどうなる?

軽微な法律違反で警察に届けられた場合、「微罪処分(びざいしょぶん)」として事件が送致(検察に引き渡し)されずに終わるケースがあります。

「微罪処分なら大ごとにならないし、一件落着かな…?」と思ってしまう方も多いかもしれません。

しかし、「微罪処分を受けたことは前歴になるの?」「就職活動や公務員試験でバレる可能性は?」「また同じことをしたら次はどうなるの?」といった不安を抱える方も少なくありません。

この記事では、実際に微罪処分を受けた方のために、微罪処分と前歴の関係や就職への影響、微罪処分がバレる可能性などをわかりやすく解説していきます。

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そもそも「微罪処分」とは?法律上の定義と対象行為

微罪処分とは

「微罪処分」とは、刑法などに違反する行為があったものの、処罰の必要がないと判断された場合に、検察に送致(そうち)せず、警察内部で手続きを完結させる制度です。

主に、以下のような軽微な犯罪行為が対象になります。

微罪処分の対象となる例

行為具体例
窃盗コンビニでのお菓子盗難(少額)など
器物損壊他人の物を壊したが被害が軽かった
迷惑防止条例違反軽度な痴漢行為など(被害者と示談済の場合など)
軽犯罪法違反のぞき、立小便など

たとえば、「つい出来心で万引きしてしまったが、被害弁償し、店側が被害届を出さなかった」ようなケースでは、微罪処分になることがあります。

微罪処分の主な特徴

微罪処分の主な特徴は以下の通りです。

  • 事件が検察にまで送られず、刑事裁判にはならない
  • 前科(有罪判決の記録)にはならない
  • 記録は警察内部に残る

つまり、「刑事事件としては終結しているけれども、警察の中には記録が残る」処分です。

微罪処分となる要件

微罪処分の要件は、(1)犯罪の中身が軽微であること、(2)被疑者が十分に反省していること、(3)被害が適切に回復されること、(4)身元引受人がいることといえます。

もっとも、実際に微罪処分が適用されるかどうかは、警察署内の判断に委ねられており、すべての事件で同じように適用されるわけではありません。

また、微罪処分となった場合でも、警察内部には記録が残り、全く「なにもなかった」というわけではない点にも注意が必要です。

微罪処分でも「前歴」になる?前科との違いに注意

「前歴」と「前科」は似たような言葉ですが、意味合いは異なります。結論から言えば、微罪処分は「前歴」になりますが、「前科」はつきません

前歴は、警察などの捜査機関から捜査された経歴のことです。一方前科は、有罪判決をうけた経歴のことです。

前科と前歴の違い

前科前歴
意味有罪判決を受けた記録逮捕・事情聴取・検挙歴など
どこで記録されるか法務省・犯罪歴として正式に登録される主に警察内に記録が残る(非公開)

微罪処分の場合、有罪判決が出るわけではないため「前科」にはなりません。しかし、警察は「事件として処理した」という記録(前歴)を内部的に保持します。

つまり、微罪処分を受けたことが「前歴」として残る可能性はあります

ただしこの前歴は、一般には公開されず、通常の生活では問題となることはほとんどありません。

微罪処分は誰かにバレる?

【基本】社会一般にはバレにくい

微罪処分は検察に送致されず、裁判も行われないため、一般に公開されることはありません。報道されることも基本的にないため、知人や職場など周囲の人に知られる可能性は低いといえます。

また、前歴は警察内部の情報にとどまるため、他人が調べることもできません。したがって、自分から話さない限り、知られることはまずありません。

微罪処分が発覚するか否かのポイント

  • 本人が話さなければ、バレる可能性は非常に低い
  • 報道されることは基本的にない
  • 警察の内部記録にとどまり、他人には調べられない

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【注意】「身元引受人」には必ず知られる

微罪処分を受ける際には、「身元引受人」が必要となります。これは、今後は問題を起こさないよう責任を持つことを警察に約束する人のことです。

一般的には以下のような方が身元引受人になります。

  • 家族(親、配偶者など)
  • 親族
  • 職場の上司

身元引受人になる際には、警察署に呼ばれ、事件の概要や状況を説明されるため、その人には必ず事情が知られてしまいます。

微罪処分で就職・資格、公務員に影響はある?

就職・転職(民間企業)

一般的に、民間企業が個人の前歴(警察での取り調べ歴など)を調べることはできません。そのため、たとえ過去に微罪処分を受けていたとしても、企業に知られることは基本的にないでしょう。履歴書に記載する義務もありません。

つまり、多くの場合、微罪処分が就職や転職に影響する可能性は低いといえます。

ただし、以下のようなケースでは注意が必要です。

  • SNS投稿などを通じて問題行動が明るみに出た
  • 報道などで名前が出ており、検索すれば過去の情報が見つかる

こうしたケースでは、企業に知られる可能性もゼロではありません。

公務員試験・国家資格

公務員試験や国家資格の取得においては、前科の有無が重要視されることが一般的です。

微罪処分で前科はつかないため、微罪処分を受けたことだけで不合格になる可能性は非常に低いと考えられます。履歴書やエントリーシートに記載する必要も基本的にはありません。

ただし注意が必要なのは、以下のような公安系の職種を希望する場合です。

  • 警察官
  • 自衛官
  • 教師(特に公立学校)など

これらの職種では、より厳格な身辺調査や信用性確認が行われることがあり、過去の微罪処分が確認される可能性もゼロではありません。ただし、それがただちに採用不可の理由になることはまれです。あくまで人物全体の評価のうちのひとつの要素として扱われるにとどまるのが一般的でしょう。

そもそも公務員は微罪処分になりにくい?

公務員は一般の人に比べて微罪処分になりにくい傾向があります。

警察や検察の運用によって違いはありますが、「公務員は微罪処分にしない」「必ず検察庁に送致する」「職場に連絡する」といった対応が取られる地域もあります。

法律(刑事訴訟法)上は、公務員だからといって微罪処分の対象外とする明確な規定はありませんが、実務上は「公務員の犯罪は微罪処分になじまない」とされ、送致されるケースが多くなっているのが現状です。

公務員が微罪処分を受けた場合、職場に発覚すると公務員としての評価や処分に影響する可能性はゼロではありません。

微罪処分であっても、公務員倫理に照らして問題があれば懲戒処分の対象となる可能性があります。

具体的には以下のような処分があります。

懲戒処分の種類と内容

懲戒処分の種類内容
戒告注意・指導のみ。最も軽い処分
減給一部給与が減らされる
停職一定期間、職務に就けなくなる
免職(懲戒免職)職を失う。最も重い処分で、公務に復帰できない

このような処分は、微罪の内容や職務との関連性、日頃の勤務態度などを踏まえて決定されます。

また、たとえ懲戒処分を受けなかったとしても、内部記録に残ることにより、将来的な人事評価や昇進に影響が出るおそれはあるでしょう。

微罪処分を2回受けることはある?再犯のリスクと警察の対応

1回目の軽微な犯罪であれば、「微罪処分」として事件終了となるケースはあります。しかし、2回目となると状況は大きく変わります。2回目以降の微罪処分は、原則として認められません

たとえ1回目と同じ軽微な犯罪行為でも、警察や検察の見方が厳しくなり、次のようなリスクが生じます。

  • 「情状が悪い」と判断され、送致(検察に送られる)される可能性
  • 軽微でも2回目以降は再犯と評価され、正式な捜査対象となる
  • 検察が略式起訴や正式起訴を選ぶことで、前科がつくおそれ

警察から見た「同じ行為を繰り返す人物」という評価は大きく、その後の対応が厳しくなる傾向にあります。

したがって、微罪処分を受けたことがある場合は、二度と同じ行動を繰り返さないよう注意が必要です。

まとめ:微罪処分は前歴になる

「微罪処分」とは、刑法などに違反する行為があったものの、処罰の必要がないと判断された場合に、検察に送致(そうち)せず、警察内部で手続きを完結させる制度です。

微罪処分は「前科」ではありませんが、警察の記録に残る「前歴」になります。ただし、前歴がついたとしても民間企業の就職活動や公務員の資格に影響を与える可能性は低いです。

また、2回目以降の微罪処分は、原則として認められていないため、事件が送致され、状況によっては起訴されて前科がついてしまうおそれがあります。

前科を防ぐためには弁護士を通じて被害者との示談や被害弁償を尽くすことが大切です。お悩みの方は弁護士にご相談ください。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了