デジタルタトゥーの消し方を知りたい。削除を依頼するなら弁護士に相談しよう

デジタルタトゥー

ネット上に自分のことが書かれている!
過去のことは誰にも知られたくないのに…

ネット上に残っている情報を家族や友人の目に触れる前に消したい拡散される前に対処したいと考えるのは自然なことでしょう。

デジタルタトゥーは、結婚、就職、進学などあらゆるライフステージの変化を妨げる可能性があります。

なかには「若気の至り」「黒歴史」のようにご自身に心当たりのある情報もあるでしょう。逆に、ご自身では意図せずにネット上にアップロードされてしまっているケースもあります。

デジタルタトゥーは、運営・管理者への削除依頼や法的手続きによって削除できる可能性もありますので、一人で悩まずにしかるべき相談窓口を頼ってください。

デジタルタトゥーにはどんなものがある?

デジタルタトゥーとは、インターネット上に投稿された後、完全な削除が困難または不可能な情報すべてのことで、テキスト、画像、動画など様々な種類があります。

デジタルタトゥーの具体例についてみていきましょう。

誹謗中傷やデマ

とくに匿名掲示板やSNSでは、お互いの顔が見えないことから相手を傷つけるような書き込みをする人や適当なデタラメを書いてしまう人もいます。

そうした誹謗中傷やデマも削除されない限りはずっとネット上に残り、色々な人の目にさらされ続けるのです。

その書き込みがさらに別のサイトに転載されたり、引用や拡散をしたりして、最初は特定のサイトだけに書かれていたことが他サイトへ広がってしまいます。

仲間内での悪ふざけ

近年問題になっている「バイトテロ」や「店舗での迷惑行為」も、きっかけは仲間内での悪ふざけでした。

親しい仲間内で善悪の分別のつかないままおこなったいたずら行為が流出し、世間の目にさらされることで炎上して拡散されることがあります。また、その迷惑行為は犯罪行為にあたるものとして逮捕され、刑事処分が下される事態になった事件もありました。

とくにX(旧Twitter)やFacebook、インスタグラムといったSNSの普及による「シェア」「リポスト」で拡散スピードが加速傾向にあるのです。

性的な動画や画像

恋人やパートナーが、別れたことへの復讐に、裸の写真や性的な動画などをインターネットなどで公開する「リベンジポルノ」が問題になっています。

リベンジポルノは犯罪行為にあたる可能性があるので、より緊急度が高い被害事案として警察に相談すべきです。下記の関連記事も参考にしてください。

出演したアダルトビデオ

違法アップロードによって想定外のサイトに流出して人目につきやすくなってしまうと、身バレするリスクは高まります。

出演したアダルトビデオも、違法性の高いものは削除したり、販売差し止めを求めたりする方法もあるので、諦める必要はありません。

関連記事『ネット上のAVを削除したい…アダルトビデオの削除方法と違法な撮影・契約を解説』でくわしく解説しているので、過去の出演AVを削除したい方は併せてお読みください。

個人情報

個人情報とは、名前、住所、電話番号などに代表される「その情報あるいは周辺情報から人物を特定できる情報」をさします。

個人情報が晒され続けると、そこから紐づいてさらにプライベートな情報まで特定される可能性があります。

あるいは個人情報が悪用されてしまい、いわれもない非難を受けたり、犯罪行為に巻き込まれたりするという最悪のケースも起こりえるでしょう。

個人情報の晒し行為から日が経ち過ぎていると難しくなる対処もあるので、関連記事『個人情報である実名や電話番号が晒されたらどうする?訴えることはできる?』も参考にしてください。

逮捕歴や前科

ネットニュースや報道記事そのもの、その報道を引用した書き込みが残ること、まとめサイトがつくられることなどでネット上に残り続ける可能性があります。

犯罪報道については、みんなが知るメリットが大きい(公益性が高い)と判断されるケースもあるので、一概にすべてを消せるわけではありません。

しかし冤罪事件や不起訴になった理由次第では、長くネットに残ることが不適切であると判断される事案もあり、削除依頼が認められる可能性もあるでしょう。

関連記事『実名報道の逮捕記事を削除依頼する方法|ネット上の逮捕歴を削除したい』では、ネット上の逮捕・前科の削除についてくわしく解説しているので参考にしてみてください。

デジタルタトゥーの消し方|削除の依頼先は複数あり

投稿した人物に削除を依頼する

投稿者を知っていたり、連絡手段があったりする場合には、本人に直接連絡をして削除してもらう方法があります。

連絡を取る際には、削除してほしい理由を明記しつつも、感情的にならず丁寧な言葉づかいで依頼するようにしましょう。

なお、削除を依頼することでかえって炎上してしまう「再炎上」のリスクがあること、伝え方次第では感情を逆なでして怒りを買う可能性があることも留意しておいてください。

投稿されたサイトやSNSに削除を依頼する

デジタルタトゥーが残っているサイトやSNSの運営者もしくは管理者に削除を依頼する方法があります。

各サイトごとの削除申請方法に従い、利用規約のどの部分に違反しているのかを明記して削除を求めるようにしましょう。

なお、削除申請自体が公開される方式をとる掲示板もあるので、相手が運営者や管理者であっても乱暴な言葉遣いはせず、また、不必要に自分の情報を書かないようにしてください。

各サイトごとの削除方法は関連記事でくわしく解説しています。

削除をサポートする機関に相談する

ネット上の書き込み削除を支援する相談窓口として、「一般社団法人セーファーインターネット協会(SIA)」による「誹謗中傷ホットライン」と「セーフライン」があります。

誹謗中傷ホットライン

セ―ファーインターネット協会の誹謗中傷ホットラインは、国内外のプロバイダ等に利用規約に沿った削除対応を促す通知をおこなってくれます。

誹謗中傷の連絡をおこなうのは原則本人ですが、児童の場合は保護者や学校関係者も可能で、利用は無料となっています。

セーフライン

セ―ファーインターネット協会のセーフラインは、国民から受けた情報をガイドラインに照らして「違法情報」「有害情報」と分類し、国内外のプロバイダに対して迅速な削除措置を要請してくれます。

具体的には、いじめの画像や動画、リベンジポルノに該当する画像や動画、児童ポルノ、わいせつ物、売春目的、薬物などです。またフィッシング行為や不正アクセスを助長する行為、自殺に関与するものも対象とされています。

こうした相談機関のほか、ネット上のトラブルを相談する窓口の利用を検討している方は関連記事『ネットトラブルや嫌がらせの相談窓口はどこ?無料相談や電話相談先を紹介』も参考にしてください。

弁護士に削除を依頼する

デジタルタトゥーの削除に関しては、弁護士がサイト運営や管理者に削除を依頼する方法のほか、裁判所の仮処分申立てをおこなう方法があります。

サイト運営や管理者への削除要請はご自身でも可能ですが、削除要請文のなかで「どういった権利侵害が起こっているのか」を明確に主張する上では法的知識があった方が有利です。

裁判所の仮処分申立て

裁判所の仮処分申し立ては、裁判所の命令で、本訴訟の判決が出る前に、一時的に権利を守るための手段です。

仮処分申立てからデジタルタトゥー削除までの流れは以下になります。

仮処分申立ての流れと削除命令

  • 申立書や証拠など必要書類を準備
  • 裁判所に申立てをおこなう
  • 審理
  • 担保金を納付する
  • 削除の仮処分命令が発令される
  • サイト運営や管理者が削除する

なお、仮処分には担保金の納付が必要です。正当な申立てであると認められた場合には返還されますが、いったん納付が必要になるので、仮処分申立ての書類を準備する際には用意しておきましょう。

メリットとデメリット

仮処分は迅速な対応ができることがメリットです。

一方で仮処分申立てをしても認められるとは限らないことや、通常の裁判よりも簡便とはいえ法的手続きであり独力では難しいというデメリットがあげられます。

まずは弁護士に相談をしてみて、どれくらいの費用がかかるのか、申立てが認められる可能性はあるのかなどおおまかな見立てを確認しておきましょう。

削除請求の仮処分申立てについてもっとくわしく知りたい方は、関連記事『削除請求の仮処分申立てとは?ネット上の誹謗中傷や名誉毀損への法的手続き』も併せてお読みください。

デジタルタトゥーをつくらないための方法

ネットへの投稿は慎重におこなう

ネットに公開するものは必ず慎重に検討してください。自分の意図しないところへ拡散されたり、想像しているよりも多くの人の目に晒されたりしています。

ネットに投稿する前には、ご自身の投稿が他人の権利を侵害したり、傷つけたりすることのないよう、もう一度内容をよく読んでおくことが大切です。

自分の個人情報は自分で守る

ネット上にアップロードした些細な投稿から、いわゆる「特定犯」は簡単にあなたのことを特定する可能性があります。

写真に映っている背景や投稿時間そのものから住所を特定されたり、投稿内容から年齢や職業が特定されたりする可能性もあるのです。

1回の投稿内容だけでなく、これまでの投稿を組み合わせることで容易に個人特定できる場合があります。

親しい間柄でも性的な画像は渡さない

配偶者や恋人から裸の写真や性的な動画を撮影されたり、送信を要望されたりしても応じないようにしましょう。もちろん、相手に対して求める行為も厳禁で、交換だから大丈夫ということはありません。

将来的に関係が終了したり、こじれたりした場合に相手が態度を豹変させてくる可能性があります。相手からのリベンジポルノ被害を防ぐためにも、どんなに親しくても線引きは必要です。

デジタルタトゥーの削除に関してよくある質問

自分で作ったアカウントは消せますか?

過去に作成したアカウントについて、いわゆる「黒歴史」が心配になり、就職や結婚を機に削除しておきたいという人もいます。しかし、なかにはパスワードを忘れてしまってログインできず、対処に困る方もおられるでしょう。

たとえば昔のアカウントについて、X(旧Twitter)であればヘルプセンターからアカウント停止を依頼できる場合があります。

もっとくわしく知りたい方は、関連記事『Twitterアカウントの削除方法|自分で削除できないなら弁護士へ』をご覧ください。

削除申請だけでなく投稿者の特定は可能ですか?

投稿された内容が権利侵害にあたること、投稿日から日が経ち過ぎていないことなど一定の条件を満たす場合には、開示請求による特定ができる可能性はあります。

ただし「相手を知りたい」というだけでは正当な特定理由とは言えません。具体的には、権利回復のために賠償請求をおこなうことや、刑事告訴といった目的達成という合理的な理由が必要です。

投稿者の特定については、下記の関連記事でくわしく説明しています。

デジタルタトゥーは完全に削除できますか?

一度インターネット上にアップロードされたデータを完全に削除することは困難といえます。なぜならコピー、スクリーンショットなどで増やすことは簡単ですし、SNSによる拡散も容易だからです。

まずはこれ以上拡散される前に少しでも早く対処することを優先しましょう。

削除依頼は弁護士でないとできませんか?

削除依頼は、誹謗中傷を受けた本人と、その本人から任せられた弁護士のみ可能です。 もっとも当事者が児童などであれば親権者でも削除依頼が可能な事案もあるでしょう。

たとえばインターネットトラブルにくわしい業者であっても、報酬を得る目的で削除を代行することは非弁行為であり認められません。サービス内容によっては違法にあたります。

デジタルタトゥーによる権利侵害とはどんなものがありますか?

たとえばあなたの顔写真がネット上に掲載された場合には、肖像権侵害やプライバシー侵害に該当する可能性があります。

ネット上に顔写真を掲載することはただちに「犯罪行為」とはいえませんが、顔写真と共に「前科がある」「こいつはブス」などと書かれた場合は、名誉毀損罪や侮辱罪も検討すべきでしょう。

権利侵害の具体的な内容は法律の専門家である弁護士に聞いてみてください。

デジタルタトゥーの削除について弁護士ができること

デジタルタトゥーの削除について弁護士に相談すると次のようなメリットが期待できます。

  • 削除申請のアドバイスを受けられる
  • 削除申請されなかった場合の対処法を熟知している
  • 裁判所の仮処分申立てが認められる見込みが聞ける
  • 各手続きにかかる弁護士費用の相場がわかる

デジタルタトゥーの被害者に対する無料相談をおこなう法律事務所もあります。相談時には、投稿がなされたサイト名・投稿そのもののURLとそのスクリーンショット、投稿日などの証拠を保存して持参するとより踏み込んだ助言が受けられるでしょう。

デジタルタトゥーの内容によって、削除を依頼する方法は様々にあります。もしサイトやSNSに削除申請をする場合には、利用規約のどの部分に違反しているのかを明記することが大切です。

また必要に応じて裁判所に仮処分を申立てたり、警察への相談が必要なケースもあります。

報酬を得る目的で削除申請を代わりにおこなえるのは弁護士です。そのため一部の削除代行業者は、サービス内容次第で違法な可能性もあるのです。

デジタルタトゥーの削除方法や今後の方針は、インターネット上のトラブルにくわしい弁護士に相談することをおすすめします。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

現在、相談窓口を鋭意準備中です。
何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。