ネット上のAVを削除したい…アダルトビデオの削除方法と違法な撮影・契約を解説

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ネット上のAVを削除

モデルとしてスカウトされたがいつのまにかAVに出演させられていた
自分のAVがアダルトサイトに転載されている

過去の出演動画がバレることを恐れる出演者の方は多く、とくに結婚、就職といった人生の節目を迎えたときに「過去の出演動画を削除したい」と考えるのは自然なことです。

家族・パートナー・友人に知られたくないと思っても、莫大な違約金を要求されたり、周囲の人にAV出演をバラすと脅迫されてしまい、しぶしぶ出演したケースもあるとされています。

契約そのものに違法性があったり、ネット上に違法アップロードされているAVについて、その削除方法をみていきましょう。

自分の出演するAVが削除されやすいケース

自分の出演するAVが削除されやすいケースとしては、次のような場合とされています。

  • メーカーがAV人権倫理機構に加盟しているケース
  • 違法な撮影であったケース
  • 違法アップロードであるケース

それぞれについてくわしく説明します。

AV人権倫理機構に加盟しているケース(販売停止の申請)

過去に出演したAVについて、出演作品の販売停止を希望することができます。

ただし、AV人権倫理機構に賛同しているAVメーカーやプロダクションが対象です。

AV人権倫理機構のフォームの利用

AV人権倫理機構の枠組みに入っているメーカーやプロダクションであれば、この機構のフォームによって販売停止の申請が可能です。

所定のフォームには、出演時の女優名(男優名)、元所属プロダクション名、本名やメールアドレスのほか、販売停止を希望する媒体を記載します。

また、販売停止を希望する理由として、身バレしたため、学生生活への支障のため、婚約、就職などの理由を記載して提出する流れです。要は

もっとも違法サイトにアップロードされた動画の削除ではなく、正規ルートでの販売の停止を求める忘れられる権利を保障する制度であることにご留意ください。

くわしい手続きの流れは、AV人権倫理機構内の「作品販売等停止申請」のページをご確認ください。

違法な撮影であったケース

アダルトビデオの撮影そのものが犯罪行為にあたる場合、契約や撮影内容に違法性がある場合には削除できる可能性があります。

違法な撮影については本記事内「違法性の高いAV撮影とはどんなもの?」にてくわしく解説しているので、続けてお読みください。

違法アップロードであるケース

AV動画が販売元の許可なくアダルトサイトや個人サイトにアップロードされているときには、削除できる可能性があります。

こうした違法アップロードは、著作権侵害、肖像権侵害、名誉毀損といった権利侵害に該当する場合があるでしょう。

違法性の高いAV撮影とはどんなもの?

違法性の高いAVであれば、削除の請求が通る可能性がより高まるでしょう。違法性の高いAVには、次のようなものがあげられます。

  1. 強制や暴力を伴って撮影された
  2. AVの内容が公序良俗に反する
  3. 出演者が18歳未満である

違法性が高いということは、いわゆる警察が介入する犯罪行為に抵触しうるという意味です。それぞれについて解説します。

強制や暴力を伴って撮影された

次のように強制や暴力によって撮影されたケースは、違法性が高いため削除されやすい傾向です。

  • AV出演と聞かされておらず、断ると大勢に囲まれて事務所から出してもらえなかった
  • 家族や学校にバラすなどといって脅されて出演せざるをえなかった
  • 高額な違約金を請求され、とても支払えずに出演するしかなかった

こうしたケースは強要罪や脅迫罪にあたる可能性があり、犯罪行為によって撮影されたAVです。違法性が高いものとして削除要請が通る可能性があります。

AVの内容がわいせつ物に該当する

AVが無修正であれば「わいせつ物」に該当する可能性があります。こうした無修正のAVを販売することは、わいせつ物頒布罪として懲役刑にもなり得る行為です。

出演者が18歳未満である

18歳未満との性行為は、条例違反にあたる犯罪行為です。ここに相手の同意は関係ありません。

こうした犯罪行為の現場を撮影しているAVは違法性が高く、削除要請が通りやすい可能性があります。

【コラム】AV出演被害防止・救済法とは?

令和4年6月に成立した「AV出演被害防止・救済法」によって、AVの出演契約をとりやめたり、撮影動画の公表を差し止めたり、「なかったことにできる権利」が保障されました。

AV出演被害防止・救済法の要点の一部をまとめます。

契約の締結・履行について

  • 映像制作者は、AVひとつごとに契約書を作成して出演者に対して交付し、契約内容を詳しく説明する義務がある
  • 契約書交付後の1ヶ月は撮影できない
  • 意思に反した撮影・嫌な行為に対し、出演者は断ることができる
  • 撮影終了後4ヶ月間は映像の公表は禁止
  • 出演者は撮影された映像を公表前に確認できる

有罪判決の事例もある

実際に、出演者に撮影内容の説明書を渡さなかったなどとして、AV出演被害防止・救済法違反の罪などに問われた人物が有罪判決を受けた事案もあります。

無効・取消・解除について

  • AVを特定しないで出演義務を課す契約は無効
  • 出演者に不利な損害賠償を定める条項は無効
  • 書面の交付義務・説明義務に違反があれば、出演契約は取り消せる
  • 撮影同意後も公表から1年は無条件で契約を解除できる(令和6年6月22日までの契約は2年)

このほか、出演者は契約期間を超えた映像の公表がある場合や、契約取消・解除をした場合は、販売の差し止め・配信停止を請求できます。

こうしたAV出演被害防止・救済法をもとに販売元と交渉したいという方は、弁護士に相談することも有効です。無料相談を活用してアドバイスを受けたり、弁護士のサポートが必要な場合は依頼も考えてみてください。

もっとくわしい解説は、政府広報オンラインをご覧ください。

違法アップロードのAVを削除する方法

違法アップロードのAVを削除する方法は、サイト管理者への削除申請や裁判所の仮処分手続きなどがあげられます。

いずれも法的根拠が重要になるので、弁護士に相談して、必要に応じて依頼することも必要です。

サイト管理者に削除を依頼する

違法アップロードされているサイトの管理者に対して、削除の申請をおこなう方法があります。サイトごとに申請方法が異なるので、利用規約内で確認しましょう。

削除申請にあたっては、違法アップロードであるURL、違法アップロードがどういった権利を侵害しているのかを明記する必要があります。

違法アップロードの場合には、著作権侵害、名誉毀損などに該当する可能性がありますが、権利侵害の内容は動画ごとの判断が必要です。

削除を申請する文面も重要になるので、弁護士に記載内容を相談することをおすすめします。

裁判所の仮処分で削除を命じてもらう

サイトの管理者に削除を求めても、必ず応じてもらえるとは限りません。そこで、裁判手続きを利用することも検討しましょう。

裁判所に対して削除の仮処分を申立て、認められた場合には、裁判所からサイトの管理者に削除を命令してもらえます。

仮処分とは、申立者の権利保全のために正式な手続きを待っていられないとき、裁判所が暫定措置として命じることができるものです。

仮処分の申立書のほか、裁判所で審理を受けるための証拠をそろえる必要があるので、一人で全てをやろうとせず弁護士に依頼することも有効でしょう。

削除請求の仮処分申立てでできること、仮処分申立ての流れや費用については関連記事『削除請求の仮処分申立てとは?ネット上の誹謗中傷や名誉毀損への法的手続き』でくわしく解説しています。

削除依頼を弁護士に任せるメリットは大きい

削除依頼を弁護士に任せるメリットは、早急かつ的確な対処がとれること、周囲にバレるリスクが減ることといえます。

AVの削除を考えている方は、「一刻も早く消したい」と考えておられるでしょう。しかし、サイトの管理者に削除を求めるにせよ、裁判所の仮処分手続きを利用するにせよ、法的な知識が求められます。

早急かつ的確な対処が取れるのは、法律のプロである弁護士です。

なお、削除代行を受け付ける業者もありますが、そのサービス内容次第では違法行為といえます。対価を得る目的で削除をおこなうと、それは非弁行為といって、違法になるのです。

削除依頼を弁護士に任せることで、迅速な対応が取れることはもちろん、被害者自身がサイトの管理者や裁判所からの連絡に直接応じることもなくなるので、周囲にバレにくくなり、日常生活に支障が出にくいでしょう。

AV出演の被害に関する相談窓口

AV出演に関する被害を相談したい場合には、その相談内容に応じて様々な窓口があります。その一例として、警察、性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター、弁護士を紹介するので参考にしてください。

警察(脅迫・強要・詐欺行為など)

脅迫行為により無理やりAVに出演させられた、出演を拒否すると相当な違約金を請求されてやむなくAVに出演したというような場合には、強要罪などの犯罪行為として警察に被害申告すべきです。

あるいは「モデルにならないか」「芸能界に入らないか」などといいつつAV女優に就かせる目的で合ったときには、職業安定法違反ともいえます。

アダルトビデオ出演の相談は、#9110(警察相談専用電話)または各都道府県警察本部の相談窓口、最寄りの警察署で相談可能です。

もしお一人で警察署へ行くことをためらうという場合、弁護士に依頼すれば同行もしてもらえます。

性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター(内閣府)

性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センターに、#8891から相談可能です。最寄りのワンストップ支援センターにつながる、通話料無料の相談先になっています。

各相談センターごとに受付日時・夜間休日のコールセンター・相談電話番号・メールアドレスがあるので確認してみてください。

窓口の詳細は、ホームページ「内閣府男女共同参画局 性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター」より確認いただけます。

弁護士(権利侵害の訴え、法的措置の検討)

AV削除における法的根拠を知りたい方、法的対処をとりたい方は弁護士への相談が有効です。

弁護士相談としては、各都道府県に設けられている弁護士の団体「弁護士会」の法律相談を利用できるケースがあります。「ひまわりお悩み110番」から問い合わせ可能です。

あるいはインターネットなどで弁護士を検索して、ご自身で相談したい弁護士を選ぶことも可能です。弁護士会の法律相談は相談する弁護士を選べません。ご自身で探す場合には、インターネットトラブル、AV削除などの実績がある弁護士を選ぶことができます。

出演したAVの削除に関してよくある質問集

出演したAVを削除できるのか、違法なのかという質問を多く受けます。

よくある質問にお答えしますので、参考にしてください。

出演を断ったときの違約金はどんな金額でも支払う必要がある?

あまりに高額な違約金の請求は無効であるとされています。そのため、「AVに出演しないなら違約金が必要」といわれて、あまりに高額な金額を支払う必要はありません。

もし違約金を請求されている場合は無効になる可能性があります。また、そうした脅迫を受けて出演したAVについては公開の差止めなどの対処も取れるでしょう。いずれにせよ、一人で悩まず弁護士に相談してみてください。

契約内容の説明を受けていない私が悪いでしょうか?

AV制作側は、ひとつのAVに対して契約書を作成して、出演者に交付し、内容を説明する義務を負います。

そのため契約内容の説明がなされていないことは、AV制作側の犯罪行為です。そうした行為の下で撮影されたAVは販売差し止めができる可能性もあるので、警察や弁護士への相談を検討しましょう。

周囲にバレたくないのですが裁判以外で削除する方法はありますか?

弁護士に依頼すれば、裁判前の交渉も任せることができます。

また仮に裁判に発展しても、あなたが毎回裁判所に出廷する必要はありません。弁護士に任せることが出来るので、バレてしまうリスクや日程調整の負担は大きく軽減できるでしょう。

AVではないけれど私的な性的動画が流出しているときは?

違法アップロードサイトに、AVに紛れてご自身のプライベートな性的動画や画像が晒されているとき、リベンジポルノにあたる可能性があります。

リベンジポルノの主な意味は、元恋人や元パートナーの性的な動画・画像を不特定多数の人に公開する嫌がらせです。

リベンジポルノの相談先や削除方法については関連記事でくわしく解説しているので参考にしてください。

AVの削除は弁護士に任せて心の負担を軽くしよう

動画サイトに削除してもらえない場合や、自分で対応するのが難しい場合は、弁護士に相談することをおすすめします。

弁護士は、動画サイトとの交渉や、法的措置などの対応をサポートが可能です。

  • AV削除の見通しを聞ける
  • 動画サイト管理者への削除交渉を任せることができる
  • 裁判所の仮処分手続きを熟知しており、スムーズに着手できる
  • 刑事事件とすべきかなど、全般的なサポートや助言を受けられる

無料の法律相談をおこなう法律事務所も多いので、積極的に活用してみましょう。弁護士選びのポイントを知りたい方は、下記バナーより解説記事もあわせてお読みください。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了