リベンジポルノを削除したい。ネット画像・動画への対処法と削除依頼窓口

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リベンジポルノ削除

リベンジポルノの削除方法はいくつかありますが、いずれの方法を採るにしても弁護士への依頼が有効といえます。

なぜなら削除を申請する際、どういった権利侵害が生じているのかを法的根拠に基づく説明が求められるからです。早急に削除したいと思っていても、気が動転した状態で適切な対処をとることは難しいものです。

また、相手に賠償請求しようにも、直接連絡を取りたくないという理由で泣き寝入りする人もおられるでしょう。弁護士に依頼すれば、相手とのやり取りを一任できるので安心して任せることができます。

この記事ではリベンジポルノの削除方法や削除を依頼する窓口、ネット上の流出動画への対処法を解説します。

リベンジポルノの削除を依頼する方法

リベンジポルノを削除する方法としては、サイト管理者に削除を依頼する方法、送信防止措置依頼をおこなう方法、裁判所の仮処分申立てで削除を命令してもらう方法があげられます。

それぞれの概要とメリット・デメリットをみていきましょう。

サイト管理者に削除を依頼する方法

リベンジポルノの削除を依頼する最も一般的な方法は、掲載されているサイトの管理者に削除を依頼する方法です。

削除依頼を行うには、サイトの管理者宛に、削除依頼の旨を記載した書面を送付する必要があります。書面には、以下の内容を記載します。

  • 削除を依頼する者の氏名・住所・連絡先
  • 削除を依頼する画像・動画のURL
  • 削除を依頼する理由
  • その他サイトが指定する内容

削除依頼の書面は、サイトの管理者のWebサイトに掲載されている削除依頼フォームを活用しましょう。

サイト管理者が削除依頼に応じてくれるかどうかは、サイトの運営方針によって異なります。サイト管理者が削除依頼に応じてくれない場合は、他の方法を検討する必要があります。

自分で削除を依頼するときの注意点

削除依頼をしたことが公開される形式のサイトもあるので、個人名で削除依頼フォームを利用する場合は慎重な検討も必要です。

弁護士に依頼すれば、サイトごとの特徴を見極め、サイト管理者に対して削除依頼をおこなえます。ただし弁護士費用が発生することや、必ずしも削除に成功するとは言えない点がデメリットです。

サイト管理者に送信防止措置依頼をおこなう方法

送信防止措置依頼とは、ネット上のリベンジポルノを削除するようにプロバイダーへ依頼する措置です。裁判所の手続きではなく、プロバイダ責任制限法にもとづく手続きになります。

ここでいうプロバイダーはサービスを提供しているコンテンツプロバイダのことです。たとえば「Yahoo!知恵袋」であればヤフー株式会社というように、サービスの提供会社をさします。

送信防止措置依頼は次のようなことをしっかり示すことが大切です。

  • 権利侵害をされた者の氏名・住所・連絡先
  • 送信防止措置を請求する画像・動画のURL
  • 権利侵害の内容
  • 権利侵害の理由

送信防止措置依頼の書面は、サイトの管理者のWebサイトに掲載されている送信防止措置依頼フォームから送付することもできます。

送信防止措置依頼を受けたプロバイダーは、発信者に「送信防止措置要請」があったことを通知し、意思確認をします。リベンジポルノの場合は2日以内に反論がなければ、プロバイダー側は削除などの送信防止措置を講じることが可能です。

裁判所の仮処分申立てで削除を命令してもらう方法

裁判所の仮処分申立てとは、裁判所に対して、緊急かつ一時的な措置を命じてもらう方法です。

リベンジポルノの削除を目的とした仮処分申立てを行うには、裁判所に仮処分申立書を提出する必要があります。

裁判所は申立書を審査した上で、仮処分の必要性や緊急性を認めた場合、リベンジポルノの削除を命じる仮処分命令を下します。

裁判所の仮処分命令に従う可能性は十分あります。

弁護士に仮処分申立てを任せるメリット

仮処分申立ては緊急の措置であるため、早くおこなうことが最大のメリットです。

ところが仮処分申立ての準備に時間がかかってしまうと、「緊急の措置」というメリットが小さくなってしまいます。

弁護士は裁判所への手続きにくわしく、仮処分申立てに必要な書類を熟知しています。仮処分申し立てをするならば、早急な対応ができる弁護士に任せるべきでしょう。

ただし仮処分申立ての費用とは別に、弁護士費用がかかるというデメリットには留意してください。

仮処分申立てについては、関連記事『削除請求の仮処分申立てとは?ネット上の誹謗中傷や名誉毀損への法的手続き』でも解説しています。もっとくわしく仮処分の流れを知りたい、仮処分にかかる費用の目安を知りたい方はお役立てください。

リベンジポルノの削除依頼に関する相談窓口

セ―ファーインターネット協会で削除支援が受けられる

セーフラインは、一般社団法人セーファーインターネット協会が運営する、リベンジポルノの削除を無料で支援するサービスです。

依頼方法は、セーフラインのウェブサイトから削除依頼フォームに必要事項を入力して送信するだけです。削除依頼が受理されると、セーフラインが国内外のサイト管理者に削除要請を出します。

2021年ではリベンジポルノは削除依頼3,383件に対して2,644件が削除され、削除率は78%と高い結果となっています。

ただし画像の拡散先が多岐にわたり、削除されないサイトからコピーをされてまた拡散されるといった事例もあると報告されています。セーフラインを通して削除要請する場合には早急な行動が必要です。

弁護士なら早急な削除と被害者を守る選択肢を提示してくれる

法律事務所に依頼することで、早急な削除と幅広い対応が期待できます。

弁護士はリベンジポルノの削除に関する法律やノウハウを熟知しています。そのため、サイト管理者との交渉から裁判などの法的手段による削除まで、様々な対処法を提示可能です。

弁護士に依頼するメリットは、以下のとおりです。

  • 早急な削除に向けて対応してくれる
  • 削除のほかに投稿者の特定も任せることができる
  • 慰謝料請求などの際には相手との交渉を代理してくれる

弁護士に依頼すると、複雑な書類の作成を任せることができたり、権利侵害の内容も的確に文章化してくれたりと、被害者にとって非常に心強いサポートが受けられます。

その一方で弁護士費用がかかるというデメリットがあげられるので、依頼の際には弁護士費用についてもしっかり説明を受けておいてください。

リベンジポルノの慰謝料相場や損害賠償請求の流れについては、以下の関連記事でくわしく解説しています。

【コラム】リベンジポルノの被害にあったら警察にも相談

リベンジポルノは「リベンジポルノ防止法違反」にあたる犯罪行為であり、警察に相談可能です。警察や検察の捜査の結果、リベンジポルノの投稿者を逮捕・起訴し、刑罰を負わせることができます。

ただしリベンジポルノ防止法違反で訴えるには、被害者の告訴が必要です。簡単に言うと、被害者が犯罪の事実を申告して、「加害者に刑事処分を望む」と意思表示をしないと刑事責任を問うことはできません。

警察への相談は、最寄りの警察署または、サイバー犯罪相談窓口、性犯罪被害相談電話(#8103)が利用できます。

とくに次のようなケースでは警察への早急な相談を検討してください。

  • 身体に危険が迫っている
  • 身体に危害を加える旨の予告を受けた
  • 金品の要求を受けた
  • なんらかの脅迫行為を受けたと感じている

リベンジポルノの削除に関する注意点

削除以外の手段も検討するべき

リベンジポルノ被害に関しては、削除するだけでは根本解決とは言えない可能性があります。なぜならリベンジポルノのデータは相手が所持したままであることから、また投稿される可能性もあるのです。

あるいはリベンジポルノをネット上から削除することで、誰が投稿したのかを特定できなくなる恐れもあります。

リベンジポルノをしてきた相手に対して刑罰を負ってほしい、何らかの賠償請求を求めたいといった場合は、削除を依頼する前に警察と弁護士に相談しましょう。

以下の関連記事は、リベンジポルノの被害をどこに相談するべきか、どう対処するべきか悩んでいる方への相談窓口です。

削除を含めて幅広い対応を検討している方は参考にしてください。

リベンジポルノを放置するリスクは大きい

リベンジポルノを放置すると、ネット上に拡散されて、被害がどんどん拡大してしまう恐れがあります。

削除請求するにしても、該当する件数が多ければ多いほど時間や手間、費用がかかります。リベンジポルノの被害にあったなら、早急な対応が必要です。

リベンジポルノを放置すると、消したくても消せない「デジタルタトゥー」として残ってしまいます。今は放置しても問題ないと考えていても、就職、結婚などライフステージの変化に伴って、削除したいという気持ちに変わるものです。

デジタルタトゥーの危険性や削除の方法については、関連記事『デジタルタトゥーの消し方を知りたい。削除を依頼するなら弁護士に相談しよう』も参考にしてください。

自撮りや合意の上での画像であっても権利侵害である

親密な人間関係をふまえて合意の上で撮影した画像だったり、自撮りして相手に送った画像だったりすると、どこか後ろめたい気持ちを感じる人もいるようです。

しかしリベンジポルノは犯罪行為であり、被害者の権利を侵害するものに違いありません。削除を含めてどういった対応をするべきかは弁護士に相談してください。

リベンジポルノの削除依頼は弁護士に相談しよう

ご自身がリベンジポルノの被害にあうと、ショックや動揺から「いったいどう対処すればいいのだろう」と動転してしまうものです。

弁護士は、どういった法的対処が取れるのか、被害者の権利を守るための的確なアドバイスをいたします。

まずはリベンジポルノの該当ページについてスクリーンショットをとっておきましょう。その際には、掲載されているページのURLや投稿日時がわかるように保存してください。

弁護士への相談時にそうした証拠を持参しておくと、よりくわしい助言が受けられます。

リベンジポルノの被害者に向けては無料の法律相談をおこなう法律事務所もありますので、一人で悩まず、専門家の力を借りましょう。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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