ネットに強い弁護士の選び方とメリット!ネットやサイバー犯罪にくわしい弁護士とは?
インターネット関連の法制度や技術は常に変化するため、ネットトラブルやサイバー犯罪は、最新情報の収集と知識やスキルのアップデートが必要な分野といえます。
そのためネット問題やサイバー犯罪は専門性が高く、ネットに強い弁護士に相談・依頼することは被害者にとって重要です。
本記事におけるネットに強い弁護士とは「ネット関連の法律に精通している、ネット関連の案件の豊富な解決実績があるなどの特徴を持つ弁護士」として解説します。
名誉毀損や侮辱、著作権侵害、リベンジポルノ、個人情報の晒しをはじめとした、ネットトラブルやサイバー犯罪に関して弁護士を探している方へ、弁護士選びのポイントを解説します。
ポイント
「この人に任せたい」「不安が解消された」など、法律相談をとおして納得感や安心感を得られることが重要です。ご自身に合う弁護士を見つけるために本記事をお役立てください。
目次
弁護士を探す4つの方法|ネットに強い弁護士はどう探す?
(1)インターネットで検索して探す|検索時のヒント
インターネット上のトラブルやサイバー犯罪にくわしい弁護士であれば、法律事務所のホームページやブログなどを公開しています。そのためネット検索で情報を得ることは必須です。
法律事務所や弁護士のホームページ・SNS・ブログから得られる情報は、ネット問題やサイバー犯罪を取り扱う弁護士を探す有力な手段となるでしょう。
ネット検索の際には、いま困っているネット上のトラブルやサイバー犯罪の被害を具体的に入力して検索する方法がおすすめです。検索文言のイメージを例示しますので参考にしてみてください。
検索の例
- 「名誉毀損 弁護士」
- 「ネットストーカー 慰謝料」
- 「風評被害 無料相談」
- 「顔写真を晒された 法律相談」
- 「リベンジポルノ 被害者」
また、都道府県や都市名・駅名で検索することも有効な方法といえます。近隣の法律事務所が対面相談を受け付けている場合には、実際に弁護士と直接会って相談できるでしょう。
もっとも、大半の法律事務所の法律相談は予約制なので、近隣であっても必ず事前に連絡をして相談予約を取るようにしてください。
(2)弁護士会の紹介制度を活用する
弁護士会では、弁護士の紹介や法律相談会の実施といった取り組みがおこなわれています。法律相談の形式は対面形式、zoom形式、電話形式など様々です。
参考に東京都・大阪府・福岡県の弁護士会のホームページを紹介します。基本的には30分5,500円の有料相談となっていますが、利用前に必ず確認してください。
弁護士会のホームページ
弁護士会のホームページでは紹介可能な分野が記載されており、希望分野の選択形式が多いです。くわしい利用方法は各弁護士会のホームページに従ってください。
(3)法テラス経由で弁護士に依頼をする
法テラス(日本司法支援センター)は、法的トラブルを解決するための総合案内所で、国が設立した機関です。
収入や資産が一定額以下という条件のもと、無料の法律相談を受けることや、弁護士に依頼した際の弁護士費用の立て替えをおこなってもらえます。
まずは電話で法律相談の希望を申し入れる手順になりますので、法テラスのホームページを確認してみてください。
(4)市区町村の法律相談窓口や法律相談会を活用する
市区町村によってはインターネット上のトラブルに関する法律相談窓口や法律相談会を設ける場合があります。
ただし対応している弁護士がネット問題にくわしいとは限りません。また、あくまで相談会であって弁護士紹介の可否は法律相談窓口によりますので、事前に確認しておきましょう。
ネットトラブルは「タイムリミット」にも注意!
インターネット上のトラブルを解決するための様々な対策を検討するうえでは、複数の弁護士に相談することは有効です。
しかし、インターネットトラブルの発生から時間が経ちすぎると、取れる対応策が少なくなったり、間に合わなくなったりします。
注意点
- どんどん炎上・拡散されて、被害が拡大してしまう
- ログの保存期間が経過して、加害者の特定につながる情報が失われる
- 証拠を集める前に相手が書き込みを削除して、証拠が失われる
慎重な弁護士選びは大事ですが、時間をかけるリスクもあります。そのため早く弁護士に相談し、依頼の検討に入ることも大切なのです。
つづいて、どうすればネットに強い弁護士を見極めることができるのか、弁護士を選ぶときの着眼点について説明します。
ネットに強い弁護士とは?弁護士の選び方をチェック
弁護士ならではのノウハウや経験は被害者の大きな安心感につながります。そのためネット問題やサイバー犯罪については、どの弁護士に相談するのかも大切です。
ネットに強い弁護士をどのように見極めるのか、弁護士を選ぶときの参考情報をみながら、ネットに強い弁護士の特徴を整理しましょう。
ネットの仕組みや掲示板・SNSなどの構造の理解度
ネットトラブルでは「プロバイダ」「IPアドレス」「サーバー」といった、インターネット用語が登場します。特に、ウェブサイトの構造や掲示板に残されるアクセス履歴がどのようなものかを知っていることは重要です。
また、悪質な投稿についてネットの削除依頼を行う場合、「SNSや掲示板に詳しい」かどうかも大切になってきます。
例えば、大手掲示板の投稿は、それらが自動的にコピーされて他のサイトに転載されていることも多いです。大元だけを削除しても問題の投稿が別サイトで発見されることもあるので、被害者が望む結果とはいえない場合があるでしょう。
慰謝料請求や告訴など希望する解決方法への対応
ネットトラブルによる被害を受けたときは、どんな解決を望むのかを考えておくことも大切です。
端的に言えば、被害者が負った損害に対して賠償するように求めることを民事責任、被害者に損害を負わせた行為に対する刑事罰を検討することを刑事責任の追及と考えておきましょう。
加害者の責任 | 主な内容 | 主体 |
---|---|---|
民事責任 | 損害賠償請求 | 被害者 |
刑事責任 | 国が定めた刑事罰 | 警察・検察・裁判所など |
例えば、匿名の投稿者によって誹謗中傷を書き込まれたとしましょう。その場合、相手に慰謝料を求めることと、刑罰を望むこととは別の手続きが必要です。
警察に告訴をしても、警察が加害者に対して慰謝料を請求してくれるわけではありません。警察は事件を捜査して、加害者の特定と刑事罰の検討・検察への送致といった刑事手続きを担います。
また、逆に相手を特定して損害賠償請求をしても、刑事罰を負うかどうかは警察や検察が判断するもので、被害者が加害者に刑罰を言い渡せるものではありません。
POINT
「どんな対処が取れるのか」といった質問も弁護士なら回答可能です。
しかし、ネットの被害を受けたことでどんな法的対処をとっていきたいのか、あらかじめ「自分の意志」を整理しておくと法律相談もスムーズに進みます。
ネット問題の解決実績と弁護士の注力分野
弁護士は法律の専門家ですが、注力している分野は様々です。法令の熟知の程度や解決ノウハウにかかわるため、弁護士がネット問題に注力していることは重要なポイントといえます。
法律事務所のホームページには主に取り扱っている相談内容が掲載されています。ネット問題といっても幅広いので、ご自身の抱えるトラブルに近いものを扱っている法律事務所に相談しましょう。
そのほか、IT企業出身の弁護士、外国語に対応している弁護士など経歴やスキルの幅も様々なので、実際に相談してみてから決めることも重要です。
相談内容のジャンルが判断できない場合には、相談予約時の確認をおすすめします。
弁護士費用のわかりやすさ
ネットトラブルに対応するための弁護士費用は決して安くありません。そのため、被害者の方が費用を気にすることは自然なことです。
弁護士費用についてわかりやすく、丁寧に説明してくれる弁護士を選んでください。
弁護士費用の内訳には、着手金、報酬金、実費などがあげられます。各内訳の概要は以下のとおりです。
費目 | 概要 |
---|---|
着手金 | 契約と同時に発生する |
報酬金 | 結果に対して発生する |
実費 | 交通費や郵便代など様々 |
弁護士費用に理解する上で整理しておきたい点は以下のとおりです。
- 契約内容の範囲(どこまでの範囲に着手金を支払うのか)
(例)サイトへの削除請求と裁判手続きでは別途着手金がかかるケースも多い - 報酬金はどういった成果に対して発生するのか(何をもって成功というか)
(例)相手を特定できたら?相手が賠償金を支払ったら?など成果の認識を共有すべき - 実費の目安
(例)裁判所に出廷する際の費用はどれくらいか
どんなことを依頼したら着手金がかかり、どんな成果が出たときに報酬金が発生するのかはしっかりと納得のいく説明を受けましょう。
なお、ネット上の誹謗中傷に対して裁判手続きを用いた場合の弁護士費用の目安は下表のとおりです。
誹謗中傷への対策 | 弁護士費用の相場 |
---|---|
投稿の削除 | 20万円~40万円程度 |
投稿者の特定 | 数十万円~100万円程度 |
弁護士費用は各法律事務所で異なるため、ご自身が契約する際にはしっかりと確かめておいてください。
ネットに強い弁護士に相談・依頼するメリット
ネットに強い弁護士に相談・依頼することには、専門的な知識と経験に基づいた適切なアドバイスを受けられる、迅速かつ効果的な解決を目指せるといった多くのメリットがあります。
メリット
- 専門的な知識と経験に基づいた適切なアドバイスを受けられる
- 迅速かつ効果的な解決を目指せる
- 損害賠償・慰謝料請求の代理人となれる
- 警察への告訴や被害届提出のサポートが可能
こうしたメリットについてくわしい説明を続けます。
なお、弁護士に相談するメリットについては関連記事『誹謗中傷を弁護士に相談するメリットと弁護士ができるサポート』でも解説していますので、あわせて参考にしてみてください。
専門的な知識と経験に基づいた適切なアドバイスを受けられる
ネットトラブルは、日々新しい形態が出現しており、複雑化しています。あるいは、掲示板やSNS特有の事情に合わせた対応が必要になることも多いです。
ネットに強い弁護士であれば、ネット関連の法律に関する専門的な知識と経験をフル活用し、個々の事案に即して適切にアドバイスできます。
迅速かつ効果的な解決を目指せる
ネットトラブルは、迅速な対応が求められるケースが多くあります。
たとえば、掲示板に誹謗中傷を書き込まれ、名誉毀損で相手を訴えたいケースでは、「誹謗中傷が書き込まれたときのログ情報」が重要な証拠です。
しかし、ログ情報は一定期間で削除されてしまうので、時間が経ち過ぎていると証拠は失われます。
ネットに強い弁護士であれば、証拠収集や関係者との交渉など、迅速かつ効果的な解決に向けて必要な手続きを迅速に進めるように注力します。
損害賠償・慰謝料請求の代理人となれる
ネットトラブルによって被害を受けた場合、損害賠償請求などの法的権利を行使できる可能性があります。
ネットに強い弁護士であれば、法的権利についてわかりやすく説明し、必要に応じて請求手続きの代理人となれるので、不安の解消・精神的な負担の軽減につながるのです。
以下の記事では誹謗中傷や肖像権侵害といったネット問題の慰謝料の相場について解説しています。
警察への告訴や被害届提出のサポートが可能
警察への告訴や被害届提出にあたっては、以下の点に注意する必要があります。
- 証拠の収集:被害を訴えるには十分な証拠が必要です
- 手続きの理解: 告訴と被害届では必要な手続きが異なります
- 法的根拠の検討:どんな犯罪行為なのかを主張する必要があります
ネットに強い弁護士であれば、これらの点について熟知し、依頼者に対して次のようなサポートが可能です。
- 告訴状・被害届作成:告訴状や被害届作成のサポート
- 警察や加害者とのやり取り:警察や加害者のやり取りの窓口になる
- 捜査状況の確認:捜査状況を定期的に確認し、進捗について適切に理解して対応
仮に警察や検察が捜査によって加害者を特定できた場合、相手は被害者に対して示談を持ちかけてくる可能性があります。
代理人(弁護士)がいなければ、どう対応すべきかをお一人で判断する必要があり、被害者の方にとって大きなストレスや恐怖になりかねません。
ネットに強い弁護士であれば、警察や加害者とのやり取りにも柔軟に対応・助言可能です。
弁護士選びのためにもまずは法律相談を積極的に活用すべき
法律相談は、弁護士に相談したい問題について、気軽に相談できるサービスです。多くの場合、初回相談は無料であったり、相談時間に応じた金額で利用できます。
- 被害がどのような法律問題に該当するのか
- どのような解決方法があるのか
- 解決にかかる費用の目安はいくらか
法律相談をとおして、ご自身のケースでの弁護士の必要性がみえてきます。納得のいく解決を目指すためにも、自分に合った弁護士をみつけていきましょう。
法律相談の方法は要確認
弁護士との法律相談には対面形式・メール形式・電話相談形式・zoom形式などの色々な方法があります。
希望する相談形式がある場合には、法律事務所が対応しているかどうかも確認しておきましょう。
法律相談の補足事項
法律事務所や弁護士によっては、法律相談の料金が異なります。無料の法律相談をおこなう弁護士もいれば、相談時間ごとの料金体系を採るケースもあるでしょう。
また、法律相談の回数制限についても事前に確認しておいてください。
法律相談には証拠資料の持参も大切
法律相談時には証拠の持参が必須です。ネットトラブルの証拠としては当該部分のスクリーンショット、メールで送られた誹謗中傷の文章などです。
掲示板やSNSなどのスクリーンショットにおいては、URLや投稿日時が含まれるように保存してください。
また、ひとつの投稿だけでないときには全ての投稿を証拠として残すようにしましょう。単体の書き込みだけでは証拠として不十分でも、連続した投稿であれば権利侵害の証拠となりえるケースもあります。
弁護士の目で見て判断を受けるためにも、「これは証拠とは言えないかもしれない」と思わずにすべて残すようにしてください。
そのほか法律相談の予約時に持ち物を確認しておくと安心です。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了