削除請求の弁護士費用は?弁護士依頼で必要な着手金・報酬金の相場
この記事でわかること
この記事では、ネットの削除請求をお考えの方に向けた「削除請求にかかる弁護士費用」を解説しています。弁護士に削除請求を依頼する場合、委任契約を結び、弁護士費用を払う必要があります。
弁護士費用の項目に関する解説や、費用体系などについて参考になる情報をお届けしますので、踏まえておくべきポイントをチェックしましょう。
目次
削除請求に必要な弁護士費用
(1)着手金
着手金は契約時に発生する費用です。結果にかかわらず、着手金は返金されません。削除請求の場合では、該当の書き込みが削除できなくても、着手金の金額は返金されないことに留意しましょう。
弁護士によっては、着手金が不要の場合もあります。弁護士に依頼する場合は、各事務所の費用体系をしっかり確認することがおすすめです。
一般的に、通常の削除請求であれば数万程度の場合が多いですが、仮処分申立など手続きが複雑になる場合の着手金は安くても20万~という設定になっていることも多いです。
(2)報酬金
報酬金は想定した結果が出た場合に発生する費用です。契約書で取り交わした契約内容を達成したならば報酬金の支払いが発生し、契約内容を達成していないならば支払いは発生しません。
削除請求を依頼したサイトの記事が丸々消えた場合だけでなく、一部が修正されたり伏字になる等の結果が得られた場合にも、契約内容によっては報酬が発生します。法律事務所によっては着手金のみ必要で、報酬金不要の場合もあります。
弁護士費用は着手金と報酬金の両方を設定している場合や、着手金のみ設定・報酬金のみ設定など様々です。
(3)実費、日当
実費は対応のために実際かかった費用のことです。書類の郵送料金や交通費等がこれにあたります。契約内容の手続き上、弁護士の出張が必要になる場合は日当が必要です。日当の計算は、どのような式が用いられるか、弁護士・法律事務所によって異なりますので、契約前に確認しておきたい点の一つです。
実費や日当は着手金等に含まれることもあるので、依頼する際にはこういった費用が発生するかどうかも確認しておくようにしましょう。
通常の削除請求(任意の削除請求)の範囲であれば日当はかかりません。訴訟等の裁判手続きが必要になれば、弁護士の裁判所への出張や事務手続きが発生しますので、日当・実費が生じることが予想されます。
削除請求にかかる弁護士費用の相場はいくら?
削除請求の費用は法律事務所により異なる
削除請求を弁護士に依頼する場合の相場は以下の通りになります。
着手金 | 報酬金 | |
---|---|---|
任意の削除請求 | 0~10万 | 5~20万 |
仮処分申立 | 20万~ | 20万~ |
依頼の内容、法律事務所によっても費用はさまざまなので、あくまでも参考程度にお考えください。
納得できる費用感で弁護士を選ぶ
削除請求を弁護士に依頼する場合、削除が成功しても、削除に至らなくても、自分が納得して支払える金額はいくらか決めておくことが大切です。
記事の削除請求は実際に依頼をしてみなければ結果がどうなるか分からないことが多々存在します。
コンテンツによって削除のされやすいケースは存在するものの、削除請求したら必ず削除される訳ではありません。個々のケースの詳細や削除請求をした時期、背景事情などを考慮したうえで、記事管理者・運営会社が応じるか否かを判断します。自動的にAIが削除可否を判定するわけではないのです。
そのため削除に至らなかった場合の費用リスクも考慮し、弁護士を選びましょう。
削除請求以外の弁護士費用
法律相談でかかる費用
削除請求やネットトラブルに関して、法律事務所で相談するときは時間に応じて相談料を要することがあります。しかし、初回の相談料が無料の法律事務所も多いため、事前に調べて問い合わせてみましょう。
相談料が無料であれば、法律事務所への相談の心理的ハードルは下がります。ネットトラブルを起こしている記事を削除してほしいとお困りの際は、法律事務所に相談してみることがおすすめです。
削除請求の難易度の高いサイトや、削除請求をしたい記事が大量にある場合など個別の事案ごとに設定の費用が異なることがあります。直接問い合わせて削除請求したい記事を伝え、見積りを取ってみることがおすすめです。
発信者情報開示請求でかかる費用
投稿者を特定したい場合に行う発信者情報開示請求という方法や、裁判所への仮処分申立などの方法を取る場合は、着手金が発生するケースが多いです。
これらの手続きは、通常の削除請求の場合と比べて手続きが煩雑で解決に至るまで時間がかかります。その分どうしても費用が高くなってしまうので、どこまでコストをかけて行うかメリット・デメリットを考慮して検討することが大切です。
発信者の情報を開示してもらう裁判手続きを依頼したり、裁判で勝訴の結果を得たりなど、弁護士と契約書で取り交わした内容を遂行してもらったら、着手金とは別に報酬金の支払いが生じます。裁判手続きで一定の成果を収めているため、下記のケースでも報酬金は必要となるでしょう。
- 発信者のIPアドレス等の情報を辿ったが、発信者を絞りきれなかった
- 裁判で訴えが認められたものの、実際には相手方に資力がないことが判明した
発信者特定にかかる手続きについては特集記事『発信者情報開示請求とは?ネットの誹謗中傷の投稿者を特定する方法と要件』を参考にしていただければと思います。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了