発信者情報開示請求の費用相場と内訳は?弁護士費用は相手に請求できる?

開示請求の費用は?

発信者情報開示請求にかかる費用は、裁判所の手続き費用として数万円弁護士に依頼する場合は数十万円から100万円程度が相場とされています

費用を安くおさえたい場合には自分で開示請求を進めることはできますが、結果として弁護士に任せるメリットの方が大きいケースもあるのです。

また、発信者情報開示請求による特定後こそ本題です。弁護士であれば開示請求後の賠償請求についても代理人となれるので、あなたが交渉の矢面に立つ必要がありません。

この記事では発信者情報開示請求にかかる費用、弁護士に依頼した際の費用相場、弁護士に依頼するメリットも解説します。

発信者情報開示請求にかかる費用の内訳と相場

発信者情報開示請求で費用が発生する段階は、以下の3つです。

  1. サイト運営者への仮処分申立て(IPアドレス開示請求)
  2. プロバイダーへの仮処分申立て(ログの保全)
  3. プロバイダーへの発信者情報開示請求訴訟(発信者の特定)
    ※弁護士に依頼した場合は別途「弁護士費用」が発生

ここからは「裁判所への仮処分申立てにかかる費用」と「発信者情報開示請求訴訟にかかる費用」にわけて説明します。

裁判所への仮処分申立てにかかる費用

仮処分申立てにかかる主な費用は、申立手数料(収入印紙)、郵便切手(予納郵券)、担保金です。

  • 申立手数料(収入印紙)
  • 郵便切手(予納郵券)
  • 担保金

それぞれについて説明します。

申立手数料(収入印紙)

仮処分申立ての申立手数料は、1件あたり2,000円です。仮処分の申立書の正本に、手数料として収入印紙を貼付します。

郵便切手(予納郵券)

裁判所からの書類の送付などにかかる郵便切手代も必要で、数千円程度かかる見込みです。

具体的な金額は、裁判所ごとに異なります。

担保金

発信者情報開示の仮処分に関する担保金は、10万円から30万円程度になることが多いです。

担保金は、仮処分命令が却下された場合に、相手方に対する損害賠償の担保として納める金銭をいいます。正当な申立てであれば後日返還されますが、仮処分が決定されればすぐに納めることになるので、事前に準備しておきましょう。

【補足】仮処分申立ては2回必要になる

裁判所の仮処分手続きにより開示請求が認められたら、つづいて投稿者を特定するための情報が消去されないようにもとめる仮処分申立ても必要になります。

つまり、仮処分申立てによってIPアドレスの開示を受けたあとで、特定したプロバイダーに対して情報の消去を禁止する命令を出してもらうために、別途仮処分申立ての手続きをしなくてはいけません。

2回の仮処分申立てを経て、発信者情報開示請求の訴訟を起こす流れです。

発信者情報開示請求訴訟にかかる費用

発信者情報開示請求の訴訟を提起する際にかかる費用は約2万円ほどです。「仮処分」とは別の法的手続きになるため、別途費用を支払わねばなりません。

申立手数料(収入印紙)

発信者情報開示請求に必要な収入印紙の額は1万3,000円です。収入印紙は、発信者情報開示請求申立書に貼付して提出します。

郵便切手(予納郵券)

郵便切手は、裁判所からの書類を送付する際の費用です。具体的な金額は裁判所ごとに異なります。

発信者情報開示請求の場合は、プロバイダーの本社を管轄する東京地方裁判所あてになることが多いですが、東京地裁の送達用予納郵券は6,000円です。

【コラム】発信者情報開示命令の制度を利用した場合の費用

改正プロバイダ責任法により、仮処分申立てと発信者情報開示請求を一度におこなえる非訟手続「発信者情報開示命令」の利用も可能となりました。

従来の方法との違いは、情報開示と記録の保全を一度に求めることができる点です。仮処分も利用しないので担保金も必要ありません。

発信者情報開示命令では、申立て手数料として1,000円の収入印紙を申立書の正本に貼付します。このほか、裁判所から書類を送達する際の郵便切手代として、予納郵券が必要です。

発信者情報開示請求については、従来の方法と、新しい方法のどちらも利用できます。費用面では新しい「発信者情報開示命令」の手続きのほうが、負担は少ないといえるでしょう。

関連記事『発信者情報開示請求とは?ネットの誹謗中傷の投稿者を特定する方法と要件』は、発信者情報開示請求とは何か、開示命令との違いについてくわしく説明していますので参考にしてみてください。

発信者情報開示請求の弁護士費用相場はいくら?

発信者情報開示請求を弁護士に依頼すると、裁判所への申立手数料や郵便切手代のほかに弁護士費用が発生します。

弁護士費用の主な内訳は、法律相談料、着手金、報酬金です。この3つの弁護士費用について相場をみていきましょう。

こちらで紹介する弁護士費用の相場はあくまで目安です。各法律事務所や弁護士の方針によっても様々なので、詳細は依頼を検討している弁護士へ相談してください。

弁護士の法律相談料の相場

相談料は、弁護士への法律相談に際してかかる費用です。事務所ごとに設定が違いますが、およそ30分あたり5,000円から10,000円が相場です。

もっともネット被害にあった方には無料相談を受け付けている事務所もあります。

電話相談・メール相談・対面相談などの相談形式によっても費用体系が変わる場合があるので、法律相談料のホームページの記載を確認してみてください。

弁護士の着手金の相場

着手金は、正式に依頼を受けた弁護士が事案に取り掛かる際にかかる費用で、およそ20万円から30万円が相場です。

訴訟手続きではなく、あくまで相手に対して任意開示を求める方法であれば10万円から20万円が相場となるでしょう。

発信者情報開示請求の着手金相場(目安)

発信者情報開示請求訴訟着手金の相場
あり20万円から30万円
なし10万円から20万円

弁護士の報酬金の相場

弁護士との契約にもとづき、一定の成果を得られた場合には報酬金が発生します。なにをもって成果とするのかは法律事務所や弁護士ごとに異なるので、契約時にはしっかり説明を受けておきましょう。

報酬金の相場は20万円から30万円ともいわれていますが、開示請求の件数も含めて個別の契約により異なります。

弁護士の実費や日当の相場

弁護活動をするためにかかった実費や日当については、法律事務所や弁護士ごとの費用体系があります。

実費や日当の例としては、書類郵送にかかった郵便切手代、裁判所に出廷した際の日当手当、弁護活動のための交通費などがあげられるでしょう。

くわしい実費や日当の考え方については、法律相談で確認してください。

発信者情報開示請求の弁護士費用に関するQ&A

開示請求の費用負担を安くおさえる方法はある?

開示請求の費用負担を安くおさえたい場合は、まず弁護士の無料相談を活用しましょう。

弁護士の無料相談では、発信者情報開示請求の見通しや流れについて説明を受けることができます。発信者情報開示請求にも色々な方法がありますので、弁護士の方針と費用の兼ね合いから、依頼をするべきかを検討しましょう。

なお自分で開示請求することで費用を抑えることは可能ですが、開示請求の手続きの難易度や煩雑性を考慮すると弁護士に依頼することをおすすめします。

関連記事『自分で開示請求する方法・注意点!開示請求のやり方と開示請求書の書き方』では自分で開示請求する際の書類の書き方やポイントをまとめているので参考にしてください。

開示請求の費用は相手に請求できる?

発信者情報開示の費用は、相手への損害賠償請求において「調査費用」として請求可能です。ただし金額については事案によって異なります。

これまでの判例では、全額請求を認めたケースと、請求の一部を認めたケースにわかれているのです。

なお混同しやすいのですが、裁判所への仮処分申立てによって「削除」を求めた場合には、その弁護士費用の請求はできません。

開示請求は費用倒れになる可能性がある?

発信者情報開示請求は、事案によっては費用倒れになる可能性があります。

費用倒れの理由としては、相手に資力がないときスムーズな賠償を受けられないこと弁護士費用が自己負担になる可能性があること慰謝料の相場が低いことなどです。

相手に資力がない場合には、一括での支払いができなかったり、分割対応しても踏み倒されたりする可能性があります。そうしたときには財産を差し押さえるなど別の選択肢もありますが、新たな費用負担が生じるでしょう。

弁護士費用については、必ずしも相手に全額請求できるとは限らないことが理由としてあげられます。仮に一部の請求となった場合には、残りの弁護士費用は被害者の自己負担になるのです。

慰謝料の相場はどんな権利侵害を受けたかで異なります。名誉毀損であれば10万円から50万円程度、侮辱罪では数万円にとどまってしまう見込みで、弁護士費用を十分カバーできるとは言い切れません。

発信者情報開示請求を弁護士に依頼するメリット

的確なアドバイスとサポートを受けられる

発信者情報開示請求は、民事訴訟の一種であり、法律の専門的な知識や経験が必要です。

  • 書き込まれた内容がどんな権利侵害にあたるのか
  • 訴訟に向けてどういった証拠を集めておくべきか
  • 相手方から何かアクションがあった時の対応はどうすべきか

弁護士に依頼することで、法律の専門家による的確なアドバイスとサポートを受けることができ、発信者情報開示請求の成功率を高めることができます。

手続きの煩雑さを省くことができる

発信者情報開示請求の手続きは、複雑で煩雑なものです。裁判所へ用意する書類ひとつとっても、一般の方が作成・準備することは大変なものでしょう。

また、発信者情報開示請求については時間との勝負でもあります。早急に進めなければ、投稿者の特定につながる情報の保存期間が過ぎてしまうのです。

書類に不備があって作成しなおしたり、必要な書類がわからず右往左往したりする余分な時間はありません。弁護士に手続きを任せることで時間や労力の節約につながるでしょう。

発信者情報開示請求の成功率を高めることができる

発信者情報開示請求の成功率は、その請求内容や状況によって異なります。しかし、発信者情報開示請求についてくわしい弁護士に任せることで、その成功率の高めることにつながるでしょう。

インターネット上のトラブルを扱っているか、発信者情報開示請求に取り組んだ実績があるかなど、法律事務所のホームページで確認することをおすすめします。

なお発信者情報開示請求の基準を知ること、逆に棄却されてしまうケースを知るとは成功率を高めることにつながるでしょう。関連記事も参考にしてみてください。

相手方との交渉を代わりにおこなえる

発信者情報開示請求の前に、相手方との交渉を試みる場合もあります。

弁護士に依頼して相手方との交渉をおこなってもらえば、裁判までいかずとも解決につながるケースもあるでしょう。

損害賠償請求も任せることができる

発信者情報開示請求が成功したら、つづいて損害賠償請求をおこなう流れです。

弁護士に依頼すれば、弁護士が窓口となって対応できるので、投稿した本人と直接やり取りをせずにすみます。

また被害に応じていくら請求するべきか、被害者が不当に損をすることのない金額での交渉をアドバイスしてくれるでしょう。

なお、発信者情報開示請求後の賠償問題について任せるときは別途契約が必要になるケースもあるので、発信者情報開示請求を依頼する際には契約範囲をしっかり確かめておきましょう。

開示請求によって慰謝料はどれくらいもらえるのか、慰謝料請求の流れを知りたい方は、関連記事もあわせてお読みください。

発信者情報開示請求の費用は弁護士相談で確かめよう!

発信者情報開示請求にかかる費用は法律事務所や弁護士によって様々です。なぜなら、事案によってどういった対応をとるべきかが異なるためです。

発信者情報開示請求の費用を知るためには、実際に弁護士に相談してみることから始めましょう。

ただしどんな弁護士でもいいわけではありません。インターネットトラブルにくわしく、発信者情報開示請求のノウハウを熟知した弁護士を選ぶべきです。

弁護士と依頼者においては信頼関係が大切です。弁護士費用についてしっかり説明を受け、あいまいな理解は避けましょう。納得感を持って弁護士に依頼することで、安心につながります。

ネットに強い弁護士を探す

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了