誹謗中傷を弁護士に相談するメリットと弁護士ができるサポート

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誹謗中傷の相談窓口

ネット上での誹謗中傷や、お子さんがネットいじめの被害にあっているとき、投稿の削除や投稿者の特定のために法的対処が取れる場合があったり、なかには裁判所の手続きを利用する必要があったりします。

そのため誹謗中傷の被害にあったら、法律の専門家である弁護士に相談して助言を受けることや、ノウハウを多く持つ弁護士に対応を任せることでよりスムーズに解決を目指せることも多いです。

まずは弁護士に相談してみて、ご自身のケースで具体的な対応が取れるのかを確認してみましょう。

正式依頼には弁護士費用が発生しますが、依頼とは別に無料の法律相談に対応する弁護士もいます。もしくは相談料がかかったとしても、対面や電話相談など希望の相談方法に対応可能な弁護士を探すことも有効でしょう。

はじめに

契約内容・契約範囲によって、弁護士に依頼するメリットや、弁護士ができることには違いがあります。契約前に弁護士との認識のすり合わせをしっかりおこなってください。

ネットの誹謗中傷を弁護士に相談するメリット

法律とネットの知識による助言が受けられる

弁護士に相談することで、誹謗中傷に法的対処が可能かどうかを判断してもらえます。

特に、インターネットに詳しい弁護士であれば、これまで扱ってきたノウハウや判例を生かしたアドバイスが可能です。

弁護士との相談は事前に時間を決めておこなうものが多いので、被害者のケースに応じたアドバイスをタイムリーに受けることができます。

一方で国の相談機関は相談を寄せられる件数が多いため、相談に乗ってもらったり、削除可否の判断をしてもらったりするまでに時間を要することも考えられるでしょう。

関連記事ではネットに強い弁護士の選び方や、法律相談先の探し方を解説しています。ネット問題やサイバー犯罪にくわしい弁護士に相談したい方は参考にしてください。

ネットに強い弁護士を探す

以下の関連記事では、ネット上の誹謗中傷に対して取りうる対応をより分かりやすく解説しているので、あわせて参考にしてみてください。

無料相談の活用で費用負担を減らせる

被害者が「ひどいことを書かれた」と感じていても、弁護士の目から見ると、法的対処は難しいという場合もあります。まずは弁護士との相談によって現状を把握し、方向性の検討に取り掛かりましょう。

法律事務所のなかには、ネットの誹謗中傷被害について無料相談を行っているところがあります。

ホームページや電話・メールなどで情報を確認し、どの範囲まで無料か、どの時点から費用が発生するのかを調べましょう。相談料が発生する場合は、相談時間や相談回数によって決まることが多いです。

ただし、相談後に弁護士に削除依頼を任せる場合には、弁護士費用が発生します。

弁護士費用の基本的な内訳や相場観については関連記事『誹謗中傷の弁護士費用はいくら?値段は削除や開示請求などの対策で変わる!』も参考にしてみてください。

相談窓口や対策方法を気軽に聞ける

相談で詳しく状況説明をしていくなかで、どうしたいのか解決方法の道筋を見つけられることもあります。

インターネットに対する知見・ノウハウがある弁護士が在籍している法律事務所ならば、被害状況に基づいて適切な解決方法や相談窓口など、相談内容に応じた助言を受けられるでしょう。

どの相談窓口を利用するべきかと迷っているうちに、問題の投稿が拡散されてしまい個人情報が流出したり、誹謗中傷が激しくなったりすることも考えられます。

このような事態を避けるためにも、まずは専門家にトラブル内容を相談して早期に対策をすることが大切です。

誹謗中傷への対処で弁護士がおこなうサポート内容

誹謗中傷への一般的な対処方法としては、誹謗中傷の投稿削除、発信者情報開示請求による特定、相手方への慰謝料請求、警察への告訴や被害届の提出などがあげられます。

これらの対処方法はご自身でもできますが、弁護士に依頼することで多くのサポートを受けることが可能です。

弁護士ができること

  1. 迅速な誹謗中傷の削除請求
  2. 投稿者特定の開示請求も対応可能
  3. 適正額の慰謝料請求と交渉
  4. 警察への被害申告もサポート

ここからは誹謗中傷への法的対処と弁護士のサポート内容をまとめます。

(1)迅速な誹謗中傷の削除請求

誹謗中傷の投稿削除では、まず誹謗中傷が書き込まれたSNSや掲示板サイトの管理者側へ削除を申し入れる方法があります。

SNSやサイトごとに指定のフローがあるので、削除請求に力を入れており、削除対応の実績を持つ弁護士への依頼がおすすめです。

任意の削除依頼が通らなかったときの対応

任意での削除申し入れになるため、却下されたり、返事がもらえなかったりして投稿が残り続けてしまうこともありえます。

任意での削除依頼が難しい時には、裁判所の手続きである「仮処分申立て」も手段のひとつです。

もっとも仮処分申立て、裁判所に提出する書類の作成や裁判官との面談などの対応が求められるので、一般の方には慣れない対応に戸惑うことも考えられます。

誹謗中傷の対応について弁護士に依頼したときには、代理人となれる弁護士であれば対応を一任可能です。

誹謗中傷の被害者にとって不慣れな手続きに手間取ることがなく、負担も大きく軽減されるので、弁護士に依頼したメリットを実感できるでしょう。

仮処分申立てについては、関連記事『削除請求の仮処分申立てとは?ネット上の誹謗中傷や名誉毀損への法的手続き』を読むとより理解が深まるので、あわせてお読みください。

削除請求で弁護士ができること

  • SNSやサイトの特徴に合わせた削除依頼ができる
  • 任意削除が無理な場合の「仮処分申立て」も任せられる

(2)投稿者特定の開示請求も対応可能

誹謗中傷を投稿した人物が匿名の人物であるとき、まずは匿名の人物を特定するための開示請求が必要で、慰謝料請求は特定後の段階になります。

匿名の投稿者を特定するまでの手続きは「発信者情報開示請求」といい、裁判所もかかわる法的な手続きです。

発信者情報開示請求は、投稿者のIPアドレスを入手する段階と、IPアドレスを元に発信者情報の開示を請求する段階の2つにわかれます。

いずれも裁判所の手続きを用いる可能性が高いことや、情報保存期間には期限もあることから、手続きに慣れた弁護士に任せることがおすすめです。

なお、誹謗中傷の投稿者を特定したい場合、単に投稿者を知りたいという気持ちだけで特定は行えません。

投稿が存在することによって、誹謗中傷被害を受けている人の権利が侵害されていることが条件となります。そのうえ、告訴や慰謝料(損害賠償)請求等の責任追及を行う目的があれば可能です。

発信者情報開示請求に関する詳細な解説は、以下の関連記事をお読みください。

開示請求で弁護士ができること

  • 裁判所の手続きに必要な書面作成も任せられる
  • 手続きに慣れているのでスピーディに対応

(3)適正額の慰謝料請求と交渉

誹謗中傷の投稿者を特定できれば、その本人に対して慰謝料の請求が可能です。

まずは内容証明郵便を送付して、話し合い(示談交渉)で金額や支払い方法を決めていきます。

弁護士であれば、交渉を代理できるほか、適正な慰謝料金額の見積もりや増額交渉のスキルも持ち合わせているので、安心して任せることが可能です。

また、誹謗中傷してきた相手に対して連絡先を開示したくないという場合でも、弁護士が間に入って交渉できる点もメリットといえるでしょう。

誹謗中傷の慰謝料相場は被害内容により異なります。関連記事では誹謗中傷の慰謝料相場を解説しているので、あわせてお読みください。

慰謝料請求で弁護士ができること

  • 相手方との交渉窓口になれる
  • 適正な慰謝料額を目指した交渉ができる

(4)警察への被害申告もサポート

脅されて金銭を要求されている、裸の画像がバラまかれている、具体的に殺害予告をされているなどの状況ならば、まずは警察に相談しましょう。

自分の住んでいる自治体の警察本部サイトへアクセスすれば、サイバー犯罪の相談に対応している電話の番号やメールアドレスが掲載されています。

場合によっては、最寄りの警察署への訪問予約を行い、直接警察署で相談や被害届を出すことになるでしょう。

また、犯罪行為のなかには、被害者による告訴がなければ検察が起訴できないものがあります。誹謗中傷について名誉毀損罪や侮辱罪で訴えたいなら刑事告訴という手続きが必要です。

弁護士にこれらの手続きを任せることが可能な場合もあるので、どの範囲まで任せることができるのか、契約前にしっかりと確認して共通認識を持っておきましょう。

関連記事では相談の準備や手続きの流れについて解説していますので、あわせてお読みください。

警察への相談で弁護士ができること

  • 告訴状の作成を任せることができる
  • 警察や加害者対応での不安や迷いを相談できる

【コラム】民間事業者は請け負えない業務範囲もある

誹謗中傷対策サービス業者、風評リスク対策業者、ネット集客(SEO)支援会社と呼ばれている民間企業が削除依頼を代理で請け負うケースがあります。

しかし、弁護士法によって、弁護士資格のない者が報酬を得る目的で誹謗中傷の削除依頼を代行することはできません。

削除依頼の代行者が弁護士かどうか必ず確認をして、違法な業者と削除依頼をめぐってトラブルにならないように気をつけるようにしましょう。

民間の相談窓口ならば「一般社団法人セーファーインターネット協会」がおすすめです。一般社団法人セーファーインターネット協会は、警察庁の受託業務としてネットパトロールや警察への通報、削除催促などを実施している公益的な機関です。

そのほか、ネットの誹謗中傷窓口は、相談料が不要な窓口も複数あります。ただし、電話相談の場合、掛ける番号が「0120」や「0800」のフリーダイヤルでないならば、通話料がかかる点に注意してください。予め話したい内容をメモして見ながら喋ると相談がスムーズにいくでしょう。

法律事務所以外にもネットトラブルの相談窓口を探したいという方は、関連記事もあわせてお読みください。

誹謗中傷やネットいじめでよくある質問にお答え

誹謗中傷はどんな犯罪なの?

まず、誹謗中傷という犯罪名はありません。誹謗中傷によって受けた被害によっては犯罪行為として警察に相談すべきものがあったり、相手に対して損害賠償請求すべきものがあったりします。

要は、誹謗中傷はその内容によって、刑事責任を問えるもの、民事責任を問えるものが異なるのです。

たとえば、ネット上に顔写真を掲載されたとしましょう。これは肖像権侵害という被害にあたり、民事責任を問うことはできますが、刑事責任を問うことはできません。

しかし顔写真を掲載されるだけでなく、誰のことを言っているかはっきりとわかる状態で「前科がある」「次あったら殺す」などと書き込まれた場合には、名誉毀損や脅迫罪で刑事責任を問える可能性があります。

このように、誹謗中傷の内容をよく検討して、どんな責任を問うべきかは慎重に判断すべきです。

以下の関連記事では誹謗中傷になる言葉の具体例をあげながら、誹謗中傷とはどういうものかを解説しているので参考にしてみてください。

子どもがLINEでネットいじめにあっているが開示請求できる?

LINEでの個別トークやグループトーク内については、発信者情報開示請求の要件を満たさない可能性が高いです。

しかし、オープンチャットのように誰でも自由に出入りできる場で、不特定多数の人の目にさらされている場であれば、開示請求の要件を満たす可能性もあります。

以下の関連記事もお役立てのうえ、個別具体的な判断は弁護士との法律相談で見解を聞いてみてください。

なお、お子さんがいじめの被害にあっているからといって、相手に脅迫ともとれる乱暴な言葉を投げかけることは避けるようにしましょう。

弁護士費用をおさえたいから自分で開示請求はできる?

発信者情報開示請求の手続き自体はご自身でも可能です。

しかし、発信者情報開示請求の手続きに必要な書面の準備や証拠の収集、裁判所への手続きなどの煩雑さを踏まえると、弁護士への依頼も検討すべきでしょう。

関連記事では発信者情報開示請求のやり方や開示請求書の書き方について、テレサ書式に基づく解説をしていますので、ご一読ください。

誹謗中傷やネットいじめで弁護士を探すなら「法律相談」を活用

誹謗中傷やネットいじめなど、ネットにまつわる被害を受けている方は弁護士に相談して、法的対処をとれるのか検討していくべきです。

そのためには弁護士との法律相談を有効活用してください。

弁護士との法律相談を始めるにあたっては次のようなことを確かめてみましょう。

ポイント

  • 法律相談の費用は有料か無料か
  • 法律相談の形式は対面・メール・電話・オンラインなど希望の形式に対応可能か
  • 弁護士は誹謗中傷やネットいじめについて詳しいか

法律相談の費用

弁護士に依頼すると弁護士費用が発生しますが、依頼前の段階におこなわれる法律相談に関しては、無料で実施している法律事務所も多いです。

法律相談の時間や回数などに制限が設けられているケースもあるので、法律相談の予約を入れる際には十分に確認しましょう。

なお、法律相談時には誹謗中傷の投稿を印刷・スクリーンショットして持参するとスムーズです。その際にはURLも含まれるようにして残すようにしてください。

法律相談の形式

弁護士によって対応している法律相談の形式は様々です。

対面・メール・電話・オンラインなど、あなたの希望する相談形式に対応しているかどうかはしっかりと確かめましょう。

希望する相談形式に対応している場合や、ネットトラブルに力を入れているこの弁護士にぜひ話を聞いてほしいという場合には、法律相談費用だけがすべてではありませんので、有料相談であっても検討すべきです。

弁護士の専門性

弁護士にもそれぞれ専門分野や注力分野は異なりますので、ネットトラブルにくわしい弁護士を探すようにしましょう。

ネットに強い弁護士を探している方に向けて、具体的な弁護士の探し方を解説している記事は以下のバナーよりお読みいただけます。弁護士探しの参考にしてみてください。

ネットに強い弁護士を探す

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了