リベンジポルノの慰謝料相場は?損害賠償請求までの流れと増額につながる事情

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リベンジポルノ被害

元交際相手や元配偶者への腹いせや仕返しに、裸の画像や性的な動画などを本人の同意なくインターネットなどを使って公開する行為をリベンジポルノといいます。

リベンジポルノは民法709条に基づく不法行為にあたるため、加害者に対して慰謝料を中心とした損害賠償金の請求も可能です。

この記事はリベンジポルノの慰謝料相場や請求の流れについて弁護士の視点で解説しています。リベンジポルノ被害で負った傷は本来金銭で癒えるものではありませんが、不当に低い金額で示談しないためにも、最後までお読みください。

リベンジポルノの慰謝料相場はいくら?

リベンジポルノの慰謝料の相場

リベンジポルノの慰謝料相場は、一般的には50万円~100万円程度とされています。もっとも、あくまで目安であり、個々の事案によって慰謝料の金額は大きく異なります。

たとえば、プライバシーの侵害や名誉毀損など、リベンジポルノによる被害者の権利侵害は個々に異なるものです。

慰謝料の金額は、被害の内容、被害者の精神的苦痛の程度、加害者の悪質性などを考慮して決めるべきでしょう。

リベンジポルノの慰謝料は増額できる?

リベンジポルノの慰謝料はリベンジポルノの事案ごとに様々ですが、次のような事情があるとき、慰謝料が相場より高額化する可能性があります。

増額につながる事情

  • 被害の内容
  • 精神的苦痛の度合い
  • 悪質な撮影
  • 目的(故意・金銭目的など)

(1)被害の内容

リベンジポルノの被害内容が重大であるほど、慰謝料増額の理由となりえます。

たとえば、全く衣服を身に着けていないのか、一部のみ衣服がないのかでは、その画像や動画の内容の過激さは異なります。

また、顔まではっきり映っているときには被害者の権利侵害は大きいといえるため、こうした事情を踏まえて慰謝料を請求するべきです。

(2)精神的苦痛の度合い

慰謝料とは、被害を受けた人の辛さを緩和するための金銭といえます。そのため、被害者の精神的苦痛に応じて金額は決まるのです。

リベンジポルノの被害によって精神的なダメージが大きく、病院に通って治療と服薬が必要になったようなケース、自身の身体を傷つけるようなケースは、精神的苦痛が大きいといわざるをえません。

このように被害者が負った苦痛とリベンジポルノ被害に因果関係を示すことで、慰謝料増額の可能性は十分あるのです。

(3)悪質な撮影

盗撮や脅迫といった手段で撮影された動画や画像であった場合には、悪質性が高いとして慰謝料請求時には金額を慎重に検討すべきでしょう。相場よりも高額な慰謝料請求の理由になりえます。

一方で、被害者が撮影に同意していた場合には悪質性は低いと判断される見込みです。

もっとも撮影時に被害者が同意していたとしても、その動画や画像を本人の同意なくネット上に公開することは決して許されません撮影に同意することと公開に同意することは別です。

(4)目的(故意・金銭目的など)

リベンジポルノされた動画や画像が販売されている場合には、営利目的であったことも加味して悪質性が高いと判断されます。

販売サイトを運営していたり、複数回にわたって撮影が繰り返されていたりするケースも同様に、慰謝料増額の事由となるでしょう。

また被害者にバレないように盗撮していたり無理やり撮影したりだまして撮影したりした場合も悪質性が高いです。

こうした撮影の目的や経緯は慰謝料請求時に考慮すべき事情であり、相場より高額な請求も検討しましょう。

因果関係の証明で慰謝料以外にも賠償請求は可能

因果関係の証明ができた場合、慰謝料以外にも賠償請求は可能です。たとえば、以下のような請求が考えられます。

  • 写真の流出によって仕事に支障をきたし、収入が減った分の補てん
  • 写真の流出被害で精神疾患を発症し、通院治療にかかった費用
  • 写真の流出とともに氏名や住所が拡散され、引っ越しせざるをえなくなった場合の転居費用

リベンジポルノの損害賠償請求の流れ

加害者が誰かわかっている場合

リベンジポルノを誰がおこなっているのか明確な場合は、加害者に対して損害賠償請求をおこないます。まずは加害者に対して内容証明郵便を送付し、話し合いによって解決を目指すことになるでしょう。

話し合いがうまく進まなかった場合には民事訴訟を起こして、加害者に対する賠償請求を進めることになります。

損害賠償請求の流れ

  • 加害者に対して内容証明郵便で損害賠償請求をおこなう
  • 話し合いにより賠償問題の解決を目指す
  • 話し合いがうまく進まない場合は訴訟を提起する

加害者が誰かわからない場合は特定から始める

加害者が誰なのかわからないときには、相手を特定することから始める必要があります。相手を特定する方法としては、発信者情報開示請求という法的手続きを利用可能です。

発信者情報開示請求とは?

インターネット上で匿名の投稿により他人の権利が侵害された場合に、被害者がプロバイダに対して、発信者の特定に資する情報(発信者情報)の開示を請求できる制度

発信者情報開示請求をするためには、まず掲示板やSNSの管理者にIPアドレスの開示を受ける必要があります。

IPアドレスが分かったら、そのIPアドレスから特定したプロバイダに対して、発信者の住所や氏名などの開示を求める流れです。

これらは被害者が独力でも可能ですが、法的手続きになるため弁護士に相談して、対応を依頼することも有効といえます。

発信者情報開示請求とは何か、くわしい進め方を解説している関連記事も参考にしてください。

リベンジポルノの慰謝料請求に関してよくある質問

リベンジポルノの慰謝料請求に関する弁護士費用はいくら?

リベンジポルノの慰謝料請求に関する弁護士費用は、数十万円の場合もあれば100万円を超えるケースもあるでしょう。その理由としては、弁護士費用は各法律事務所ごとの費用体系によること弁護士への依頼時期により異なることがあげられます。

たとえば、ネットに拡散した加害者が誰なのかを特定できている場合には、加害者への交渉から費用が発生します。相手を特定するという部分を依頼しない分、費用は低くなる可能性があるでしょう。

しかし、加害者が誰なのかを明確に特定できていない場合には特定のための費用がかかります。相手を特定した後に損害賠償請求をする場合、追加で着手金や報酬金が必要なケースもあるでしょう。

弁護士費用の主な内訳を下表に示します。

弁護士費用の主な内訳

費目概要
着手金契約時に発生する費用
報酬金成功した際に発生する費用
実費交通費や郵便代など実際にかかった費用

弁護士との正式契約前には、法律相談の時間を設けることが多いです。その際にかならず弁護士費用の見積もりを依頼しましょう。

弁護士費用を見積もってもらう際には次のようなポイントをおさえておいてください。

見積もりのポイント

  • 着手金は「いつ」「いくら」かかるのか
  • 報酬金は「どんな結果」で「いくら」発生するのか
  • 実費の計算方法

リベンジポルノの削除も弁護士に任せることができる?

リベンジポルノの削除も弁護士に任せることが可能です。

サイト管理者に削除を依頼する、送信防止措置依頼をおこなう、裁判所の仮処分申立てで削除を命令してもらうなど、削除方法は複数あります。

リベンジポルノで気が動転している被害者が手順を確認し、冷静にこなすことは困難です。削除申請に慣れた弁護士に相談することをおすすめします。

なお、今後加害者を特定して損害賠償請求したい、警察に被害を訴えたいなど別の対応を考えているケースでは、重要な証拠が消えることになりかねません。

警察や弁護士への相談を早急におこない、削除の最適なタイミングを見つけていきましょう。

加害者はどんな刑事処分を受ける?

リベンジポルノ防止法は、第三者が撮影対象者を特定できる方法で性的画像や動画を不特定多数の人に公表すること、性的画像・動画を公表させる目的で提供することを禁止しています。

リベンジポルノ防止法の刑罰

行為刑罰
公表3年以下の懲役又は50万円以下の罰金
提供1年以下の懲役又は30万円以下の罰金

罰金とは刑事罰として国に納める金銭のことで、慰謝料のことではありません。

リベンジポルノの慰謝料請求を弁護士に相談!

弁護士に相談・依頼するメリット

リベンジポルノ被害の慰謝料請求について弁護士に任せるべき理由は以下のとおりです。

弁護士に任せるべき理由

  • 加害者との交渉というストレスが軽減できる
  • 毅然とした態度で法的に正当な金額を主張できる
  • 再発防止や画像・動画データの削除も盛り込んで交渉できる
  • 訴訟前の交渉段階での解決を目指せる

加害者との交渉というストレスが軽減できる

被害者の尊厳を無視したリベンジポルノをした加害者に対して、被害者の方が恐怖や怒りを感じることは自然なことです。損害賠償請求したくても、直接相手と交渉することには抵抗もあるでしょう。

弁護士であれば、被害者の代理人として加害者との交渉が可能です。被害者が矢面に立たずに済むので、精神的な負担は大きく軽減できます。

また、加害者に対して損害賠償請求するための文書作成や証拠収集も弁護士が代理可能です。被害者は仕事や学業など、本来の生活に集中しやすい環境をつくることができます。

毅然とした態度で法的に正当な金額を主張できる

弁護士は、リベンジポルノに関する法律や判例に精通しています。そのため、相手が提示してきた条件が被害者にとって不当なものでないかを判断できるのです。

被害者の方にとって、リベンジポルノをした加害者は恐怖の対象となりえます。直接加害者と交渉すると、本当は納得のいかない条件でも合意してしまう恐れがあるでしょう。

弁護士であれば、相手の態度や言動に左右されず、被害者の方にとっての最善を目指して交渉を続けます。

再発防止や画像・動画データの削除も盛り込んで交渉できる

交渉時に決めることは慰謝料額だけではありません。リベンジポルノの加害者との交渉において、再発防止や画像・動画データの削除など、再発防止策を盛り込むことも可能です。

示談内容に盛り込む事項の一例を示します。

示談内容に盛り込む事項の一例

概要
再発防止二度とリベンジポルノ行為を行わないとの誓約書を作成
画像・動画データの削除所有するすべての画像・動画データを削除することを要求
SNSアカウントの削除被害者情報を掲載しているSNSアカウントの削除を要求
連絡手段の遮断被害者に一切連絡を取らないことを要求
ストーカー行為の禁止自宅や職場へのつきまとい、待ち伏せ、監視などの禁止を要求

弁護士は、被害者と十分な話し合いを行い、被害者の希望を踏まえた上で、現実的に実現可能な再発防止策を検討します。

加害者に対して直接要求しづらいことも、弁護士ならば毅然とした態度で要求可能です。

ただし、上記のような内容を盛り込むことは加害者の同意次第になります。交渉ノウハウを持つ弁護士であれば、これらの内容を盛り込むよう粘り強く交渉を続けることが可能です。

訴訟は解決まで時間がかかる可能性がある

相手の対応次第では解決までに時間がかかること、被害者側の請求額が全て認められるとは限らないことから、必ずしも訴訟すべきとは言えません。

できれば訴訟せず、交渉段階で納得のいく結果になることが望ましいです。

被害者が加害者と直接交渉すると、どうしても感情的になってしまうことがあります。弁護士であれば、客観的な視点から冷静に状況を判断し、被害者の利益を守るために交渉を進めることが可能です。

また、リベンジポルノの被害を相談する窓口として公的な機関も多く設けられています。関連記事『リベンジポルノ被害の相談窓口は?ネットに裸の写真が晒されたときの対策』でも相談窓口を紹介していますので参考にしてみてください。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了