アカウントの乗っ取り被害でお困りの方へ|対処法解説
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監修者:アトム法律事務所 代表弁護士
岡野武志

はじめに
この記事では、twitterとInstagramのアカウントを乗っ取られた場合の対処方法を説明しています。
目次
アカウントを乗っ取られた時にやるべきこと
乗っ取り被害とはどういうもの?まずは確認を
アカウント乗っ取りとは、アカウントのログインを許可していない第三者に無断でログインされ、アカウント操作されることを指します。
乗っ取りの手口としては、アカウントのDMに記載されたURLに誘導し、ログイン情報を入力させたり、サービスアプリをTwitterやInstagramのアカウントと連携させる際にログイン情報を入力させたりするケースがあります。
他にも第三者に推測されやすいログインパスワード(生年月日やID名と同じなど)にすることや、家族・友人などにパスワードを教えてしまうことで情報が漏洩し、それが乗っ取られる原因になることがあります。
身に覚えのないフォローなどの操作や投稿が無いか、ログインのたびに自分のアカウントプロフィールや投稿を確認するようにしましょう。
もし、身に覚えのない操作が行われていた場合、不正ログインの可能性があります。ログインができる状態であれば、パスワードをすぐに変更しなければなりません。乗っ取られた状態を放置していると、不正ログインをした第三者にパスワードを無断で書き換えられることがあります。
アカウントが乗っ取られた時の対処法
①Twitterアカウントの場合
運営に報告
Twitter公式サイトには 、「アカウントにアクセスする際に問題が生じている」場合の専用報告フォームがあります。乗っ取られた時期や、状況など、なるべく詳しく記載しましょう。
②Instagramアカウントの場合
運営に報告
乗っ取られてしまい、所有者としてアカウントを取り戻せない時には、公式サイトページの「Instagramにセキュリティコードまたはサポートをリクエストする」項目を確認しましょう。
Android用のInstagramアプリでは、アカウント開設時に設定したメールアドレスが必要となります。iPhone用アプリ使用時は、アカウントに登録していないメールアドレスでも報告手続きが可能です。
警察に不正アクセスで相談
アカウントの乗っ取りは、法律で禁じられている不正アクセス行為に抵触している場合があります。
アカウント情報や、勝手に投稿された内容のスクリーンショットを、印刷して最寄りの警察署へ相談に行きましょう。なお、事前に警察署へ訪問日時を電話で伝えておくことがおすすめです。
訪問日時をあらかじめ伝えずに直接訪れると、ネット犯罪に詳しい担当者が不在のため状況がスムーズに伝わらないということがあります。
警察署に被害届を出すことをお考えの場合には『ネットトラブル・誹謗中傷で被害届が出せるケース・刑事告訴を解説』もお読みください。
アカウントを取り戻すことは難しい?
自分のアカウントにログインが出来るならば、パスワードの変更・再設定や、2段階認証を取り入れることで、そのままアカウントを使用し続けることが可能です。
ただし、メールアドレスやパスワードを変更されてしまいアカウントを取り戻すことが困難だったり、時間を要する場合には、アカウントの削除依頼をおすすめします。静観している間に、乗っ取った第三者に個人情報をバラまかれてしまい被害が拡大した実例があります。削除依頼は早めに行うことが望ましいといえます。
アカウント乗っ取りで想定されるトラブルケース3つ
アカウントを乗っ取られてそのまま放置をしておくリスクは大きく、以下のような被害が出ることがあります。
①アカウントの個人情報流出
アカウントに不正ログインをされると、本来アカウント登録者にしか表示されない設定情報(メールアドレス、住所、電話番号、生年月日など)が第三者に漏れてしまう恐れがあります。そのため、個人情報がいつの間にか拡散されたり、それらが不正に利用されて実害が及ぶことも想定されます。
②画像悪用、転載の恐れ
アカウントに顔画像のアップロードをしていた場合には、画像を勝手に転載利用される危険性があります。例えば、アカウント登録者の画像を用いて「これがおすすめ」などとコメントを添えたリンクページを投稿し、詐欺サイトにアカウントのフォロワーを誘導する手口などがあります。他にも、画像を匿名掲示板や他のSNSアカウントで無断使用される恐れがあります。
③イメージダウン、風評被害
アカウントを乗っ取り、アカウント所持者の社会的評価を貶める言動が行われてしまうことがあります。乗っ取りの事実を知らない人には、乗っ取り犯による言動をアカウント所持者本人の言動だと誤認されてしまいます。そのため、乗っ取られたアカウント所持者に対するSNS上の印象や評価は、マイナスのものが増えることが予想されます。
また、乗っ取られたアカウントが企業や店舗として運用している場合には、企業イメージや店舗の印象を著しく損なう可能性が発生します。twitterやInstagramのアカウント乗っ取りに詳しい、もしくは相談に応じてくれる窓口を探しましょう。運営会社や警察の他にも法律事務所に相談ができます。
法律事務所に相談する時に確認すべきポイント
ポイント①利用しやすい相談窓口があるか
法律事務所での相談は来所の他に、電話やメール、LINEチャットで出来る場合があります。学校や仕事でお忙しい方はメールやLINEで相談することをお勧めします。
法律事務所への相談時には、乗っ取られたアカウント名やアカウントURLを伝える準備をしておきましょう。URLのリンクや、画面のスクリーンショットを用意しておくとスムーズです。
ポイント②弁護士がSNS事情に詳しいか
法律事務所によって得意とする相談分野は様々です。twitterやInstagramのアカウントが乗っ取られて対処をする場合は、インターネットトラブルに詳しい弁護士を選ぶ方が良いでしょう。法律事務所サイトを比較しながら検討し、分からないことがあれば問い合わせてみてください。
ポイント③費用体系が分かりやすいかどうか
法律事務所によって費用体系は、様々です。例えば、「着手金」や、「報酬金」といったものが設定されています。
着手金は、弁護士と削除依頼の契約を締結した時に発生するもので、実際にアカウントの削除がされていなくても支払う必要があります。
一方の報酬金は、アカウントの削除に成功した場合に支払いが発生します。「着手金」と「報酬金」がそれぞれいくらかかるのかよく調べておく必要があります。支払い方法なども確認したうえで削除依頼をする弁護士を選びましょう。
まとめ
乗っ取り被害に心当たりがあり不安な方は、まずは警察に相談してみましょう。警察に捜査には至らないと判断された場合や、捜査を待つよりも早くアカウントを削除したいという方は、法律事務所に相談してみましょう。
他のSNSアカウントの場合も、被害拡大を抑えるために、他に方法がないか専門家の意見も参考にしてみてください。積極的に解決に向けてのアプローチ方法を検討することをおすすめします。

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了