実名報道の逮捕記事を削除依頼する方法|ネット上の逮捕歴を削除したい

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実名報道の逮捕記事

この記事でわかること

実名報道の逮捕記事がネット上に存在する場合、打ち明けていないのに逮捕歴が周囲に知られてしまうことはよくあります。周囲の人との関係性や、就職活動など、あらゆる場面で影響が及ぶことが避けられません。

ネット上で逮捕記事を発見した時には、どんなサイトに掲載されているのかまず確認しましょう。サイトの特性に合わせた削除手段を選択することが大切です。

ここでは実名報道の逮捕記事を削除依頼する方法を解説しています。

逮捕記事の削除依頼方法(1)問い合わせ窓口

問い合わせ窓口利用時の注意点

逮捕記事が掲載されているサイトに問い合わせ窓口フォームが設置されている場合、サイト管理者に連絡を行うことができます。

ただし、適切な文面で依頼をしなければ、削除に応じてもらえなかったり、削除依頼したこと自体が晒されるなど、新たなトラブルを招くこともありますので注意が必要です。

サイト管理者に問い合わせる時は威圧的だったり、感情的だったりする言葉遣いを用いないように留意する必要があります。丁寧な言葉遣いを心がけるようにしましょう。

また、逮捕記事の削除依頼は、当事者である本人か、本人から依頼を受けた弁護士しか行うことができません。

弁護士以外の削除業者が報酬を得て削除依頼を行うことは、弁護士法に違反します。削除依頼を自分以外の誰かに任せる場合は、弁護士資格を持つ者かどうか必ず確認してください。

自分で削除依頼できるか心配、自分だけでは削除依頼件数が多くて対処が難しいなどお困りの場合には、弁護士に任せることを検討しましょう。

問い合わせ窓口の削除依頼文の書き方

自分で削除依頼を出すと、ただのクレームとして処理されてしまい、実名での逮捕記事の削除にサイト管理者が応じてくれないケースもあります。

困っている状況の説明だけだったり、削除を求める法的根拠を示していなかったりすると、せっかく削除依頼を出しても応じてもらえません。

削除依頼を行うならば、次の項目を問い合わせフォームに記載しましょう。

  • 削除してほしい記事のURL
  • 削除してほしい記事の内容
  • 侵害された権利 
  • 権利が侵害されて困っている理由

侵害された権利については、法的根拠を示すことで削除の成功率を高めることができます。法的根拠も削除したい内容に合った適切なものでなければいけません。

既存のブログサービスサイトやSNS、掲示板サイトに実名報道の逮捕記事内容が掲載されているならば、それぞれの規約・削除基準に応じてサイト運営会社が対応してくれます。

サイト別の削除依頼のポイントは、下記特集記事をご覧ください。

サイトごとの特性も考慮すべき

削除したいサイトのなかには、報道機関サイトの逮捕記事を引用して作成された、個人ブログが含まれていることがよくあります。

そうしたブログの中には、個人的社会正義の実現を目指して運営されているものが存在します。その場合、削除依頼をする際に権利侵害を主張しても得られる効果は小さいです。むしろ、炎上を招くなどのリスクが考えられますので、対応には特に慎重を要するでしょう。

一方、報道機関は公益的な観点から実名報道を公表することがあります。報道機関が出しているニュース記事の削除依頼を実施するタイミングや方法によっては、公益性の確保が重視され、削除を求める際の法的根拠が弱くなるでしょう。

専門家であれば効果的なタイミングや方法を用いて削除依頼を行いますので、実名報道についてお悩みならば専門家に相談してみましょう。

逮捕記事の削除依頼方法(2)送信防止措置依頼

問い合わせ窓口が無い時は「送信防止措置依頼」

記事の内容が他者の権利を侵害しているのに投稿者と連絡が取れない場合は、サイトサービスを提供している運営会社に削除を求めることが可能です。

これを送信防止措置依頼といい、プロバイダ責任制限法に基づくガイドラインに則って行います。個人で行うことも可能ですが、法的根拠を明確に示す必要があるため、弁護士に任せることがおすすめです。

弁護士に送信防止措置依頼を任せる場合には、運営会社に対して弁護士の名義で送信防止措置依頼を出すことができます。その後、運営会社はサイト管理者に対して意見照会をします。

運営会社からの意見照会に対してサイト管理者が記事の削除に同意すれば削除されますが、何も反応しなかった場合には、運営会社が自己判断で記事を削除することができる仕組みになっています。(必ず削除されるわけではありません)

送信防止措置依頼の手続き

送信防止措置依頼には所定の書式を用いて手続きをします。侵害されている権利や削除を求める理由を、分かりやすく適切に記載しましょう。

主張する権利は削除したい記事内容により異なりますが、一部の例を紹介します。

主張される権利例(一部)

具体例権利侵害特集記事
公表していない電話番号などの情報が晒されたプライバシー侵害プライバシー侵害とは
個人を特定できる情報と共に、過去の逮捕事件内容をネットに投稿された名誉毀損ネットで名誉毀損された方へ
ニュースとして流れた移送時の顔画像を切り抜き転載された肖像権侵害肖像権とは?

送信防止措置依頼書には匿名の第三者ではなく、権利侵害を受けた本人の意思による削除希望だと示すように求める運営会社も存在します。

その場合、サイト運営会社から本人確認書類(運転免許証や住民票)も添えて送るように求められることが多い傾向です。

弁護士を代理として削除依頼を任せる場合、本人から弁護士への委任状等も添えて提出するケースがあります。

自分自身だけで送信防止措置依頼の手続きを行うことにためらいがある場合には、弁護士に任せることも検討してみましょう。

実名報道の逮捕記事は削除依頼が効果的?

報道記事が拡散されたら削除依頼を優先

実名報道の逮捕記事がネット上で出回っている場合には、早期に記事を削除することを優先しましょう。

Yahoo!やGoogleで実名を検索された際に逮捕記事が結果に表示されない・第三者が逮捕記事に目を留めづらくなることを目標とした方が効果的です。

逮捕記事がプライバシー権などの権利侵害があった場合、記事投稿者について開示請求等により個人を特定し、損害賠償(慰謝料)請求なども可能ですが、慎重な判断が必要です。

開示請求や損害賠償請求など裁判所の手続きを経る場合、証拠保全のために逮捕記事は削除をしてはいけません。

その間に逮捕記事の内容が転載されもっと広がってしまうリスクが高まります。実名報道の逮捕記事による影響をなるべく小さく留めたいならば、削除依頼を選択しましょう。

脅迫や無言電話などの被害が出ている場合は警察へ

ネット上で行き過ぎた個人攻撃の被害を受けた場合には、刑事事件として成立する可能性があるでしょう。

・生命身体に危害を加える予告的な書き込みがあった場合
脅迫罪が成立する可能性が

・職場や自宅の住所・電話番号などの個人情報が晒され、不審物の送り付けやいたずら電話などの嫌がらせを直接受けた場合
偽計業務妨害罪などの犯罪が成立する可能性

こういった個人攻撃の被害を受けたならば、すぐに警察に相談するべきです。

警察に被害申告をする場合は、あらかじめ最寄りの警察署に連絡のうえ、証拠となる投稿画面を印刷し持参することをおすすめします。

被害届を出すケースも証拠保全のため、先に削除依頼をしてしまわないように注意しましょう。

詳しくは特集記事『ネットトラブル・誹謗中傷で被害届が出せるケース・刑事告訴を解説』をご覧ください。

検索エンジン対策が効果的なケース

記事そのものの削除とは異なりますが、WEB技術を利用した対策もあります。逆SEOといわれる対策方法で、ひとつずつ実名報道の逮捕記事を削除するには多すぎて難しいケースに対して行われます。

Yahoo!やGoogleなどの検索エンジンサイトで実名を検索された際に事件に関する逮捕記事が表示されない・検索結果の表示ページの目立たない場所まで押し下げることを目標とする方法です。

実名で検索した際に、検索結果ページの目に入りやすい位置に逮捕記事が表示されなくなれば、実名で検索されても逮捕歴が人に知られづらくなる狙いがあります。

ただし、検索エンジン対策は時間をかけて行う施策になるため、即効性が必要な場合には向いていません。検索結果全体に対して順位変動の影響を及ぼし、維持させるためには数か月間を要することが多いでしょう。

冤罪なのに実名報道の逮捕記事が出てしまったら?

冤罪でも犯人扱いされ続ける

冤罪の場合、逮捕報道の後に冤罪であったことも大々的に報じられていなければ、罪を犯したと世間的に誤認識されたままのことが多いです。

ネット上でも「犯罪者」「前科者」などと書き込まれるケースが後を絶ちません。ときには、家族に対して心無い言葉が投げかけられることもあります。

ネット上に逮捕記事を転載したり、書き込んだりした人は、逮捕後の事件経緯に興味関心が無い人が多いです。

逮捕記事に関して自分から訂正や削除をせずに放置していると、後から誤解する人が絶ちません。冤罪の場合も削除依頼にトライしましょう。

冤罪なのに実名報道の逮捕記事が出てしまうケースも対応可能

冤罪で不起訴処分や無罪判決が言い渡される場合、「前科」はつきません。しかし、ネット上の実名報道を消さない限り、名前で検索すると逮捕記事が出続けます。

逮捕歴が職場や、近所、友人に知られる影響は計り知れないため、不安を抱くこともあるでしょう。

弁護士を探す場合は、ネット記事削除に力を入れている法律事務所への相談がおすすめです。ネットに強い弁護士に相談・依頼するメリットや、弁護士の探し方については、下記バナーの解説が参考になります。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了