口コミでの誹謗中傷を削除依頼したい方へ|弁護士から消し方のアドバイス

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口コミの削除依頼

近年、行きたい店を決めたり、就職先を探すときに「口コミサイト」・「口コミ機能」が大いに参考にされています。

匿名で口コミを投稿できるサイトも多く、口コミは率直な意見や感想が反映された信用性のおけるコンテンツとして認識している人も多いでしょう。

一方で事実と異なる悪質な口コミが混じっていても、投稿を見た人は口コミの特性上、投稿内容をそのまま信じてしまうケースも存在します。

悪質な口コミを放置しておくことは店や会社の信用問題につながるため、削除依頼などの対策を行い、なるべく早く解決を目指すことがおすすめです。

口コミ・レビューで悪評を見つけた場合の対処法は?

口コミやレビューの中で自分(自社)に対する悪評を見つけた場合には、その投稿内容によっていくつか対応策が考えられるでしょう。

サイト運営者に削除依頼を出す

口コミサイトへの誹謗中傷の投稿は、基本的にサイト運営者・運営会社に対し削除依頼を出すことになります。

利用規約で禁止されている内容が投稿された場合、それを根拠に削除を申し出てることが可能です。典型的な削除依頼案件としては、次の2つがあります。

1.名誉権の侵害が疑われる投稿

口コミ事例-名誉権侵害

  • 「店員の〇〇さんは前科持ちで、先月出所してきたばかりらしい」
  • 「この病院の〇〇医師は裏では違法薬物を使っている」
  • 「このヘアサロンのオーナーは不倫をして訴えられている」

2.プライバシー権の侵害が疑われる投稿

口コミ事例-プライバシー侵害

  • 「店長の〇〇さんの電話番号は090-****-****(実際の番号)」
  • 「ここで働く〇〇さんは精神疾患をもっている」
  • 「総務部部長は●●国の出身で日本人じゃない」

誹謗中傷の内容は広く、様々です。
削除依頼をする際の法的侵害主張は、投稿された内容によって異なります。法律を調べておかなければ適切な指摘が難しいため、弁護士に削除依頼を任せることがおすすめです。

ネット上のプライバシー侵害や、実名や電話番号といった個人情報の晒し被害については、くわしく解説した関連記事も参考にしてください。

口コミの内容を警察に相談する

口コミが投稿されたことによって、ネット上で炎上し、対応に追われた・休業した等のビジネス上の不利益をこうむった場合には、警察に相談することも検討しましょう。

一度会社や店舗の信用が失墜すると、簡単に回復させることは難しく、経営上大きな打撃を受けることになります。

口コミ内容によっては、信用毀損罪として犯罪を構成することもありますので、早めの対応が必要です。

信用毀損罪や業務妨害罪のくわしい解説、店への悪口が名誉毀損にあたるケースを知りたい方は、関連記事をご参照ください。

口コミをあえて放置する(様子を見る)

「放置する」というのは、正確には「様子を見る」ということになります。

口コミを書き込まれてすぐに何かアクションを起こすのではなく、その投稿の影響の大きさや投稿者の動きを見ながら対応策を考えましょう。

口コミ・レビューに悪評が書き込まれたとき、すぐに反論を書き込むことは炎上を招く原因になりやすいため、控えた方が良いことが多いです。

また、口コミ投稿の件数が多いならば、1件や2件の低評価は大半の良い評価のなかに紛れてしまい、あまり大きな影響力をもちません。

簡潔かつ丁寧な返信を心掛けたり、良い口コミを増やすようにマーケティングに注力することも対処方法の一つといえます。

法律事務所に口コミを相談する

口コミの削除依頼や刑事告訴を考えている場合、投稿にどんな法的問題があるのか自身で判断するには法律の知識が必要です。

あえて口コミを放置すべきかどうかについても、投稿者の特性や状況への考慮が必要となるため、口コミ対処に慣れていないと判断は難しいといえるでしょう。

そこで、インターネットに詳しい専門家に相談し、自分が悩んでいる口コミ投稿に関して、どのような対処法がもっとも適切かを知ることが大切です。

自分自身や会社、またそこで働く人や周囲の関係者のためにも、口コミ対策を検討してみましょう。どうすべきか専門家にアドバイスをもらっておく方が安心感を抱くことができます。

事前に相談受付時に、問題があると思われる書き込みのURLや、スクリーンショットなどの情報を法律事務所に伝えておけば、事情説明がスムーズとなるでしょう。

書き込みをした人を特定する(発信者情報開示請求)

口コミの書き込みをした人を特定したいと考えている場合にも、あらかじめ弁護士へ相談しておきましょう。特定のためには「発信者情報開示」といわれる手続きを行うことになります。

発信者情報開示は、まず口コミ運営サイトからIPアドレスなどの通信記録情報を提供してもらわなければいけません。ところが、通信記録の保存期間は一般的に3か月から6か月です。保存期間が過ぎてしまうと、法的侵害があったとしても発信者の特定に至りません。

開示請求手続きによって発信者を絞り込めた場合には、損害賠償金を請求をするなどして法的責任を追及することができます。しかし、最終的な解決までに時間や金額のコストが大きいため、もたらす効果を考慮しつつ判断を行いましょう。

発信者情報開示請求の手続きや費用については、関連記事をお読みください。

口コミは削除依頼できる?サイト別に削除ポイントを解説

Google口コミの削除依頼

Googleの口コミに誹謗中傷や個人情報の暴露があった場合、Googleが用意した通報制度を利用して削除を求めることとなります。

口コミ投稿横の通報ボタンを押すか、ヘルプセンターのページから通報しましょう。

特定の個人の評価を貶める書き込みなどは、ポリシー違反として削除対象になります。

Google口コミの事例

  • 「この店の料理にはよく髪の毛が入っている」
  • 「店員の●●は手を洗わずに料理をしている」
  • 「店長が暴力団関係者らしい」

投稿されたGoogleの口コミは、全て一般公開されるので誰でも見ることができます。虚偽の口コミの投稿は禁止されていますが、だからといって一度掲載されたポリシー違反の口コミは自動で削除されるわけではないため、見つけ次第対処しましょう。

また、虚偽の口コミを削除するためには、虚偽である証拠資料の提出をGoogleから求められることが想定されますので、用意しましょう。

なお、星1の評価については、コメントがいっさい無いならばGoogleに削除依頼をしても削除されません。Google口コミは、基本的に投稿者が感じたように評価する姿勢が尊重されるからです。

Google口コミの削除依頼について、ポリシー違反の口コミを報告する具体的手順など、詳しく知りたい方は、以下の記事をご覧ください。

転職会議の口コミ削除依頼

転職会議の口コミ削除依頼は、自分でトライすることが可能です。

転職会議のサイトトップページの最下部にある[お問い合わせ]ページから削除依頼を行いましょう。削除依頼書(送信防止措置依頼書)を送る手続きが必要です。

しかし、「誹謗中傷の書き込みだから消してほしい」という言い分では、理由が不十分となり対応してもらえません。送信防止措置依頼書に適切な法的根拠を記したうえで削除を求めなければいけません。

転職会議は、現社員や元社員による労働環境、給料や労働時間などについて言及されていることが多いです。ネガティブな内容でも、基本的には掲載する(削除しない)方針で運営されています。

転職会議で誹謗中傷の口コミを発見した場合の対処方法について詳しく知りたい方は、下記をご覧ください

en Lighthouse(旧カイシャの評判)の口コミ削除依頼

en Lighthouse(旧カイシャの評判)に投稿された口コミの削除依頼は、サイトのヘルプセンター[お問い合わせ]から行います。

en Lighthouse(旧カイシャの評判の投稿ガイドラインにおいて、他人を名指しで侮辱するような書き込みや、特定個人の情報を暴露する書き込みは禁止事項と定めています。

そのため、禁止事項に定められた内容の書き込みは、運営側に伝えて削除を求めるとよいでしょう。

en Lighthouse口コミの例

  • 「人事担当の〇〇はゲイだ」
  • 「役員と暴力団がつながっている噂を聞いた」

上記はほんの一例ですが、口コミがサイト運営によって禁止されている誹謗中傷にあたるのかどうか、判断が難しいものもあります。

書き込まれた口コミの内容が特定の個人(法人)に対して権利侵害性のあるものか、削除依頼が可能なケースか迷う場合は、一度専門家に確認してもらうとよいでしょう。

食べログの口コミ削除依頼

食べログは「口コミガイドライン」内で投稿内容や表現について細かく規定されています。削除依頼前にしっかりガイドラインを読んだうえで、口コミが禁止事項にあたるか確認すべきです。

食べログは、人々が店に対して客観的な評価をすることを求めています。トラブルになった店に対する口コミ投稿をすることは、腹いせにネガティブな評価を書きこまれる懸念から禁止です。

食べログの口コミの例

  • 「みそ汁の味が薄い。この店はダシをケチっている」
  • 「この店の料理が美味しいと思う人はバカ舌だからダメ」
  • 「飲食店なのにレジの〇〇さんは爪を伸ばしていて不愉快」

食べログの口コミを削除する方法についてくわしく知りたい方は、関連記事『食べログの口コミ削除方法は?誹謗中傷の弁護士相談や依頼のメリット』もあわせてお読みください。

じゃらんの口コミ削除依頼

じゃらんは「クチコミの掟」としてサイト利用のルールを定めています。そのルールに違反していると判断されれば、掲載されてしまった口コミでも削除は可能です。

運営側に削除を依頼する方法がありますので、まずは削除依頼を送ってみましょう。それでも難しい場合には、弁護士に見解を聞いてみることも有効です。

じゃらんの口コミ削除の基準や削除方法については、関連記事『じゃらんの口コミ削除基準と削除方法がわかる!削除できない口コミの例も紹介』で詳細に解説しています。

ホットペッパービューティーの口コミ削除依頼

ホットペッパービューティの口コミの場合は、投稿後すぐに掲載されません。口コミ運営会社によって「口コミの掟」に則った内容かどうか審査が行われます。

しかし、ときには運営会社からは口コミ内容の真偽の判断がつかないものが掲載されることもあります。口コミ内容が虚偽を含む場合には[HOT PEPPER Beauty サポートデスク]のメールフォームから指摘をし、削除依頼を行いましょう。

そもそも一目で悪質だと分かる口コミは掲載されないか、一部編集されてから掲載されているため、他のサイトより比較的口コミトラブルが少ない傾向です。

ホットペッパービューティーの口コミの例

  • 「このサロンは芸能人の〇〇さんが常連客です。〇時に行けば会えるかも」
  • 「髪染めの薬剤で髪が傷んだ。この美容室を利用してはいけません」
  • 「〇〇というネイリストの施術が雑で最悪」

ホットペッパービューティーの口コミを削除する方法については、『ホットペッパーやホットペッパービューティーの口コミの削除を依頼する方法は?』の記事でもくわしく解説しています。

Amazonのレビュー削除依頼

Amazonのレビューについては、レビューから違反報告をしたり、カスタマーサービスへ連絡したりする方法があります。

いずれもAmazonのコミュニティガイドラインに違反しているかどうかが削除の基準です。

もしAmazon側に削除依頼を却下されても、裁判手続きによって削除できる可能性もあります。ただし法的手続きになるため、書類作成や証拠書類の準備など、お一人ですべてやるのは困難でしょう。弁護士への相談や依頼も検討すべきです。

Amazonのレビューを削除する方法や、削除の基準となるものについては関連記事『Amazonレビューの削除依頼方法と削除される基準は?悪質なら開示請求できる?』を参考にしてください。

その他レビューブログなどの口コミ削除依頼

口コミサイト以外に、自身でレビューブログ記事を書いてネット上に載せている人もいます。記事が多くの人に読まれ、共有・拡散されると大きな影響力を持つ可能性があるでしょう。

店名や会社名で検索した際にブログ記事が上位に表示されれば、多くの人に閲覧される可能性が高くなるため、レビュー記事の非公開依頼や削除依頼を行いましょう。

削除依頼は管理人に直接コンタクトをとるか、ブログ管理会社に問い合わせることになります。ブログサービスサイトごとに削除依頼ルールや方法が異なるので、多数のブログサイトでレビューブログが散見されるときには注意が必要です。

ブログサービスサイトの規約を読み、記事が規約違反になるかどうか確認しましょう。下記の特集記事ではブログサービスサイトごとの削除ポイントをまとめているので、参考になさってください。

口コミを削除できない時に行う対策方法

悪い口コミへの返信が企業のイメージアップに繋がることがある

2章でお届けした方法で難しい場合、口コミに返信機能があれば礼儀正しい真摯なコメントを心掛けて行うのも手です。

第三者が悪い口コミに対する企業側の返信内容を見たときに、企業に対してどんな印象を持つのかを意識しながら返信内容を考えましょう。

口コミ返信ポイント

  • 感情的、乱暴な言葉遣いをしない
  • 訂正すべきことは簡潔に申し添える。長文で言い返さない

けんか腰で言い返したり、相手の個人情報をバラしたり、訴えると脅したりするなどの返信は控えなければなりません。

口コミを見た第三者によっては企業に対して「怖い」「気難しい」という印象を受け、集客に影響する恐れがあります。悪い口コミには適切な対処をしましょう。

他にも、高評価口コミが増えれば低評価口コミは目立ちません。接客に力を入れるなど、マーケティング対策を行って高評価口コミを大切にしましょう。

口コミ削除依頼は弁護士に任せるのがおすすめ

口コミに書き込まれた誹謗中傷は「急いで」対応すべき

口コミに投稿された誹謗中傷の書き込みを放置すると悪い影響が及ぶことがあります。

悪い口コミによるデメリット

  • 店や会社のイメージダウン
  • 取引先からの信用低下、取引打ち切り
  • 採用募集に対して人員が集まらない
  • 社員の離職率の上昇

悪意のある口コミ投稿が公開されている限りダメージが深刻化していくならば、早期に対応しましょう。

弁護士なしで悪い口コミに対応するのはリスクがある

自身で口コミの削除依頼を行う場合には、投稿内容にどのような法的問題が認められるのか調べることに時間がかかってしまい、その間に不特定多数の人の目に悪質な口コミが読まれて内容が広がる懸念があります。

また、自分で口コミに対して返信をしたところ、ネットで晒され炎上し、状況が悪化することも考えられます。

早期に悪質な口コミ削除依頼を希望するならば、口コミ削除依頼の経験が豊富な弁護士に相談して任せることをおすすめします。

口コミの削除依頼をする際に重要になるのが、書き込みが存在することで店や会社にどんな不利益が及んでいるのか適切に説明することです。

  • 個人を名指しして書かれているのか?
  • 誰のどのような権利侵害をしているか?

口コミの削除依頼を考えるならば法律事務所に相談

業務が忙しくて削除依頼の手続きを自分で行う時間がない、あるいは自分で削除依頼手続きを行う自信がない場合は、弁護士に相談して任せることも検討しましょう。

削除依頼は、誹謗中傷被害者である本人か、本人から依頼を受けた弁護士のいずれかのみ行うことが可能です。

「業者が代行する」とうたったサイトは業者が弁護士法に違反している可能性がありますので、弁護士が行ってくれるのかを必ず確認しましょう。

弁護士に依頼することでどのようなメリットが得られるのか知りたい方は、下記の内容も併せてご一読ください。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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