食べログの口コミ削除方法は?誹謗中傷の弁護士相談や依頼のメリット
飲食店の経営者としてはご自身の店の評判は気になるものですし、いわゆる「口コミ」は集客に大きく影響します。
そんななかで「ひどい口コミを書かれたから削除したい」「こんな口コミは他のお客さんに見られたくない」と感じることもあるでしょう。
食べログの口コミ削除方法は、食べログのサイトに連絡する方法と、裁判所の仮処分申立てを活用する方法の2つがあります。
なお、口コミ削除の難しい点は「単なる感想」か「法的に問題がある」かの見極めが難しいことです。弁護士に相談すれば、この点についてのアドバイスがもらえます。
食べログの口コミを削除する方法と、弁護士に削除を依頼するメリットをみていきましょう。
目次
食べログの口コミ削除を運営会社へ依頼する方法
食べログの口コミ削除については、まず運営会社に連絡する方法があります。
運営会社への連絡方法と削除のガイドラインについて説明します。
運営会社に連絡する
食べログの口コミ投稿には全て右下部分に[問題のある口コミを連絡する]というリンクがあり、お問い合わせフォームページへアクセス可能です。
お問い合わせ内容欄に、問題のある口コミの投稿者と、その投稿内容、投稿に問題があると考える理由を記載して送信します。
お問い合わせページに記載する内容
・タイトル
[問題のある口コミの報告]を選択
・メールアドレス
返信が迷惑メールに振り分けられないかチェック
・お問い合わせ内容
問題があると考える投稿の詳細を記載する
食べログにおける不適切な口コミの例
食べログでは、口コミガイドラインに基づいて口コミ内容の精査を行う専任チームが存在し、口コミ投稿の削除判断や編集を行っています。
食べログの公式ホームページでは「不適切な口コミへの対応について」と題して、次のような口コミを見つけた際の連絡を呼び掛けています。
- 事実と異なる内容
- 飲食店への断定的批判、利用客批判
- 衛生管理面や個人的なトラブルへのクレーム
具体的には、以下のような投稿であれば、不適切な口コミとして食べログ側が対応する可能性があります。
不適切な投稿
- 飲食店の評判に影響を及ぼす恐れがある事実関係の確認が難しい口コミ
「ここで食事をしたあとに体調を崩した」 - 断定的な表現を使う口コミ
「このお店は量が少ないのに高くてぼったくりだ」 - 店舗関係者個人を特定した批判
「△△という店員は接客態度が悪く、おまけにブスだ」
食べログではNGとなる口コミの内容は幅広いため、対応してもらえる可能性は高いでしょう。誤った情報が口コミ投稿されていると風評被害が広まりますので見つけ次第対処することが重要です。
風評被害への対処法にお困りの場合は、関連記事『ネット上の風評被害対策を解説!削除や投稿者の特定方法は?どこに相談する?』の解説をお役立てください。
食べログの口コミ削除を裁判所に求める方法
食べログの口コミについてサイトに連絡しても対応してもらえない場合には、裁判所の仮処分申立て手続きを利用する方法があります。
仮処分とは、本案の判決が出るまでの間、暫定的に一定の措置を命じる制度です。正式な裁判を待っていると口コミによる権利侵害が進んでしまうことから、被害者の権利保護のために用いられます。
裁判所の仮処分申立ての制度と流れについてみていきましょう。
裁判所の仮処分申立ての流れ
仮処分申立ての流れは以下の通りです。
- 仮処分申立書を提出する
- 裁判所で審理される
- 仮処分にあたっての担保金を支払う
- 削除についての仮処分命令が発令される
- 口コミが削除される
裁判所が仮処分申立てが正当であると認めると、食べログサイトに対して当該口コミの削除に関する仮処分を発令します。この仮処分命令にはサイト側も応じる可能性が高いです。
権利侵害の内容は様々ですが、飲食店の営業を妨害するものであったり、飲食店の従業員の権利を侵害するものなどが考えられるでしょう。
仮処分申立てのポイント
仮処分の申立てについては、どういった権利侵害が生じているのかを明らかにしなくてはいけません。
飲食店の口コミにおいては、名誉毀損、侮辱罪、信用毀損、偽計業務妨害、威力業妨害などのさまざまなケースを検討するべきです。
なかには警察に被害を申告して、刑事事件として捜査してもらうべき事案もあるでしょう。そのため弁護士に口コミ内容を見てもらい、権利侵害に関する見解を聞いておくことをおすすめします。
そして、仮処分申立てという法的手続きに慣れた弁護士への依頼も検討していきましょう。
口コミを削除するために仮処分申立てをしたいと考えている方は、よりくわしい関連記事『削除請求の仮処分申立てとは?ネット上の誹謗中傷や名誉毀損への法的手続き』も併せてお読みください。
食べログの口コミで削除されないケース
口コミを書かれた側にとってはショックな内容であっても、その口コミが権利侵害にあたらない場合には削除されません。たとえ裁判所に仮処分を申立てても通らないでしょう。
食べログの口コミで削除されないケースを具体的に紹介します。
食べログのガイドラインに違反していないケース
食べログは口コミについてガイドラインを設けて運営しているので、ガイドラインに違反してない口コミについては削除されません。
ガイドラインは口コミに対して次のように求めています。
口コミガイドライン(一部抜粋)
- 実際にお食事された内容を具体的に記述してください。
- お店へ悪影響を及ぼすかつ内容の確認が困難な事象についての投稿はご遠慮ください。
- お店の運営や経営に関する内容の記載はご注意ください。
- 衛生管理面のクレームはしかるべき当局へご連絡ください。
- お店の法律違反・契約違反に関する内容はしかるべき当局または関係者へご連絡ください。
- 個人への誹謗中傷、店舗への断定的批判、及び不適切な表現は禁止します。
- お店への個人的なクレームやトラブルに関する内容はご遠慮ください。
- トラブルがあったお店への口コミの投稿はご遠慮ください。
- 法令に反する行為や犯罪行為等に結びつく口コミは禁止です。
- プライバシーの侵害にご配慮ください。
- 著作権等の知的財産権についてご配慮ください。
- 節度ある表現での投稿をお願いします。
※食べログ口コミガイドラインより一部抜粋
個人の批評や感想にとどまるケース
口コミについて「味付けが塩辛く感じた」「個人的にリピートなし」というような表現については、食べた人の批評・感想と考えられます。
あくまで表現の自由の範囲内と考えられるので、お店側にとって都合が悪くても、削除の対象とはならないでしょう。
食べログの口コミ削除に関してよくある質問
食べログの口コミ削除に関してよくある質問について回答します。
「まずい」と書かれたら口コミは削除できる?
あまりに度が過ぎた表現で「まずい」と書かれた口コミについては、論評の範囲を超えているとして削除の対象となるでしょう。一方で個人の感想の範囲と判断されたら、削除の対象とはなりません。
口コミの目的や全体の論評性から判断されるものなので、一度弁護士に相談することをおすすめします。
なお、「まずい」という口コミだけでは名誉毀損罪には該当しません。名誉毀損の構成要件には「事実の摘示」があります。「まずい」という表現は具体性がないので、名誉毀損にはあたらないのです。
名誉毀損の成立要件については関連記事『名誉毀損の成立要件と慰謝料相場!名誉毀損にならないケースも解説』を参考にしてください。
口コミで名指しの誹謗中傷を受けたら削除してもらえる?
口コミで名指しの誹謗中傷を受けた場合は削除の対象となる可能性があります。店舗名があきらかで、なおかつ実名が出ているということは個人の特定ができるものだからです。
逆に、誰のことを指しているのかを特定できない場合には、同定可能性がないものとして権利侵害が認められません。
誹謗中傷と同定可能性の関係は、関連記事『ハンドルネーム・伏字・源氏名への誹謗中傷で名誉毀損は成立する?』の解説もあわせてお読みください。
口コミの削除にかかった費用は相手に請求できる?
口コミの削除にかかった費用は自己負担となります。
裁判所への仮処分申立てについては、申立て関連する郵便切手代や手数料がかかります。また、正当な申立てであれば返還されますが担保金の準備が必要です。
こうした仮処分申立て費用については、投稿した人物を特定しているわけではないので、誰に請求することもなく、ご自身での負担になります。
口コミについて投稿者に訴訟をしたいときは?
投稿者へ訴訟をおこして損害賠償請求をしたいときには、まず投稿者を特定することがポイントです。投稿者の特定には「発信者情報開示請求」という手続きを取ることになるでしょう。
発信者情報開示請求のおおよその流れ
発信者情報開示請求では、その口コミを投稿した際の発信者情報を開示してもらうことをいいます。氏名・住所・メールアドレスなど、個人を特定しうる情報を入手できます。
発信者情報の開示は「プロバイダ」に依頼しますが、そのプロバイダを特定するためには投稿時のIPアドレスが必要です。そこで、まずは食べログ運営側にIPアドレスの開示を求めることになります。
発信者情報開示請求のくわしい流れは関連記事『発信者情報開示請求とは?ネットの誹謗中傷の投稿者を特定する方法と要件』をお読みください。
補足
口コミの削除によって投稿者を特定につながる情報が失われてしまう可能性があります。まずは証拠としてスクリーンショットをとり、それから発信者情報開示請求にくわしい弁護士への相談を検討してください。
食べログの口コミ削除は弁護士に依頼すべき?
食べログの口コミ削除については、弁護士に依頼することで得られるメリットとデメリットの両方があります。
弁護士への依頼を検討する際にはメリットとデメリットの両方を精査して慎重におこないましょう。
口コミ削除を弁護士に依頼するメリット
食べログの口コミ削除を弁護士に依頼するメリットとして、法的根拠を重視した対応が取れること、ご自身はお店の経営に集中できることなどがあげられます。
弁護士は法律の専門家なので、口コミ内容がどんな権利侵害を起こしているのかを冷静に判断可能です。
また、食べログサイトに削除を依頼するにしても、裁判所の仮処分申立てをおこなうにしても、弁護士に一任することで煩雑な手続きから解放されるでしょう。お店の経営に集中しやすい環境を確保できることもメリットです。
口コミ削除を弁護士に依頼するデメリット
食べログの口コミ削除を弁護士に依頼するデメリットは、弁護士費用がかかることにあります。
着手金や成功報酬は法律事務所ごとの費用体系によって様々ですが、数万円から数十万円程度かかるケースもあるので、依頼前にしっかり確かめておきましょう。
弁護士に依頼しても削除が実現できないことも有り得ます。もし削除ができなかったときにどういった弁護士費用を支払うことになるのか、あるいは削除できたときに最大でいくら支払うことになるのかなども確かめておいてください。
法律相談でメリットとデメリットを比較しよう
弁護士との契約前には法律相談が欠かせません。そこで直接弁護士から話を聞いて、ご自身のケースでメリットとデメリットについて説明を受けましょう。
とくに、インターネットトラブルの中でも削除手続きにくわしい弁護士への相談がおすすめです。
口コミに関しては削除以外にも投稿者の特定、刑事告訴などのあらゆる対処法を検討すべきケースもあります。関連記事『店への悪口は名誉毀損や営業妨害になる?誹謗中傷への対処法がわかる』もあわせてお読みください。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了