Googleマップ口コミの削除依頼方法!削除できないときの対応も弁護士解説

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Googleの悪質口コミ

Googleマップの口コミは誰でも利用でき、なおかつ匿名性が高いため、個人の感想を自由に投稿できます。ユーザーはその口コミをもとに食事をするレストランや治療先である病院を決めたりすることも多く、事業者にとっては口コミの内容は重要です。

だからこそ、悪質な口コミを書かれてしまったときには、Googleマップの口コミを削除したいと考えるのも自然な気持ちでしょう。

結論から言いますと、Googleマップの口コミはGoogle側に削除を依頼することが可能です

ただしGoogleが掲げるポリシーに違反しているものに限られているので、「うれしくない口コミ」をすべて削除できるわけではありません。

ここではどういうGoogle口コミが削除される可能性があるのか、削除依頼方法、口コミが削除されないときの対策について解説しています。

Google口コミの削除基準はポリシー違反に注目

まずはGoogleの口コミポリシーを確認する

Googleが掲げている削除ポリシーに違反している口コミがあれば、削除依頼が可能です。具体的には、次の投稿が削除の対象となります。

ポリシー違反の例

  1. スパム・虚偽の口コミ
  2. お店との関連性がない口コミ
  3. いじめ・嫌がらせの口コミ
  4. 個人情報を含む口コミ(住所・名前など)
  5. 冒涜的な表現のある口コミ(汚い言葉・露骨な性描写、詳細な暴力表現を使うなど)
  6. 差別的表現のある口コミ(身元を理由に個人またはグループを中傷する表現など)
  7. 役に立たない口コミ
  8. 利害に関する口コミ(競合店を低評価するなど)

Googleの口コミは、ユーザーにとって有益な情報を提供することが目的とされています。書かれた側にとって都合が悪い評価でも、google口コミの目的にかなうものは公開されるのです。

具体的にどんな表現の口コミは消せるのか

特定の個人に対する攻撃的な発言であったり、あたかも真実の体験のように虚偽内容を投稿して店の評判を貶める行為は、ポリシー違反として削除される可能性が高いといえます。

ポリシー違反に該当する例

  • 「●●課の●●は詐欺師だ」
  • 行ったことがない店舗の口コミに「ここで買った食べ物に針が入っていてケガをした」

ただし、書き込まれた内容が虚偽であると主張する場合、虚偽であると示す証拠が求められるため、口コミ削除依頼の難易度は高いといえます。

一個人の感想に留まるものや、抽象的な表現の口コミに関しては、ポリシー違反に該当しないとGoogle側に判断されます。

ポリシー違反に該当しない例

  • 「料理の味が悪かった」
  • 「会社の雰囲気が険悪だった」

あくまで個人の感想や抽象的な表現は虚偽のコメントとは言いにくいため、削除されにくいでしょう。

悪質なGoogle口コミを自分で削除依頼する方法

方法1:口コミごとに報告を行う

口コミごとに報告を行うには、Googleビジネスプロフィール(旧Googleマイビジネス)を管理している場合と、管理していない場合で方法が異なります。

Googleビジネスプロフィールを管理している場合

Googleビジネスプロフィールの管理権限を取得しているオーナ―の場合、管理画面から口コミを削除依頼することが可能です。

  1. アカウントにログインし、[クチコミ]をタップする
  2. 口コミ一覧が表示されるので、削除依頼したい口コミをタップし[不適切なクチコミとして報告]を選択
  3. 違反の種類から該当するものを選び、報告する

Googleビジネスプロフィールを管理していない場合

GoogleビジネスプロフィールはGoogle側が情報を収集して、自動生成されていることがあります。オーナー権限を取得していなくても報告操作は行えるので、試してみましょう。

  1. Googleアカウントでログインした状態にしておく
  2. Googleマップを開き、該当する口コミをタップ、[レビューを報告]を選択する
  3. 違反の種類を選択して報告する

方法2:削除リクエストフォームで削除を申請する

Googleは[法的削除に関連する問題を報告する]というリクエストフォームを用意しています。問題となるコンテンツとそのコンテンツが違法だと考える理由を報告すると、Googleが必要に応じて適切な措置を検討してくれるものです。

フォームに記載する内容

  • 申立人の居住国、名前、連絡先メールアドレス
  • 問題があると考える口コミのURL、具体的に法律の条文を用いて理由を説明
  • 問題があると考える口コミの表現を引用

フォームの場合、記載内容は非常に重要です。

Google側に削除対象であることを認識してもらうには、口コミの投稿内容に法的な問題があり、権利侵害を受けていることを明確に伝えなければなりません。

権利侵害と主張する理由を具体的に示す必要があるため、一定の法律知識が必要です。

どういった口コミ表現が名誉毀損になるのか、信用棄損罪になるのかなどを整理して的確に記載せねばなりません。

なお、問題の口コミをGoogle側に削除してもらうまでには時間がかかるケースが多いです。短期間で口コミが削除対応された事例もありますが、Google口コミは1ヶ月近く経ってから削除されたという事例もあります。

口コミが削除できない時は仮処分申立ても検討 

Googleへ削除依頼をしても応じてもらえない場合、仮処分という裁判手続きを検討していきましょう。

仮処分とは、権利侵害が起こらないように、あるいは権利侵害が起こった時に迅速に権利保護をするため、通常の裁判を待たずに裁判所が暫定的な措置を命令してくれる仕組みです。

仮処分申立による効果と大まかな流れについて説明します。

口コミを削除するための裁判手続き「仮処分」

仮処分申立てが認められたら、裁判所からGoogleに対して悪質な口コミを削除するような命令を発令してくれます。

仮処分申立ての大まかな流れは以下のとおりです。

仮処分申立ての流れ

  • 証拠収集
  • 法律相談
  • 申立書の作成と裁判所への提出
  • 裁判所による申立書の確認と審尋
  • 担保金の納付
  • 裁判所が仮処分命令を発令

仮処分の申立てを行った後、申立てをした側(悪質な口コミを書かれた側)は裁判官と面談をおこない、それからGoogle側との面談もおこなわれることが原則です。そして、仮処分命令が妥当だという判断を受けたなら、担保金を納付せねばなりません。

申立て内容が正当であれば担保金は後日返還されるものの、仮処分申立て段階で用意しておくことがおすすめです。

削除請求における仮処分については、関連記事『削除請求の仮処分申立てとは?ネット上の誹謗中傷や名誉毀損への法的手続き』でもくわしく説明していますので参考にしてください。

仮処分申立てをする際には弁護士相談がおすすめ

申立てをする側(債権者)は、記載内容や形式をしっかりと検討して申立て書を作成すべきです。

裁判官は、保全すべき権利であるのか、主張予定の事実について証拠資料は揃っているのかなどを確認し、判断するものです。

もし仮処分命令を発令することが適切でない可能性が高いと判断されれば、債権者に再考を求めたり、取り下げを促したりすることもあります。

また、Googleが口コミ削除をそのままスムーズに認めない場合もあり、争ってきた場合には実際に削除されるまで半年~1年ほどかかる場合も考えられるでしょう。

このように仮処分申立ての手続き自体は誰でも可能ですが、法的な根拠をより明らかにして、万全で臨むならば弁護士に対応を任せることがおすすめです。

なお、弁護士を立てる場合には相応の費用が必要となる点も留意しておかなくてはなりません。

【コラム】悪いGoogle口コミを減らす対策

良い評価を増やす

会社、店舗、病院を経営するうえで、悪質な口コミがどのくらいの影響を与えているのか冷静に判断する必要があります。良い口コミが大多数を占めているならば、悪い口コミを投稿されても目立たないため、口コミを重要視する人の割合も少ないといえるでしょう。

また、口コミの投稿数自体が少ない場合でも、質の高いサービスを提供していけば自然と良い評価の口コミも増えていくでしょう。良い評価の口コミが増えていけば、悪い口コミは目立たなくなります。顧客満足度を高めるマーケティングを注力することも重要です。

投稿には丁寧に返信する

口コミへの返信も、企業や店舗に対する評価を左右します。返信は誰でも閲覧できるので、感情的に返信してしまえば、より悪い印象を与えてしまいかねません。
丁寧な返信を心掛け、乱暴な返信は避けましょう。

口コミに表示される星評価は、星の数が少ないという理由だけで口コミを削除することはできません。コメントがなくとも評価のお礼返信はすることをおすすめします。

書き込みが削除できるか分からない、返信したせいで火に油を注ぐことにならないか不安等のご懸念がある場合はネットトラブルに強い法律事務所に相談しましょう。

悪質なGoogle口コミが裁判になっている事例

医院への名誉毀損にあたると判断された事例

ある女性が眼科医院のGoogle口コミにおいて「勝手に一重まぶたにされた」などと投稿しました。

裁判官はこの投稿について「患者から承諾を得ることなく、勝手な医療行為をするとの印象を閲覧者に与える」と指摘し、医療法人への名誉毀損・社会的評価の低下を認めたのです。

投稿者に対して投稿の削除と200万円の損害賠償を命じました。

ここがポイント

医療法人側は2021年、Googleに対して発信者情報開示を求めて提訴し、開示を求める判決を受けて投稿者の氏名と住所の開示を受けていました。

Google口コミは匿名で利用できることから、自由闊達な意見・感想を投稿できます。その一方で、名誉毀損にあたるような投稿をされたとしても、実在する誰が書いたのかは簡単には分かりません。

そのため、ネット上の匿名の投稿者を特定する手続きとして「発信者情報開示請求」という手続きが必要になることも多いです。

関連記事『発信者情報開示請求とは?ネットの誹謗中傷の投稿者を特定する方法と要件』では発信者情報開示請求についてイラスト付きで概要と流れを説明しているので、あわせてお読みください。

Googleに対する口コミへの責任を求める事例

全国の医師や歯科医師らは、Googleマップに投稿された口コミが削除されずに利益侵害を受けたとして、口コミ投稿者ではなくプラットフォーマーであるGoogleへ損害賠償を求めて提訴しました。

原告らは、誹謗中傷・営業妨害を受けている医療機関が多いこと、間違った情報に対して反論しようにも守秘義務があるため公の場では難しいことなどを主張しています。

この裁判はプラットフォーマーへの賠償を求める集団訴訟として注目を浴びるものです。

ここがポイント

誹謗中傷や営業妨害については民事上の損害賠償請求が可能です。

投稿の削除を求めるだけでなく、権利侵害を受けたことに対する損害賠償請求も認められています。

一般的に名誉毀損であれば法人で50万円から100万円、個人で10万円から50万円が相場とされていますが、損害賠償額は事案により様々です。

損害賠償額の算定については、ネット上の誹謗中傷に強い弁護士に依頼しましょう。

関連記事『誹謗中傷の慰謝料相場はいくら?損害賠償請求の流れと注意点をおさえよう』では、慰謝料請求のポイントや一般的な相場について解説していますので、参考にしてみてください。

誹謗中傷に対する発信者情報開示が命じられた事例

本事案は、ある診療所に勤務する女性がGoogleマップの口コミ欄に投稿された記事によって、名誉権・名誉感情を侵害されたとして、損害賠償請求のため発信者情報の開示を求めたものです。

裁判所は投稿のうちのいくつかには事実の適示や社会的評価を低下させるものがあることを認め、違法性阻却事由もないことから、被害者の権利侵害を認めました。そして、発信者情報の開示を命じたのです。

本事案は発信者情報開示請求事件 令和4年2月28日判決より抜粋しています。

ここがポイント

権利侵害が明白であることが大事なので、権利侵害の要件・条件は整理しておきましょう。

たとえば名誉毀損であれば、「公然と事実を摘示し、社会的評価を低下させる(人の名誉を傷つける)行為」とされています。そのため、公然の場であること、事実が摘示されていること、社会的評価を下げる内容であることなどが成立要件です。

口コミに書かれた内容に対して「不快だ」「いやだ」というだけではなく、ご自身のどんな権利が侵害されたのかを明確にしていく必要があります。

たとえば口コミで個人名(実名)が書かれたらプライバシー侵害、誰か特定できるようにはっきりと顔写真を晒されたなら肖像権侵害などに当たる可能性があります。

Google口コミの削除依頼でよくある質問

Google口コミ以外にサジェストや検索結果記事も消してもらえる?

Google検索サジェストに出てくる語句は、その語句を含むサイト・記事が存在している可能性が高いといえます。その場合、該当の語句を含むサイト・記事に対する削除依頼が必要です。

たとえば、会社名・店名・病院名をGoogleサーチエンジンに入力したときにネガティブなキーワードがよく一緒に検索される語句として予測候補に出てきます。

ネガティブなサジェスト例

  • 「●●会社 ブラック」「●●事業所 パワハラ」
  • 「●●店 態度悪い」「●●支店 ぼったくり」
  • 「●●病院 医療ミス」「●●クリニック ヤブ医者」

サジェスト対策は『Google検索のサジェスト削除依頼|サジェスト汚染の対策方法とは』の記事をご覧ください。

同じように、個人の画像や公開していない個人情報がGoogle検索結果に出る場合も、掲載しているサイト・記事に削除依頼を出す必要があります。検索結果の削除については関連記事『Google検索結果から自分の画像や個人情報を削除する方法』をご覧ください。

Yahoo!検索結果に関する会社・店舗・病院に関する誹謗中傷にお悩みで消したい方にはYahoo!の削除依頼の特集をおすすめします。

従業員が名指しされていますが削除されますか?

実名が書かれている場合には削除の対象となる可能性が高いです。

実名は個人情報にあたり、Googleのポリシー「個人情報を含む口コミ(住所・名前など)」に違反します。

星評価で1だけ付けられた口コミは削除できる?

星マークによる評価だけで何もコメントがないときには、違法性があるとは言えず、Googleに削除を依頼しても対応が難しいでしょう。

もし続くようであれば、削除依頼にとどまらず、嫌がらせを受けていると申告してみることをおすすめします。

口コミの削除を弁護士に依頼した場合の弁護士費用相場は?

一般的な弁護士費用の項目は、「着手金」と「報酬金」で構成されています。着手金が必要なところもあれば、報酬金のみのところもあるでしょう。

各事務所の見積もりを取り、比較検討したうえでご自身の納得感が高い事務所に依頼することをおすすめします。

弁護士費用の解説

弁護士費用概要
着手金契約時に発生する料金であり、結果にかかわらず返金されない
報酬金成功の場合に発生する料金 削除に至らずに終わった場合は発生しない

Googleマップの口コミ削除に関する弁護士費用は、法律事務所により料金形態は様々です。具体的には、法律事務所によって削除依頼を希望する口コミ投稿件数によって費用が変わったり、内容から難易度によって料金が変動する仕組みもあります。

インターネットトラブルにくわしい弁護士・ネットに強い弁護士を探す際には、下記バナーより相談先を検討する際のヒントになる解説記事を参考にしてみてください。

ネットに強い弁護士を探す

Google口コミの投稿者を特定できる?

Google口コミに書かれた内容が権利侵害に該当する場合、書き込み者を特定できる可能性があります。特定できれば、その個人に対する損害賠償請求や刑事責任を問うことも可能です。

ただしどんなケースでも特定できるわけではなく、権利侵害が起こっていると認められることや法的な手続きが必要になるので、一度弁護士に内容を確認してもらうと良いでしょう。

Google口コミの開示請求や特定の流れを知りたい方は、関連記事『Google口コミの開示請求はできる?特定後の訴えも見越して弁護士に依頼しよう』を参考にしてみてください。

まとめ

Googleは、削除対象となる口コミの種類を明確に定義していますが、その基準は一般の方から見て必ずしもわかりやすいものとは言えません。

「虚偽の情報に基づく口コミ」、「スパム」、「誹謗中傷」などそれぞれの解釈や判断基準は曖昧な部分が多く、削除の可否は個別の状況によって大きく異なってきます。

そのため、削除基準に合致していると思われる口コミであっても、実際に削除されるかどうかは不確実です。削除依頼を提出しても、Google側から明確な理由もなく却下されるケースも多く、削除の可否を事前に予測することは困難でしょう。

Google口コミの削除実績を持つ弁護士に相談すれば、お困りごとや悩みごとが解決に近づく可能性があります。まずは弁護士への相談から始めてみましょう。

関連記事では店への悪口が名誉毀損や営業妨害になるケースや、悪質な口コミへの対応策を解説しています。Google口コミに限らず、どういった対処があるのかを解説しているので参考にしてみてください。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了