Google検索のサジェスト削除依頼|サジェスト汚染の対策方法とは
この記事でわかること
- Googleサジェストの仕組み
- Googleサジェスト汚染の削除対策ポイント
- Googleサジェストの削除を弁護士に依頼するメリット
Googleなどの検索エンジンサイトで名前や会社名を検索窓に入力すると、サジェスト(検索候補)の単語が自動で表示されることがあります。もし、サジェストがネガティブな印象を与える単語だった場合、それは「サジェスト汚染」といわれる状況です。
個人の名誉や会社の信用に誤解を与えるネガティブなサジェストが表示されると、それが事実であるかどうかにかかわらず、サジェストを目にした人に対して悪い印象を与える恐れがあるでしょう。サジェストが汚染されたら、早急な対策がおすすめです。
目次
サジェスト削除前に確認しておくべきポイント
検索結果に関連記事があるか確認
ネガティブなサジェストを消したくても、そのサジェスト単語を含んだ記事がネット上に存在しつづけた状態で、検索エンジンからサジェストを消す難易度はとても高いです。
検索結果に表示されているサイトの中身も確認し、ネガティブな表現が存在するかチェックしておきましょう。
Google検索の結果から該当の記事を「非表示にする」方法は存在します。しかし検索結果から非表示にしたところで、記事が削除されない限りサジェストに反映される可能性があります。
ネガティブなサジェストを含むキーワードで検索して出てきた記事をクリックしたところ、中身は削除されていて見れないというケースもあるでしょう。
これはGoogleの検索結果やサジェストに、記事の最新情報が反映されまで一定の時間がかかるからです。
そのような時には、Google検索エンジンサイト内のキャッシュデータとして、Googleに削除申請しておきます。キャッシュの削除については『Google検索結果の削除依頼』記事の「キャッシュはGoogleの専用フォームから申請する」を読んで、ポイントをご確認ください。
権利を侵害され具体的な被害が出ているか確認
Googleサジェスト汚染の対策を行う場合、被害を受けている当事者がアクションを起こすことが大切です。
ネガティブな表現や単語が含まれる記事だからといって、被害を受けたわけではない第三者では、元記事の削除依頼を申請することはできません。
たとえどのような内容の記事が存在していても、記事を作成、アップロードした人には「表現の自由」が存在します。
具体的に誰の権利が侵害されており、それによって実際に被害を受けている場合のみ、「表現の自由」と権利の調整が図られます。
権利侵害のケース
漢字フルネームの名前を検索すると、やっていないのに「薬物使用」「不倫」とサジェスト表示される。
↓
記事を書かれたことで名誉毀損などにあたる可能性がある。
名誉毀損について詳しくは特集記事『ネットで名誉毀損された方へ|慰謝料請求や刑事告訴の方法は?』をご覧ください。
権利侵害といえないケース
学校名で検索すると「マナーが悪い」「非常識」とサジェスト表示される。
↓
学校名だけでは、具体的に「誰の権利」が侵害されているのか特定できない。
サジェスト汚染として削除依頼ができる当事者にあたるのかどうか分からない場合は、弁護士などの専門家に内容を確認してもらうのも手です。
なお、権利侵害とまでは言えないネガティブな表現についての対応には、逆SEO対策というサービスを行う業者もあります。
関連記事『検索順位を下げる逆SEOとは?誹謗中傷対策の目的によって不向きな面もある』では逆SEO対策の基本と、誹謗中傷に対してどんな効果があるのかを簡単にまとめていますので、参考にしてみてください。
自分のデバイスの検索履歴も消したか確認
検索エンジンサイトで検索をすると、検索履歴が残ります。キーワードを入力すると検索エンジンサイト内のシステムで自動生成されたサジェストではなく、検索履歴データの方が優先的に表示されることがあります。
単なる検索履歴なのか、Googleシステムが生成したサジェストなのか見極めて対処する必要があります。
Google検索エンジンサイト(アプリ)を立ち上げ、Googleアカウントをタップすると検索履歴が表示されます。検索履歴の削除を押して、クリーンにしておきましょう。
自分のGoogle検索履歴の削除手順については、スマートフォンやパソコン等デバイスで操作手順が異なります。詳しくは[検索履歴を管理、削除する]を参考にしてください。
汚染されたGoogleサジェストを削除する方法
(1)問題の記事を消す方法
ネガティブな単語が含まれている記事を削除することは、汚染されたサジェストを根本的に解決する効果が期待できるでしょう。
ネット上の記事の削除は、大きく2パターンの流れに分けることができます。どちらも自分で行うことができますが、それぞれ気をつけるべきポイントがあるため押さえておきましょう。
パターン1
記事が存在するサイトの問い合わせ窓口(管理者・サイト運営会社)がある
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管理者・サイト運営会社とコンタクトをとり、削除依頼する
問い合わせ窓口を使い削除依頼をする場合、管理者やサイト特性にも注目し、削除依頼を求める理由は分かりやすく丁寧に記載しましょう。
たとえば、自分の主義主張の実現のために記事を投稿している管理者へ、高圧的に削除を求める依頼文を出した場合、かえって炎上の火種となってしまうことがあります。
炎上すると人の注目を集めるため、結果として削除してほしい記事がむしろ目立ってしまい、サジェストがさらに消えづらくなる点に注意しましょう。
パターン2
記事が存在するサイトの問い合わせ窓口(管理者・サイト運営会社)がない
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送信防止措置依頼書を管理者やプロバイダに提出する
送信防止措置とは、プロバイダ責任制限法ガイドラインに基づいて行われる削除依頼手続きの一つです。
プロバイダ(ここではサイトの運営会社や管理者も含めます)に対し、所定の書式を用いてどのような権利が侵害されているのか法的に削除依頼の主張をする必要があります。
ただし、法律に詳しくないと適切な主張が難しいケースがあり、せっかく削除依頼をしても主張が的外れだと不首尾に終わることもありえるでしょう。
自分で削除依頼を行えるか不安な人は、ネットに詳しい専門家に任せることを検討することもおすすめです。
(2)検索画面の「適切な検索結果の報告」から申請する
報告操作はデバイスによって様々です。検索窓に入力時する際、[不適切な検索候補の報告]というボタン表示から報告できたり、検索候補長押しで報告できたりします。
詳しくはGoogleヘルプページの[オートコンプリートを管理する]をご覧ください。
報告フォームページでは問題のあるサジェストに、チェックを入れ、不適切だと考える理由も選んだうえで申請しましょう。
この報告は自分で手入力することがないため、他の方法に比べて手軽に行えます。ただし、申請に対して個別の回答はされませんので、実効性の点が弱いといえます。
(3)Googleへ法的削除を希望する
Googleからの回答を得たい場合や、具体的に対処を望む場合には、[法律に基づく削除に関する問題を報告する]フォームから申請しましょう。申請には以下の情報の入力が必要になります。
フォームに記載する内容
- 居住国
- 氏名(戸籍上のフルネーム)
- メールアドレス
- [権利侵害にあたるとお考えのコンテンツ]には、以下を記載します。
- コンテンツを見つけるのに使用した検索キーワード
- 検索キーワードの入力中に表示された、不適切とお考えの予測キーワード
- 権利侵害にあたるとお考えのコンテンツが表示される国
- その検索候補が違法となる理由
- 検索画面のスクリーンショット
- 署名
上記内容で申請し、法的侵害性が認められたら削除される可能性が出てきます。
ただし、サジェスト削除に関してGoogleからの回答は、即座には来ません。1週間~2週間待ってみましょう。
すぐに思ったような結果が得られないからといって、何度も繰り返し同じ内容で問い合わせることはおすすめしません。ときにはスパム判定をされてしまい、削除依頼を無視されることも考えられます。
その他の検索エンジンのサジェストを削除する方法
Yahoo!サジェストを消す方法
Yahoo!検索の場合、Yahoo!IDでログイン後、「問い合わせフォーム」から削除依頼をすることが可能です。問い合わせフォームで[関連検索ワードの情報削除]を選択し、必要な項目に記入していきます。
googleとは異なり、問い合わせはサジェスト汚染の被害を受けた当事者でなくても、Yahoo!IDを持っている人ならば誰でも申請することができます。不適切だと感じるサジェストがある場合には積極的に報告してみましょう。
Microsoft Bingのサジェストを消す方法
検索エンジンというと、日本国内ではGoogleとYahoo!の利用者割合がとても大きいです。もっとも、検索エンジンサイトには他にも、Microsoftが提供するBing検索もあります。
Bingでのサジェストを削除するためには、[Bing 検索候補報告フォーム]を使用しましょう。どのようなキーワードで検索するとどういったサジェストが出てくるのかや、なぜ問題であるかを具体的に説明を記載して送信します。
Google検索のサジェストについて知ろう
サジェストとは?オートコンプリートの仕組みを解説
Google検索エンジンサイトの検索窓にキーワードを入れると、下に関連単語を組み込んだ内容が自動で表示されます。この2語目、3語目の単語は、一般的に「サジェスト」や「検索候補」とよばれるものです。
Google検索予測の仕組みによると、サジェストはGoogle検索のアルゴリズムによって自動生成されています。他のユーザーが過去にそのキーワードを検索した頻度や、ウェブ上の様々な関連情報を反映するように考慮され、設計されているとのことです。
加えてGoogle検索の場合、オートコンプリート機能と呼ばれるシステムが組み込まれています。これは検索している人の現在地や直前検索の履歴内容など踏まえた検索結果の提供です。
Googleオートコンプリートの例
「コンビニ」というキーワードをGoogle検索で調べたところ、「コンビニ」という言葉の国語辞書的な解説ではなく、「コンビニ 近く」や「コンビニ ●●(最寄りの地名)」などパーソナライズ情報に基づいた予測変換が表示される。
サジェスト、オートコンプリート機能はユーザーが最適な情報に早く辿り着けるように組み込まれたシステムです。ネガティブな単語をあらかじめ生成させないように阻むことはできません。
企業の例
「●●株式会社」と検索すると「ブラック企業」「すぐやめる」などのネガティブなワードがサジェストとして表示される
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採用活動に影響が出たり、取引先からの信用が失墜してしまう可能性
個人の例
名前で検索すると「犯罪者」「詐欺師」といった言葉がでてくる
↓
その人の社会的評価が下がる可能性
もっとも、オートコンプリ―ト機能は、Googleの定めるポリシーに反する不適切なものであれば、適切な対応を講じることで削除される可能性があります。
削除対象
危険なコンテンツ
ハラスメント コンテンツ
ヘイト コンテンツ
露骨な性表現を含むコンテンツ
テロに関するコンテンツ
暴力や流血 コンテンツ
下品な言葉や冒とく的表現
一度でもサジェストにネガティブなワードが出てしまうと、そのネガティブワード含めた検索をされやすくなるため、検索画面に長期間残り続けてしまう可能性が高いです。ネガティブなサジェストを発見した場合は、被害が拡大する前に早めに対策を講じましょう。
ただし、Googleサジェストは、誰かが操作して意図的に表示させているわけではなく、Googleシステムのアルゴリズムによって自動的に表示されています。
信用毀損罪や名誉毀損罪などの可能性があると考える内容でも、Googleに対して責任の所在を問うことは難しい点はご留意ください。
Googleサジェスト汚染の悪影響|なぜ汚染される?
サジェストがネガティブな印象を与える単語だったり、元々のキーワードのイメージを損ねるものだった場合に「サジェスト汚染」と表現されることがしばしばあります。
サジェストはユーザーの意図を自動で予測して表示するものですが、検索ワードを入力している最中に関連する単語がでてくるため、ユーザーに強い印象を与えるものです。
たとえば、逮捕報道やSNS上での炎上など、世間の注目を集めやすい事件が発生すると、多くの方がネガティブなワードとあわせて検索する傾向にあります。
サジェストで表示される単語はクリックされやすい特徴があるため、サイトのアクセス増加を狙うトレンドブログ等でサジェストの単語を含む記事が大量に作成されがちです。その結果、サジェスト汚染は長期的に固定化されるでしょう。
名前や会社名などのキーワードと共にサジェストの単語も含めて検索され続けるほど、多くの人が検索する単語の組み合わせだとGoogleのシステムは学習してしまいます。すると、ネガティブなサジェストを含む記事も増え続けるループに陥るおそれがあります。
過去のSNS炎上事例からみる企業の対処法や、炎上防止の対策を知りたい方は、関連記事『SNS炎上事例からみる企業がすべき対応とは?炎上防止策や炎上への対処法』をお読みください。
コラム|関連キーワードとは?
サジェストとは異なり、関連キーワードとは、検索結果画面の下部に「他のキーワード」と表示されているキーワードのことを指します(Googleの場合)。
関連キーワードも、ネット上のユーザーの検索行動から参考にされたり、存在する記事に対応するキーワードから最適化されたりする、自動で表示されるものです。
Googleサジェスト汚染の対策方法|おすすめは弁護士への依頼
弁護士は適切に法的主張することが可能
Googleに対し削除依頼を行うならば、ネガティブなサジェストが違法であるということを明確に示す必要があります。
しかし、サジェストによって自分がどういった権利を侵害されているか判断することや、申請フォームを用いて法的に適切な文章を作成することは難しい場合もあるでしょう。
忙しくて削除依頼手続きや法律知識を調べることが難しいという方は、弁護士等専門家のサポートを得て行うことをお勧めします。
また、弁護士にサポートを依頼する場合は、サジェストだけでなく元の記事自体の削除依頼の経験も豊富な弁護士を選びましょう。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了