じゃらんの口コミ削除基準と削除方法がわかる!削除できない口コミの例も紹介

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じゃらんの口コミ

じゃらんnet(以下本記事表記は「じゃらん」)は株式会社リクルートによって管理・運営されている大型の情報サイトです。

施設側としては良い評価や口コミが欲しいと考えていても、納得のいかない口コミが書かれてしまったり、個人が特定される形での口コミへの対応に苦慮して削除したいと考えることもあるでしょう。

口コミの内容次第では削除請求が認められる可能性があります。この記事ではじゃらんの口コミ削除の基準や削除依頼の方法について解説していきます。

じゃらんの口コミにおける削除の基準

じゃらんでは「クチコミ投稿の掟」を定めており、「クチコミの掟」に違反していると削除されたり、アクセス拒否などの措置が取られる可能性があります。

削除基準のポイント

「クチコミ投稿の掟」に違反していることは、削除の対象になります

ここからは「クチコミ投稿の掟」に定められた禁止行為や投稿内容の制限の一部を抜粋します。詳しく知りたい方は、リクルートが定めた「クチコミ投稿の掟」をご参照ください。

実際に宿泊していない会員以外の投稿

じゃらんnetの口コミは、実際に宿泊した会員のみが投稿できます。実際に宿泊していない会員が投稿した口コミは削除の対象です。

この件は、じゃらんの口コミルールについて定めてた「クチコミ投稿の掟」でも禁止されています。

禁止行為

  • 利用者自身の体験や、じゃらんnetを利用しての利用経験に基づいていない投稿をすること
  • 実際に宿泊していない会員が投稿すること、又は会員以外に投稿させること

事実と反する虚偽の内容の投稿

事実と反する内容や虚偽の口コミも禁止されているので、削除の対象です。

たとえば、宿泊施設の設備について「〇〇の設備がなかった」と記載された場合、この設備が実際に施設にある場合には削除の対象になります。

禁止行為

  • 事実と反する内容・虚偽の内容を投稿すること

同じ内容を意図的に何度も繰り返す投稿

同じ内容の口コミをわざと多数投稿したと判断された場合、口コミは削除の対象となります。

いわゆる「荒らし行為」といえ、他の利用者の口コミが確認しづらくなってしまうことから、削除の対象となると考えられるのです。

宿泊施設と宿泊者の当事者間の問題と判断される投稿

宿泊施設と宿泊者の当事者間の問題と判断される口コミは削除の対象です。当事者間の問題と判断されうる例としては、キャンセル料に関するトラブルや、双方の認識の齟齬により生じたトラブルなどが考えられるでしょう。

なお、あくまでじゃらんnetを運営するリクルート社が判断すると定められています。

禁止行為

  • 当該利用者と掲載施設にまつわる、当事者間の問題と当社が判断した内容を投稿すること

他者の権利を侵害する内容の投稿

他者の権利を侵害する内容の口コミも禁止されており、削除の対象です。権利侵害と判断される例としては、以下のようなものがあります。

口コミの内容制限(一部)

  • 著作権、商標権、プライバシー権、名誉等、他者の権利を侵害する内容
  • 他の施設利用者や従業員個人のプライバシーにかかる事項(部屋番号、利用日、特徴風貌や行為行動など個人が識別できるもの)
  • 誹謗中傷や差別表現などの不適切な表現を含むもの
  • 他人を威圧・脅迫する旨とみてとれるもの
  • 掲載施設や第三者に対する不当な利益誘導、信用毀損にあたる内容を含むもの

上記はあくまで一例であり、そのほか必要以上に感情的なものや、投稿者の勘違いによるものなどは禁止されています。

削除が難しい可能性がある口コミとは?

じゃらんの口コミのなかには、削除依頼が通らないものもあります。

たとえば、低評価の口コミは削除してほしい口コミの典型例です。しかし、施設利用者の体験の結果と判断されれば、低評価という理由だけでは削除は難しいといえます。

口コミが「感想の範囲内」と判断されれば削除は難しいといえるでしょう。

「おいしくない」という口コミの場合

料理を提供する宿泊施設にとって、料理の味に関する口コミは集客に大切です。そのため「おいしくない」という口コミは、できれば書いてほしくないものでしょう。

しかし味に関する口コミはあくまで書いた人の体験に基づく感想といえるので、削除は難しいと感がられます。

味についての感想は削除が難しいものですが、口コミの目的や全体の論調から判断すべきものもあります。たとえば以下のような口コミ投稿は、単なる個人の感想を超えているとして削除の対象となる可能性があります。

  • ここは絶対に利用しない方がいい、マズすぎて後悔すること間違いなし
  • 原料の産地偽装をしているようです
  • ゴミの味がした不味さで、食中毒をもらったようで食後に体調を崩しました

こうした口コミは、じゃらんが定めた「クチコミの掟」に違反している可能性が高いです。万一掲載されてしまった場合は、すぐに削除の依頼をおこないましょう。

「汚かった」という口コミの場合

宿泊施設に清潔感を求めることは最低限といえます。そのため、施設や部屋の清潔感に関するネガティブな投稿は控えてほしいと感じるでしょう。

しかし「部屋が汚いように感じた」「カーテンに染みがあった」などと書かれていても、あくまで個人の感想に過ぎず、削除は難しいと考えられます。

しかし、次のような表現については削除の対象となる可能性があるでしょう。

  • 清掃員の〇〇が煙草を吸っている。そんな清掃員を雇わないでほしい。
  • 枕カバーが匂う。洗濯されていない使いまわしでした。
  • 部屋を変えてほしいといったのに、フロントの〇〇が取り合ってくれなかった。

個人名を出しているものや、断定的な表現は規約違反が疑われます。従業員や関係者の権利侵害を放置せず、早急な対応が必要でしょう。

削除の可否は弁護士に聞いてみることもおすすめ

ご自身でじゃらん運営に削除依頼を出してみても、削除されない場合には、一度弁護士に聞いてみることもおすすめです。

弁護士は法律の専門家なので、客観的かつ法的な目線で口コミ削除の可否を検討します。

弁護士の目線から見ても削除が難しい場合もあるでしょう。そうした場合には、次に同じような口コミをつけられないための工夫が必要になってきます。

なお、施設予約や滞在時に知りえた連絡先を利用して、直接投稿者に口コミに関する連絡を取ることは禁じられています。

じゃらんの口コミを削除する方法

じゃらんの口コミを削除する方法として、運営へ依頼する方法と、裁判所の仮処分手続きを利用する方法を解説します。

じゃらんの口コミ削除を運営へ依頼する

じゃらんの管理画面からサポートデスクに連絡を取り、削除請求が可能です。その際には、じゃらん運営側に次のようなことを報告しましょう。

報告内容

  • 削除を求める口コミを投稿したユーザー名
  • 削除を求める口コミの投稿日
  • どの部分を削除してほしいのか
  • クチコミの掟のどの部分に違反しているのか
  • 被害内容(どんな権利侵害が起こっているか)

とくに、「クチコミの掟のどの部分に違反しているのか」と「被害内容」についてしっかりと記載することが大切です。

じゃらんの口コミは掲載前にチェックされている

じゃらんに掲載される口コミは、投稿後すぐに掲載されるわけではなく、一度審査を経ています。そのため、口コミを削除依頼しても簡単に認められるとはかぎりません。

しかし、何らかの理由で審査をすり抜けてしまっている可能性もありますので、問題があるのではと感じた口コミにを放置せず、削除を依頼してみましょう。

じゃらんの口コミ削除を裁判所に求める

じゃらん側に削除してもらえない場合には、裁判所に削除の仮処分を申立て、裁判所から口コミ削除を命じてもらうこともできます。

裁判所からの仮処分命令が発令されれば、口コミが削除される可能性は高いです。ただし、裁判所が正当な申立てだと認めた場合に限られるので、「申立てても却下される」という可能性はあります。

仮処分のおおまかな流れは次の通りです。

削除請求の仮処分の流れ

  • 仮処分申立書や証拠書類を裁判所に提出する
  • 裁判所が提出書類を確認する
  • 裁判所による審尋(呼び出しを受ける)
  • 仮処分命令の発令前に担保金を納付する
  • 裁判所から仮処分命令が発令される
  • 口コミ削除後には担保金が返還される

仮処分の申立てに必要な書類の作成や証拠の収集、審尋の対応については法律の専門家である弁護士に任せる方がスムーズです。

仮処分申立てでの削除請求をくわしく知りたいという方は、関連記事『削除請求の仮処分申立てとは?ネット上の誹謗中傷や名誉毀損への法的手続き』を読むと理解が深まります。

じゃらんの口コミ削除でよくある質問

じゃんの口コミ削除に関連する「よくある質問」にまとめてお答えします。

口コミ削除の根拠となる「権利侵害」とは?

口コミの削除を求める根拠として重要な権利侵害は、その内容により様々です。よくある権利侵害の例としては、名誉権の侵害、肖像権侵害、あるいは営業妨害などの犯罪行為があげられるでしょう。

口コミ削除の権利侵害の例を以下に示します。

名誉毀損や侮辱罪の例

具体的な事実と共に権利侵害されているときには名誉毀損、具体的な事実なしに権利侵害されているときには侮辱罪を検討すべきです。

たとえば、フロントの〇〇などと名指しされたうえで「ブス」と書かれた場合には、侮辱罪を検討します。一方「ブス」ではなく「職場で不倫している」と書かれた場合には名誉毀損罪を検討すべきです。

さらに悪質な口コミにより正常な営業ができない状態に追い込まれた場合には、業務妨害罪に問える可能性もあるでしょう。

肖像権侵害の例

肖像権とは、自分の顔や姿態をみだりに「撮影」や「公表」などされない権利をいいます。撮影と公表の権利は独立しているので、撮影は許可していても公表は許可していないときには権利侵害を主張可能です。

  • 気に入らない従業員として隠し撮りされ、低評価の口コミに添付された
  • 軽く揉めごとになった隣室の客から盗撮されて、口コミと共に晒された
  • 宴会で盛り上がっている写真が知らない間にネットに公開されていた

こうした口コミの削除を求める際には、肖像権侵害が根拠になる可能性があります。

関連記事『肖像権とは?|肖像権侵害の基準や対処法』を読むとさらに理解が深まりますので、併せてお読みください。

口コミ削除にかかった費用は誰が負担する?

口コミ削除にかかった費用は、自身で負担しなくてはいけません。

弁護士に依頼した場合には、弁護士からじゃらんに削除を依頼した場合の費用と、裁判所の仮処分手続きを任せた場合の費用とで異なります。

そのため法律相談時に弁護士費用を確認しておくようにしてください。多くの法律事務所では着手金と報酬金が必要で、その費用は事務所の費用体系によって様々です。

削除ではなく投稿者の特定はできる?

口コミ投稿者の特定は、発信者情報開示請求もしくは発信者情報開示命令という手続きによって可能な場合があります。

口コミを削除してしまうと証拠が失われる可能性があるので、どういった手順で対処するべきか、特定できる見込みはあるのかなど、ネットトラブルにくわしい弁護士に相談しておくと良いでしょう。

関連記事『発信者情報開示請求の要件と流れ|誹謗中傷の投稿者を特定する方法を解説』でくわしく解説していますので参考にしてください。

削除する前に炎上した場合の対応は?

ひとつの口コミがきっかけとなって、他の掲示板やSNSで話題に上がって炎上してしまうこともあります。ときに会社として事態を調査して対応を発表するという事態になることもあるでしょう。

たとえば口コミそのものが炎上するものもあれば、口コミをきっかけに従業員や関係者が内部告発のような形式で炎上してしまうことも考えられます。

炎上事例への対応については、関連記事『SNS炎上事例からみる企業がすべき対応とは?炎上防止策や炎上への対処法』で解説していますので、早急かつ適切な対応をおこないましょう。

じゃらんの口コミ削除は弁護士に相談するべき?

一度じゃらん側に削除を求めてみて、それでも削除に応じてもらえないときには弁護士への相談も検討してください。

弁護士の目から見て削除の可能性があるという場合には、じゃらん側にあらためて弁護士から削除を要請することや、裁判所の仮処分手続きなど、様々な選択肢から最適な方法をみつけていきましょう。

じゃらんの口コミは一度審査を経てから掲載されているため、削除は簡単なことではありません。しかし、その審査をすり抜けて不当な口コミが掲載されている場合には対処が必要です。

口コミの削除については『口コミでの誹謗中傷を削除依頼したい方へ|弁護士から消し方のアドバイス』の記事で網羅的に解説しています。基本的な対応を知っておきたい方は、併せてお読みください。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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