トリップアドバイザーの口コミは削除できる?削除方法と弁護士にできること
トリップアドバイザーは日本人のみならず海外観光客も多く利用している、大型の口コミサイトです。それだけ利用者が多い口コミサイトですから、できるだけ良心的な口コミが集まることを期待する経営者も多いでしょう。
逆に口コミでひどい暴言を受けたり、自分たちの社会的評価を著しく下げるような書き込みをされたりすると、「口コミを削除してほしい」と感じるものです。
トリップアドバイザーは不当な口コミや異議を申し立てられた口コミに対する姿勢を明確にしており、審査の結果、口コミが削除される可能性はあります。
この記事ではトリップアドバイザーの口コミに対する姿勢と、口コミを削除する方法について紹介します。
目次
トリップアドバイザーへ口コミの削除を依頼する方法
トリップアドバイザーでの不当な口コミは、オーナーページから報告することで審査と削除の依頼が可能です。
トリップアドバイザーは口コミ利用規約にて具体的な投稿ガイドラインを定めています。以下は口コミ利用規約の一部抜粋です。
利用規約による掲載不可(一部抜粋)
- 不適切な表現や描写(罵言、わいせつまたは下品な言葉、差別的な発言、ヘイトスピーチや根拠のない偏見、個人的な攻撃、敵意を持った意見および脅迫)
- 他から聞いた情報や風評(未確認の情報、噂、外文献からの引用、他人の意見もしくは体験)
- 違法行為への関与を奨励する、またはその行為を求める口コミ
※口コミ利用規約より一部抜粋(https://www.tripadvisor.jp/pages/userrev_rules.html)
このように、個人的な攻撃や相手をののしる言葉、個人的な体験ではなく単なるうわさの話、薬物などの違法行為を惹起する口コミは掲載しないと定めています。
削除を依頼する手順
施設の管理者は、施設管理ページにある「報告」ツールを使用して、不当な批判を受けたと感じた口コミに対して異議を申し立てることができます。
口コミ削除依頼の流れ
- 施設管理ページの「口コミ」タブを開く
- 「口コミを報告」を選択する
- フォームに記入して送信する
フォームには、削除を希望する口コミはどれか、利用規約のどの部分に違反しているか、どんな被害を受けているかを明記することが重要です。
報告後にはトリップアドバイザーの審査チームが当該口コミを分析し、ガイドラインに違反しているか、そして削除する必要があるかどうかの判断を受ける流れです。
コンテンツのガイドラインで削除対象について言及
トリップアドバイザーは「コンテンツおよびコミュニティのガイドライン」として、次のようなコンテンツは削除する可能性があると述べています。
ガイドライン(一部抜粋)
- 性的に露骨な描写を含むコンテンツ
- 違法行為を助長するコンテンツ
- 冒涜的で低俗な表現
- 個人情報
- オリジナルではない盗用されたコンテンツ
- 差別的表現
- 旅行体験と無関係
※コンテンツおよびコミュニティのガイドラインより一部抜粋(https://www.tripadvisor.jp/Trust-llmsjBtituuk-Content_guidelines.html)
具体的には次のようなコンテンツの投稿は削除対象です。
- 個人情報を含むコンテンツ(パスワード、メールアドレス、ロイヤリティ/マイレージプログラム番号、氏名、住所、その他の個人情報、公開を望まない情報すべて)
- きわめて不快な用語(一般的な経験則として、公の場で大きな声で言えない内容)
- 他者に対する個人的な侮辱やその他の不要かつ軽蔑的なコメント
あくまで一例としてあげましたが、他にもガイドラインに違反しているコンテンツは削除対象となります。
トリップアドバイザーの口コミ削除は簡単ではない
トリップアドバイザーは口コミを掲載する前に多数のチェック機能を通し、選別してから掲載しています。一度何らかの審査を経ている口コミなので、削除を依頼しても、応じてもらえないことも十分あるでしょう。
トリップアドバイザーの口コミ削除に関する法的対処
トリップアドバイザーに対して口コミの削除を依頼しても、削除依頼が必ず認められるとはかぎりません。数週間以上経っても変化がない場合には、その他の法的手段を検討する必要があります。
裁判所に削除の仮処分を申し立てる
仮処分とは、被害者の権利侵害の度合いに応じて、緊急かつ一時的に裁判所が発令する処分命令のことです。仮処分命令が発令されれば、多くのケースで問題の口コミの削除がおこなわれるでしょう。
仮処分命令の発令までの流れは以下の通りです。
仮処分命令までの流れ
- 裁判所に仮処分申立て書を提出する
- 裁判所が申立内容について審理する
- 仮処分の担保金を裁判所に納付する
- 口コミ削除の仮処分命令が発令される
- 口コミが削除される
裁判所は、権利侵害を訴える人の主張と、口コミ投稿者の権利(表現の自由など)について慎重に検討します。そして権利侵害について優先して保護すべきと判断したときに、削除の仮処分命令を発令するのです。
逆に、権利侵害が起こっていると認められないときには、口コミ削除は認められません。
ただ単に口コミがショックだったという主張ではなく、被害者のどういった権利が害されたのか、法的問題として述べる必要があります。
そのため裁判所の仮処分申立てを検討している方は、まず弁護士に相談してみてください。そして「口コミによる権利侵害がどういったものか」を明らかにして、必要に応じて弁護士依頼も検討しましょう。
仮処分申立てによる削除を検討している方は、関連記事『削除請求の仮処分申立てとは?ネット上の誹謗中傷や名誉毀損への法的手続き』もお役立てください。
口コミと権利侵害に関するよくある質問
ここからは口コミによって問題となりうる権利侵害について、よくある質問にお答えします。
「まずい」は店への誹謗中傷になる?
「まずい」と書かれた口コミについては、あまりに目に余る内容やひどい書きっぷりだと判断されれば、感想や論評の範囲を超えているとして削除の対象となるでしょう。
もっとも個人の感想にすぎないと判断されるケースもあるため、必ずしも削除対象となるとはいえません。前後関係やその他の口コミ部分を含めて総合的に判断されます。
店長や店員への罵詈雑言が書かれたらどうする?
店長や店員への罵詈雑言についても、削除される可能性があります。ただし、具体的に誰のことを指しているのかが明らかな場合に限られるでしょう。
どんなにひどい内容で罵られていても、誰のことを指しているかが分からない限り、権利侵害とはいえません。
あまりにひどい口コミも真実なら泣き寝入り?
口コミ内容により様々ですので、弁護士への相談がおすすめです。
仮に「名誉毀損罪」にあたる場合には、その内容の真偽は関係ありません。たとえば、「店長が不倫している」と書かれた場合、本当に不倫していても、実際に不倫していなくても、名誉毀損に問える可能性があります。
ただし、みんなが知るメリットが大きい「真実」については権利侵害に当たらないこともあります。たとえば、食品の消費期限を偽装していると書かれたとき、その情報はお客様にとって有益といえるでしょう。なおかつ消費期限の偽装が真実ならば、名誉毀損や営業妨害にはあたらない可能性もあります。
名誉毀損罪や侮辱罪がどんなときに成立しうるのかを知りたい方は、関連記事を参考にしてください。
他の口コミサイトも対策すべき?
悪質な誹謗中傷が書かれたとき、場合によっては他の口コミ媒体でも注意が必要です。口コミサイトの仕様にもよりますが、念のため確認しておくことをお勧めします。
他の口コミ媒体についても知りたい方は、関連記事を参考にしてみてください。
トリップアドバイザーの口コミ削除で弁護士にできること
トリップアドバイザーの口コミは、まずトリップアドバイザーに対する「報告」ツールで削除を依頼しましょう。ガイドライン違反であれば、削除を受け付けてもらえます。
もし削除依頼に応じてもらえないときには、一度弁護士に相談してみてください。弁護士なら次のようなことが可能です。
- 口コミが権利侵害にあたるのか、法的見解を回答できる
- 口コミの削除方法についての選択肢を説明できる
- 依頼後は口コミ削除の手続きを任せることができる
口コミはお客様の声であり、感想や意見ととらえられることも多いです。そのため、お店側にとってはマイナスに感じる口コミであっても、削除できるとは限りません。
どういった権利侵害にあたるのかを確認して、より最適な対処法を検討していきましょう。
削除、投稿者の特定、刑事告訴など幅広い対処法を考えている方は、関連記事『店への悪口は名誉毀損や営業妨害になる?誹謗中傷への対処法がわかる』もあわせてお読みください。
弁護士選びのポイントや要点をまとめた解説記事は下記バナーよりご覧いただけます。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了