転職会議で悪評を書き込まれたら|会社の悪評・口コミの削除依頼
転職会議は株式会社リブセンスが運営する就職・転職に関する情報提供サイトです。
職場の雰囲気、賃金、福利厚生など企業が提示している求人・広告では分からない実態や本音を元社員が口コミとして体験談を投稿しています。
ほとんどの口コミが実体験に即したものですが、なかには企業を貶める目的で事実とは異なる内容を口コミとして転職会議に投稿する人もいます。
企業イメージに関わる虚偽の悪評があれば、急ぎ削除依頼を行うなど対応を検討しましょう。
目次
転職会議の口コミを削除依頼する方法・ポイント
転職会議に書き込まれた悪評は削除依頼できる?
転職会議は一部例外を除き、投稿後の口コミ削除はできません。口コミがネガティブな内容であっても、サイトに掲載するというのが運営方針です。転職会議は転職希望者への情報提供を目的とした口コミサイトです。そのため、ネガティブな口コミを全て除外してしまうと、利用者にとって有益なサイトとはいえなくなってしまいます。
転職サイトの運営方針・特性を理解したうえで、企業はどんな口コミ内容を投稿されても付き合っていくことが求められるでしょう。
送信防止措置依頼書を郵送して行う
転職サイト口コミの削除依頼を行う場合、お問い合わせフォームから運営元の株式会社リブセンスに連絡をいれましょう。
運営会社より送信防止措置依頼書という定型の書類を郵送してくるようにと案内があれば、送信防止措置依頼書を作成します。
運営会社に郵送するものは漏れが無いように気をつけましょう。もし不備があればせっかく削除依頼の手続きをしたのにやり直しや、時間がかかってしまうことが予想されます。
転職会議に郵送する内容
- 送信防止措置依頼書(社印を押印したもの)
- 社印の印鑑登録証明書(発行から3ヶ月以内のもの)
- あれば削除依頼の主張を裏付ける証拠資料
運営会社が削除の可否を判断しますが、各社から郵送されてくる送信防止措置依頼を確認しているため審査に時間を要します。
最短でおよそ1ヶ月ほどですが状況によっては更にかかる可能性も想定しておきましょう。
新しく社員の募集・採用活動をスタートする前に口コミを整理しておきたいと考えているならば、なるべく早期に削除依頼を行うべきです。
転職会議に削除依頼する際に踏まえておくべきこと
その1.必ず完全削除されるわけではない
投稿の全文にガイドラインや規約に違反する表現があれば、口コミ投稿自体が削除される可能性はあり得ます。
しかし違反表現が一部に留まる場合はその部分だけ削除されてアスタリスクに置き換わり、投稿自体は残されます。
また、口コミ評判ページの先頭には「●件の投稿が権利者(例:企業など)の申し立てにより一部削除されています」と記載されるため、権利者が削除依頼の申立てをした件数や、申立てを行った履歴は転職サイトのシステム上公開される点に注意が必要です。
該当の口コミの内容がどうであれ「もともとなかった」状態にはなりません。その分、マーケティング対策などでフォローをしましょう。
その2.口コミの削除依頼は企業または企業の代理人弁護士のみが行える
弁護士ではない無資格の代行業者も存在しますが、業者による削除依頼は違法であるため転職会議では受付されません。
代行業者が削除依頼を行うことは、弁護士法第72条の「非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)」に該当すると考えられます。
転職会議では、違法性のある削除依頼を行うと、サイト上に会社名と削除依頼文をそのまま掲載される恐れがあるため慎重に判断すべきです。
転職会議の口コミ削除の代行をしてもらうならば法律事務所など弁護士が必ず在籍しているところへ相談してください。
転職会議の口コミには削除されやすいケースがある
転職会議の削除の可能性がある口コミ
転職会議は「口コミ投稿ガイドライン」や「転職会議の利用規約」で、口コミ投稿の禁止ルールを定めています。
法律やルールに違反する口コミは削除できるケースがあるため、該当するか確認してみましょう。
削除される可能性がある口コミ投稿
- 役員のプライベートに関する投稿
「役員の●●は2人の子どもを有名私立学校の●●に裏口入学させている」 - 役員ではない社員を特定できる内容の投稿
「●●課に1人ネイルが派手な女性がいるけど仕事が遅くて無能」 - 誹謗中傷を意図した投稿
「他の会社で使いものにならないカスしかいません」 - 乱暴な言葉遣いで悪意的表現がある投稿
「●●企業はバカばっかり!早く潰れろ!」
転職会議では、実名だけでなく、伏せ字、イニシャル、ニックネーム、隠語、身体的特徴など、抽象的な表現でもNGとされることがあります。ほかにも個人に対して外見や内面(能力)を誹謗中傷する表現を発見した場合には削除依頼をすべきでしょう。
転職会議の削除されづらい口コミ
転職会議は掲載する口コミの方針として、ネガティブな内容や批判的な情報であっても建設的な文面ならば、口コミは削除されない傾向です。
企業が削除依頼を望む理由が「企業にとって不都合なネガティブな情報だから消して欲しい」というものでは削除されない可能性が高いでしょう。転職希望者にとって建設的な批判口コミは、有益情報となるからです。
削除される可能性がある低い口コミ投稿
- 抽象的な表現
「この職場の雰囲気はよくない」 - 会社の経営方針に対する批判・意見
「人で不足なのに事業を拡大しすぎ。●●事業に力を入れていた頃は良かった」
削除以外の転職会議の口コミ対処方法
裁判所に仮処分の申し立てを行う
リブセンス社に削除依頼をしても転職会議の口コミが削除されない場合、法的手段を使った削除を検討することも考えられます。
裁判所に送信防止措置の仮処分を申し立て、リブセンス社に対し口コミの削除命令を出してくれるよう求めることが可能です。
ただし仮処分を申し立てるには、転職会議の口コミについて次の2要件が満たされていなければ削除は難しいため、申し立て主張が可能か確認しましょう。
- 申立人の権利が違法に侵害されていること
- 早急に解消することが必要であること
申立て手続きは専門知識を要しますので、弁護士に任せることになります。仮処分申し立てを行う条件に口コミ投稿が当てはまるならば、費用の見積もりを行いましょう。
仮処分申立てによる削除依頼は、運営会社に対して任意削除を要請するケースより費用がかかります。
そのため、運営会社に削除依頼を出して削除される可能性が高いものは、なるべく仮処分申し立てではなく送信防止措置依頼書による任意削除を要請しましょう。
仮処分申立てについては関連記事『削除請求の仮処分申立てとは?ネット上の誹謗中傷や名誉毀損への法的手続き』で詳細に解説していますので、検討中の方は参考にしてみてください。
転職会議の口コミ投稿者を特定する
投稿者が匿名表示の転職会議であっても、条件によっては法的手段を用いて発信者を特定することが可能です。
まず投稿者を特定したい口コミ投稿が3ヶ月以内のものであり、投稿に権利侵害が認められるならば「発信者情報開示請求」という手続きを行えます。
これは転職会議運営元のリブセンス社とインターネット回線業者に対して、それぞれ接続情報と個人情報の開示請求を行うものです。
ただし、発信者情報開示請求では、システム上追跡できないケースが存在することも理解しておく必要があります。
投稿者が海外のサーバー会社を利用しているならば開示請求時に海外とやり取りが発生するためその間に接続情報が消失してしまったり、使用時のサーバーから投稿者の契約情報を突き止めたものの、解約して住所を変更しているなどのトラブルに見舞われることも念頭において検討しましょう。
発信者情報開示請求の要件や流れを知りたい方は、関連記事『発信者情報開示請求とは?ネットの誹謗中傷の投稿者を特定する方法と要件』を参考にしてください。
投稿者に対する責任追及を考える
違法な口コミを投稿した発信者(加害者)の特定ができたら、民事と刑事の両面で加害者へ責任追及することが考えられます。
刑事事件として責任追及をする場合は、まず警察に相談し被害届を提出することになります。投稿者に対し処罰感情がある場合は、刑事告訴を検討しましょう。
警察に受理されれば、捜査が開始されます。名誉毀損など、警察に動いてもらった方が根本的な解決につながる場合もあります。
しかし警察は基本的に民事不介入の原則があるため、罪に当たると考えられない場合は告訴状を受理してもらえません。
ネットトラブルで警察に相談する際のポイントについて詳しくは『ネットトラブル・誹謗中傷で被害届が出せるケース・刑事告訴を解説』をご覧ください。
損害賠償請求
民事事件としては、不法行為に基づく損害賠償請求が考えられます。必ずしも裁判で争う必要はないため、裁判外の和解により解決を図ることもあるでしょう。
損害賠償請求は、和解交渉や民事裁判を年単位で行う長期戦の覚悟が必要です。その分弁護士費用もかかるため、悪質性が小さい場合は損害賠償を求めてもメリットは薄いと言えるでしょう。
また損害賠償の金額が認められても、相手に資力が無いならば思うように費用分を回収できない可能性もあります。企業イメージを守るためにはどれくらいのコストを掛けるべきか考慮すべきです。
転職会議の悪い口コミを放置するデメリット
転職会議に投稿された誹謗中傷、虚偽口コミを放置続けると、企業自体の印象が悪化することがあります。
1.採用活動の障壁になる
口コミの真偽は外部から見ると確かめようがないものです。しかし、口コミにネガティブな情報が掲載されているならば、問題人物がいる会社、ブラック企業であると誤認される恐れがあります。
その結果求人に応募しようと考えてくれる人数が減る懸念があるため、優秀な人材を獲得する難易度も高くなるでしょう。
2.企業自体の印象の悪化・取引先への影響が懸念される
ネガティブな口コミ投稿はスクリーンショットをされてSNSに転載されるリスクもあります。暴露系インフルエンサーなどに取り上げられて炎上する可能性もゼロではありません。
ネガティブな企業イメージが定着してしまうと、取引先からの信用が低下し、場合によっては取引打ち切りということも想定されるでしょう。
弁護士に転職会議の口コミ削除依頼を任せるメリット
法的観点に基づいて適切な削除依頼を行える
口コミのなかにはプライバシー権や名誉権といった権利侵害が認められる投稿があります。
企業やそこで働く人の権利を侵害する投稿は、転職会議のルール上削除が認められやすい傾向があるため、速やかに削除依頼を行うことがおすすめです。
ただし、口コミ投稿に法的権利侵害があるかどうか適切に判断するためには、法律知識をあらかじめ理解していなければ難しいといえるでしょう。
自身で削除依頼を行う場合、適切な権利侵害指摘の段階で足踏みしてしまうケースが多いといえます。弁護士ならば法的根拠に基づき判断を行い、口コミ投稿の適切な削除依頼が可能です。
転職会議以外の口コミ削除にも対応できることがある
弁護士に口コミ削除依頼を任せる場合、転職会議だけでなくen Lighthouse(旧カイシャの評判)やオープンワークなど、他の口コミサイトにも同様のネガティブな口コミがあれば代わりに削除依頼をしてもらえます。
口コミサイトごとに削除依頼手続きや規約・ルール、削除基準が異なってきますので、まずは削除可能かどうかネットトラブルに強い法律事務所に確認してみましょう。
他の会社口コミサイトの削除については下記の記事で詳しく特集しています。
専門家に削除依頼を任せて業務時間を効率よく使える
企業イメージに関わるため転職会議の口コミは放置したくないけれども、他の業務が忙しく口コミの削除依頼を行う時間が無いという方は、弁護士に任せればご自身の他の業務に注力できます。
インターネットに詳しい法律事務所への相談を検討していきましょう。下記バナーからは、弁護士探しのヒントを解説した記事をお読みいただけます。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了