SNSなどの誹謗中傷・風評被害の被害者の方へ|被害届と刑事告訴
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監修者:アトム法律事務所 代表弁護士
岡野武志

SNSなどネットで誹謗中傷を受けた場合、被害届を提出することができる場合があります。ネットで誹謗中傷され風評被害の被害者になった場合、どのような対処法があるのか、どのような場合に被害届が出せるのかを解説していきます。
目次
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SNSなどネットで誹謗中傷を受けた場合の対処法3つ
SNSなどネットで誹謗中傷の被害を受けた場合、まず考えるべき3つの対処法についてご紹介します。どの対処法が適切なのかはケースによって異なります。
1.被害届を出して刑事事件にする
悪質な書き込みが行われ、それが刑事事件になる場合があります。警察に被害届を提出できるケースであれば、警察は被害届を受理して捜査を開始します。書き込みをした者に対して刑事責任を問いたい場合は、被害届を出して刑事事件にする必要があります。
警察は、ネットの書き込みが犯罪行為にあたるものと思料しれば、刑事事件として扱います。被害者は、被害届を出す際に、証拠を用意して警察に持参します。問題の書き込み部分と、それが投稿されたサイトURL(ページURL)を印刷し、警察に提出します。他にも、警察が捜査に必要な資料の提示を求めるときには、それに従います。
被害届と刑事告訴の違い
- 被害届は「被害があったことを申告する」という意味で、刑事告訴は「被害申告し、かつ加害者に処罰を求める意思がある場合」を指します。
2.発信者を特定して損害賠償を請求する
警察に被害届を出すほかに、書き込んだ発信者を特定し、相手に損害賠償を請求することも考えられます。これは民事上の責任追及の方法です。発信者情報開示請求の手続きを利用して、相手を特定することができれば、損害賠償請求という方法をとることができます。
TwitterやInstagramなどのSNSの投稿を対象に、発信者を特定する場合には、急いで手続きを進める必要があります。サイト側に残された発信者の情報(ログ情報)は、通常3ヶ月程度で消えると言われていますので、情報が消失するまでに投稿者の特定をする必要があります。
3.削除依頼して悪質な書き込みを抹消する
誹謗中傷の書き込みを削除するという方法もあります。SNS管理会社やサイト管理者に対し削除依頼をすることで、問題の書き込みを消します。サイトに設置された問い合わせフォームを使って、任意の削除依頼をする方法もあれば、プロバイダ責任制限法に基づく送信防止措置依頼という方法で削除依頼をすることもあります。
TwitterやInstagramでは、各投稿に通報ボタンが設置されており、それを使って運営会社に対し規約違反があったことを報告することができます。通常、SNSでは個人に対する嫌がらせや攻撃的な投稿は規約違反になり、削除の対象となります。
誹謗中傷で被害届が出せるケース|具体例3つ
誹謗中傷が「名誉棄損罪」になる場合
名誉毀損罪は刑法第230条第1項に規定されている犯罪です。「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮又は50万円以下の罰金に処する」と書かれています。「公然と」とは、不特定多数の人の目に触れる可能性がある場合をいいます。そして、「その事実の有無にかかわらず」とありますので、事実無根の内容であっても、事実が摘示されていれば名誉棄損罪が疑われます。
誹謗中傷が「業務妨害罪」になる場合
業務妨害罪は刑法第233条後段に規定されている犯罪です。例えば、レストランの口コミに、「虫の入った料理を提供されたので絶対行ってはいけない店だ」と嘘の情報を書き込み営業を妨害している場合には、業務妨害罪が疑われます。
誹謗中傷が「脅迫罪」になる場合
脅迫罪は刑法第222条に規定されている犯罪です。掲示板などに「今晩ナイフをもって〇〇宅に押し掛けるから覚悟しておけ」など、特定の人の生命や身体に害を加える旨を告知する書き込みは脅迫罪が疑われ刑事事件となる可能性があります。
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【弁護士解説】被害届を出す場合の手順
1.事前の相談「風評被害を受けています」
悪質な誹謗中傷を受けている被害者の方は、警察に被害届を出すことも考えられます。ただ、どんな場合でも被害届が受理してもらえるわけではありません。まずは、警察署に電話をして、誹謗中傷の被害者となっていることを伝え、相談にのってもらうところから始めます。どんな証拠が揃えば被害届が出せるのかを聞いておくとよいでしょう。
警察に相談に行く前に、弁護士に相談しておくことも有効です。法律的にみて、刑事事件が成立するケースか、法律の専門家としての意見を聞いておくことも有益だといえます。
2.投稿内容を印刷し証拠を保管する
被害届を警察に提出するには、証拠をそろえておく必要があります。どのような被害を受けたのか、どのようなネットの投稿だったかを証明するために、書き込まれている部分を印刷して用意しておくことも大切です。投稿された場所がわかるようページURLも控えておく(印刷しておく)ようにしましょう。
3.被害届を出す場所を決めておく
まずは、最寄りの警察署に行くとよいです。刑事事件の被害者の相談窓口を聞いて、そこで相談の上で被害届を出します。事前に電話で相談している場合は、担当の刑事の方を訪ねるようにしましょう。事情を把握してくださっている方の方が、早く手続きをすることができます。
ポイント
- 事前の相談(警察、弁護士)
- 証拠の保管(紙に印刷)
- 警察署へ被害届を提出する
SNSトラブルに詳しい弁護士に無料相談する
無料相談は手軽に利用できる
警察に直接相談する前に、弁護士に相談することも可能です。特に、無料相談を利用することで、おおよその展開が見えてきたり被害届や刑事告訴に関する詳しい情報を入手することができます。最近では、無料相談の窓口を設けている法律事務所も多いですし、気軽に利用していただくことができます。
SNSトラブルに詳しい弁護士を選ぶべき
ネットの誹謗中傷問題は、法律の知識もさることながら、インターネットやSNSに関する知識も求められます。適切かつ迅速に解決していくためには、SNSなどネットトラブルに詳しい弁護士に相談にのってもらうことをおすすめします。
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まとめ
風評被害への対応方法はいくつか考えられます。今やネットでの悪質な書き込みは深刻な社会問題にまでなっています。すぐにでも状況が悪化することを防ぐ必要があります。ぜひ、一人で悩まず、まずは弁護士までご事情をお話しください。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了
英語:TOEIC925点