SNSで誹謗中傷の被害者になったら|SNS別の対処法
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監修者:アトム法律事務所 代表弁護士
岡野武志

はじめに
twitter、Facebook、YouTubeなどのSNSで誹謗中傷を受けた場合、どう対応するのが最善の方法なのでしょうか。ここでは適切な対処法について、インターネットトラブルに詳しい弁護士が解説します。SNS別に「削除依頼」と「情報開示請求」の方法をご紹介します。
※自身の投稿や、自身で作成したアカウントについては対象外です。
目次
SNSの削除依頼①twitterの誹謗中傷を削除依頼する
twitterの削除依頼はアカウントに対しても可能?
twitterで誹謗中傷が行われた場合、アカウントそのものを削除の対象とすることができます。ただし、twitterでの削除依頼は、ツイート内容がtwitterの定めるガイドラインに違反していることを運営側に報告するということを指します。これによりアカウントの使用制限や凍結(いわゆる「垢BAN」)を促すことになります。
アカウントの削除依頼―代表例
- なりすましアカウント
- 専ら個人を攻撃するために立ち上げられたアカウント
違反報告はヘルプセンターに設置されたフォームを使って行います。自分が受けている被害をほうこぅ理由の選択肢の中から選び、運営側に状況を知らせます。「嫌がらせ」「プライバシー」「個人情報」など、誹謗中傷の内容によって適切な選択肢を選びましょう。選択すると、さらに詳細を報告するフォームへとナビゲートされますので、指示に従い入力を行います。
違反報告の対象となるツイート例
- 無断で顔写真がアップされたツイート
- 運転免許証などの個人情報が暴露されたツイート
- 個人を名指しして脅迫しているツイート
twitterでの名誉毀損は削除される?
ヘルプセンターの各フォームの中に「名誉毀損」という違反報告の項目はありません。そのため、他の選択肢から最も近いものを選ぶことになります。嫌がらせや攻撃的な内容のツイートでは「Twitterおよびセンシティブなコンテンツを安全に使用する」カテゴリーを選択します。
報告内容が禁止事項に該当していた場合、Twitter社から投稿者に対し、削除や警告といった形で対処されます。Twitterではいつ削除依頼されるのか掛かる時間は、報告した内容や状況によってばらばらです。
誹謗中傷ツイートが削除対象となる場合のポイントについては、以下の記事で紹介していますのでご参考になさってください。
twitterはアカウントに鍵をつけない限り、誰でも投稿を見ることができます。また、リツイートという拡散機能があるため、名誉毀損の問題も生じやすいSNSだといえます。名誉毀損の投稿が行われた場合、警察に相談することも重要ですが、警察では「投稿者がどこの誰か、特定してから相談にきてください」と言われることも多々あります。
誹謗中傷で被害届が出せるケースや被害届を出す手順については、以下の記事で紹介していますので、ご参考になさってください。
削除依頼と情報開示請求の方法まとめ
twitterではヘルプページの違反報告フォームを使って削除依頼を実現することになります。他にも「オンライン法的請求提出サイト」を使うこともでき、ここでは削除依頼だけでなく発信者情報開示請求も行うことができます。情報開示請求をする場合、twitterでは裁判所の仮処分が必要となるため、ある程度長期戦になることを見込んで手続きを進める必要があります。
twitterで削除依頼をするときに検討しなければいけないポイントとしては、大きく2つあります。
①誰の
②どんな権利が侵害されているか
という視点で投稿を分析することになります。
ポイント
- 法律的視点での判断が必要な場合は専門家(弁護士)に相談して削除依頼にあたり主張する内容を確定させます。
削除依頼を弁護士に依頼する際の流れについては、以下の記事をご参考になさってください。
SNSの削除依頼②Facebookの削除依頼を弁護士が解説
Facebookの投稿を削除依頼する方法とは?
Facebookの誹謗中傷投稿を削除する方法としては、次の2つがあります。
- 各投稿に設置された通報ボタンを利用する
- ヘルプページから報告フォームへ移り詳細を記載する
具体的な内容を運営側に報告する場合には、ヘルプページの報告フォームを使います。Facebookではアカウントを持っていない人でも違反報告ができるようになっています。
Facebookは実名登録することがルールとなっており、他のSNSに比べ誹謗中傷トラブルは少ないようです。とはいえ、気軽にテキスト・写真・動画をアップすることができる仕様であり、誹謗中傷の種類も様々です。twitterやInstagramと同様、拡散性もありますので、トラブルを発見した場合はすみやかに対応を検討しましょう。
Facebookのアカウントを削除依頼するには?
アカウントそのものを削除依頼するには、誹謗中傷の詳細を運営側に伝え、甚大な権利侵害が生じていることを知ってもらう必要があります。ヘルプページの報告フォームから、被害状況を正確に報告してください。運営側は報告内容を精査してアカウントを凍結するかを検討します。
Facebookのアカウントだけでなく、twitterやInstagramでも、アカウントそのものの凍結を求めることは、削除依頼よりハードルが高いことになります。各投稿について削除をするだけでは事態がおさまらないときには、アカウントを停止させるかが検討されます。
削除依頼と情報開示請求の方法まとめ
Facebookに情報開示請求をする場合には、裁判所が出す命令が必要になります。つまり、任意で情報開示請求をしても応じてもらえず、裁判所に「情報を開示せよ」との命令をFacebookに出してもらわなければなりません。仮処分という手続きを行う場合、命令がでるまでに数か月の時間を要することとなります。
削除依頼は、各投稿に対し個別に違反報告をする方法がもっとも簡単です。ただし、違反が認められ削除されるかはFacebook側の判断となりますので、誹謗中傷の書き込みが行われたからといって、すべてが簡単に削除されるわけではないことに注意しましょう。
SNSの比較(削除依頼)
アカウント削除 | ありえる | ありえる |
削除依頼先 | twitter米国法人 | Facebook米国法人 |
Facebookの削除依頼については、以下の記事でも紹介していますので、参考にしていただければと思います。
SNSの削除依頼③YouTube動画の削除依頼を弁護士が解説
名誉毀損でアカウントを削除する方法は?
YouTube上で名誉毀損があった場合、不適切な動画が投稿されたとして、違反報告することで動画の削除を求めることができます。その他に、動画に対するコメントの中で誹謗中傷が行われることがあります。コメントに対しても、ひとつひとつ違反報告ができるよう通報用のボタンが設置されています。
動画のみを削除すべきケースか、アカウントそのものを削除すべきケースかは、YouTube運営側が判断します。不適切な動画ばかりをアップしているアカウントの場合は、アカウント自体が凍結される可能性があります(いわゆる「垢BAN」)。
YouTubeのコメント欄で誹謗中傷を受けたら
YouTubeの動画コメント欄に誹謗中傷が書き込まれることがあります。正しい対処法としては、問題となるコメントを個別に運営側に通報することです。中にはコメントで言い返す人もいますが、相手が反論してきたり、他の関係ない人まで加勢してくることがあるため、解決方法としては適切ではありません。
動画コメント欄が荒れてしまい、収集がつかなくなることがあります。コメントは匿名で書き込まれることが多いため、誰もが遠慮なくコメントを書き込む傾向にあります。炎上対策としては、運営側への通報がもっとも無難であるといえます。
YouTubeの削除依頼については、以下の記事でも紹介していますので、参考にしていただければと思います。
YouTubeチャンネルで個人情報が晒された場合の対処法
最近増えているYouTube動画のトラブルとして、「動画の無断転載」の問題があります。たとえば、他人が作ったTikTokの動画をそのまま無断でYouTubeの自分のアカウントでアップする行為です。自分のTikTok動画が無断でYouTubeにアップされていた場合や、自分が写った動画が勝手に使われていた場合には、すぐに運営側に知らせることが大切です。
各SNS投稿への削除依頼(通報)
YouTube | ||
---|---|---|
通報ボタン | あり | あり |
削除依頼先 | twitter米国法人 | Google米国法人 |
また自分が写った動画が無断で使用されている場合は、肖像権の侵害に該当する可能性があります。肖像権が侵害された場合の対処法については、以下の記事をご参考になさってください。
最後に
SNSでの誹謗中傷は日々いたるところで発生しています。迅速かつ適切に対応することで、他への拡散を防止することを目指しましょう。削除依頼の方法はSNSによっても違いますので、まずはインターネットトラブルに詳しい弁護士まで、お問合せください。メールや電話、LINEでは、無料相談を行っている法律事務所もあります。どのような方法で削除依頼をすべきか、具体的なアドバイスをもらうことができるでしょう。
高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」「ネット削除依頼」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了
英語:TOEIC925点