Twitterの誹謗中傷ツイートやアカウントの削除依頼方法を弁護士が解説

X(旧Twitter)の削除依頼方法は?

Twitterの投稿トラブルによって脅迫やストーカー被害を受けるニュースが珍しくありません。総務省の「令和2年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によると、ソーシャルメディア系サービス/アプリ等の利用率においてTwitterは、LINE、YouTubeに次ぐ利用率の多さとなっています。そのため、Twitterトラブルは身近で起こり得るものといえるでしょう。

Twitterは拡散性が高いコンテンツであるため、しばしば「炎上」が起きることがあります。炎上元となったツイートやアカウントを放置していると炎上がさらに悪化する可能性があるため、削除依頼を検討しましょう。

ここではTwitterのツイートや、アカウントの削除依頼方法について紹介しています。Twitterトラブルの対応方法に迷っていたり、削除依頼を自分でやることに不安がある場合には、弁護士にどうすべきか聞いてみることも選択肢に入れてみましょう。

誹謗中傷ツイートの削除依頼方法

Twitter社へ違反報告して削除を求める

前提として、Twitterは他者への嫌がらせや暴力などの行為を「Xルール」で禁止しています。個人情報の公開やなりすましなども禁止となっていますので、ルールに目を通してみましょう。ルールで禁止されている項目に該当しているならば、Twitterに対して削除依頼を行います。

Twitterで禁止されていること(一部)

  • 他のユーザーの個人情報(自宅の電話番号や住所など)を無許可で公開または投稿することは禁じられています。個人情報を公開すると脅迫する行為も禁止です。
  • なりすまし行為によって、周囲に誤解を与える行為は禁じられています。

Twitterには投稿ツイートやアカウントの問題を運営元のTwitter社に報告する機能が設置されています。ツイート上部端の三点リーダーを押し、[ツイートを報告]を選びます。報告したツイート内容が禁止事項に該当していた場合、投稿者に対し削除や警告といった形で対処されます。

各ツイートの報告機能のほか、「ヘルプセンター」にある問い合わせフォームから、違反ツイートを通報することも可能です。問い合わせフォームから報告する問題に最も当てはまるトピックを選択しましょう。

プルダウンから適した報告理由を選択すると、報告したいツイートのURLの貼り付け欄や、問題の詳細を記入するメッセージ欄が表示されます。事情の詳細をTwitter社へ伝える必要がある場合は、問い合わせフォーム経由で通報を行うとよいでしょう。

注意点は違反報告を行ったツイートが必ず削除されるとは限らないということです。報告者から見て、ツイート内容にTwitterルールの違反があったとしても、Twitter社がツイート内容に法的問題があるかどうかや、投稿者の違反歴などを考慮した上で、最終的な判断を行います。

「通報する時に上手く説明できるか不安」「自分で試したけど消えなかった」など、お困りの方はTwitterトラブルに詳しい専門家に一度相談してみましょう。

DMで投稿者に削除依頼することはおすすめしない?

Twitterは、自分もTwitterアカウントを持っていて投稿者がDM機能を開放していれば、非公開の環境で投稿者に削除依頼する方法もあります。しかし、DMでの削除依頼は新たな誹謗中傷やトラブルの原因となりうるため、活用にあたって慎重な判断が求められます。

素直に投稿者が削除依頼に応じてくれるという結果は、必ずしも望めません。DMを晒すなどの新たな嫌がらせを受ける危険性もあるということを覚えておきましょう。

また、クオリティフィルターの設定をしていた場合、文面によってはDM受信が相手に通知されない場合もあります。

ポイント

  • 当事者個人が相手方にDMを送るのは慎重に。かえってトラブルになることもあり、根本的な解決に至らないケースが多く見られます。

誹謗中傷アカウントの削除依頼方法

Twitter社への通報でアカウントを削除依頼する

アカウント自体がそもそも嫌がらせ目的などで作成されている場合、ツイートだけでなくアカウントの削除も求めましょう。アカウントの問題もTwitter社に報告(通報)を行います。

報告したアカウントにTwitterルールの違反があった場合、違反アカウントのツイート、プロフィール文、写真などの情報が削除されることがあります。アカウントが停止されると、そのURL上では「アカウントは凍結されています」の文言が表示されます。

この状態を、Twitterでは「アカウントの凍結」と表現されます。厳密にはアカウントが削除されている状態ではありません。凍結とは、プロフィールページのURLとアカウントID(英数字)以外の情報が非公開となり、所有者はアカウントの一切の操作ができなくなります。

アカウントが削除(凍結)されるケースとは?

アカウントが削除(凍結)されるには、Twitterルールに違反する行為があったことが前提条件となります。たとえば、以下のようなケースがアカウント凍結される代表例です。

アカウント凍結の代表例

  • なりすましアカウント
  • 個人を攻撃することを目的に立ち上げられたアカウント

Twitter社が該当アカウントの違反の重大さや違反歴を考慮した上で、機能制限や凍結といった対応を決めます。アカウント凍結はTwitter内で最も重いペナルティとされています。単に自分が気に食わないアカウントだからという理由では第三者のアカウントを削除することはできません。

違反アカウントに対して、アカウント削除(凍結)を行うかは、Twitter社の判断に委ねられます。特定アカウントから受けた違反行為を報告しても、違反を行ったアカウントが必ず削除(凍結)されるわけではない点に注意が必要です。

第三者が作成したアカウントではなく、自分自身で作成したログインできないTwitterアカウントを削除依頼したい場合には下記の記事をご覧ください。

Twitter削除依頼以外の誹謗中傷対処方法はある?

警察が対応してくれるケースもある

警察が刑事事件として取り扱ってくれる可能性があるときは、まず警察署に相談に行くことが大切です。名誉毀損や脅迫など、警察に動いてもらった方が根本的な解決につながることもあります。

刑事事件として捜査ができると判断されたならば、警察が投稿者(犯人)の特定を行い、投稿者の取り調べを行う流れになります。最終的に、検察官に起訴されると、刑事裁判を受けて、刑事処罰を受けることになります。

刑事事件の可能性があるツイート例

  • 名指しで「前科がある」とツイートした
  • 「殺すぞ」「家を燃やすぞ」など脅迫的なツイート
  • 「馬鹿だ」「ブスだ」などの侮辱的なツイート など

「このツイートは警察に持ち込むべき?」とわからないケースも多いと思いますので、その場合は、ネットに詳しい専門家がいる弁護士事務所へお問合せください。
また、併せて『ネットトラブル・誹謗中傷で被害届が出せるケース・刑事告訴を解説』の記事も参考にしてください。

相手に損害賠償(慰謝料)を求めることが可能なケースとは?

個人情報を晒される行為は、民事事件として訴訟を起こし、民事責任を相手に追及することができることがあります。その場合には相手に損害賠償(慰謝料)請求することが考えられます。

相手に金銭賠償を求める場合には、その前提として投稿者の氏名や住所などの情報を取得する必要があります。これを、「発信者の特定」といいます。投稿者がどこの誰かが明らかになると、相手に対して様々なアクションをとることができるようになります。

民事事件の可能性があるツイート例

  • 個人情報を晒す投稿(電話番号、住所など)
  • 無許可で顔写真を投稿するツイート
  • 名誉権を害するツイート など

Twitterの誹謗中傷ツイートやアカウントの発信者の特定はできる?

Twitterの誹謗中傷発信者を特定する流れや期間は?

発信者の特定に必要な手続きは「発信者情報開示請求」といわれます。Twitter社とインターネット回線業者に、それぞれへ接続情報と個人情報の開示を求めます。

発信者情報開示請求はその後に責任追及を検討する前提で行う手続きです。開示後に損害賠償(慰謝料)請求の訴訟に発展した場合、期間は年単位を費やすこととなります。

発信者の特定をするならば、なるべく早期に踏み切ることが大切です。

開示請求や特定の方法や流れについては、くわしい関連記事『X(旧Twitter)での誹謗中傷は開示請求で特定できる?名誉毀損で訴えたい』も参考にしてください。

Twitterの発信者を特定する費用について

ハンドルネームや、名指しをせず仄めかしに留まる投稿は、法的侵害があると認められにくい傾向にあります。法的侵害があると裁判所で認められないものに関しては、発信者情報開示の手続きは止まってしまいます。容易に個人情報を開示してしまうと企業の信用に関わるからです。Twitter社の場合も開示してもらうハードルは高めといえます。

費用については、弁護士に依頼して発信者情報開示請求・特定まで行うとすると、相場で70~80万円ほどかかります。開示手続きが進められなくても「着手金」費用があった場合、着手金は返金されません。

発信者を特定後、損害賠償請求をする訴訟を起こすならば、さらに弁護士に依頼する費用が生じることとなります。相手方へ弁護士費用等をあわせて損害賠償請求することは理論上可能です。

しかし、発信者に資産がなかった場合には、弁護士費用を全額自分で負担することになる可能性も考えられます。また、賠償命令が出ても金額が請求を大きく下回ることも想定されます。

発信者の特定や損害賠償請求については、時間や負担となる費用について慎重に考慮しておく必要があるといえるでしょう

発信者特定に関する弁護士費用については、『発信者情報開示請求の費用相場と内訳は?弁護士費用は相手に請求できる?』も参考にしてみてください。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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