誹謗中傷の対策まとめ|ネット削除と開示請求を弁護士が解説します | アトム法律事務所弁護士法人

誹謗中傷の対策まとめ|ネット削除と開示請求を弁護士が解説します

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岡野武志

監修者:アトム法律事務所 代表弁護士
岡野武志

誹謗中傷対策まとめ|開示請求弁護士解説

【誹謗中傷】弁護士推奨インターネットトラブル対策のポイント3つ

インターネットトラブルで多い「誹謗中傷」問題は、年々深刻化しています。ネットで誹謗中傷の被害者となったとき、どのような対策が適切なのでしょうか。今回は、「ネット削除依頼」と「発信者情報開示請求」という方法を中心に弁護士が解説していきます。困ったときの相談窓口もご案内しています。

 

1.開示請求|プロバイダ責任制限法とは?

匿名発信者を「特定」する方法

匿名発信者を特定するには、大きく2つのステップを踏む必要があります。

  1. コンテンツプロバイダにIPなどの情報を開示してもらう
  2. インターネットプロバイダに契約者情報を開示してもらう

ただ、発信者情報は高度な個人情報になりますので、簡単に情報開示が成功するわけではないことに注意しなければなりません。

ネットに書き込まれる情報のうち、多くは匿名です。発信者に対し具体的なアクションを起こすために「発信者情報を特定する」という方法があります。電気通信事業者等が、特定電気通信の情報流通による権利侵害に対し適切かつ迅速に対処できるよう定められた法律として、プロバイダ責任制限法があります。これに基づき発信者を特定するという手続きもあります。

特定する前に知っておくべきこと

匿名発信者の特定をする前に、知っておくべきことがあります。それは、「時間」「お金」に関することです。特定に至るまでには1年近くかかるケースもあり、長期戦になることが見込まれます。また、裁判手続きが必要になる場合、弁護士費用もある程度準備しておく必要があります。費用については、後ほど解説したいと思います。

注目ポイント

匿名発信者を特定する前に書き込みを削除してしまうと証拠がなくなってしまいます。相手を特定する場合には、削除のタイミングは慎重に検討する必要があります。

2.誹謗中傷の被害届は「いつ」「どこに」出す?

被害届は警察に出す

被害届は、通常、警察署に提出します。提出するタイミングは決まってはいませんが、急に警察署に行っても受理されないことが多いです。事前に担当の刑事の方に事情を説明し、相談をした上で被害届を提出するようにします。被害届は、町中の交番ではなく、「警察署」に提出する必要があります。誹謗中傷の具体的な内容を警察に示すことが必要になりますので、相談するにあたっては、書き込みされたページの印刷を準備し、経緯を説明できるようにしておくとスムーズです。

被害届を出す前に、そもそも「誹謗中傷での被害」が刑事事件になるかどうか、について検討することも大切です。誹謗中傷と言っても、その中身は様々で、ケースによっては警察の捜査の対象となる「名誉棄損事件」など、刑事事件になるものもあります。刑事事件になる可能性がある誹謗中傷は、警察に相談し、被害届の提出を考えるべきでしょう。

被害届が受理されたら

誹謗中傷の被害届が警察に受理されると、その誹謗中傷は刑事事件として動き出します。警察は書き込んだ人を被疑者として扱い、誹謗中傷された人は被害者という立場になります。捜査が開始され、書き込んだ人は取り調べの対象になります。

アドバイス

名誉棄損を主張しても警察が被害届を受理してくれないこともあります。その場合は、一度法律の専門家である弁護士に書き込み内容を精査してもらってください。場合によっては、弁護士に被害の申告を手伝ってもらうこともできます。

3.誹謗中傷の書き込みを削除依頼する

削除依頼の方法

削除請求には、様々な方法がありますが、大きくは次の3つに分けられます。

  1. 任意の削除依頼
  2. ガイドラインによる削除依頼
  3. 裁判所の仮処分

ガイドラインというのは、上に述べた「プロバイダ責任制限法」を指しています。

ネットで誹謗中傷を受けた際、その書き込みを削除するには「削除依頼」という方法をとります。サイト管理者や掲示板の運営会社に削除を依頼し、書き込みを消してもらうよう要請します。削除依頼は、誹謗中傷を受けた本人か、その本人から依頼を受けた代理人弁護士のみが行うことができます。

削除までの期間

任意の削除依頼を行う場合、サイト管理者や掲示板運営者に直接コンタクトをとることになります。なかなか削除リクエストに気付いてくれず、数日放置されることもあります。一方で、管理者がすぐに反応し、数時間で適切な対応をしてくれることもありますので、削除が完了するまでにかかる時間は大きく幅があるといえます。

任意ではなく、ガイドラインによる削除依頼(正しくは、「送信防止措置依頼」といいます)の場合には、書き込んだ本人に意見照会が行われます。そのため、回答を得るまで約一週間ほどの時間を要することになります。また、仮処分では、さらに時間を要し、数週間、場合によっては数か月の時間がかかります。

誹謗中傷の特定「開示請求」の方法とは

1.発信者の特定「開示請求」の流れ

開示請求の流れ

発信者情報の開示請求は、次の流れで進めることになります。

  1. サイト管理者や掲示板運営会社から発信者のIPアドレスなどの情報を開示してもらう
  2. 携帯電話会社やインターネットプロバイダ会社から発信者の氏名・住所の情報を開示してもらう

発信者情報の開示請求には、法的な根拠が求められます。ですので、事前に法律相談を受けておくことをお勧めします。

開示請求の方法

開示請求では、各所に書面を送付することになります。それぞれ書式がありますので、シーンに応じて適切な書式であるか確認することが大切です。また、書面には書くべき事項が決められています。もれなく誹謗中傷被害者の主張が反映されるよう、弁護士にチェックを求めておくことも有効です。

特に、コンテンツプロバイダへの情報開示請求の方法は、そのサイトが指定した方法によりますので、サイトの利用規約やガイドラインをチェックする必要があります。任意での開示請求が難しければ、仮処分を考えることになります。

特定されるまでの期間

発信者の特定に1年かかるケースもあります。サイト管理会社が海外法人であるケースも少なくはなく、手続きがスムーズに行えたとしても1年以上の時間がかかることもあります。特に携帯電話会社への情報開示請求は、通常は裁判手続き(仮処分)を必要としますので、その部分だけでも数か月は見込んでおいたほうがよいと思われます。

最新情報

現在、総務省の有識者会議では制度の見直しがされています。これまで情報開示には2段階のステップが必要でしたが、1回の手続きで匿名者の特定ができる議論が進められています。

2.発信者特定のメリットとデメリット

発信者特定のメリット

発信者特定のメリットしては、特定後の選択肢が広がるということです。例えば、次の選択肢が考えられます。

  1. 発信者を刑事告訴する
  2. 発信者に対し損害賠償を請求する
  3. 発信者に対し再発防止のための警告を発する

どれがもっとも効果的かは、事情により異なりますので、弁護士に判断してもらうのが安心でしょう。

発信者特定のデメリット

発信者特定のデメリットとしては、途中で手詰まりになってしまうおそれがあるという点です。特に、掲示板の場合、運営側に残された発信者のログ情報が3ヶ月分程度しか保存されていないことがあります。それ以前の書き込みで、ログ情報が保存されていければ、技術的に特定が困難となります。

発信者特定と削除依頼の違い

発信者特定削除依頼
メリット発信者に対して刑事・民事両面で責任追及を考えることができるネットの検索結果から除去することができる
デメリット数か月の時間を要する書き込まれた場所によって削除依頼の方法が異なるためリサーチが必要

発信者特定は自分でもできる?

発信者特定は、個人でも行うことができます。しかし、複雑な手続きを要するうえ、法的根拠を示しながら開示請求を行うことになりますので、専門家である弁護士の手を借りずに手続きを進めることは決して簡単ではありません。時間をかけているうちに、貴重なログ情報が消えてしまうおそれもありますので、スピード感をもって手続きを行うためには弁護士のサポートは重要です。

3.アカウントの特定は可能?

SNSのアカウント特定はできる?

SNSのアカウント特定をすることは可能です。通常、SNSアカウントは本名以外で作成されることが多く、外見上、誰がそのアカウントを運営しているかはわかりません。誰が誹謗中傷のコメントを書き込んだかを調べるためには、発信者情報を調べる必要があります。SNSによってその管理会社へのアクセス方法が異なりますので、まずはその点をリサーチするところから始めることになります。

twitterのアカウント特定はできる?

twitterのアカウント特定をすることは可能です。ただし、特定するためには、まずはtwitter社から発信者に関する情報を開示してもらう必要があります。twitter社の日本法人はプロモーションを取り扱う役割を担っており、削除権限は与えられていません。そのため、アメリカ法人に対し開示請求をする必要があります。twitterはツイートごとにIPアドレスが保存される仕組みではないため、タイムスタンプなど他の情報の開示を求めることになります。

Instagramのアカウント特定はできる?

Instagramのアカウント特定をすることは可能です。まず、管理会社であるFacebook社に対し情報開示を求めることになります。twitterのケースと同様に、Facebook社からInstagramアカウントのタイムスタンプなどの情報を開示してもらい、その後、インターネットプロバイダに発信者情報開示を求める流れになります。

twitterとInstagramの違い

twitterInstagram
情報開示の請求先Twitter, IncFacebook, Inc
投稿時のIPアドレス保存されない保存されない

誹謗中傷の相談・対応にかかる費用はいくら?

1.「無料相談」の相談窓口

無料相談を使うべき理由

誹謗中傷の被害を受けた方は、まずは無料相談の相談窓口を利用してください。最近では無料相談の窓口を設置する法律事務所も増えていますので、まずはそこで情報収集していただくことをお勧めします。ご自身でできることはないか、費用のどのくらいかかるのかなど、確認してみるとよいでしょう。

弁護士の相談窓口

ネット削除を依頼したい場合、業者(企業)に依頼するのではなく、「弁護士」に依頼されることが大切です。削除依頼は、誹謗中傷の被害者本人か、その方から依頼を受けた弁護士でなければ行うことができません。弁護士法というルールに違反しないために、弁護士へのご相談が必須だと覚えておきましょう。

その他の相談窓口

誹謗中傷の相談窓口は、法律事務所の他に、総務省支援事業として設置された窓口もあります。例えば、「違法・有害情報相談センター」ではメールで相談することができ、削除方法に関するヒントを得ることができるでしょう。

2.法律事務所の費用相場

相談・対応の費用相場

最近では、誹謗中傷の法律相談を「無料」でしている法律事務所が増えてきました。法律相談を受ける前に、まずは電話やメールで費用を確認しておくと安心です。相談時間が決められているところもありますので、その点も確認しておくとよいでしょう。実際に、誹謗中傷の対応として削除依頼や発信者情報開示請求を弁護士に依頼する場合には、依頼内容によって費用は大きく変わりますので、契約内容についての説明を十分に聞いてからご判断ください。

法律事務所の料金体系

ほとんどの法律事務所では、ホームページに料金体系を示したページを作成しています。それを見ればおおよその費用は把握することができます。ただ、具体的にどのような内容を弁護士に依頼するかで、総額が変動しますので、法律相談の中でしっかり見積りを出してもらうことが必要になります。

費用相場を知るために

費用相場を知るためにお勧めしていることが、「相見積り」をとっていただくことです。法律事務所や弁護士によって費用が異なりますので、複数の費用体系を見比べて、最終判断をしていただきたいと思います。着手金が設定されているのか、成功報酬型の契約になるのか、どのような場合に費用が発生するのかなど、細部までわかりやすい説明がある法律事務所であれば安心感があるといえます。

3.対応による費用の違い

弁護士によって費用は違う?

弁護士が設定する削除依頼や発信者情報開示請求にかかる費用には、差があります。弁護士選びや法律事務所を選ぶ際には、その費用に見合った活動が期待できるかという点がポイントになります。そのために、これまでの「実績」やアプローチの具体的な方法について詳しい説明があるか、ということが参考になります。

弁護士費用は、どの法律事務所も一律というわけではありません。誹謗中傷の対応に関して一定の価格帯で費用を設定しなければいけないルールはないため、幅があるのです。無料の法律相談窓口を利用しながら、費用についての情報も集めておきましょう。

その費用は適正価格?

費用については、適正価格かどうかという判断は難しいものです。ご自身の予算と得られる成果とのバランスがとれているかどうかで判断していただくとよいでしょう。ポイントとしては、弁護士の活動プロセスも含め、しっかりと丁寧な説明があったか、最善の方法でトライしてくれたか、という点を軸に評価をしていただくとよいと思います。

誹謗中傷対策の相談窓口|ネットに強い弁護士の選び方

ネット削除と開示請求に強い弁護士の条件

最後に、弁護士選びのポイントをまとめておきます。誹謗中傷のインターネットトラブルは、ネットに詳しい弁護士がお勧めです。ネット削除や発信者情報開示請求をするにあたっては、ネットのリテラシーがあると強力な武器になります。技術的な仕組みがわかっていると、対応もスムーズです。

最後に

ネットの誹謗中傷は、目に見えないところでの戦いになることが多いです。被害者は精神的にも追い詰められ、疲弊してしまうことも珍しくありません。一人で悩まず、まずは無料相談でネットに詳しい弁護士・専門家に相談されることをおすすめします。「削除できるのかな…」「特定は無理なの?」そう思った方は、まずはアトム法律事務所の無料相談窓口までお問い合わせください。

岡野武志

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。現在は「刑事事件」「交通事故」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

英語:TOEIC925点