YouTube動画の削除依頼方法を弁護士が解説
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監修者:アトム法律事務所 代表弁護士
岡野武志

この記事でわかること
- YouTube動画で動画やコメントを削除する時の手順
- YouTube動画をプライバシー権や著作権侵害で通報する時に押さえておくこと
- YouTube動画の削除依頼を弁護士に頼むメリット
- YouTube動画の削除依頼を弁護士に頼む際の費用の解説
※自身で投稿したコメントや動画については対象外です。
YouTubeは活気ある動画配信プラットフォームである一方、ルールに反する動画投稿や悪質なコメント投稿も後を絶ちません。
YouTube発信の動画は、他のSNSで拡散されたり、ときにはテレビやネットニュースで取り上げられることもあります。拡散力が大きいコンテンツであるため、権利侵害がされた場合には早急に動画の削除依頼を行うことをおすすめします。
ここではYouTube動画の削除依頼方法や、削除時に気をつけること、弁護士に削除依頼を任せるメリットをご紹介したいと思います。
YouTubeの動画を削除依頼する方法
YouTube運営に動画を「報告」する
削除依頼を行う際には、YouTube公式のYouTube のコミュニティガイドラインページをチェックしておくことがポイントです。
具体的にどのようなことがガイドライン違反となりうるのか、運営側が想定している削除対象コンテンツが示されています。
パソコンから報告する方法
- 該当の動画ページを開き、動画下部の[︙]ボタンをクリック
- 旗マークのアイコンがついた[報告]をクリック
- 報告理由を選んで送信
パソコンから報告をする場合、選択した理由によっては、詳細を入力することが可能です。
スマートフォンから報告する方法
- 該当の動画ページを開き、動画上部の[歯車マーク]のボタンをクリック
- 旗マークのアイコンがついた[報告]をクリック
- 報告理由をを選んで送信
YouTube公式ヘルプセンターの「YouTube 上の不適切な動画、チャンネル、その他のコンテンツを報告する」ページでも使用するデバイス毎の操作手順が公開されています。
※アップデートによる仕様変更で記載手順が異なることもあります。
プライバシー権侵害としてYouTube動画を通報できるのはどんな時?
自分の顔画像などの個人情報が無断で公開されているならば、YouTube運営側に削除依頼を行う際、プライバシーの侵害を報告理由にしてYouTube運営側に削除依頼を求めましょう。
他にもYouTubeヘルプページ内の[プライバシー侵害の申し立て手続き]という専用フォームから削除依頼することも可能です。
しかし、専用フォームに入力したあなたの名前や住所が、相手方に開示されることもあるため、慎重な判断が必要です。
保護対象のプライバシーについてどんなものがあてはまるのか、YouTube プライバシーガイドラインで説明されています。顔画像だけでなく、音声もガイドライン違反の可能性があります。
よくあるプライバシー侵害(例)
- はっきり顔が映った動画を勝手にアップロードされている
- ネット上に公開していない自宅の住所や銀行口座番号を無断でアップロードされている
YouTubeは「個人を一意に特定できる」動画を、プライバシー違反による削除対象として定めています。一意に特定できるとは、「他人が個人を特定するのに十分な情報が動画に含まれている」ことを意味します。
当人が見れば自分だと判断できても、他の人から見ると判別不能という場合には、削除に応じてもらえない可能性が高いです。
客観的な判断が必要になるため、まず専門家にご相談されることをおすすめします。
個人情報とはどんなものか、個人情報の削除ポイントなどを知りたい方は、特集記事『個人情報の削除依頼をお考えの方へ対処方法を弁護士が伝授』もご参考にしてください。
著作物を無断で使用されたら「著作権侵害」として通報しよう
自分の作成したものが無許可で公開されているなら、YouTube運営側に削除依頼を求める際、報告理由を権利侵害の[著作権の問題]を選択しましょう。
著作権侵害として削除依頼する流れ
- 動画の報告理由で[著作権の問題]を選ぶ
- [著作権侵害による削除通知を提出する]ページに移動
- 画面下部の青色ボタンをクリックして[動画の削除リクエスト]フォームを立ち上げる
- 必要情報を入力して送信する
著作権侵害での通報には次のような特徴があるため、フォーム入力は慎重に判断する必要があります。
・通報した人の名前が動画を投稿した相手方に知られる
・動画が削除された後もURLは残り、通報した人の名前がサムネイルに表示される
YouTubeは著作権侵害の問題に対して特に厳しい姿勢をとっており、他の権利侵害に比べ迅速な対応が行われる傾向にあります。
しかし、運営への通報の方法がうまくいかず悩む方も多いです。YouTube動画は通報してすぐに削除されることもありますが、審査に時間がかかり、1ヶ月ほどしてようやく削除に至ることもあります。
著作権侵害に該当するケースと無断転載の削除依頼については、記事『ネットで著作権侵害された方へ|無断転載を削除依頼する方法』で解説していますので、あわせてご一読ください。
YouTubeのコメント削除依頼方法
コメント欄の通報ボタンを使おう
YouTubeの「通報」は次の手順で行うことができます。
- YouTube(Googleアカウント)にログインする
- 問題のコメントに設置された[︙]ボタンをタップする
- [コメントの報告]から該当する報告理由を選択する
報告されたコメントの内容がYouTubeのコミュニティ ガイドラインに違反している場合、YouTube運営によって違反コメントが削除され、違反コメント投稿者には警告が発せられます。警告は運営側から行われるもので、誰の通報に基づくものかは、そのコメント投稿者にはわからないようになっています。
悪口や誹謗中傷の内容は様々で、権利侵害といえるものかどうかは判断が難しいケースも多いです。侮辱罪に該当する場合もありますので、『侮辱罪とは?|具体例や名誉毀損罪との違いを解説』もご参考になさってください。
コメントを報告しても削除されない場合、専門家の意見を聞いておくと、削除依頼の他にも適切な対応方法について情報を得られることがあります。無料相談であれば気軽に利用できますので、お困りの方はまず無料相談の窓口をご利用することをおすすめします。
記事『YouTube動画の削除方法|動画・コメントの削除依頼』もあわせてご覧ください。
名誉毀損のコメントは専用フォームから削除依頼を求めるのも手
YouTubeはすべての利用者に対して、他者への誹謗中傷、名誉毀損などを目的とした嫌がらせコメントを投稿することを、コミュニティガイドラインで禁止しています。
コメントを報告しても削除依頼されない場合は、YouTubeヘルプセンターページ内の[名誉毀損]報告フォームから削除依頼を求める方法があります。
まずプルダウンから「日本」を選択しましょう。申し立てをする国を選択し、問題がある動画のURLや内容について入力します。署名欄はフルネームを入力して送信する必要があります。
名誉毀損については、記事『ネットで名誉毀損された方へ|慰謝料請求や刑事告訴の方法は?』でも解説していますのでご参考になさってください。
コミュニティガイドラインは、動画投稿を行うチャンネル運営者、ユーチューバーだけに向けられたものではありません。
動画投稿を行わずに、コメント投稿のみを行っているYouTubeアカウントも対象となります。コメント内容が違反していた場合、投稿者はYouTubeから警告を受けることとなります。
削除依頼は直接投稿者に連絡する方法もある?
投稿者の連絡先が公開されている場合、直接削除を求めることが可能です。ただし、直接コンタクトを取り削除依頼したことそのものが晒され、炎上するリスクがあることを想定しておきましょう。
削除依頼を求める文面は、「脅し」にならないよう言葉選びは慎重に行うことが大切です。
削除依頼の方法に少しでも不安があれば、専門家に相談をすることをおすすめします。
YouTubeのチャンネル・アカウントは削除依頼できる?
誹謗中傷チャンネルを強制的に削除依頼することは難しい
他人のYouTubeチャンネルを個人が強制的に削除することはできません。YouTubeチャンネルの削除は、YouTube運営判断によるペナルティとして行われる削除か、チャンネル運営者が自分の管理画面内の操作によって行うことになります。
チャンネルの削除依頼(例)
- なりすましアカウント
- 個人を攻撃することを目的にしたチャンネルアカウント
- 違法動画ばかりをアップロードしているチャンネルアカウント
悪質なYouTubeアカウントの削除も難しい
YouTubeアカウントについても、他人のアカウントの削除依頼を行う方法はありません。
しかし、誹謗中傷や攻撃的な投稿を繰り返し行ったり、違反内容が悪質だったりするYouTubeアカウントは、YouTube運営の判断によってアカウントの削除や停止が行われる場合があります。
アカウントが削除されたり停止されると、そのアカウントの動画もすべて閲覧できなくなり、動画につけられたコメントも全て見られなくなります。
他人のアカウントそのものを削除依頼できないため、消して欲しい動画が多数アップロードされている場合には1つずつ動画の削除依頼を行う必要があります。
削除依頼を望んでいる他人のアカウント内に大量の動画が存在するケースでは、自分ひとりで削除依頼申請を行うことにとても時間がかかってしまうことが予想されます。
YouTubeの削除依頼は弁護士に任せてみる
動画削除依頼に費やす時間や手間がかからない
YouTubeの削除依頼は、YouTubeの削除成功ノウハウがある弁護士に任せれば、自分で削除依頼をするよりも解決スピードを上げられることがあります。動画やコメントが何年も残ってしまうことで進学や就職などの妨げになる恐れがある場合は、なるべく早期に削除依頼することが重要です。
削除依頼をYouTube運営に対して行う際には、削除依頼理由に権利侵害の指摘を記載しておくべきケースが存在します。自己流の削除依頼のやり方に不安がある、複数の動画の削除依頼をする時間がない等の場合は、弁護士に任せると安心です。
弁護士ならば投稿にどんな法的問題があるのか確認の上、速やかに適切な削除依頼をすることが可能です。自分で削除依頼を実施する場合には、運営側に伝える情報が不足していたり的外れな主張をしてしまうことも考えられるため、削除依頼に手間取ること場合があります。
削除を弁護士に依頼するメリットについては、記事『ネット記事の削除依頼は弁護士に任せるべき?メリットや弁護士費用が知りたい』もご一読ください。
YouTubeの削除依頼を弁護士に頼む場合の費用は?
削除依頼にかかる費用は、弁護士事務所によって異なります。依頼する内容や削除の難易度によっても費用は変動します。削除依頼を対応してくれる法律事務所から見積を出してもらい、比較検討をすることをお勧めします。
着手金や最初の相談料がかからない料金体系になっている事務所もあります。これらの費用がかからない場合には、弁護士に依頼するハードルも下がります。
一方で、着手金がかかる代わりにトータルの費用が抑えられている場合もありますので、無料相談等をうまく利用し、実績などの情報収集をして判断することをおすすめします。

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了