Facebookで誹謗中傷されたら|投稿やアカウントの削除依頼を解説

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Facebookの誹謗中傷

この記事でわかること

  • Facebookの削除依頼について
  • Facebookの削除依頼を法的手段で対応する方法
  • Facebookの削除依頼は法律事務所への相談がおすすめ

Facebookの削除依頼① 削除依頼の対象を決める

コミュニティ規定違反のコンテンツは削除対象となる

Facebookには「コミュニティ規定」と呼ばれる利用者が従わなければならないポリシー(方針)があります。コミュニティ規定に従っていない記事やコメントなどの文字コンテンツは、運営元のメタ社の判断で、削除や制限といった対応を受ける場合があります。

Facebook以外のSNSも、通常、利用規約やユーザーガイドラインが設定されています。基本的には、ユーザーはそのルールに沿ってSNS運営を行うことになります。他人の権利を侵害したり、嫌がらせ行為などは規約違反として削除などのペナルティを受けることになります。

記事・コメント・写真・動画が削除される場合とは?

Facebookで投稿する記事(コメント投稿、写真、動画など)は、コミュニティ規定に沿ったものでなければなりません。コミュニティ規定違反に該当するコンテンツは、運営元のメタ社の判断によって削除や利用制限を受ける可能性があります。

運営側が自主的にルール違反のコンテンツを発見し、対応する場合もありますが、第三者の通報によりルール違反が発覚するケースも多いようです。自動検出のようなシステムが組まれていたとしても、コンテンツを精査しなければ判断できないケースも多いため、ユーザーからの通報は重要な手掛かりになります。

Facebookページが削除されるケース

Facebookページもコミュニティ規定を守って運営することが必要となります。Facebookページの趣旨の他、管理者の行為がコミュニティ規定に違反していた場合、Facebookページに対して削除や制限を受ける場合があります。

Facebookの削除依頼② 投稿コンテンツの削除依頼

投稿者へメッセンジャーで削除依頼するのは危険?

Facebookには「メッセンジャー」という個人間でダイレクトメッセージが送れる連絡機能があります。しかし、メッセンジャーを使って投稿者に記事や写真などの投稿を削除依頼することは必ずしもよい方法とはいえません。削除に素直に応じるかは相手次第であり、削除対応を強いることはできません。

もし、相手が嫌がらせやいじめを目的に投稿を行っていたのなら、ネガティブな文脈でメッセージ内容を晒されたり、他のSNSやネット記事で拡散されたりするといった事態も考えられます。メッセンジャーを使った削除依頼には、新たなトラブルが発生することもあるため、事前に弁護士まで相談されておくことをおすすめします。

違反報告をして運営側に削除を求める

他者による嫌がらせ投稿を削除する手段としては、投稿の報告がお勧めです。写真や投稿の削除の報告は、ページ右上にある[…]マークから可能です。また、コメントの報告は、コメント横にある[…]マークから行いましょう。

Facebookには、記事や写真など、投稿の問題を運営元のメタ社に報告する機能があります。メタ社は報告内容をコミュニティ規定に照らして問題をチェックします。

報告された投稿がコミュニティ規定に違反していた場合、運営判断で非表示や削除といった形で対処されます。通報者が投稿者に通知されることはありません。

削除対象となる投稿の具体例は?

Facebookのコミュニティ規定は「個人を標的にした暴言」「侮辱や嫌悪の表現」を認めていません。投稿によって、他者に屈辱を与えたり、誹謗することを意図した書き込みを行った場合、削除対象となる可能性があります。

「暴言」や「侮辱」が規定違反となるといっても、そのレベルに応じてルール違反に認定される場合は限られます。「バカ」「能無し」などのレベルでは対応されないようです。

削除依頼と並行して公開範囲・設定を見直す

Facebookで、自分が投稿した写真を無断で使用されるケースも少なくありません。このようなケースでは、削除依頼をする前に自分のページを見られる人を制限することが自衛手段として有効です。
公開範囲の設定は、プロフィールページからすることができます。

①ページ右上の「▼」マークを選択
②「設定とプライバシー」➡「設定」を選択
③「プロフィールとタグ付け」を選択

③の画面で、自分を投稿にタグ付けできる人の範囲や、自分が写っている写真の投稿範囲を設定できます。例えば、公開範囲を「友達」のみにすれば知らない人に見られることもありません。そうすると、自分が投稿した写真を無断で使用されるリスクを大きく減らすことができます。自分のプライバシーを自分で守れるようにしておくことも、Facebookでのトラブル対策として大切といえるでしょう。

Facebookの削除依頼③ アカウントの削除依頼

Facebook社への通報でアカウントを削除してくれる?

Facebookでは、アカウントの問題をFacebook社に報告することができます。アカウントの内容や行為が「Facebook利用規約」に違反していた場合、違反アカウントを停止するとしています。アカウントが停止処分が課せられた場合、記事や写真の公開ができません。

アカウント停止理由の例として、他の利用者への嫌がらせ、コミュニティ規定違反などが挙げられています。アカウント停止とは一時的に利用や情報公開の制限を課す措置であり、厳密には削除ではありません。また、アカウントの停止は、運営元のメタ社の審査によって解除される場合があります。

実際にアカウントが制限されるケースとは?

Facebookコミュニティ規定に対し、重大な違反があった停止アカウントは、審査や復元ができないとされています。この場合アカウントを復元する一切の手段がなくなるので、事実上Facebookアカウントは削除されてしまったと言えるでしょう。

違反アカウントに対して、アカウント削除(永久停止)のペナルティを課すかどうかは、あくまでも運営元のメタ社が判断することです。特定アカウントの嫌がらせ、迷惑行為を違反報告したからといって、違反アカウントが必ず削除(永久停止)されるとは言えない点がポイントです。

Facebookの削除依頼を「法的手段」で対応する方法

裁判所に対し削除の仮処分を申し立てる

違反報告をしてもFacebookに削除対応されない場合、法的手段を使った削除を検討することになります。裁判所に削除の仮処分を申し立てることで、運営元のメタ社に対し投稿やアカウントの削除命令を出してくれるよう求めることができます。

仮処分を申し立てるには、投稿やアカウントにより次の二要件が満たされている必要があります。

  1. 申立人の権利が違法に侵害されていること
  2. 早急に解消することが必要であること

申立人は裁判官と面談を行います。その上で、裁判官によって申し立て内容が上記要件を満たすかが判断されます。

発信者(加害者)の特定を行う

Facebookアカウントが偽名やなりすましで、発信者が特定できない場合であっても、法的手段を用いて発信者を特定することが可能です。条件が揃えば「発信者情報開示請求」という法的な手続きで、メタ社とインターネット回線業者に、それぞれ接続情報と個人情報の開示請求を行うことができます。

メタ社への請求先は、日本法人のFacebook Japan株式会社ではありません。2021年11月現在は、アメリカ法人のMeta Platforms, Incを相手方とします。メタ社への接続情報開示請求は、外国企業への仮処分手続きとなるため、東京地方裁判所に対し行うことになります。

「発信者情報開示請求」については以下の記事でも紹介してますので、参考にしていただければと思います。

発信者情報開示請求の要件と流れ|誹謗中傷の投稿者を特定する方法を解説

加害者への責任追及は大きく2つ(民事責任・刑事責任)

投稿発信者(加害者)の特定ができたら、民事と刑事の両面で、加害者へ責任追及することが考えられます。民事事件としては、不法行為に基づく損害賠償請求が考えられます。また、必ずしも裁判で争う必要はなく、裁判外の和解により解決を図ることもあります。

刑事事件として責任追及をする場合は、警察に被害届を提出することになります。実際に被害届が受理されれば、警察の捜査が開始されることになります。名誉毀損や侮辱など、警察に動いてもらった方が根本的な解決につながる場合もあります。

刑事事件の可能性がある投稿例

  • 名指しで「前科がある」と投稿
  • 「殺すぞ」「家を燃やすぞ」など脅迫的な投稿
  • 「バカ」「ブス」などの侮辱的な投稿 など

民事事件の可能性がある投稿例

  • 個人情報を晒す投稿(電話番号、住所など)
  • 無許可で顔写真を投稿
  • 名誉権を害する投稿 など

被害届、刑事告訴については以下の記事でも解説していますので、参考にしていただければと思います。

Facebookの削除依頼は法律事務所への相談も検討

仮処分の申し立てや裁判といった法的手段には、法律の専門知識が必要となります。

そのため弁護士に任せることで、加害者に対して具体的な責任追及ができる可能性があります。加害者の投稿やアカウントにより権利侵害が生じた場合、まずは弁護士に相談して対応策を検討することをおすすめします。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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