個人情報の削除依頼をお考えの方へ対処方法を弁護士が伝授

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個人情報の削除依頼

この記事では、ネット上で匿名の相手によって個人情報を晒された・顔画像を無断転載された方へ対処の方法やポイントをご紹介しています。

ネット上でよくあるトラブルとして、個人情報を特定・晒される被害が少なくありません。

個人情報とはどういうものを指すのか、個人情報を晒されてしまった時にどういう対処をすべきなのかネットトラブルに詳しい弁護士が解説いたします。

ネット上の「個人情報」ってなに?

客観的にだれのことか特定できる情報

個人情報保護法にいう「個人情報」とは、「生存する個人に関する情報であって、氏名や生年月日等により特定の個人を識別することができるもの」と定義されています。

ネットにおける個人情報は「××に勤務している▲▲年生まれの山田さん」といった、その人を特定できる情報であれば「職場」「住所」「生年月日」なども個人情報に含まれるのです。

もしこれらの個人情報がネット上に公開・拡散されてしまうと、誹謗中傷を受けてしまうリスクの他に、悪用される危険もありますので直ちに対応する必要があります。

なお、見る人がみたらわかる程度の内容では「個人を識別できるもの」としてみなされる可能性が低いので、削除は困難でしょう。名指しでもあだ名だったり、住所も市町区までの表記だったりする場合は、削除を求めることが難しいといえます。

個人情報保護法に基づいて削除を求められる?

個人情報保護法は、「体系化された個人情報データベース等」に対して訂正や削除を要請する場合主張として用いられることがあります。

しかし掲示板やブログ、動画、検索エンジンの結果などは、法人が事業などで用いる「体系化された個人情報データベース」にあたると判断されません。

個人情報の削除を求めるとき、どのような法的指摘をすべきかは相手や状況によって異なってきます。主張が適切でないと削除されないこともあるので気をつけましょう。

主張に用いられる権利(一部)

弁護士ならば、個々の投稿内容や状況に応じて適切な削除依頼を行うことが可能です。弁護士に任せる方がスムーズなケースもあります。

顔画像からも個人情報が流出する危険性

テキスト情報とは別に、「写真」「画像」「動画」も個人情報に含まれることがあります。

写真や動画に映りこんだ場所や物から、所在地や在籍している学校・職場・店舗の情報やその他個人情報が漏れることも珍しくありません。

ネット上の顔画像トラブルとしてよくあるケース

  • SNSに投稿した自撮り写真から住所が特定された
  • 卒業アルバムの自分の顔写真が流出した
  • TikTokに映った自分の顔動画が無断で転用された

顔画像がネットに流出すると、Google画像検索などを使って誰でも閲覧できるようになってしまいます。一度でもコピーされ、別の場所に転載されてしまえば拡散の可能性が一気に高まるでしょう。

転載される数が多いと対処しなければならない範囲が広がるため、自分自身だけで対処するには難しくなってしまいます。

ネットで個人情報が流出したときの対処

拡散されたり、被害が起きる前に削除しよう

ネット上で個人情報や顔画像の流出を発見した時には、早い段階で削除依頼し、それ以上拡散されないようにすることが大切です。

自分でネット上に投稿していることが個人情報の流出元ならば、個人情報を含む投稿内容を消しておく方が望ましいでしょう。友人や家族などが流出元ならば直接、削除依頼しましょう。

個人情報を流出させたのが誰か分からない・ネット上の匿名の人ならば、削除依頼を直接するかどうか慎重に判断しましょう。コンタクトを取ったことで相手から金銭を要求されたり、削除依頼したこと自体が晒されるリスクが存在するからです。

削除依頼窓口の有無によって対処方法は変わる

個人情報を削除する場合、まずどんなコンテンツ・サイトに掲載されたのかを調べる必要があります。

書き込まれたコンテンツやサイトの運営会社・管理者に連絡が取れる窓口があるなら、削除依頼を出すことも可能なケースが大半です。

個人情報の削除依頼窓口

コンテンツ削除依頼窓口
SNS(Twitter、YouTubeなど)運営会社への報告機能
掲示板(2ちゃんねる、爆サイなど)削除人(窓口は掲示板による)
ブログサービス運営会社の問い合わせメールフォーム

削除依頼理由はコンテンツ・サイトの規約違反や、定められている禁止事項にあてはまる場合、誰のどのような権利が侵害されているのか主張する必要があります。

手続きはコンテンツごとにルール化されていますので、ポイントを踏まえて行いましょう。

それぞれの特集記事でより詳しく解説しているので参考になさってください。

個人情報が書き込まれているサイトに問い合わせ窓口がない、サイトがどこのサーバー(ネットワーク上のデータ保管庫)を利用しているか分からないというケースも存在します。

そんな時には、自分の名前をGoogleやYahoo!などの検索エンジンサイトで調べても個人情報が検索エンジンの結果に表示されないようにする対処方法を検討しましょう。

特集記事『Google検索結果の削除依頼|サイトから個人情報を消し去るには?』や『Yahoo!の削除依頼|検索結果・ニュース・知恵袋を削除したい方必見』もご覧ください。

ネット上の個人情報はすぐに削除できる?

適切な削除依頼ならば削除できるケースもある

削除依頼をするコンテンツ・サイトの特性や、削除依頼のルール・方法によって削除の期間は異なります。

適切な削除依頼方法を用いて、削除すべきと運営会社・削除人に判断された投稿ならば、即日~半月ほどで削除されます。

スムーズな削除のための条件

  1. 規約に照らして削除されるべきと判断される可能性が高い投稿
  2. 削除依頼のルールに則った方法を用いている
  3. 削除依頼の理由が適切

なかなか削除されなかったり、そもそも削除依頼が通らない場合は、以下の理由が要因となっている可能性があります。

削除されない理由

  • 削除したい書き込みが規約違反ではなかった
  • 早く削除するよう催促しすぎたり、乱暴な言葉遣いを用いてしまった
  • 法的指摘が的外れだったり、削除に必要な情報や資料が不足していたりした

弁護士なら個人情報をスムーズに削除できる?

削除依頼は、個人情報をさらされる被害にあった本人か、代理人となった弁護士のみが行えます。

インターネットに詳しい弁護士に任せれば、削除依頼方法に則った適切な手順で、法的根拠を示して掲載サイトにアプローチすることが可能です。
そのため、個人情報の削除がスムーズに行われることが期待できます。

サイトによっては、個人ではなく弁護士や法務関係者専用の窓口を別途設けていることがあります。

たとえば、したらば掲示板では「送信防止措置依頼」という法律に基づいた削除依頼を掲示板運営会社に行う場合、窓口は弁護士向けだと掲載されています。
爆サイでも送信防止措置依頼のフォームは弁護士など限られた範囲向けとなっており、申告フォームには事務所名の記載などが必須入力情報となっています。

個人では利用が難しい窓口も弁護士ならば利用ができるため、削除の可能性が高くなるといえます。

個人情報削除のQ&A

流出した個人情報によって既に被害が出ている場合はどうすべき?

個人情報がネット上に流出したことで、すでに実生活に影響が出ているならば警察署へ相談しましょう。警察に相談するほうが良いケースは、以下のような状況です。

  • 電話番号を書き込まれて、いたずら電話がかかってくる
  • 住所を晒されて、知らない人が訪問してきた・身に覚えのない荷物が送られてきた
  • 「▲▲(漢字フルネーム名指し)を殺しに行く」など名指しで犯行予告をされている

警察署に相談に行く場合はあらかじめ電話で連絡をして訪問日時を伝えましょう。
訪問するときは問題があると考える投稿を印刷し、証拠として持参してください。

動画出演は許可しても後から削除できる?

ネット上で見つかった自分の個人情報の削除を求めるときのポイントのひとつが、本人に無許可でそのサイト(コンテンツ)に掲載されたものかどうかです。許可を出した個人情報はすぐに削除できません。

たとえばライブ配信動画において、撮影者に同意して映り込んでいたり個人情報を話していたならば、あとから顔画像や個人情報の削除を求めることは難しいといえます。

提供に同意してしまった内容の削除には相手と直接交渉をするか、削除を求める訴訟を起こす必要があります。交渉や訴訟を要する場合は、削除されるまで半年、1年と長期間かかるケースが多いといえます。

加工された顔画像も削除できる?

誰なのか特定可能かつ、悪意のある使われ方をしている顔画像ならば、削除依頼できるケースがあります。
とはいえ、顔画像が以下の内容だと削除が認められづらい傾向にあるでしょう。

  • 帽子を目深に被りマスクをしている
  • ブレている、後ろ姿のみ
  • スタンプなどで顔の一部を隠したり変形加工したもの

流出、無断転載された顔画像が削除できるのかどうか分からない場合は専門家に相談することをおすすめします。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

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