定年離婚は退職後?退職金の財産分与と年金分割を弁護士が解説

定年離婚とは、配偶者の定年退職をきっかけに離婚することをいいます。
厚生労働省の人口動態統計(令和2年)によると、同居期間20年以上のいわゆる熟年離婚は全体の21.5%を占めており、およそ5組に1組が人生の後半で別々の道を選択しています。
本記事では、退職前後のどちらで離婚すべきかという判断のポイントを中心に、退職金の財産分与や年金分割の手続き、離婚の進め方について法的観点から解説します。
目次
定年離婚とは
定年退職が夫婦関係にもたらす変化
定年退職は、夫婦関係に大きな変化をもたらします。
長年の仕事中心の生活から、突如として夫婦二人きりの生活に移行することで、これまで気づかなかった互いの価値観の違いや生活スタイルの不一致が浮き彫りになることがあります。
特に、夫の在宅時間が急激に増えることで、妻の家事負担が増加したり、自由な時間が制限されたりするケースも少なくありません。また、仕事のストレスから解放された夫が、妻の意見を聞かずに勝手に行動するようになるなど、新たな問題が生じることもあります。
このような変化に対応できず、夫婦関係が悪化し、最終的に離婚を選択するケースが「定年離婚」です。
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定年離婚の特徴
定年離婚の最大の特徴は、定年退職という具体的なタイミングを契機としていることです。これにより、準備や計画を立てやすいという側面があります。
子育てもすでに終えている場合が多く、夫の定年退職は、残りの人生を自分のために使うためのきっかけとなります。
次に、経済面での特殊性が挙げられます。定年退職に伴う退職金の受け取りや、年金生活への移行など、経済状況が大きく変化するタイミングであることが、定年離婚特有の課題となります。
さらに、夫の在宅時間の急激な増加による生活リズムの変化も、定年離婚に特徴的な問題です。長年の職場中心の生活から、突然の「夫婦二人きり」の生活への移行は、想像以上に大きなストレスとなる可能性があります。
これらの点を踏まえ、定年離婚を考える際には、通常の離婚以上に慎重な検討と準備が必要となります。
定年離婚の特徴
- 離婚の準備や計画を立てやすい
- 子どもが自立しており、自分の人生を考えなおすタイミングになる
- 経済状況が大きく変化するため慎重な検討が必要
- 夫婦の生活の在り方が変わったことで亀裂が生じやすい
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経済的な不安から離婚を躊躇している方へ
「自分は専業主婦だから経済的に離婚は無理」と考えておられる方も多いと思います。
しかし、離婚のルールでは専業主婦の方でも原則として2分の1の財産分与を受けられることになっています。
また、夫が納めた厚生年金についても分割することができます。
まずは、夫婦の財産の半分を得られることを前提に、ご自分にどれくらいの財産が分与される見込みで、どのくらいの年金を受け取ることができるのか確認してみることから始めてみてください。
その上で、就職など離婚後の生活設計をしっかりと立てれば、離婚に向けた具体的な道筋が見えてくる可能性があります。
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定年離婚の実態
内閣府の「令和3年度 人生100年時代における結婚・仕事・収入に関する調査」によると、離婚経験がある割合は50代女性で19.4%、50代男性で13.3%となっています。
また、厚生労働省の人口動態統計(令和2年)では、同居期間20年以上のいわゆる熟年離婚が全体の21.5%を占めており、およそ5組に1組が人生後半で別々の道を選んでいる状況です。
さらに、同じ内閣府の調査では、50代女性の15.9%が「離婚の可能性がある」と回答しており、定年前後の時期に離婚を現実的な選択肢として捉える傾向もうかがえます。
定年離婚をする方法
定年離婚の流れ
定年離婚をする場合の流れは、一般的な離婚時と同じです。離婚の主な方法は、「協議離婚」「調停離婚」「裁判離婚」の3つです。
まずは、夫婦間の話し合いによって協議離婚を目指します。
合意できなければ、離婚調停、離婚訴訟(離婚裁判)へと進んでいく流れが一般的です。

離婚を円満に進めるためには、話し合いによる解決が理想的です。しかし、定年離婚の場合、妻が離婚を切り出したものの、夫にとっては全くの予想外で離婚を頑なに拒否するというパターンが少なくありません。
そのため、離婚調停や離婚訴訟まで進むことを視野に入れて、離婚原因を証明する証拠を集めるなど事前準備を整えておく必要があります。
裁判離婚するには法定離婚事由が必要
離婚訴訟まで進んだ場合、裁判で離婚が認められるには、法定離婚事由が存在しなければなりません。
法定離婚事由は、民法770条1項が定める以下の5つの離婚原因です。
法定離婚事由(民法770条1項)
- 1号:不貞行為
- 2号:悪意の遺棄
- 3号:3年以上の生死不明
- 4号:強度の精神病
- 5号:婚姻を継続し難い重大な事由
※「4号:強度の精神病」は2026年4月1日の民法改正により法定離婚事由から削除されます。
定年離婚をお考えの方の中には、「性格の不一致」を理由に離婚を希望する方が多いと思います。
もっとも、性格の不一致は法定離婚事由に明記されていません。そのため、性格の不一致のみを理由に裁判離婚するのは難しいでしょう。
しかし、不貞行為(不倫、浮気)や悪意の遺棄(生活費を渡してくれないなど)の典型的な法定離婚事由をあわせて主張することで、離婚できる可能性があります。
また、「老後に夫の介護をすることがつらい」という理由で定年離婚を考える方もいるかもしれません。この場合も、法定離婚事由には当てはまりませんので裁判離婚は困難です。
もっとも、「夫の介護がつらい」と考える背景には、長年のDVやモラハラが原因であるケースもあるでしょう。
その場合は、DVやモラハラによって婚姻関係が修復できないほど破綻していると主張立証すれば、離婚できる可能性があります。
そのためには、暴力行為を証明するための写真や診断書、モラハラ発言の録音、相手方からのメール、日記などを準備しておくと有益です。
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定年離婚の財産分与のポイント
定年離婚は財産分与の金額が大きくなる可能性が高い
定年離婚では、一般的な離婚に比べ財産分与の金額が大きくなる可能性があります。
下の図をご覧ください。
この図は、婚姻期間が20年以下の夫婦と婚姻期間が20年以上の夫婦の財産分与の金額についてまとめたものです。

この図を見ると、婚姻期間20年以上の場合、約40%以上の夫婦が財産分与額が600万円を超えていることが分かります。
このように、定年離婚・熟年離婚の場合は、財産分与額が高額になるケースが多いため、その分財産分与について激しい争いになることが珍しくありません。
財産分与について少しでも有利な条件で離婚するには、同居中から相手方の資産状況について把握し、証拠を集めておくことが重要です。
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財産分与の基本は「2分の1ルール」
実務では、財産分与の割合は原則として2分の1とする扱いが定着しています。
この考え方は「2分の1ルール」と呼ばれています。
専業主婦の方は、財産分与で不利になるのではないかと不安に思う方もおられると思いますが、2分の1ルールは専業主婦にも同様に適用されます。
夫婦の一方にのみ収入があり、他方が専業主婦の場合、一方が収入を得られるのは、他方の家事労働や育児による協力があるためであり、財産形成に対する貢献度は平等と考えられるからです。
なお、財産分与は離婚後2年以内に請求する必要があります(民法第768条)。ただし、2026年4月1日から民法が改正され、2026年4月1日以降に離婚した場合の財産分与請求期間は5年に延長されます。
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持ち家の分与方法も検討する
定年離婚の場合、持ち家を所有している夫婦も多いでしょう。
この場合、持ち家をどのように財産分与するかもよく考えておく必要があります。
①持ち家に住み続けたい場合
離婚後に持ち家に住み続けたい方も多いと思います。
住宅ローンを完済している持ち家を取得して住み続ける場合、相手方に対し、時価の半分に相当する金額を代償金として支払うのが一般的です。
まとまった額のお金がない場合は、相手との交渉が必要になります。
②売却して売却代金を折半する
上記①の方法が難しい場合は、持ち家を売却して売却代金を半分ずつ分ける方法が考えられます。
この場合、離婚後の住まいの確保についても十分に検討しておく必要があります。
③住宅ローンが残っている場合
住宅ローンが残っている場合の財産分与の方法は非常に複雑です。激しい争いとなる前に、早めに弁護士に相談することをおすすめします。
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慰謝料的財産分与の請求も検討する
定年離婚の原因が、配偶者の不貞行為やDV、モラハラである場合、離婚に際し、相手方に慰謝料を請求できます。
もっとも、相手方が慰謝料という言葉に強い抵抗感を示し、支払を拒否する場合も少なくありません。
その場合、「慰謝料的財産分与」として金銭を受け取る方法が考えられます。
慰謝料の相場は、有責行為の内容、回数、期間などによって異なります。詳しくは関連記事をご覧ください。
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扶養的財産分与が請求できる場合もある
離婚後に高齢や病気のため仕事が困難であるなど扶養が必要な状態であり、かつ、財産分与や慰謝料が低額にとどまる場合は、扶養的財産分与が認められる可能性があります。
扶養的財産分与は、婚姻費用分担額よりも低い月額に、最大で3年程度を乗じた額を一括払いするのが原則とされます。
扶養的財産分与が認められるのは、例外的な場合ですが、ご自分が請求できる可能性があるか気になる方は、弁護士に一度相談してみると良いでしょう。
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定年離婚における退職金の財産分与
以前は、退職時期が近いかどうかによって、退職金を財産分与の対象に含めるか判断が分かれることもありました。
現在の実務では、退職時期にかかわらず、退職金を分与対象とする考え方が裁判例でも広く認められています。
定年離婚では、すでに退職している場合や退職が近いケースも多いため、財産分与を検討する際には退職金の扱いを必ず確認しておく必要があります。
財産分与の対象になる退職金は、婚姻後から別居時までに労働した対価に相当する部分です。
具体的には、「退職金額×(同居期間÷勤務年数)」で計算します。
退職金の算定方法
①別居前に退職金がすでに支給されている場合
財産分与の対象は、基準時(別居時)に存在した共有財産です。
そのため、別居前にすでに退職金が支給され費消されてしまった場合、その残額のみ財産分与の対象になります。
もっとも、すでに支給された退職金で不動産や株式などを購入した場合は、その不動産や株式が財産分与の対象になります。
②退職金が将来支給される場合
退職金は、原則として別居時に自己都合退職したと仮定して算出した金額を基準に評価します。
ただし、別居時点で定年退職が近い場合(目安として5年程度以内)には、将来の定年退職時の退職金をもとに、現在価値に引き直して算定されることもあります。一般に、この後者の方法の方が分与額は大きくなる傾向にあります。
定年離婚ではこの考え方が採用されるケースも少なくないため、より有利な条件を目指すのであれば、弁護士に相談したうえで、この算定方法を前提に交渉を進めるのが現実的です。
退職金の財産分与に必要な証拠
- 就業規則
- 退職金計算書

弁護士
退職金計算書は、相手方を通じて勤務先から入手する方法が一般的です。
相手方が任意に応じない場合は、弁護士会照会や調査嘱託(裁判所を通じた手続き)によって、勤務先へ情報提供を求めることが可能です。
もっとも、これらの手続きを利用する意向を事前に伝えると、離婚問題が勤務先に知られるのを避けるため、相手方が自主的に資料を提出してくることもあります。
定年離婚で重要な年金分割の手続き
定年離婚する場合は年金分割も忘れずに
年金分割は、婚姻期間中に納付した厚生年金の保険料納付記録(標準報酬)を分割する制度です。年金分割を行うには、配偶者(多くは夫)が会社員や公務員で厚生年金に加入している必要があります。
定年離婚の場合、婚姻期間が長期に及ぶことが多いため、年金分割の効果が大きなものとなる可能性が高いです。
厚生労働省「令和6年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況」によると、年金分割の件数は令和6年度に35,755件と、年間3万件を超える水準で推移しています。
年金分割を行った場合、分割を受けた側の平均年金月額は改定前の約60,934円から94,509円へと月額約33,575円増額されています。
年金分割の手続きを済ませておけば、その後に元配偶者が死亡したり再婚したりしても、受け取る年金額が変わることはありません。引き続き自身の年金として生涯受給することができます。
年金分割の請求期限
年金分割の請求は、原則として離婚成立日の翌日から2年以内に年金事務所へ行いますが、2026年4月1日以降に離婚した場合は、民法改正により請求期限が5年に延長されます。
一方、それ以前に離婚したケースでは従来どおり2年以内となるため、離婚時期によって適用される期限が異なる点に注意が必要です。
なお、通常の請求期限とは別に、離婚後に元配偶者が亡くなった場合でも、あらかじめ分割の合意や裁判で按分割合が決まっていれば、死亡日から1カ月以内に限り請求できる特例があります。
年金分割制度は複雑でわかりにくい点が多いため、少しでも不明な点があれば弁護士に質問してみましょう。
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相手が自営業者の場合は年金分割できない
年金分割を請求するには、配偶者が厚生年金に加入している必要があります。
したがって、例えば夫が自営業者で一度も厚生年金に加入したことがなければ、妻は年金分割を請求できません。
ただし、この場合でも、国民年金基金、確定拠出年金、個人年金などは財産分与の対象になります。
定年離婚する際は、年金分割できない場合でもそこで諦めず、財産分与の対象財産がないか漏れなく調査することが重要です。
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年金分割のための準備
年金分割の事前準備として、「年金分割のための情報提供請求書」を年金事務所に提出し、「年金分割のための情報通知書」を取得する必要があります。
さらに、50歳以上の方で老齢年金の受給資格期間を満たしている方は、「年金分割を行った場合の年金見込額のお知らせ」も取得できます。
これらの書類は、夫が定年退職する前でも取得できます。また、離婚前であれば、夫に知られずに取得可能です。
年金分割のための情報提供請求手続きについては、日本年金機構のホームページに詳細な説明があります。情報提供請求書も同ホームページからダウンロードできます。
退職前と退職後の離婚はどちらが有利?
確実に退職金の分与を受けるため、夫の定年退職後に離婚を切り出そうと考える方も多いと思います。
離婚と夫の退職の順番について、画一的な答えはありません。以下にそれぞれのメリット・デメリットを挙げます。
①夫の定年退職前の離婚
メリット
- 感情的な負担から早期に解放される
- 夫の収入が安定している時期のため、慰謝料等の支払い能力が高い
- 離婚のタイミングが早いほど再就職や再婚の可能性が高まる
デメリット
- 退職金の分与額が実際に退職した場合よりも少なくなる可能性がある
- 年金分割の対象期間が短くなる
- 離婚が成立すると、それ以降は婚姻費用を請求できなくなる
②夫の定年退職後の離婚
メリット
- 退職金がすでに支払われているため、財産分与を確実に受けられる可能性が高い
- 年金分割の対象期間が長くなり、より多くの年金を受け取れる可能性がある
- 夫婦で定年後の生活を一定期間経験できるため、冷静な判断ができる
デメリット
- 別居時までに退職金が使われてしまうと財産分与額が減ってしまうおそれがある
- 感情的な負担が長引く
定年離婚のお悩みは専門家に相談しよう
定年離婚後の経済面の不安はファイナンシャルプランナーに相談
定年離婚後の経済生活を安定させるためには、ファイナンシャルプランナー(FP)のアドバイスが有効です。FPに相談することで、以下のような支援を受けられます。
- ライフプランに基づいた資金計画の立案
- 投資や保険を含めた資産運用のアドバイス
- 税金や社会保障制度に関する情報提供
FPは、個人の状況に応じた具体的なプランを提案してくれるため、漠然とした不安を解消し、実行可能な計画を立てることができます。
定年離婚後の不安やストレスはカウンセリングで解消
定年離婚は大きな心理的ストレスを伴います。この過程を乗り越え、新生活に向けて前向きになるためには、心理カウンセラーの支援が役立つ場合があります。
カウンセリングで得られるメリット
- 感情の整理と客観的な自己理解
- ストレス対処法の習得
- 新生活に向けての心の準備
カウンセリングは、離婚を決断する前の段階から、離婚後の新生活に適応する段階まで、様々なタイミングで活用できます。
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定年離婚について弁護士に相談すべきこと
定年離婚を実現し、新たな人生をスタートさせるためには、法律面での専門的なアドバイスは欠かせません。弁護士に相談することで、以下のような点を明確にすることができます。
- 財産分与の適切な範囲と方法
- 年金分割の手続きと注意点
- 離婚調停や裁判の進め方
- 離婚後の権利義務関係
特に財産分与では、分与額が多額になりやすい分、大きな争いに発展しがちです。対立が長引けば、精神的負担は増すばかりです。
早期に離婚問題を解決し、できる限り有利な離婚条件で離婚するために、弁護士がお力になります。
弁護士費用についてご不安な方もおられるかと思いますが、財産分与額を考慮すれば、弁護士をつけたとしても得られる利益の方が大きくなることが期待できます。
ご不安な点はいつでもお気軽にお問い合わせください。ご相談者様の再出発に向けて、弁護士が全力でサポートいたします。
定年離婚についてよくある質問
Q. 退職前と退職後、どっちで離婚した方が得?
どちらが有利かは状況によって異なります。退職後は退職金が支払われているため財産分与を受けやすく、年金分割の対象期間も長くなる傾向があります。一方、退職前であれば精神的な負担から早く解放されるという利点もあります。判断に迷う場合は、財産状況を踏まえて弁護士に相談するのが現実的です。
Q. 年金分割しないと年金はどうなる?
年金分割を行わない場合、婚姻中に相手が納めた厚生年金の記録は反映されず、受け取れる年金額は自分の加入実績のみで決まります。厚生労働省の令和6年度のデータによれば、年金分割によって平均で月額約3万3,000円増えるとされており、老後の収入に無視できない差が生じます。
Q. 退職金はまだもらってなくても対象になる?
将来の退職金も原則として財産分与の対象になります。定年まで5年程度以内の場合は、定年退職時の予測額を現在価値に換算して評価する手法がとられることが多く、自己都合退職を基準とする通常の計算より分与額が大きくなる傾向があります。
Q. 年金分割の期限はいつまで?
原則は、離婚成立日の翌日から2年以内です。ただし、2026年4月1日以降に離婚した場合は、制度改正により5年に延長されます。それ以前に離婚した場合は従来どおり2年以内となるため、離婚時期によって期限が異なる点に注意が必要です。

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

弁護士
特に夫の収入・財産が大きい場合や、資産が複雑な場合の離婚は弁護士に任せることをおすすめします。