夫からの離婚宣告|受け入れるしかないの?次に取るべき行動は?

「旦那が離婚したそうな素振りを見せている・・・」
「離婚に応じるべきか分からない・・・」
「夫からの突然の離婚宣告に納得できない・・・」
夫から突然離婚を言い渡されたら、言われた側は混乱してしまうでしょう。
しかし、離婚を切り出された後の行動は、今後の人生に大きな影響を与えます。
この記事では、夫から離婚を切り出されたらすべきことや、離婚を回避する方法はあるのかについて、法律の観点から解説します。
絶対に離婚したくないという方も、離婚に応じるつもりの方も、行動を起こす前にまずはこの記事を読んで対策を考えてみてください。
目次
夫から離婚を切り出す理由
夫から離婚を切り出す割合は?
離婚を求めるのは妻の方が多いといわれますが、夫からのケースも決して少なくはありません。
協議離婚の申し入れについては、夫・妻どちらが先に切り出したかを示す公式統計はありません。ただし、離婚調停の申立人の内訳については、データが公開されています。
最高裁判所の「令和6年司法統計年報」によると、離婚調停の総件数35,720件のうち、夫(男性側)からの申立ては12,334件で、全体の約3分の1を占めています。
なお、令和5年は34,723件の離婚調停のうち、男性側から申し立てられた調停は12,038件でした。

令和5年度 司法統計年報 家事編 第15表より抜粋して作成
夫が離婚を決意した理由は?
男性がどのような理由で離婚調停を申し立てているのかを、最高裁判所の「令和6年司法統計年報」をもとに見てみましょう。
| 男性 | 女性 | |
|---|---|---|
| 1位 | 性格が合わない(59.97%) | 性格が合わない(38.35%) |
| 2位 | 精神的に虐待する(21.81%) | 生活費を渡さない(28.96%) |
| 3位 | 異性関係(11.82%) | 精神的に虐待する(26.23%) |
| 4位 | 浪費する(11.46%) | 暴力を振るう(17.87%) |
| 5位 | 家族親族と折り合いが悪い(11.04%) | 異性関係(13.35%) |
| 6位 | 性的不調和(10.54%) | 浪費する(8.51%) |
| 7位 | 暴力を振るう(9.36%) | 性的不調和(6.65%) |
| 8位 | 同居に応じない(8.83%) | 家庭を捨てて省みない(5.91%) |
| 9位 | 生活費を渡さない(5.73%) | 酒を飲み過ぎる(5.76%) |
| 10位 | 家庭を捨てて省みない(4.66%) | 家族親族と折り合いが悪い(5.48%) |
| 11位 | 病気(4.09%) | 病気(2.20%) |
| 12位 | 酒を飲み過ぎる(2.45%) | 同居に応じない(1.39%) |
※申立件数に対する割合。申立の動機は3つまで複数選択可(出典:最高裁判所事務総局『令和6年 司法統計年報 家事編』第19表)
男女を比べると、男性は「性格が合わない」が約6割と突出して高く、男性の離婚理由は、女性と比べると「生活費を渡さない」「暴力を振るう」の割合が低くなっています。
裁判例に見る夫の離婚理由
実際の裁判でも、夫側が「性格・価値観の不一致」を離婚理由のひとつとする事例が複数見られます。
たとえば、帰宅しても浴室が洗濯物で埋まっていてシャワーを浴びられないといった家庭内の居心地の悪さを夫が主張したケースがあります(東京家判令4・4・28)。
また、「当初から、双方の性格や考え方に不一致があり、喧嘩が絶えなかった」とした上で、夫が妻への愛情を完全に喪失したとして離婚を求めたケースもあります(横浜家判平29・4・10)。この裁判で夫側が挙げた妻の言動には、些細なことでヒステリー状態になる、子どもの前でも平然と口論を仕掛けてくる、夫のことを常に「てめぇ」「おまえ」と呼ぶ、といったものがありました。
男女別の離婚原因ランキングや各原因の詳細については、『最新の離婚原因ランキングを解説!1位は男女ともに…』をご覧ください。
夫から離婚を切り出されたらすべきこと
夫から離婚したいと言われたら、誰もがショックを受けるものです。しかし、今後の生活を守るためには、なるべく感情的にならず、冷静に対処しましょう。
ここでは、離婚を切り出されたときにすべきことを順番に解説します。
①すぐに回答しない
離婚に応じる気持ちがあってもなくても、すぐに回答するのは避けましょう。
その場は「しばらく考えます」と言って終わらせ、離婚に応じてよいのか、離婚後の生活は大丈夫か、どんな条件で離婚したいかなどを検討した上で、話し合いに臨むことをおすすめします。
もし離婚届を突きつけられても、その場でサインはしないでください。離婚の話し合いが終わる前に、勝手に離婚届を出されてしまうリスクがあるからです。
また、不用意な発言をしてしまうと後の交渉で不利に働く可能性があります。
例えば、その気がないのに「離婚に応じてもいい」と答えてしまうと、後から離婚を了承した証拠として使われてしまうかもしれません。
まずは冷静になり、何をどのように話すかを考えていきましょう。
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②離婚届不受理申出を行う
夫が離婚届を勝手に提出するかもしれないと感じたら、役所で離婚届不受理申出の手続きを行いましょう。この手続きをしておくと、こちらが申出を取り下げない限りは離婚届が受理されなくなります。
離婚したくない場合はもちろんですが、いずれ離婚に応じるつもりの方にとっても、離婚届不受理申出をしておくことは重要です。
離婚届を提出する前に、離婚条件や離婚後のことについて決めておいた方がよいからです。
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③離婚したい理由をよく聞く
離婚を切り出されたら、夫が離婚したいと思っている理由をよく聞き出しましょう。
原因が今後改善できるものであれば、話し合って離婚を回避できるかもしれません。家庭裁判所の円満調停や夫婦カウンセリングなどを活用して、夫婦関係の修復を目指すこともできます。
また、冷却期間として一時的に別居することで、夫婦関係が改善することもあります。ただし、別居が長引くと離婚が認められる理由の一つになる可能性があるため、慎重に判断しましょう。
ここで注意したいのが、夫が不倫を隠していないかです。不倫をしている夫が、性格の不一致などを理由にして穏便に離婚しようとするケースは少なくありません。
夫の不倫を見落とすと、本来であれば受け取れたはずの不貞慰謝料が受け取れなくなってしまいます。
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④離婚に応じるかを考える
夫が離婚したがっている理由が分かったら、さまざまな条件を考慮しながら離婚に応じるかどうかを決めましょう。
離婚を決めるときに考慮したい要素
- 夫婦関係が修復可能か
- 夫に愛情が残っているか
- 子どもの気持ちや養育環境
- 離婚後に一人で生活できるか
- 財産分与や慰謝料で損しないか
一人で抱え込む必要はありません。自分の親や兄弟、友人、カウンセラーや弁護士などに相談するのもよいでしょう。
離婚に応じることに決めた場合は、離婚条件をなるべく有利にし、離婚後の生活を守るための準備に取り掛かりましょう。具体的には、親権の取り決め、財産分与・慰謝料・養育費をできる限り有利な条件で受け取ることを目指すケースが多いです。
条件次第では離婚に応じるという選択肢もあります。たとえば「親権について合意できるなら離婚する」「財産分与として1,000万円もらえるなら離婚してもいい」といった交渉方法も考えられます。
絶対に離婚したくない場合・離婚しない方がいい場合も、下記⑤~⑦の対策は行いましょう。離婚を阻止すること、また離婚せざるを得なくなった場合に少しでも有利な条件を勝ち取るために必要な準備です。
⑤離婚理由の証拠を集める
離婚に応じるにしろ応じないにしろ、離婚理由の証拠を集めておきましょう。
ここでいう証拠とは、夫が不倫していることを示す写真や、DVによって負った怪我の診断書、夫の言動を記録した日記などです。
こういった証拠があると、今後の話し合いや離婚調停・裁判で有利に働くほか、慰謝料請求に役立ちます。
また、離婚したくない人にとっても、証拠集めは重要です。後述しますが、有責配偶者(離婚原因を作った方)からの離婚請求は、調停や裁判では認められにくい傾向があります。
なんとしても離婚したくないという方は、夫が有責配偶者である証拠を集め、裁判で戦う用意をしましょう。
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⑥財産分与の証拠を集める
財産分与の面で少しでも有利な条件で離婚するためには、相手の財産の証拠を集める必要があります。
離婚する時には、夫婦が築いた財産を公平に分けあう財産分与を行います。
財産分与において重要なのは、相手の財産を漏れなく把握することです。こちらに渡す財産を少しでも減らすために、相手がへそくりや隠し財産を作っている可能性があります。
こういった隠し財産を証明し、交渉の場で認めさせるためには、隠し財産の証拠が必要です。
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・離婚の財産隠しの手口と調査方法|隠し口座やタンス預金を見抜くには?
⑦弁護士に相談する
離婚に応じるにしろ応じないにしろ、自分の希望を叶えるためには弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談すれば、離婚が認められる可能性があるか、財産分与がどのくらいになるかなどの見通しを聞くことができるでしょう。
また、証拠集めや話し合いの方法についてのアドバイスも得られます。
弁護士に相談するには、インターネットで近くの法律事務所を探したり、法テラスや弁護士会、自治体の法律相談を利用するなどの方法があります。
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夫からの一方的な離婚宣告、回避できる?
離婚には原則として合意が必要だが、裁判は例外
離婚の方法には、大きく分けて「協議離婚」「調停離婚」「裁判離婚」の3つがあります。このうち、協議離婚と調停離婚は、夫婦が合意しなければ成立しません。
しかし、裁判で離婚を命じる判決が下された場合は、双方の合意がなくても離婚が成立します。
こちらが離婚を拒んでいると、相手から離婚裁判を起こされる可能性があります。
ただし、裁判で離婚が認められるには、法律で定められた離婚事由を満たしていることが必要です。裁判で離婚を回避するためには、その要件が満たされていないことを主張・立証していくことになります。
なお、離婚に応じたくないからといって、裁判は絶対に欠席しないでください。答弁書も出さずに欠席すると「争う意思がない」とみなされ、こちらからの反論や証拠がない状態で判断されるため、著しく不利な結果になるおそれがあります。
欠席してはいけないと言っても、本人尋問の行われる日以外は、必ずしも本人が裁判所まで出向く必要はありません。弁護士を立てて、弁護士に出廷してもらうことも可能です。
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有責配偶者からの離婚請求は認められにくい
有責配偶者とは、有責行為を行って、夫婦関係の破綻の主な原因となった方の配偶者のことをいいます。有責行為の典型例は、不貞行為、DV、モラハラ、悪意の遺棄などです。
裁判では、有責配偶者からの離婚請求は原則として認められにくい傾向があります。
例えば、不倫をしたり暴力を振るったりした人が、さらに離婚まで求めるのは許されないということです。
夫が有責配偶者であることが認められれば、離婚を回避することができるかもしれません。そのためには、こういった有責行為の証拠を集める必要があります。
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裁判離婚には法定離婚事由が必要
裁判で離婚が認められるためには、法定離婚事由といわれる4つの離婚原因のうち、いずれか1つでも存在しなければなりません。
どうしても離婚したくないけれど、相手が有責配偶者にはあたらないという場合は、裁判で法定離婚事由がないことを主張していくことになるでしょう。
法定離婚事由
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 3年以上の生死不明
- その他婚姻を継続しがたい重大な事由
※2026年4月1日施行の民法改正により、「回復の見込みのない強度の精神病(改正前民法770条1項4号)」は法定離婚事由から削除されました。
例えば、「性格の不一致」だけでは裁判での離婚は認められにくいものの、その結果として夫婦関係が長期間にわたり実質的に破綻している場合には、「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」として離婚が認められることがあります。
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離婚したくないなら別居はNG!
夫と離婚したくない場合、別居することは避けた方がよいでしょう。
別居には、一旦頭を冷やせるというメリットがある一方で、コミュニケーションの機会が失われてしまうため、関係修復が困難になるというリスクもあります。
また、別居期間が長期間に渡ると、法定離婚事由のうち「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」にあたるとして、裁判で離婚が認められてしまう可能性があります。
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夫に離婚を考え直してもらうには?
もちろん、裁判まで争わずに円満に離婚を回避できるのが理想です。
夫に離婚宣告を撤回してもらうためにできることをいくつかご紹介します。
- 冷静に関係修復のための話し合いをする
- 夫に感謝の気持ちを伝える
- こちらに非があれば真摯に謝罪し、良くない点は改める
- 第三者に話し合いを仲裁してもらう
何よりも、相手と誠実にコミュニケーションを取ることが重要です。
こちらが気づいていなくても、夫の中では様々な我慢を重ねてきた上で離婚を決意したはずですから、その意思を頭ごなしに否定することは避けましょう。
まとめ|夫から離婚を切り出されたら・・・
夫から離婚を切り出されたら、すぐに回答せず、冷静に今後について考えることが大切です。
離婚に応じることにした方は、財産分与や慰謝料などの離婚条件をなるべく有利にするための対策を行いましょう。
離婚に応じるつもりはない方は、法定離婚事由が存在しない限り、強制的に離婚させられることはないため焦らないでください。
ただし、長期間の別居は離婚事由として認定されるリスクがあるため、同居を続けながら関係修復のための対策を考えていきましょう。
離婚問題を一人で抱え込む必要はありません。周りの人や専門家に相談してみてください。

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律税務グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

弁護士
話し合いを有利に進めるためには、早い段階で弁護士の助言を受けるのがよいでしょう。