第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。
「刑事事件弁護士アトム」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。
被害者との示談で刑事処分を軽くしたい、前科をつけずに事件を解決したいという相談は、アトム法律事務所にお電話ください。
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不同意わいせつ罪(旧強制わいせつ罪)に罰金はない?必ず懲役になる?時効は?
不同意わいせつ罪(旧強制わいせつ罪)の刑罰には、罰金刑はありません。
不同意わいせつ罪で有罪判決になる場合、刑罰は拘禁刑(法改正までは懲役刑)のみで、刑期は6ヶ月以上10年以下です。不同意わいせつ罪は、量刑上、罰金刑になる余地はありません。
「相手が嫌がっていないと思ってキスしたら訴えられた」「性行為は断られたから体だけ触ったら不同意わいせつだと言われた」など、アトム法律事務所では、不同意わいせつ事件の相談を数多く受けています。
不同意わいせつ事件で被害者に謝罪する、刑事処分を軽くする(実刑判決を回避する、不起訴を目指す等)には、弁護士に相談するのがおすすめです。
この記事では、不同意わいせつ罪の刑罰や示談の重要性などについて解説していきます。
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目次
不同意わいせつ罪(旧強制わいせつ罪)の刑罰とは?
不同意わいせつをしたら罰金?懲役?
法律上、不同意わいせつ罪の刑罰は「6か月以上10年以下の拘禁刑」と定められています。不同意わいせつ罪に罰金刑はありません。
法改正前の強制わいせつ罪では、「6か月以上10年以下の懲役」が法定刑でした。刑の種類が変更されただけで、改正前後で刑期の下限と上限に変更はありません。
不同意わいせつ罪には罰金刑がないため、仮に起訴されればそのすべてについて公開の法廷で正式裁判が開かれることになります。
即日に罰金刑が言い渡される簡易手続きの略式起訴になることはありません。
不同意わいせつは初犯でも懲役実刑?
不同意わいせつは初犯でも懲役実刑になる可能性があります。
先述の通り、不同意わいせつの法定刑は6か月以上10年以下の拘禁刑です。罰金刑がないため、起訴され有罪になれば、初犯でも必ず拘禁刑(2025年の刑法改正までは懲役刑)になります。
実刑判決が下されれば、通常6か月以上10年以下の間、刑務所に収容されることになるため、当然それまでの日常生活は送れなくなります。
会社や学校に長期間通えなくなるので、解雇・退学のリスクは高くなり、刑期を終えて釈放されても、社会復帰には困難が伴うでしょう。
不同意わいせつで執行猶予がつく条件は?
執行猶予がつくためには、3年以下の範囲で判決が下されることが必須です。
執行猶予とは一定期間、刑の執行を猶予するという措置で、判決で言い渡された期間、何も犯罪を犯さなければ刑の言渡しの効力が消失して刑務所に収監されずに済みます。
不同意わいせつ罪の法定刑は6か月以上10年以下の拘禁刑なので、執行猶予が付く可能性があります。
不同意わいせつの量刑判断や執行猶予の有無の判断においては、結果の重大性、行為の悪質性、示談の有無などが考慮されます。
被害者の受けたショックが大きい場合や、凶器などを用いた悪質な場合、示談ができておらず民事上の賠償責任を果たしていない場合などでは量刑が引き上げられる事由になります。
特に被害者の方と示談を締結するのは重要です。不同意わいせつで実刑になりたくない方は弁護士に依頼して示談締結に向けて動くようにするべきと言えるでしょう。
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不同意わいせつの時効とは?
不同意わいせつの公訴時効とは?
公訴時効とは、犯罪が終わった時から一定期間を過ぎると犯人を起訴することができなくなるという制度です。
検察官が起訴することができなくなるということは、裁判が開廷されることもなくなり、罪に問われなくなります。
不同意わいせつにおける公訴時効は犯罪行為が終わったときから12年です。
ただし、不同意わいせつの事件当時、被害者が18歳未満だった場合、18歳になるまでの期間が時効に加算されるので、公訴時効が12年を超える場合があります。
時効期間が12年以上になる例
- 不同意わいせつの被害当時13歳
- 18歳になるまで5年
- 原則12年の時効期間が5年延長され、公訴時効は18年(12+5)になる
不同意わいせつの民事の時効とは?
不同意わいせつでは被害者から民事上の損害賠償を請求されるケースが少なくありません。具体的には、加害者は被害者の被った肉体的・精神的苦痛の損害について賠償を請求されます。
この民事上の損害賠償請求には時効があり、時効期間が過ぎると損害賠償請求することができなくなります。
損害賠償請求の時効は、被害者が損害と加害者を知ってから3年です。
不同意わいせつは親告罪?いつまで告訴される?
不同意わいせつは起訴するのに被害者の告訴が必要となる「親告罪」ではありません。
親告罪
加害者を処罰する要件として被害者による刑事告訴を必要とする犯罪。
親告罪の告訴期間は、原則として被害者が犯人を知ってから6か月間。
そのため、不同意わいせつ罪は、被害者が告訴をしていなくても起訴されてしまうケースはあり得ます。
起訴の条件として6ヶ月以内の告訴が必要ないため、原則12年の公訴時効が成立するまで、不同意わいせつ罪で起訴される可能性は続きます。
不同意わいせつとなる行為とは?強制わいせつ等との違いは?
不同意わいせつとなる行為
不同意わいせつ罪は「同意しない意思を形成・表明・全うすること」が困難な状態にさせてわいせつ行為をしたり、またはその状態にあることに乗じてわいせつ行為をした場合に成立します(刑法176条1項)。
簡単に言えば「相手が同意できないような状況でわいせつ行為をした場合」に成立する犯罪が、不同意わいせつ罪です。相手が同意できないような状況の例としては、以下のようなケースが挙げられています。
- 暴行・脅迫を用いて抵抗できない状況
- アルコールや薬物、睡眠状態など、抵抗不能な状況
- 上司と部下など、相手との上下関係により同意するしかない状況
また、(1)被害者が13歳未満の場合や、(2)被害者が13歳以上16歳未満の場合に自分が被害者よりも5歳年長の場合には、たとえ同意があったとしても、単に「わいせつな行為をした」だけで不同意わいせつ罪が成立します(刑法176条3項)。
わいせつな行為とは、キスをする、胸やお尻を触る、下着の中に手を入れるといったものです。これらの行為を無理矢理行うと不同意わいせつに該当する可能性があります。
強制わいせつ罪・準強制わいせつ罪(2023年7月12日までの事件)との違い
不同意わいせつ罪になる行為は、2023年7月13日の刑法改正前に発生している場合には、強制わいせつ罪や準強制わいせつ罪に該当します。
強制わいせつ罪は、「暴行または脅迫」を用いてわいせつな行為をした場合に成立し、準強制わいせつ罪は「心神喪失または抗拒不能」に乗じてわいせつな行為をした場合に成立します。
強制わいせつ罪における「暴行・脅迫を用いたわいせつ行為」とは、相手の意に反したわいせつな行為を指しています。
そのため、直接的に殴る蹴る等の暴行をしていない場合や、強圧的に脅迫していない場合などでも、強制わいせつ罪が成立する可能性があります。
また、被害者が13歳未満の場合、暴行・脅迫、心神喪失・抗拒不能といった事情がなくても、強制わいせつ罪は成立します。
なお、強制わいせつ罪・準強制わいせつ罪の公訴時効はもともと7年で、2023年7月13日に不同意わいせつ罪が新設された際、公訴時効も改正されました。
2023年7月12日時点で公訴時効をむかえていない場合、強制わいせつ罪・準強制わいせつ罪の公訴時効は5年延長され、12年となります。
強制わいせつ 準強制わいせつ | 不同意わいせつ | |
---|---|---|
時期 | ~2023.7.12 | 2023.7.13~ |
類型 | ・暴行・脅迫 ・心神喪失 ・抗拒不能 ・13歳未満 | ・不同意 ・16歳未満 *¹ |
時効 | 7年 *² | 12年 *³ |
*¹ ①被害者が14歳以上16歳未満で、自身が被害者より5歳年長の場合は、被害者がわいせつ行為に同意しても、不同意わいせつ罪になる。
②被害者が13歳未満の場合は、自身の年齢関係なく、不同意わいせつ罪になる。
*² 法改正の時点で公訴時効が経過していなかった場合、5年延長され、12年となる。
*³ 被害者が18歳未満の場合、18歳に達するまでの期間が、公訴時効に加算される。
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公然わいせつと不同意わいせつの違い
公然わいせつ罪は、公然と性的な行為・わいせつな行為をした場合に成立する犯罪です。
不特定多数の人が認識できる状態で、わいせつな行為をした場合、公然わいせつ罪で逮捕される可能性があります。
たとえば、公園で全裸で走り回った場合、公然わいせつ罪に問われる可能性が高いです。
公然わいせつの例
- 公園を全裸で走り回った
- 電車内で陰茎を露出した
- カラオケボックスで相手の同意のもと、わいせつな行為をした
公然わいせつ罪で有罪が確定した場合、6ヶ月以下の懲役、30万円以下の罰金、拘留、科料のいずれかの刑罰が科されます。
公然わいせつ罪と不同意わいせつ罪(旧強制わいせつ罪)の比較
公然わいせつ罪と不同意わいせつ罪は、どちらもわいせつな行為をした場合、罰則が科される犯罪です。
両者の違いとしては、公然わいせつ罪は、公然と(不特定または多数の人が見える状況で)わいせつ行為をして罰則が科される犯罪である一方、不同意わいせつ罪は、特定の誰かにわいせつ行為をしたことで罰則が科されるという点です。
電車内で陰茎を露出したうえで相手に押し付ける行為をすれば、公然わいせつ罪だけでなく、不同意わいせつ罪での重たい処罰が予想されます。
公然わいせつ | 不同意わいせつ | |
---|---|---|
行為 | 公然とわいせつ行為 | 不同意でわいせつ行為 |
刑罰 | ・懲役* (1~6ヶ月) ・罰金 (1万~30万) ・拘留 ・科料 | ・拘禁* (6ヶ月~10年) |
*2025年予定の刑法改正までの刑罰は「懲役」、刑法改正後は「拘禁」となる。
公然わいせつ罪について、もっと詳しく知りたい方は『公然わいせつの弁護士相談│これって公然わいせつ?弁護士の活動は?』の記事をあわせてお読みください。
迷惑防止条例違反と不同意わいせつの違い
被害者の同意なく体に触れる場合、痴漢として刑事事件になり得るものです。
痴漢の態様が、悪質な場合は不同意わいせつ罪になり、比較的軽微な痴漢は迷惑防止条例違反の罪になる傾向があります。
くわしくは『痴漢は不同意わいせつ(旧強制わいせつ)か迷惑防止条例違反か?逮捕や示談も解説』の記事で解説しているので、気になる方はお読みください。
不同意わいせつ罪で逮捕される可能性
不同意わいせつは逮捕される?
不同意わいせつ罪は、犯行現場を目撃されれば、現行犯逮捕される可能性があります。また、現行犯逮捕を免れても、証拠によって不同意わいせつの容疑が固まれば、逮捕状が発行され後日逮捕される可能性があります。
現行犯逮捕は、犯行中や犯行直後の現場で目撃者や被害者本人に取り押さえられ、通報でやって来た警察官にその場で逮捕される、という場合が主です。そのまま警察署まで連れていかれ、留置場に収監される可能性があります。
後日逮捕(通常逮捕)は、犯行後に時間が経って、裁判所発付の逮捕状を持って警察がやって来る、という場合です。
犯行現場の監視カメラの映像などから身元が特定され、多くは在宅の可能性が高い早朝の時間帯に警察官が自宅にまでやってきます。
こちらも、警察署まで連行され、そのまま留置場に収監される恐れがあります。
不同意わいせつ罪で逮捕された後の流れは?
逮捕された場合、起訴・不起訴の判断が下されるまで最長で23日にわたり身体拘束されるおそれがあります。
不同意わいせつの場合、身体拘束期間が長引いてしまうケースが多く、逮捕されたことが実名報道されることもあります。
逮捕による社会的な不利益は非常に大きく無視することはできません。
早期釈放を求めたい場合は、弁護士に勾留を阻止する弁護活動をしてもらう必要性が高いです。
勾留の流れや弁護活動については『勾留請求は阻止できる?勾留の要件や回避策は?刑事事件に強い弁護士』の記事で解説していますので、あわせてご覧ください。
不同意わいせつをしてしまったら弁護士に相談すべき?
不同意わいせつで前科を避けるには被害者との示談が重要?
不同意わいせつ罪で起訴されて有罪判決が確定した場合、前科になります。
不同意わいせつ罪の前科を避けるためには、不同意わいせつの被害者の方と示談を締結することが極めて重要です。
示談というのは、当事者同士の話し合いによって民事上の責任を解消する手続きです。
不同意わいせつの示談では、加害者側から被害者に対して、謝罪を申し入れ、不同意わいせつ事件について和解の合意をとりつけます。
不同意わいせつの示談では、被害者に対して示談金(賠償金、解決金etc.)をお渡しすることも多々あります。
不同意わいせつの示談の効果
被害者と示談が適切に成立していれば、加害者に対する処分を被害者が望んでいないことを捜査機関に主張することができます。
不起訴につながる要素には、被害者の処罰感情や賠償金による被害回復の有無も含まれます。したがって、示談に取り組んだことは、不同意わいせつ罪の不起訴獲得を高める要素になるのです。
不同意わいせつで警察沙汰になる=有罪になるとお考えの方は多いですが実際には違います。仮に不同意わいせつ罪を犯してしまったとしても、不起訴処分獲得の可能性は残されています。
また、仮に、不同意わいせつ罪で起訴されたとしても、3年以上10年以下の実刑判決がくだされるのではなく、執行猶予がついて実刑を回避できることもあります。
諦めることなく、弁護士に依頼して被害者との示談締結に向けて動くのが重要です。
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逮捕からの早期釈放も示談が重要?
不同意わいせつの被害者との示談成立は、不起訴の可能性を高めるだけでなく、逮捕の回避や早期釈放につながる可能性があります。
刑事事件で逮捕されるのは「逃亡のおそれ」や「証拠隠滅のおそれ」がある場合です。
罪を認め被害者と示談を締結することができれば、これらの事由がなくなったと判断され、逮捕を回避できたり、逮捕されている場合でも釈放されたりする可能性が高まるのです。
不同意わいせつの示談を弁護士に相談するメリットとは?
実務上、不同意わいせつでの被害者との示談締結は弁護士への依頼が必須になります。
被害者の連絡先の入手
まず通常、加害者本人の力だけでは被害者の連絡先を入手することはできません。捜査機関に問い合わせても脅迫による証拠隠滅のおそれ等が懸念されるため、連絡先を教えられることはまずないといっていいでしょう。
弁護士であれば被害者と示談がしたい旨を申し出ることで、捜査機関から被害者の連絡先を教えてもらえる可能性があります。
示談交渉しやすくなる・適切な内容の示談
また示談書には「事件を許す」旨が記載された宥恕(ゆうじょ)条項や、「加害者の処罰を求めない」ことが記載された嘆願書、被害届の取下げなどを不足なく盛り込むことが重要です。
不同意わいせつ罪を含む性犯罪では、加害者本人からの提案が難しい場面や、どのような示談内容にすべきか迷う場面も多いです。
まずは、示談の進め方について、刑事事件の示談経験が豊富な弁護士に相談なさるのがおすすめです。
その他
また弁護士であれば、身体拘束の回避や不起訴の獲得に向けて、捜査機関に対して効果的に働きかけを行うことができます。
加害者本人がいくら逮捕しないでほしい、不起訴にしてほしいと言っても効果は見込めません。
弁護士であれば逮捕の回避や不起訴の獲得に向けた主張を、示談締結の事実など客観的な証拠を元に根拠を持って行うことができます。
早期に日常生活に復帰したいなら、弁護士への依頼はマストと言えます。
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不同意わいせつ事件のお悩みは弁護士に相談を
時効・罰則・量刑について最後にひとこと
不同意わいせつ罪、旧法の強制わいせつ罪は、12年の公訴時効をむかえるまで重い罰則を受ける可能性が続きます。
不同意わいせつ罪(旧強制わいせつ罪)の罰則は、6ヶ月以上10年以下の拘禁刑(懲役刑)で、罰金はなく、執行猶予がつかなければ刑務所に入ることになります。
早期に適切な対応をとるには、不同意わいせつ事件をはじめとする性犯罪の被害者の方との示談経験豊富な弁護士に、まずは無料相談してみるのはいかがでしょうか。
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