熟年離婚の原因ランキング|中高年の女性が離婚を決意する理由は?

近年増加する「熟年離婚」。アトム法律事務所に中高年の女性から寄せられた熟年離婚のご相談のうち、特に多く見られた離婚原因・理由の第1位は「性格の不一致」でした。
長年の価値観のズレや金銭感覚の違いが積み重なり、我慢の限界に達して離婚を決断する方が増えています。離婚を決意する理由として多いのは、定年退職で1日中顔を合わせる現実や、子どもの独立で我慢する必要がなくなったことです。
この記事では、実際の相談者の声をもとにした熟年離婚の原因ランキングに加え、中高年の方が離婚を決意する理由と具体的なタイミングについて解説します。
目次
熟年離婚の原因・理由ランキングTOP5
| 順位 | 離婚原因 |
|---|---|
| 1位 | 性格の不一致 |
| 2位 | 不貞行為 |
| 3位 | モラハラ |
| 4位 | DV |
| 5位 | 経済的DV |
このランキングは、アトム法律事務所に寄せられた熟年離婚のご相談内容をもとに作成したものです。
なお、熟年離婚に限らない全年代での離婚原因ランキングは、『最新の離婚原因ランキングを解説!1位は男女ともに…』の中で紹介しています。
1位:性格の不一致(会話なし・価値観のズレ)
熟年離婚の原因第1位は性格の不一致です。
「夫と金銭感覚が違うせいで言い争いが絶えない」
「夫婦間の会話は全くなく家庭内別居の状態だ」
性格の不一致の具体的な内容としては、仕事や家事、子育てに関する価値観の違いのほか、お金に関するすれ違いが特に多く挙げられていました。また、「夫が自分の話を聞いてくれない」という声もありました。
はじめは些細なすれ違いだったとしても、長い年月をかけて不満が積み重なり熟年離婚に発展することが多いのではないでしょうか。
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2位:不貞行為(長年の浮気発覚)
熟年離婚の原因第2位は不貞行為(浮気・不倫)です。
「夫には何年も前から女性の影があったが、もう我慢の限界」
「不倫相手にお金を渡しているせいで生活費がない」
不貞行為は、DVやモラハラなど他の離婚原因と併発していることも非常に多く、たくさんの方が離婚原因のひとつとして挙げていました。熟年離婚の場合、何十年にも渡って不倫を繰り返していたり、別れたと思っていたのに実は不倫関係が続いていたなど、長年の不倫に悩まされていたケースが多いようです。
また、相手側から「不倫相手が妊娠したから別れてほしい」と離婚を切り出されるケースも見られました。
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3位:モラハラ(暴言や無視)
熟年離婚の原因第3位はモラハラ(精神的DV)です。
モラハラとは「モラルハラスメント」の略称で、言動や態度によって相手に精神的な苦痛を与える行為を指します。アトム法律事務所では、以下のようなご相談を多くいただいています。
「夫からずっと無視されている」
「バカ、デブ、家事ができないなどの暴言を受けている」
配偶者からモラハラを受けてうつ病などの精神疾患を発症してしまう方も少なくありません。心身の健康を取り戻すためには、離婚して夫と離れることが大きな一歩となるでしょう。
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4位:DV(暴力の恐怖)
熟年離婚の原因第4位はDV(家庭内暴力)です。
「キレると殴る蹴る、物を投げつけるなどの暴力に発展する」
「家庭内暴力で警察沙汰になった」
DV被害を警察や医療機関に相談した際に、配偶者から離れることを勧められるケースもあります。肉体的・精神的な安全を確保するために離婚を選ぶのは当然の選択といえるでしょう。
なお、DV行為がある場合、当事者同士での離婚交渉には危険が伴うため、まずは弁護士に相談することをおすすめします。
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5位:経済的DV(生活費を渡さない)
熟年離婚の原因第5位は経済的DVです。
経済的DVとは、金銭的自由を奪い、経済的に追い詰めることで相手を支配しようとする行為を指します。
「いつからか家に生活費を入れてくれなくなった」
「生活が苦しいのに外に働きに出るのを許してくれない」
経済的DVにお悩みの方が、婚姻費用や財産分与をしっかりと受け取って離婚し、自分らしい生活を取り戻そうとご相談に来られることは多いです。
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熟年夫婦特有の離婚原因は?
熟年離婚を決意した理由のうち多くを占めているのは上記の5つですが、他にも熟年夫婦ならではの離婚原因があります。
配偶者や義両親の介護をしたくないから
50代以降は、配偶者や義両親の介護に直面する方が増えてきます。好きではない夫の介護に抵抗を感じるのは当然ですし、まして義両親の介護を押し付けられて肝心の夫は無関心ともなれば離婚を決意するのも当然です。
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年金分割や財産分与で生活していけるから
婚姻期間が長くなるほど年金分割や財産分与で受け取れる金額は大きくなります。年金分割や財産分与で、離婚後も生活するのに十分なお金を得られる見通しが立ってから離婚するというケースもあります。
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熟年離婚を決断するタイミング
熟年夫婦が離婚を決意するタイミングとして代表的なものをご紹介します。
長年の我慢が限界に達したとき
やはり多いのは、数十年間も積み重ねてきた我慢が限界に達して熟年離婚を決意するケースです。
長年の我慢が精神的・身体的な問題となって現れ、「このままでは自分が持たない」と危機感を抱き、自分の残りの人生を守るために離婚を選択する方が多く見られます。
定年退職を迎えたとき
定年退職を機に家で顔を合わせる時間が長くなると、「この人と1日中一緒にいるなんて無理」と感じるようになる方がいるほか、家にいるのに家事を全くしない夫に強いストレスを抱える女性も少なくありません。
また、定年退職した際にもらえる退職金は財産分与の対象になるため、夫が退職金を受け取ってから離婚するという方もいます。熟年離婚では離婚後の生活費の確保が課題となるため、退職金を含め財産分与の計画をしっかり立てることが離婚後の幸せにつながります。
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子どもが独立したとき
40代〜50代以降の夫婦に多いのが、「子どもが成人するまでは離婚しないと決めていた」というケースです。子どもの心理面や教育のことを考えて離婚は我慢していたけれど、子どもが独り立ちしたことで離婚に踏み切る方は多いです。
子育てから解放され、仕事や趣味など自分のために時間を使えるようになるタイミングで、残りの人生を自分らしく生きるための選択として離婚を決断するのでしょう。
熟年離婚の原因・理由に関するよくある質問
Q. 熟年離婚の原因と理由の違いは?
離婚原因は、性格の不一致や不貞行為など、客観的に認定される事実や事情を指します。一方、離婚理由は「なぜ今、離婚を決断したのか」という本人の主観的な背景のことです。
例えば、性格の不一致という原因が長年続いていても、子どもの独立や定年退職をきっかけに「もう我慢する必要はない」と感じ、離婚を決意するケースがあります。
同じ離婚原因があっても離婚する人としない人がいるのは、この「決断する理由」があるかどうかの違いによるものです。
Q. なぜ熟年離婚を決意する人が多い?
熟年離婚を決意する理由として最も多いのは、長年の我慢が限界に達したためです。裁判例でも、長期間にわたり配偶者の性格や態度に耐えてきたものの、子どもの独立や配偶者の定年退職などのライフイベントを契機に、離婚を決意する事例が見られます。
また、定年退職により夫婦が一日中顔を合わせる生活となり、これまで以上に関係の悪化や我慢の限界を感じる方も多いです。
Q. 性格の不一致だけで熟年離婚できる?
協議離婚の場合、配偶者の同意があれば離婚できます。しかし、調停や裁判では、性格の不一致だけでは離婚が認められないことがあります。
裁判で離婚を成立させるには、婚姻関係が既に破綻していることを示す客観的な証拠が必要です。具体的には、別居期間の長さ、家庭内別居の状況を記した日記、夫婦間のメールやLINEのやり取りなどが挙げられます。
配偶者が離婚を拒否している場合は、弁護士に相談し、証拠を整理したうえで対応することが重要です。
Q. 昔の不倫でも慰謝料請求できる?
不倫の証拠が残っていれば、何年も前の不倫でも慰謝料請求は可能です。
ただし、時効には注意が必要で、不倫を知ってから3年、または不倫行為から20年が経過すると請求権が消滅します。
メールや写真、クレジットカードの明細などの証拠は早めに確保し、時効が近い場合や証拠収集に不安がある場合は速やかに弁護士へご相談ください。
まとめ|熟年離婚の原因は“静かな積み重ね”
熟年離婚の多くは、派手な出来事が原因というよりも、「長年の我慢」「価値観の微妙なズレ」といった静かな積み重ねによるものです。
とはいえ、ご自身の感じている不満や違和感が「よくあること」なのか、「離婚を考えるべきレベル」なのかを判断するのは難しいもの。
この記事をきっかけに、自分の気持ちと夫婦関係を丁寧に見つめ直し、後悔しない選択について考えてみてください。
現在熟年離婚を検討中の方は、ぜひ弁護士にご相談ください。
- 離婚後の生活に十分なお金がもらえるの?
- 相手が離婚を拒否したらどうすればいい?
- 離婚時に慰謝料を受け取るには?
弁護士は、配偶者との離婚交渉の代行や、財産分与や慰謝料請求のための証拠集めのアドバイスなど、熟年離婚を成功に導くためのサポートを行います。

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了
