旦那と離婚したいと感じたら?離婚を考えるあなたへ弁護士が解説

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旦那(夫)と離婚したいと感じたら、まず離婚原因と準備の全体像を把握することが重要です。

内閣府の「令和3年度 人生100年時代における結婚・仕事・収入に関する調査」によると、既婚者のうち離婚する可能性があると回答した人は男女ともに約15%にのぼります。これは既婚者のおよそ7人に1人にあたります。離婚を考えること自体は、決して特別なことではありません。

ただし、感情のまま離婚を進めると、財産分与・養育費・親権の取り決めで不利になるリスクがあります。

この記事では、離婚を考える方が後悔しない決断をするための判断基準と、今日からとれる具体的な準備について、弁護士の視点から解説します。

離婚を考えるよくある理由

離婚を考えるに至った理由は人それぞれですが、複数の要因が絡み合っているケースも少なくありません。ここでは、離婚原因として多く挙げられる典型的な理由を解説します。

性格・価値観の不一致

結婚生活を続けるうちに、人生の目標や価値観の違いが顕著になることがあります。子育ての方針、お金の使い方、仕事と家庭のバランスなどで意見が合わなくなるケースが代表的です。

法務省「協議離婚に関する実態調査(令和3年)」によると、離婚原因の第1位は性格の不一致で、回答者の63.6%が挙げています。

性格の不一致を理由に離婚できるかどうかの判断基準や注意点については、『性格の不一致で離婚したい!具体例は?財産分与など注意点は?』をご覧ください。

DV・モラハラ・依存症

DVには、身体的な暴力だけでなく、精神的な暴力(モラハラ)や経済的な暴力も含まれます。

内閣府「男女共同参画白書 令和4年版」によると、女性が離婚原因として「精神的な暴力」を挙げる割合は29.8%にのぼります。身体的・精神的暴力のいずれか、または両方を離婚理由に挙げた女性は3人に1人という数字も示されており、DVが離婚の重大な背景となっていることがわかります。

DVを理由とした離婚手続きや慰謝料請求の具体的な方法については、『DV夫と離婚|慰謝料相場・財産分与・弁護士費用は?一度の暴力で離婚できる?』をご参照ください。

アルコール依存症やギャンブル依存症など深刻な依存症も、家庭生活を脅かし、婚姻関係の破綻につながるケースがあります。

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浮気・不倫・セックスレス

浮気や不倫が発覚すると、夫婦間の信頼関係が根本から崩れてしまいます。法務省「財産分与を中心とした離婚に関する実態調査(令和3年)」では、異性関係(相手の浮気)を離婚原因として挙げた割合は約2割にのぼっています。

長期にわたって性的な関係がなくなるいわゆる「セックスレス」により、愛情や親密さを感じられなくなるケースも見られます。

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経済的問題

浪費癖や借金、生活費を渡さないといった経済的な問題も、深刻な離婚原因の一つです。法務省「協議離婚に関する実態調査(令和3年)」によると、離婚原因として「浪費」を挙げた人は17.0%、「生活費を渡さない」を挙げた人は9.9%にのぼっています。

会話の減少や相互理解の欠如といったコミュニケーション不足も、経済的な問題と絡み合って夫婦関係の悪化につながることがあります。

浪費癖や借金など経済的な問題を理由に離婚できるかどうかについては、『お金を理由に離婚できる?お金にだらしない夫との離婚や浪費癖への対処法』をご覧ください。

旦那と離婚したいと思ったらすべき準備は?

離婚を考え始めた段階では、感情の整理と具体的な準備を同時に進めることが大切です。

自分の気持ちと向き合いながら、証拠の保全や財産の把握といった実務的な準備も早めに着手しておきましょう。

自分の気持ちを整理するステップ

離婚を考え始めたら、まず自分の気持ちと状況を整理するところから始めましょう。

日記で感情の変化を記録したり、信頼できる家族や友人に話を聞いてもらったりすることで、冷静な視点を取り戻せることがあります。専門家によるカウンセリングを受けることも、自分の感情や状況を整理する有効な手段の一つです。

離婚した場合・婚姻を継続した場合それぞれのメリット・デメリットを紙に書き出し、5年後・10年後の理想の姿をイメージしてみるのも一つの方法です。離婚後の生活をできるだけ具体的にイメージしながら、家族や友人など周囲のサポート体制を整えておくことも、前に進む力になります。

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離婚に踏み切るべき法的なサイン

離婚を考える中で、「本当に今、離婚すべきなのか」と迷うこともあるでしょう。法的な観点から見て、離婚を検討すべき明確なサインがいくつか存在します。

まず挙げられるのは、心身の危険がある場合です。

DVやモラハラが存在し、同居を続けること自体が身の安全を脅かす状況であれば、速やかに離婚を検討すべき段階にあります。

次に、関係修復が客観的に見て不可能といえる場合です。

長期間の別居が続いている、あるいは決定的な不貞行為の証拠があり、夫婦関係がすでに破綻していると判断できる状況では、法的にも離婚が認められやすくなります。

さらに、経済的な見通しが立っているかどうかも重要なサインです。

財産分与や養育費、公的支援制度などを含めて、離婚後の最低限の生活基盤を具体的にシミュレーションできている場合には、現実的に離婚へ踏み出す条件が整っているといえるでしょう。

これらのサインが複数該当する場合は、弁護士に相談して具体的な離婚手続きに進むことを検討する時期かもしれません。

証拠の収集と財産の把握

離婚を検討する段階で最優先に着手すべきは、財産の全体像の把握です。夫名義の預貯金・不動産・保険・退職金見込み額を把握しておくことが重要です。

婚姻中に取得した財産は、名義に関わらず財産分与の対象となります(民法768条)。通帳のコピー、不動産登記事項証明書、源泉徴収票などを事前に保全しておくと、離婚交渉の際に有利に働きます。

なお、証拠収集においては、配偶者のスマートフォンやアカウントに無断でアクセスして通話記録・位置情報を取得する行為は、プライバシー侵害や不正アクセス禁止法違反に問われる可能性があります。適法な方法での収集を心がけることが重要です。

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離婚を決意したら確認するチェックリスト

離婚を決断する前に、以下のチェックリストを参考に、冷静に状況を見極めてみましょう。

  • 夫婦間の問題について、十分に話し合いをしたか
  • カウンセリングなど、第三者の介入による関係修復を試みたか
  • 離婚後の生活(住居、経済面、子どもの養育など)をイメージできているか
  • 離婚によって解決される問題と、新たに生じる問題を比較検討したか
  • 子どもへの影響(ある場合)を十分に考慮したか
  • 離婚後の自立に向けて、具体的な準備や計画を立てているか
  • 家族や友人など、周囲のサポート体制はあるか
  • 法的な手続きや権利について、基本的な知識を得ているか
  • 離婚ではなく別居という選択肢も検討したか
  • 感情的になっていないか、冷静に判断できる状態か

これらの項目を一つ一つ確認することで、自分の状況をより客観的に把握し、慎重な決断を下すことができるでしょう。関連記事『離婚前にやってはいけないこと|離婚後に後悔しないためのガイド』も併せてご覧ください。

離婚の種類と手続き

離婚を決意したら、次は具体的な手続きについて理解する必要があります。日本の離婚制度には複数の種類がありますが、ここでは主な3つを紹介します。

協議離婚・調停離婚・裁判離婚の違い

代表的な3種類の特徴は以下の通りです。

種類特徴メリット/デメリット
協議離婚夫婦の合意のみで成立〇簡単・迅速・低コスト
△ 合意形成が困難な場合あり
調停離婚家庭裁判所の仲介で協議〇専門家の助言あり
△ 時間がかかる場合あり
裁判離婚裁判所が判断〇 最終的な解決が得られる
△ 時間と費用がかかる
離婚する主な方法と手続きの流れ

協議離婚は、夫婦が話し合いで合意する最も一般的な方法です。離婚届に夫婦双方と成年の証人2名が署名して役所に提出することで成立します。ただし、提出前に財産分与・養育費・親権などについて話し合い、取り決めておくことが大切です。

協議で合意できない場合は、調停離婚に進みます。家庭裁判所において、裁判官と調停委員で構成される調停委員会が仲介役となり、双方の意見を調整しながら解決を目指します。

調停でも解決できない場合は、裁判離婚が最終手段となります。裁判官が証拠や証言をもとに離婚を判断するため、時間と費用がかかりますが、最終的な解決を得られます。

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法定離婚事由とは

協議離婚は夫婦の合意が必要ですが、夫が拒否している場合でも、民法770条1項に定める法定離婚事由があれば、最終的に裁判(人事訴訟)によって離婚が認められます。

法定離婚事由は以下の通りです。

夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。

一 配偶者に不貞な行為があったとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

民法第七百七十条

婚姻を継続し難い重大な事由」には、長期にわたる別居、DV・モラハラ、深刻な経済的問題などが該当する場合があります。

裁判で主張を認めてもらうためには、証拠の確保が不可欠です。

離婚手続きの流れ

それぞれの離婚方法における具体的な手続きの流れは以下の通りです。

協議離婚の場合、夫婦で話し合い離婚条件に合意したうえで、離婚届に夫婦双方と成年の証人2名が署名して役所に提出します。受理された日をもって離婚が成立します。

調停離婚の場合、家庭裁判所に調停を申し立て、調停期日に出頭して調停委員会を交えた話し合いを行います。合意に至り、その内容が調停調書に記載された時点で離婚が成立します。その後、調停成立の日から10日以内に役所へ離婚届を提出して戸籍に反映させます。

裁判離婚の場合、家庭裁判所に離婚訴訟を提起し、口頭弁論を経て判決が下されます。判決確定の日をもって離婚が成立し、確定の日から10日以内に役所へ離婚届を提出します。

協議・調停・裁判それぞれの手続きの詳細については、『離婚の流れと手続きの順番を弁護士が解説』をご覧ください。

離婚にともなう主な取り決め

離婚の際には、財産分与・慰謝料・養育費・親権と親子交流・年金分割などについて取り決めが必要です。

財産分与は婚姻中に夫婦で築いた共有財産を分配する制度で、原則として2分の1ずつの分割となります。慰謝料は不貞行為やDVなど相手の有責行為があった場合に請求できます。

養育費は子どもの監護にかかる費用の分担です。書面での取り決めが重要で、不払いに備えた強制執行の備えも検討しておきましょう。親権と親子交流については、2026年4月施行の改正民法により共同親権の選択が可能になっています。

年金分割は、婚姻期間中の厚生年金記録を夫婦間で分割する制度です(国民年金は対象外)。

各取り決めの詳細や具体的な考え方については、『離婚で決めること6項目と取り決め一覧を弁護士が解説』をご覧ください。

旦那との離婚を考える方からよくある質問

Q. 旦那が離婚に応じなくても離婚できる?

旦那が拒否していても、法定離婚事由のいずれかがあれば、最終的に裁判で離婚が認められます。

裁判で主張を認めてもらうためには証拠が必要なため、メールやLINE、診断書、日記などを事前に保存しておくことが重要です。

Q. 離婚を考えるとき、別居は先にしたほうがいい?

別居は「婚姻関係の破綻」を示す重要な事情として、裁判上も考慮されます。長期にわたる別居は、離婚請求が認められやすくなる要因の一つです。

ただし、別居前には婚姻費用(生活費)の請求権を確保しておくことが大切です。また、子どもの連れ去りトラブルにも注意が必要です。

Q. 専業主婦でも財産分与はもらえる?

専業主婦でも財産分与を受け取る権利があります。

民法768条に基づき、婚姻中に築いた共有財産は原則として2分の1ずつ分割されます。収入の多寡にかかわらず、家事・育児による貢献が財産形成への寄与として同等に評価されるためです。

Q. 離婚を考えているが気持ちが揺れている場合はどうすればいい?

気持ちが揺れるのは自然なことです。日記で感情を整理したり、信頼できる家族や友人に相談したりすることが有効です。離婚と婚姻継続それぞれのメリット・デメリットを書き出し、5年後・10年後の理想の姿をイメージすると、冷静な判断がしやすくなります。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律税務グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了