女性が離婚を決意するのはどんな時?離婚を決意したら何をする?
結婚生活を送っていれば、どんな夫婦でも一度や二度は離婚を考えることがあるでしょう。そのような中でも、実際に離婚に踏み切った方の決め手は何だったのでしょうか。
今回は、女性がどんな理由で、どんなタイミングで離婚を決意するのか、離婚を決意したら何をするべきかを解説します。
目次
女性が離婚を決意した理由は?
性格の不一致
令和4年度司法統計を見てみると、離婚調停を申し立てた理由の第1位は、男女ともに「性格が合わない」です。性格の不一致を理由に離婚を決意した夫婦が最も多いと言えます。
一口に性格の不一致といっても、すれ違いの結果として夫婦としての将来が見えなくなったという方や、愛情が冷めたと感じる方、一緒にいるのがつらいと感じる方など、離婚の決め手となった感情は様々なようです。
金銭問題
女性の離婚理由第2位が「生活費を渡さない」です。生活費を渡さず経済的に支配するなどといった行為は、経済的DVとも呼ばれ、裁判離婚の離婚事由になり得ます。
また、夫に浪費や借金があったり、働いてくれず生活が苦しいなどの理由で離婚を決意する方もいらっしゃいます。
夫の収入の方が多くても、妻の方が多くても、どちらも離婚の理由になり得るのです。
DV・モラハラ
殴る蹴るなどの身体的暴力や、暴言などによって相手を支配する精神的DV(モラハラとも呼ばれる)が原因の離婚も多く、「精神的に虐待する」は3位に、「暴力を振るう」は4位にランクインしています。
また、自分への暴力は何とか我慢できても、子どもへの虐待が見られたり、子どもの前で暴力を振るわれたことが決め手となって離婚に踏み切る場合も多いようです。
異性関係
夫の浮気や不倫といった異性関係が原因での離婚も多く、女性側の離婚理由の第5位となっています。
愛を誓いあったはずの相手に裏切られたのですから、許しがたい気持ちになるのも当然です。また、父親が他の女と関係を持っていたり、婚外子を設けていたりしたら、自分の子どもにも悪影響があると感じる人もいるでしょう。
浮気や不倫は何度注意しても繰り返す人が多く、すっかり愛想が尽きて離婚を決意することもあるようです。
性的不調和(セックスレス)
性的不調和も離婚の原因として挙げられます。性的不調和には、どちらかが一方的に性交渉を拒否しているいわゆるセックスレスの状態だけでなく、性交不能、あまりにも頻繁な性交渉の要求、異常性癖なども含まれています。
上記の理由に比べると少し割合は下がりますが、離婚の理由として挙げている女性も多いです。
女性が離婚を決意したタイミングは?
子どもが進学・独立した時
学生の子どもがいる時は、苗字の変更や引っ越しなどの影響を最小限にするために、進学や進級のタイミングを狙って離婚する方が多いようです。実際の離婚にはある程度の時間が掛かりますので、離婚したいタイミングを決めてそれに向けて動くことになるでしょう。
また、離婚によって子どもに影響を与えないように、子どもが家を出て独立するまでは離婚しないと決めている方もよく見ます。子どもが成人していれば親権者を決める必要がなく、親権争いも発生しないため、合理的なタイミングであると言えるでしょう。
自分や相手が定年退職した時
自分自身や夫が定年退職をすると、2人で過ごす時間が増えます。それに耐えられないと感じて離婚を決意する方も多く、定年離婚という言葉があるほどです。
また、夫が受け取った退職金も財産分与できる場合があるため、定年退職を待ってから離婚を切り出すこともあります。
周りに相談した時
なんとなく周りに夫の行動について相談した時に「それって異常だよ」「離婚した方が良いよ」と言われて、はじめて夫婦関係の非常事態に気づく方もいるようです。
DV被害者には、「自分が悪いから暴力を振るわれる」と思っているという特徴があります。DVの被害者に限らず、こういった考えを持っていると、他人に指摘されるまで自分の置かれた状況に気づきづらいのです。
自分が経済的に自立した時
経済的な不安から離婚に踏み切れない女性も多いですが、就職や転職、昇給などによって、自分ひとりで十分な収入を得られるようになったタイミングで離婚を決意する方もいます。
離婚を決意したらまず何をする?
証拠を集める
裁判で離婚を認めさせたり、慰謝料を請求するために、不貞行為やDV、モラハラなどの証拠が必要になる場合があります。
不倫相手とホテルに入っていく様子を写した写真や、暴力によって負った傷の診断書などが代表例です。
また、適切な額の財産分与を受け取るためにも、相手が保有している財産の証拠が必要になります。例えば、銀行の通帳や不動産登記簿などが挙げられます。
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離婚後の生活の基盤を整える
離婚後に安定した生活を送るために、離婚前から離婚後の生活の基盤を整えておきましょう。
経済面の備えとして、貯金を作っておくことや、仕事を探すこと、副業を始めることなどがあります。また、離婚時には配偶者から慰謝料や財産分与などの形でお金を受け取れる可能性があります。こういったお金は離婚後の生活の支えになりますが、最大限受け取るためには、離婚を切り出す前の準備が必要不可欠です。
公的支援の情報も集めておきましょう。ひとり親家庭には、児童扶養手当、児童手当、医療費助成、所得税や住民税の軽減など、幅広い支援制度が用意されています。
生活面では、離婚後の住居についても、早めに準備を始める必要があります。新しい家を探すだけでなく、その土地の幼稚園・保育園や学校、病院、習い事などについて調べておく必要もあるでしょう。
離婚の条件を考える
離婚の際には、離婚をするかしないかだけでなく、様々な条件を取り決める必要があります。例えば以下のようなものです。
- 親権者・監護者
- 養育費
- 面会交流
- 慰謝料
- 財産分与
- 婚姻費用
- 年金分割
これらは基本的には夫婦間の話し合いで決めることになりますが、あらかじめ自分の中で求める条件を決めておきましょう。こちらから請求することで、話し合いを有利に進めることが可能になります。
また、よく調べずに離婚をしてしまうと、受け取れたはずのお金を受け取れずに終わってしまう可能性もあります。
離婚時に請求できるお金などについて、制度や相場を調べておくことをおすすめします。
別居するのも有効
別居をすれば、まずは相手と離れることができるため安心です。また、ある程度の期間別居をしていると、裁判で離婚が認められる理由になるというメリットがあります。
協議離婚や調停離婚でならどのような理由でも離婚を成立させることが可能ですが、裁判で離婚を認めさせるためには、民法770条で定められる5つの離婚事由のうちいずれかが必要です。
法定離婚事由
- 不貞行為
- 悪意の遺棄
- 3年以上の生死不明
- 回復の見込みのない強度の精神病
- その他婚姻を継続しがたい重大な事由
つまり、性格の不一致やセックスレスなどが理由の離婚は、上記の5つにあてはまらないため、裁判では離婚が認められません。だからといって離婚を諦められるわけではありませんよね。
そこでポイントになるのが「その他婚姻を継続しがたい重大な事由」です。長期間別居をしており、客観的にみて夫婦関係が破綻していると判断されると、これを理由に離婚が認められる場合があります。ただし、多くの場合は3~5年以上という長い別居期間が必要です。
また、夫の方が収入が多い場合は、別居中に夫に対して婚姻費用(別居中の生活費)を請求することができます。婚姻費用を請求すると、夫は支払いたくないと感じて離婚に応じることもあります。
こういった点でも、離婚前の別居は有利に働く可能性が高いのです。
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専門家に相談する
離婚の流れや手続き、証拠集め、離婚後の生活などに疑問点があれば、早めに専門家に相談することをおすすめします。
弁護士には、離婚が可能か、どのくらいの慰謝料を受け取れるかなど、具体的な見通しを相談することができます。
また、離婚に向けて気持ちを整理したい、悩みを聞いてほしいといった場合は、離婚カウンセラーなどを利用することができます。
なお、夫から暴力を受けており、差し迫った危険を感じる場合は、ためらわずに警察に相談しましょう。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了
相手に離婚の意思を伝えた後に証拠を確保しようとしても、証拠を消されてしまう恐れがあります。離婚を切り出す前に証拠集めをしておきましょう。