40代女性が離婚後の生活で後悔しないための準備と注意点

40代女性が離婚後の生活に困らないためには、財産分与・年金分割・就労準備の3つが重要です。
内閣府の令和3年度の調査では、40代でシングルマザーになった人の非正規雇用割合は46.9%、貧困率は23.4%と、約4人に1人が貧困状態にあります。
この記事では、国の統計データや法的根拠をもとに、離婚後の生活を安定させるための準備と注意点を解説します。
40代女性の離婚の現状
40代女性の離婚件数と離婚率
厚生労働省「離婚に関する統計の概況」(令和4年度)によると、令和2年の40代女性の離婚件数は54,045件で、全離婚件数193,253件の約28%を占めています。女性の年代別では30代(60,813件)に次いで2番目に多い年代です。
同統計の年齢階級別離婚率によると、令和2年の40代女性は40〜44歳が6.86‰、45〜49歳が5.50‰となっています。年齢階級別離婚率とは、特定の年齢層の人口1,000人あたりの年間離婚件数をいい、‰(パーミル)で表します。つまり、40代女性1,000人あたり5.50〜6.86件の離婚が発生しています。
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40代シングルマザーの就労実態
こども家庭庁「全国ひとり親世帯等調査」(令和3年度)によると、母子世帯になった時の母親の年齢は30代が最多(47.8%)で、40代が24.9%と続きます。
内閣府の令和3年度の調査では、40代でシングルマザーになった人の平均離婚年齢は43.3歳で、最終学歴後の最初の職業は75.5%が正規雇用でした。しかし現在の就業状況では、非正規雇用が46.9%と最も高く、短時間勤務も28.6%に達しています。
離婚前に正規雇用だった方でも、離婚後に就業形態が変わるケースが多い点に注意が必要です。
40代女性の離婚理由
子どもが独立したから
40代になると、子どもが成人を迎えたり、大学進学や就職で独り立ちするという夫婦も増えてきます。
性格の不一致などに悩みながらも子どもの生活のことを考えて離婚を我慢していた方にとっては、離婚に踏み切りやすいタイミングであるといえます。
また、子育てという共通の目標がなくなると、会話がなくなったり生活スタイルにズレが生じたりして、夫婦関係が冷めてしまうこともあるようです。
子どもが独立すると仕事に復帰しやすく、生活も安定しやすくなります。こうした事情が、40代女性の離婚を後押しする一因といえるでしょう。
人生をやり直したいから
40代は、子育てが一段落する方が多く、自分の人生を見つめ直す機会が増える時期です。趣味や仕事にもっと時間を使いたいと感じる方も多いでしょう。
また、40代の女性には恋愛や再婚のチャンスも十分にあります。
夫と別れて自由になり、人生をやり直したいと考えて離婚を決意するケースは少なくありません。
子どもに関するすれ違いがあるから
40代で子育て中の場合、子育てに関する考え方が夫とずれてしまったために離婚を決意するケースがあります。
子どもの受験や部活、習い事へのスタンス、子どもへの接し方などで夫婦のすれ違いが起きやすいのでしょう。
子どもを望んでいる女性にとっても、40代はターニングポイントです。
40代は、女性が子どもを持てる最後のチャンスですが、妊活や不妊治療に対する夫婦の方向性の違いや熱量の差が、夫婦関係を悪化させてしまうことはよくあるようです。
「夫が不妊治療に協力してくれないなら別の人と・・・」と離婚を決意する女性も少なくありません。
夫の収入や老後の資金が不安だから
40代になると、老後の生活資金や介護費用など、経済的な不安が顕在化してきます。
夫に収入アップの意思がない。夫の浪費が激しくてお金が貯まらない。そういった危機感から離婚を考える方は少なくありません。
40代の子なし女性の中には働いていて収入がある方が多く、離婚しても経済的な痛手は少ない、むしろ夫がいなくなった分生活が楽になるケースもあるようです。
40代女性の離婚後の生活を安定させるお金の準備
離婚後の生活費をシミュレーションする
離婚を決断する前に、離婚後の生活設計をシミュレーションしてみましょう。
総務省統計局の2025年の家計調査によると、35~59歳の一人暮らし女性の消費支出は、月額で約183,805円が目安とされています。
離婚後の支出を詳しく試算してみたい方は、以下の表をお使いください。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 家賃 | |
| 水道代 | |
| 電気代 | |
| ガス代 | |
| 携帯電話代 | |
| インターネット代 | |
| 生命保険料 | |
| 食費 | |
| 日用品費 | |
| 被服費 | |
| 教育費 | |
| 交際費 | |
| その他 | |
| 支出合計 |
次に、収入について考えてみます。以下に収入源の例を挙げますので、収入から支出を差し引くといくらになるか、試算してみてください。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 給与等 | |
| 養育費 | |
| 児童扶養手当 | |
| 児童手当 | |
| 収入合計 |
離婚時に夫から受け取れる財産分与、養育費、慰謝料などのお金は、離婚後の生活の支えになりますので、最大限請求していきましょう。
財産分与や養育費、慰謝料がいくらくらい見込めるのか知りたい方は、弁護士に相談してみるのもよいでしょう。
試算結果によっては、いま離婚しない方が金銭的には得という判断になることもあります。
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財産分与は最大限受け取る
40代女性の離婚後の生活を安定させるためには、財産分与を最大限受け取ることが非常に重要です。40代になると、婚姻期間も10~20年程度と長くなってきますので、婚姻中に築いた財産も大きいことが予想されます。
財産を公平に分配するためには、互いの財産をすべて把握することが重要です。
以下は、財産分与の対象となる財産の例です。
- 土地や家などの不動産
- 自動車
- 家財道具
- 現金・預貯金
- 有価証券
- ゴルフ等の会員権
- 保険解約返戻金
このように、財産分与の対象は多岐にわたります。
これらだけでなく、夫が妻の知らないところで社内に財形貯蓄や企業年金を積み立てているケースもありますし、自分名義の口座にお金を移したり、勝手に自分名義の不動産を購入したりして財産を少なく見せている可能性もあります。
見落としている財産はありませんか?財産隠しの疑いがある場合、離婚の話し合いを始める前に証拠を掴んでおきましょう。
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年金分割の手続きを忘れずに行う
年金分割とは、婚姻期間中の厚生年金の保険料納付記録を、夫婦間で分け合う制度です。対象は厚生年金の報酬比例部分に限られ、国民年金(老齢基礎年金)には影響しません。
分割割合は、合意または裁判で決める「合意分割」の場合、上限は50%です。一方、専業主婦など第3号被保険者であった方が請求する「3号分割」は、一律で2分の1となります。
この制度により、婚姻期間中の年金記録が少ない側は、将来受け取る厚生年金を増やすことができます。ただし、分割後すぐに受給できるわけではなく、受給開始年齢に達していることや受給資格期間を満たしていることが必要です。
請求期限は原則として離婚後2年以内ですが、2026年4月1日以降に離婚した場合は、法改正により5年以内に延長されます。手続きは年金事務所で行うため、離婚後は早めの確認が重要です。
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離婚前から貯金を作る
離婚時には引越し費用や弁護士費用など、まとまったお金が必要です。特に主婦の方にとっては、離婚前に貯金を作っておくことは最優先事項です。
貯金なしで離婚する方もいるとはいえ、相当厳しい生活になるという覚悟は必要です。
また、妻に具体的な生活設計がない場合、「離婚したら一人で生活できないだろう」と夫が離婚に強く反対してくる可能性があります。
離婚前に別居している期間は、収入が多い方から婚姻費用(別居中の生活費)を受け取る権利があるため、婚姻費用をできる限り貯金に回して離婚後の生活に備えるのもよいでしょう。
ただし、へそくりは相手に見つかると財産分与の対象になります。
それでも、財産の合計額が大きくなれば、最終的に自分の手元に残る金額も増えるため、離婚前にお金を貯めておくことは非常に大切です。
仕事を見つける
現在仕事をしていない方は、離婚前から計画的に仕事探しを始めましょう。安定して収入を得られる見込みができてから離婚を切り出すのが、最も安全な方法です。
仕事は離婚して生活が落ち着いてからでよいと思うかもしれませんが、年齢が高くなるほど仕事を見つけづらくなるのは事実です。仕事を探すなら、なるべく早く動き出した方がよいでしょう。
とはいえ、ブランクのある方や職歴のない方がすぐに就職するのは簡単ではありません。
まずはパート・アルバイトから始めて、正社員登用を目指すという手もあります。また、勉強して資格を取得すれば、就職しやすくなったり、在宅ワークやフリーランスとしての道が開けるかもしれません。
国や自治体による専業主婦・シングルマザー向けの就労支援も用意されているため、活用してみてはいかがでしょうか。
老後のプランを立てておく
離婚直後だけでなく、老後のプランも考えておかなければなりません。
年金分割を行えば、妻が受け取れる年金は多少増額しますが、年金だけで十分に生活できる方は多くはありません。多くの方は、年金に加えて貯蓄を切り崩して生活しています。
老後に困窮しないためには、少しでも多くの貯金を残すだけでなく、資産運用についても考えましょう。
また、年金の受給年齢を繰り下げて、将来の受給額を増やすこともできます。
より詳細な老後の生活設計を立てるために、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談してみるとよいでしょう。
40代女性の離婚で注意すべきポイント
離婚後のお金は大丈夫?
40代の女性の離婚で最も気を付けなければならないのは、お金のことです。
離婚を目指すときに用意しておきたいお金は、大きく以下の3つに分類されます。
離婚にかかる費用
離婚後の出費の対策として、元夫や国・自治体からもらえるお金も知っておきましょう。
国や自治体から受けられる支援
- 児童手当
- 児童扶養手当(母子手当)
- 就学援助
- 自治体独自の支援制度
なお、離婚後の生活費を元夫に請求することは基本的にはできません。
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住宅ローンに注意!
40代の離婚では、持ち家や住宅ローンの財産分与がよく問題になります。
持ち家に関しては、どちらかが住み続けるのか、あるいは売却するのかを決めなければいけません。住み続けられるのであれば家賃がかかりませんし、何より住み慣れた家ですので、夫婦間で家の取り合いになるケースはよくあります。
住宅ローンに関しては、どちらが払い続けるか、2人でローンを折半するのかで争いになる可能性があります。
特にオーバーローン(住宅ローンの残債が住宅の売却価格を超えている状態)の場合は、家を売却してもローンを完済することができませんので、家を手放したとしてもローンを支払い続ける必要があるのです。
共働き夫婦の場合、ペアローンを組んでいる方も多いでしょう。ペアローンは離婚時に一本化するのが非常に難しく、離婚後も2人で返済し続けなければならないケースがあります。
また、離婚後の家やローンの名義も確認が必要です。住み続ける人と不動産の名義人が同じでないと、後に売却したくなった時などに不都合が生じるため、離婚と同時に名義変更の手続きを行うことをおすすめします。
持ち家・ローンの確認事項
- ローンの名義人が誰か(単独名義・連帯債務・連帯保証・ペアローン)
- 不動産の名義人が誰か
- 離婚後も住み続けるか売却するか
- オーバーローンかアンダーローンか
- 離婚後にローンを支払うのは誰か
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養育費をいつまで払ってもらえる?
養育費とは、経済的・社会的に自立していない子どもが自立するまでに必要な費用を指します。そのため、支払いの終期は年齢だけで一律に決まるものではありません。
2022年4月に成年年齢は18歳に引き下げられましたが、養育費の支払い義務はこれと連動しません。たとえ18歳を過ぎていても、子どもが経済的・社会的に自立していなければ、引き続き負担義務が生じます。
たとえば、大学に在学している間は自立が難しいと考えられるため、卒業まで支払いが続くケースが一般的です。また、病気や障害などで就労が困難な場合も、年齢に関係なく支払いの対象となります。
こうした点を踏まえ、離婚時には「子が22歳に達した後、最初に迎える3月末まで」など、自立の時期を具体的に定めておくことが重要です。取り決めは強制執行認諾文言付きの公正証書にしておくと、支払いが滞った場合でも裁判を経ずに差し押さえが可能となり、実効性が高まります。
なお、2026年4月1日施行の民法改正により、養育費の回収に関する制度が見直されます。改正後は養育費に先取特権が認められ、施行前に父母間で書面による取り決めがある場合でも、同日以降の支払い分については、公正証書などの債務名義がなくても差し押さえの申立てが可能になります。ただし、先取特権が付与される額には子1人当たり月額8万円の上限があります。
一方で、離婚時の取り決めがなくても一定額を請求できる「法定養育費(月額2万円)」は、2026年4月1日以降に離婚した場合に限り適用されます。
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養育費の金額の目安
養育費の金額は、父母の収入や子どもの年齢・人数に応じた目安を示す裁判所の「算定表」を参考に決められるのが一般的です。
令和6年の司法統計によると、離婚の調停成立等において母が監護者と定められた場合の養育費月額は、月額6万円以下の層が全体の約56.6%を占めています。一方、法務省「協議離婚に関する実態調査(令和2年度)」によると、協議離婚では総額2万円未満など低い金額で合意しているケースの割合が調停・審判と比較して高い傾向があります。
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退職金の財産分与が認められる条件
退職金は財産分与の対象になる財産のひとつであり、退職前に離婚する場合でも、将来受け取るであろう退職金の財産分与を行うことがあります。
しかし、40代の離婚では退職金の財産分与が受けられない可能性が高い点に注意してください。
まだ退職金が支払われていないタイミングで退職金の財産分与を受け取るには、退職金が支給される可能性が高いということが求められます。
しかし、配偶者が40~50代であるとすると、定年退職までまだ10年以上ある場合がほとんどです。
定年退職まで10年以上あると、それまでの間に自主退職してしまったり、会社が倒産してしまって退職金が支給されない可能性があるため、退職金の分与が認められるハードルが高くなっていきます。
仮に分与が認められても、金額が低くなってしまう可能性があります。
とはいえ、公務員の方や大企業に勤めている方は、退職までの期間が長くても退職金の財産分与が認められやすい傾向にあるでしょう。
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40代女性の離婚後の生活についてよくある質問
Q. 40代専業主婦が離婚したら生活できる?
財産分与・年金分割・養育費などを適切に取り決めれば、生活を安定させることは可能です。ただし、内閣府の調査では40代でシングルマザーになった人の非正規雇用割合が46.9%に達するため、早期の就労準備が不可欠です。
Q. 40代女性の離婚後の生活費は毎月いくらかかる?
総務省統計局の2025年家計調査によると、35~59歳の一人暮らし女性の月間消費支出は約183,805円が目安です。子どもがいる場合は教育費等が加わるため、離婚前に収支のシミュレーションを行うことが重要です。
Q. 40代の離婚で財産分与の請求期限は?
財産分与は離婚後2年以内に請求する必要があります(民法第768条)。ただし、2026年4月1日以降に離婚した場合は民法等改正により請求期間が5年に延長されます。期限を過ぎると原則として請求できなくなります。
Q. 養育費が払われなかったらどうする?
強制執行認諾文言付きの公正証書を作成していれば、裁判を経ずに差し押さえが可能です。なお、2026年4月1日施行の民法等改正により、養育費債権に先取特権が付与されるため、公正証書がなくても、父母間で養育費について取り決めた文書があれば差し押さえ手続きの申し立てが可能になります。ただし、先取特権が付与される額には子1人当たり月額8万円の上限があります。
40代の離婚は弁護士に相談を
経済的な不安を解消するために
離婚後の経済的な不安を解消するために重要なのは、財産分与です。
公平に財産分与をするためには、すべての財産を明らかにし、評価して分け合うという作業が必要です。
夫が隠し財産を作っているのであれば見抜かなければいけませんし、隠し財産の証拠を見つけて相手に認めさせる必要もあります。
弁護士は、弁護士会照会といって、弁護士会を通して金融機関や証券会社、不動産会社などの団体に必要事項を照会することができます。確実に証拠を手に入れたいのであれば、弁護士へ依頼することをおすすめします。
財産の評価方法や分け方は複雑です。額が大きければ、その分争いになる可能性も高まるため、交渉にも注意が必要です。

弁護士
弁護士は、財産の調査から相手方との交渉まで、あらゆる場面で依頼者をサポートします。

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

弁護士
夫が財産の開示に応じない場合は、弁護士に依頼すると、弁護士会照会を用いて金融機関などに情報開示を請求することができます。また、裁判手続きの中で、調査嘱託を用いて調査できる場合もあります。