40代女性の離婚|離婚率は?どんな準備が必要?

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40代女性の離婚

令和2年度の統計によれば、40代女性の離婚件数は年間で約54,000件にのぼります。

40代女性の離婚が離婚件数全体の約28%を占め、30代に次いで2番目に離婚件数の多い年代となっています。

このように、40代で離婚を決意する女性は少なくありません。

しかし、40代の離婚には、住宅ローンや財産分与の問題があるほか、離婚後に女性が困窮するケースも多いため、事前の準備が欠かせません。

この記事では、離婚を考えている40代の女性に向けて、以下について解説します。

  • 40代女性の離婚率・離婚理由
  • 40代女性の離婚の注意点
  • 40代女性の離婚準備

40代女性の離婚率は?

離婚に関する統計の概況によると、令和2年度の40代女性の普通離婚率は約4.33‰となっています。

普通離婚率とは、人口1,000人あたりの年間離婚件数をいい、‰(パーミル)で表します。

したがって、40代の女性1,000人のうち、約4.33人が離婚しているということになります。

以下は、すべての年代の女性の普通離婚率を比べるグラフです。40代は、30代、20代に次いで3番目に離婚率が高い年代となっています。

令和4年度 人口動態統計特殊報告 離婚に関する統計より作成

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40代女性の離婚理由は?

子どもが独立したから

40代になると、子どもが成人を迎えたり、大学進学や就職で独り立ちするという夫婦も増えてきます。

性格の不一致などに悩みながらも子どもの生活のことを考えて離婚を我慢していた方にとっては、離婚に踏み切りやすいタイミングであるといえます。

また、子育てという共通の目標がなくなると、会話がなくなったり生活スタイルにズレが生じたりして、夫婦関係が冷めてしまうこともあるようです。

子どもが独立すれば完全に職場復帰できるため、離婚後の生活も安定しやすくなることも、40代女性の離婚を後押しするでしょう。

人生をやり直したいから

40代は、子育てが一段落する方が多く、自分の人生を見つめ直す機会が増える時期です。趣味や仕事にもっと時間を使いたいと感じる方も多いでしょう。

また、40代の女性には恋愛や再婚のチャンスも十分にあります。

夫と別れて自由になり、人生をやり直したいと考えて離婚を決意するケースは少なくありません。

子どもに関するすれ違いがあるから

40代で子育て中の場合、子育てに関する考え方が夫とずれてしまったために離婚を決意するケースがあります。

子どもの受験や部活、習い事へのスタンス、子どもへの接し方などで夫婦のすれ違いが起きやすいのでしょう。

子どもを望んでいる女性にとっても、40代はターニングポイントです。

40代は、女性が子どもを持てる最後のチャンスですが、妊活や不妊治療に対する夫婦の方向性の違いや熱量の差が、夫婦関係を悪化させてしまうことはよくあるようです。

「夫が不妊治療に協力してくれないなら別の人と・・・」と離婚を決意する女性も少なくありません。

夫の収入や老後の資金が不安だから

40代になると、老後の生活資金や介護費用など、経済的な不安が顕在化してきます。

夫に収入アップの意思がない。夫の浪費が激しくてお金が貯まらない。そういった危機感から離婚を考える方は少なくありません。

40代の子なし女性の中には働いていて収入がある方が多く、離婚しても経済的な痛手は少ない、むしろ夫がいなくなった分生活が楽になるケースもあるようです。

40代女性の離婚はここに注意!

離婚後のお金は大丈夫?

40代の女性の離婚で最も気を付けなければならないのは、お金のことです。

離婚を目指すときに用意しておきたいお金は、大きく以下の3つに分類されます。

離婚後の出費の対策として、元夫や国・自治体からもらえるお金も知っておきましょう。

配偶者からもらえるお金

国や自治体から受けられる支援

  • 児童手当
  • 児童扶養手当(母子手当)
  • 就学援助
  • 自治体独自の支援制度

また、年金分割といって、配偶者が婚姻期間中に納めた分の年金保険料を、最大で50%まで分けてもらう制度があります。

離婚時に年金分割の手続きを行うことで、将来受け取る年金を増やすことができます。

なお、離婚後の生活費を元夫に請求することは基本的にはできません。

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住宅ローンに注意!

40代の離婚では、持ち家や住宅ローンの財産分与がよく問題になります。

持ち家に関しては、どちらかが住み続けるのか、あるいは売却するのかを決めなければいけません。住み続けられるのであれば家賃がかかりませんし、何より住み慣れた家ですので、夫婦間で家の取り合いになるケースはよくあります。

住宅ローンに関しては、どちらが払い続けるか、2人でローンを折半するのかで争いになる可能性があります。

特にオーバーローン(住宅ローンの残債が住宅の売却価格を超えている状態)の場合は、家を売却してもローンを完済することができませんので、家を手放したとしてもローンを支払い続ける必要があるのです。

共働き夫婦の場合、ペアローンを組んでいる方も多いでしょう。ペアローンは離婚時に一本化するのが非常に難しく、離婚後も2人で返済し続けなければならないケースがあります。

また、離婚後の家やローンの名義も確認が必要です。住み続ける人と不動産の名義人が同じでないと、後に売却したくなった時などに不都合が生じるため、離婚と同時に名義変更の手続きを行うことをおすすめします。

持ち家・ローンの確認事項

  • ローンの名義人が誰か(単独名義・連帯債務・連帯保証・ペアローン)
  • 不動産の名義人が誰か
  • 離婚後も住み続けるか売却するか
  • オーバーローンかアンダーローンか
  • 離婚後にローンを支払うのは誰か

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養育費をいつまで払ってもらえる?

40代の夫婦の間には中高生や大学生の子どもがいることも多く、授業料や部活動の費用など、様々なお金がかかります。

そういった家庭の離婚においては、養育費をしっかりと受け取ることがとても重要です。

養育費は、子どもが20歳になるまで支払うのが一般的です。しかし、子どもが大学に進学した場合や、病気や障害で働けない場合は、経済的・社会的に自立しているとはいえないため、子どもが20歳に達していても養育費の支払いの対象になる場合があります。

母親にとっても、大学卒業まで養育費を支払ってもらわなければ困ります。

したがって、40代の離婚では、大学卒業まで養育費を支払う旨を明確に取り決めておくことをおすすめします。

養育費の取り決めは、公正証書にしておきましょう。強制執行認諾文言付き公正証書を作成しておくと、養育費の支払いが滞ったときに、裁判を経ずに強制執行(差し押さえ)を行って支払いを実現させることができます。

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退職金の財産分与は受けられない可能性大

退職金は財産分与の対象になる財産のひとつであり、退職前に離婚する場合でも、将来受け取るであろう退職金の財産分与を行うことがあります。

しかし、40代の離婚では退職金の財産分与が受けられない可能性が高い点に注意してください。

まだ退職金が支払われていないタイミングで退職金の財産分与を受け取るには、退職金が支給される可能性が高いということが求められます。

しかし、配偶者が40~50代であるとすると、定年退職までまだ10年以上ある場合がほとんどです。

定年退職まで10年以上あると、それまでの間に自主退職してしまったり、会社が倒産してしまって退職金が支給されない可能性があるため、退職金の分与が認められるハードルが高くなっていきます。

仮に分与が認められても、金額が低くなってしまう可能性があります。

とはいえ、公務員の方や大企業に勤めている方は、退職までの期間が長くても退職金の財産分与が認められやすい傾向にあるでしょう。

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40代女性の離婚準備

離婚後の生活費をシミュレーションする

離婚を決断する前に、離婚後の生活設計をシミュレーションしてみましょう

令和5年度の家計調査年報によると、35~59歳の一人暮らし女性のひと月当たりの消費支出は平均182,527円となっています。

離婚後の支出を詳しく試算してみたい方は、以下の表をお使いください。

項目金額
家賃
水道代
電気代
ガス代
携帯電話代
インターネット代
生命保険料
食費
日用品費
被服費
教育費
交際費
その他
支出合計

次に、収入について考えてみます。以下に収入源の例を挙げますので、収入から支出を差し引くといくらになるか、試算してみてください。

項目金額
給与等
養育費
児童扶養手当
児童手当
収入合計

離婚時に夫から受け取れる財産分与、養育費、慰謝料などのお金は、離婚後の生活の支えになりますので、最大限請求していきましょう。

財産分与や養育費、慰謝料がいくらくらい見込めるのか知りたい方は、弁護士に相談してみるのもよいでしょう。

試算結果によっては、いま離婚しない方が金銭的には得という判断になることもあります。

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老後のプランを立てておく

離婚直後だけでなく、老後のプランも考えておかなければなりません。

年金分割を行えば、妻が受け取れる年金は多少増額しますが、年金だけで十分に生活できる方は多くはありません。多くの方は、年金に加えて貯蓄を切り崩して生活しています

老後に困窮しないためには、少しでも多くの貯金を残すだけでなく、資産運用についても考えましょう。

また、年金の受給年齢を繰り下げて、将来の受給額を増やすこともできます。

より詳細な老後の生活設計を立てるために、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談してみるとよいでしょう。

財産分与は最大限受け取る

40代女性の離婚後の生活を安定させるためには、財産分与を最大限受け取ることが非常に重要です。40代になると、婚姻期間も10~20年程度と長くなってきますので、婚姻中に築いた財産も大きいことが予想されます。

財産を公平に分配するためには、互いの財産をすべて把握することが重要です。

以下は、財産分与の対象となる財産の例です。

  • 土地や家などの不動産
  • 自動車
  • 家財道具
  • 現金・預貯金
  • 有価証券
  • ゴルフ等の会員権
  • 保険解約返戻金

このように、財産分与の対象は多岐にわたります。

これらだけでなく、夫が妻の知らないところで社内に財形貯蓄や企業年金を積み立てているケースもありますし、自分名義の口座にお金を移したり、勝手に自分名義の不動産を購入したりして財産を少なく見せている可能性もあります。

見落としている財産はありませんか?財産隠しの疑いがある場合、離婚の話し合いを始める前に証拠を掴んでおきましょう

岡野タケシ弁護士
岡野タケシ
弁護士

夫が財産の開示に応じない場合は、弁護士に依頼すると、弁護士会照会を用いて金融機関などに情報開示を請求することができます。また、裁判手続きの中で、調査嘱託を用いて調査できる場合もあります。

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離婚前から貯金を作る

離婚時には引越し費用や弁護士費用など、まとまったお金が必要です。特に主婦の方にとっては、離婚前に貯金を作っておくことは最優先事項です。

貯金なしで離婚する方もいるとはいえ、相当厳しい生活になるという覚悟は必要です。

また、妻に具体的な生活設計がない場合、「離婚したら一人で生活できないだろう」と夫が離婚に強く反対してくる可能性があります。

離婚前に別居している期間は、収入が多い方から婚姻費用(別居中の生活費)を受け取る権利があるため、婚姻費用をできる限り貯金に回して離婚後の生活に備えるのもよいでしょう。

ただし、へそくりは相手に見つかると財産分与の対象になります

それでも、財産の合計額が大きくなれば、最終的に自分の手元に残る金額も増えるため、離婚前にお金を貯めておくことは非常に大切です。

仕事を見つける

現在仕事をしていない方は、離婚前から計画的に仕事探しを始めましょう。安定して収入を得られる見込みができてから離婚を切り出すのが、最も安全な方法です。

仕事は離婚して生活が落ち着いてからでよいと思うかもしれませんが、年齢が高くなるほど仕事を見つけづらくなるのは事実です。仕事を探すなら、なるべく早く動き出した方がよいでしょう。

とはいえ、ブランクのある方や職歴のない方がすぐに就職するのは簡単ではありません。

まずはパート・アルバイトから始めて、正社員登用を目指すという手もあります。また、勉強して資格を取得すれば、就職しやすくなったり、在宅ワークやフリーランスとしての道が開けるかもしれません。

国や自治体による専業主婦・シングルマザー向けの就労支援も用意されているため、活用してみてはいかがでしょうか。

40代の離婚は弁護士に相談!

経済的な不安を解消するために

離婚後の経済的な不安を解消するために重要なのは、財産分与です。

公平に財産分与をするためには、すべての財産を明らかにし、評価して分け合うという作業が必要です。

夫が隠し財産を作っているのであれば見抜かなければいけませんし、隠し財産の証拠を見つけて相手に認めさせる必要もあります。

弁護士は、弁護士会照会といって、弁護士会を通して金融機関や証券会社、不動産会社などの団体に必要事項を照会することができます。確実に証拠を手に入れたいのであれば、弁護士へ依頼することをおすすめします。

財産の評価方法や分け方は複雑です。額が大きければ、その分争いになる可能性も高まるため、交渉にも注意が必要です。

岡野タケシ弁護士
岡野タケシ
弁護士

弁護士は、財産の調査から相手方との交渉まで、あらゆる場面で依頼者をサポートします。

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離婚を決意されている方も、まだ迷いがある方も、まずはご自身のおかれた状況を把握し、今後の選択肢を広げることが大切です。

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岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了