離婚の法律│民法770条1項の離婚事由は?離婚で役立つ法律知識は?
- 離婚で知っておくべき法律知識とは?
- 民法770条1項の離婚事由とは?
- 離婚の法律相談ができる窓口は?
離婚にあたって法律的な問題を知っておくことは、離婚で後悔しないために非常に重要です。
法律知識がなければ、不利な条件で離婚してしまったり、利用できたはずの制度を使えなかったりと、様々な不利益をこうむる可能性があります。
離婚のときに主張できる権利については民法に規定され、離婚調停の法律手続きについては家事事件手続法、離婚訴訟については人事訴訟法に書かれていたりと、法律の専門家でなければ離婚の全体像をつかむことは至難の業です。
この記事では、離婚を考えている方が離婚制度の全体像を把握できるように、法律を味方につけて有利に戦えるように、離婚にまつわる法律知識も解説します。
また、話し合いによる離婚が難しい方のために、民法の法定離婚事由についても、解説していきます。
ぜひ最後までご覧ください。
目次
離婚の方法に関する法律上のルール
日本の法律(民法)には、法的に離婚が認められるためのいくつかのルールがあります。
最も根幹的なルールとしては、民法が定める離婚方法によらなければ、離婚できないというルールです。
民法には、大きく分けて、以下の図の①~④までの4種類の離婚方法があります。
基本的な離婚の進め方としては、まずは夫婦の話し合いから始め、①協議離婚を目指します。
そして、協議離婚がうまくいかなければ、②調停離婚、③審判離婚、④裁判離婚(和解離婚、認諾離婚を含む。)といった流れで、離婚を目指すことになります。
①協議離婚の法律上の条件
夫婦が話し合いにより合意し、離婚する方法を協議離婚といいます。
夫婦は、その協議で、離婚をすることができる。
民法763条
協議離婚を成立させるための法律上の条件は、夫婦が離婚に合意すること、および離婚届が受理されることです。
離婚届には、親権者を記入する欄があります。
そのため、離婚の話し合いの際、離婚を合意するだけでなく、お子様がいる場合は必ず親権者を決める話し合いも必要です。
また、離婚成立のための法律上の条件ではありませんが、慰謝料や財産分与などについても話し合いにより決めておくことがベターです。
離婚後の生活のためにも、法律上の権利として請求できるお金については、きちんと話し合いをおこないましょう。
協議離婚は、全体の約9割を占めるともいわれる離婚方法です。
調停や訴訟とは異なり、離婚を成立させるための法律上の条件としては、離婚届の受理のみになるので、当事者にとって最も負担の少ない離婚方法といえます。
ただし、夫婦の一方の意思だけでは協議離婚はできないので、離婚したくない配偶者との離婚を成立させるためには、他の離婚方法を選択する必要があります。
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②調停離婚の法律上の条件
調停離婚(夫婦関係調整調停)は、家庭裁判所の調停委員会の仲裁を受けて、離婚することや離婚条件の話し合いを行う離婚方法です。
家庭裁判所は、人事に関する訴訟事件その他家庭に関する事件(別表第一に掲げる事項についての事件を除く。)について調停を行う(以下略)。
家事事件手続法244条
離婚調停では、夫婦が家庭裁判所に出向き、交互に調停委員と面談して意見を調整します。
離婚することは決まっているけれど、離婚条件が決まらないという場合には、離婚条件だけを調停で話し合うことも可能です。
なお、調停委員会が離婚を強制することはできません。調停離婚の法律上の条件は、夫婦の合意です。夫婦が合意しなければ離婚調停は成立せず、法律上、調停離婚は認められません。
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③審判離婚の法律上の条件
審判離婚は、わずかな離婚条件の違い等のために調停が成立しない場合に、家庭裁判所の判断で離婚する方法です。
家庭裁判所は、(中略)この編の定めるところにより審判をする。
家事事件手続法244条
離婚調停が不成立となり、裁判官が相当と認めた場合にのみ審判が下されるものです。
ただ、実際には、審判離婚はほとんど利用されていません。
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④裁判離婚の法律上の条件
調停離婚できなかった場合や、離婚審判の結果に不服がある場合には、離婚裁判を起こすことができます。
離婚裁判では、裁判官が離婚させるかさせないかを決定します。
夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
民法770条1項柱書
法律上の条件①調停のあとに裁判をおこすこと
家事事件手続法257条は、離婚調停を経なければ裁判を起こすことができないと定めています。
これを調停前置主義と言います。
法律上の条件②法定離婚事由があること
民法では、裁判離婚できる理由(法定離婚原因)として、次の5項目が定められています。
すなわち、❶不貞行為、❷悪意の遺棄、❸3年以上の生死不明、❹回復の見込みのない強度の精神病、❺婚姻を継続しがたい重大な事由という、5項目のうち、最低でも1項目に該当することが、裁判離婚できる法律上の条件となります。
裁判離婚についての補足
どうしても離婚したいのに、相手が協議でも調停でも離婚や離婚条件を拒んでいる場合、最終的には裁判を起こして、裁判官に決めてもらうしかありません。
ただし、離婚裁判中であっても、裁判官立会いのもと、離婚や離婚条件に折り合いをつけ、相手と和解することは可能です(和解離婚)。
また、離婚の訴えを起こされた側(被告)は、訴えを起こした側(原告)の主張を、全面的に受け入れることもできます。これは、いわゆる認諾(にんだく)離婚となります。
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・離婚裁判の流れと注意点を解説|期間や費用はどのくらいかかる?
離婚における弁護士の立ち位置は?
離婚の手続きにおいては、任意で弁護士を選任することができます。
法律上、弁護士をつけることは義務ではありません。
しかし、ある調査では離婚問題に直面した際、弁護士に相談した割合が全体の54%、相談してよかったと回答した割合が90.7%という結果がでています。
相談の有無 | 割合 |
---|---|
相談した | 54% |
相談していない | 46% |
割合 | |
---|---|
相談してよかった | 90.7% |
相談しなくても問題なかった | 9.3% |
* 2020年8月31日 PRTIMES 株式会社カケコム「離婚の際、弁護士に相談した方の9割以上が「弁護士に相談してよかった」と回答。離婚について弁護士に相談するメリットについて徹底調査。」(2024.5.23現在)。
たしかに、離婚問題について、ご本人みずから対応されるケースもあります。
しかし、相手方とのやりとりに大きなストレスを感じる場合も多いでしょう。
弁護士は、依頼者の代理人となって、相手方との交渉をおこなうことができるので、ご本人が感じるストレスの軽減に貢献することができます。
また、弁護士は法律の専門家なので、離婚問題解決のためにおこなうべき調査、証拠収集、書類作成などのサポートができます。
離婚調停、離婚裁判などの法律の手続きについても、弁護士がいれば、自分で一から調べる必要はありません。
民法770条の離婚事由に関するルール
法律で裁判離婚が認められる条件5つ
離婚裁判は、離婚の話に折り合いがつかない夫婦を、裁判官が強制的に離婚させるという手続きです。
裁判離婚は強制力をともなう分、離婚を認めるための厳しい条件が法律に定められています。
民法770条1項に、裁判で離婚ができる5つの理由が定められており、これを法定離婚事由といいます。
一 配偶者に不貞な行為があったとき。
民法770条1項各号
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
三 配偶者の生死が三年以上明らかでないとき。
四 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
五 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。
裁判離婚が認められるには、この民法770条にある5つの離婚事由うち、いずれか一つでも該当しなければなりません。
❶不貞行為(民法770条1項1号)
民法で離婚事由とされる「不貞行為(配偶者に不貞な行為があったとき)」とは、配偶者以外の第三者と性的関係をもつことです。
具体的には、夫が、会社の同僚女性と肉体関係をともなう不倫をしていたような場合を指します。
不貞行為の証拠となるのは、夫と不倫相手のラインのやりとり、会話の録音、ラブホテルの出入りをとらえた画像などです。
❷悪意の遺棄(民法770条1項2号)
民法で離婚事由とされる「悪意の遺棄(配偶者から悪意で遺棄されたとき)」とは、正当な理由なく、夫婦の同居義務、協力義務、扶助義務を果たさないことです。
夫婦は同居し、互いに協力し扶助しなければならない。
民法752条
夫婦は、正当な理由がないかぎり同居を拒んではならず、協力して生活しなければいけません。また、双方が同じレベルの生活を送れるように、生活費を分担して扶助しなければなりません。
悪意の遺棄の裁判例
実際の裁判では、夫が、レーベル病という難病を発症した妻と小学生の子ども2人を残して家を出て、報酬の振込口座を変更する、住宅ロ―ンの支払いを停止する、健康保険を使えないようにするなどした事案で、悪意の遺棄が認められました(東京家立川支判令2・3・12)。
また、一方的に別居を開始し、夫婦関係の修復にも努めていなかった事案において、同居義務違反が認定された裁判もあります(東京地判平29・9・29)。
❸3年以上の生死不明(民法770条1項3号)
民法で離婚事由とされる「3年以上の生死不明(配偶者の生死が三年以上明らかでないとき)」とは、最後に消息を絶った後、生きているのか死んでいるのか3年以上分からないことを指します。
生死不明の場合、相手方との話し合いは不可能です。そのため、調停前置主義は適用されず、(調停離婚を経ずとも、)いきなり離婚裁判を提起することが法律上許されています。
❹強度の精神病(民法770条1項4号)
民法で離婚事由とされる「強度の精神病(配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき)」とは、夫婦相互の協力扶助の義務を果たすことができない程度の精神障害にかかり、回復が見込めないことを指します。
強度の精神病に該当するか否かは、専門医の鑑定を経て、裁判所が認定します。
民法770条2項に関連する注意点
いままで見てきた民法770条1項1号から4号までに該当する場合でも、同条2項により裁判離婚できないケースもあります。
とくに、配偶者の精神疾患(民法770Ⅰ④)を理由に離婚をしようとしても、相手の離婚後の療養生活に目途が立っていない場合、民法770条2項を根拠として、裁判離婚が認められない傾向は強いものです(具体的方途の理論)。
2 裁判所は、前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合であっても、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができる。
民法770条2項
❺婚姻を継続し難い重大な事由(民法770条1項5号)
民法の離婚事由とされる「その他婚姻を継続し難い重大な事由」とは、婚姻関係が破綻して、婚姻の本質に応じた共同生活の回復の見込みがないことを指します。
別居期間の長さ、夫婦の会話や交流の有無・内容、性的関係の有無、不和の原因など、総合的に考慮して、離婚事由に該当するか否かが判断されます。
具体例
婚姻を継続し難い重大な事由に該当する可能性がある事情としては、3年以上の別居、家庭内暴力(DV)、モラルハラスメント、セックスレス、配偶者の宗教活動・アルツハイマーなどの病気・民法770条1項4号に該当しない精神疾患・借金などによる夫婦不和、配偶者の服役などが考えられます。
ただし、離婚事由に該当するか否かは、個別の事案やその程度にもよります。
離婚で役立つ法律上の権利
離婚時や離婚後に持つ権利は?
離婚する時には、配偶者に対して以下のような権利を持ちます。
- 財産分与請求権(民法768条)
- 慰謝料請求権(民法709条、710条)
- 養育費請求権(民法766条)
- 年金分割請求権(厚生年金保険法78条の2)
上記の権利は、離婚後も、時効をむかえるまで一定期間内は消えません。
また、上記のほか、離婚にともない有することになる法律上の権利には、離婚を前提とする別居中の生活費(婚姻費用)を請求できる権利(民法752条)もあります。
また、離婚にともない、子どもと一緒に暮らしていない親は、子どもと面会する権利(面会交流権、民法766条)や、子の引き渡しを求める権利、親権者・監護権者の変更を求める権利などを持っています。
このような権利が法律で決められているということは、裁判所が認めれば、強制的に実現させることもできるということを意味しています。
お金を請求できる法律上の権利であれば、差し押さえなどの法的手続きによって、強制的に実現させることもできるのです。
財産分与
財産分与とは、夫婦が婚姻中に協力して築いた財産を、離婚時に公平に分け合う手続きです。
専業主婦(主夫)も財産分与を受け取る権利を持っています。主に相手の収入によって築かれた財産であっても、こちらも家事や育児を通して収入に貢献していたのですから、原則として財産の2分の1を受け取ることができます。
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慰謝料
慰謝料は、離婚そのものによって受けた精神的苦痛に対する離婚慰謝料と、不倫や暴力などの行為に対する不法行為慰謝料とに分けられます。後者はよく不倫慰謝料などと呼ばれます。
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養育費
養育費は、子どもを養育するのに必要なあらゆる費用のことをいい、多くの場合は、離婚後に子どもを育てる親に対して毎月支払うお金のことを指します。
離婚時に後述の手続きを行っておけば、将来養育費の支払いが滞ったときに、強制執行(差し押さえ)を用いて強制的に支払わせることができるようになります。
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婚姻費用
離婚前の別居の段階では、別居中の生活費として婚姻費用を請求することができます。
婚姻中、夫婦は互いに協力し、扶助しあわなければならないという義務を負っています。したがって、別居していても、収入の多い方の配偶者に対して婚姻費用の分担を請求する権利があります。
婚姻費用の請求には、婚姻費用請求調停・審判を利用することができます。
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離婚時の年金分割(配偶者の年金を分けてもらう)
年金分割という制度を使うと、将来的に離婚した配偶者の年金を分けてもらうことができます。
年金分割の手続きには合意分割と3号分割の2種類があり、3号分割であれば相手の同意も必要ありません。
将来の生活を安定させるためにも、離婚時に忘れずに手続きを行いましょう。
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離婚に役立つ法律知識
財産の差し押さえができる
離婚時には財産分与や慰謝料、養育費、婚姻費用を受け取る権利があります。しかし、「いつまでにいくら払う」という約束をしても、支払いが履行されないことは少なくありません。
そういった場合は、一定の法律上の手続きを踏めば、強制執行を用いて、強制的に支払わせることができます。
強制執行の中にも間接強制や直接強制がありますが、最もイメージしやすいのは財産や給与の差し押さえです。
強制執行を行うためには、あらかじめ債務名義を得ておく必要があります。債務名義は、調停や審判、裁判で支払いの義務が認められることで得られます。
さらに、裁判所の手続きを経ていなくても、強制執行を認める旨を書いた公正証書を作成しておけば、それが債務名義となります。
協議離婚をする際は、取り決めを公正証書にしておくことをおすすめします。
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・離婚時の取り決めを強制執行で実現する方法|慰謝料・養育費など
離婚協議書・公正証書を作成するメリット
離婚協議書は、協議離婚をする際に任意で作成できる契約書のような書面で、合意の内容を記載します。
離婚協議書は法律に定められたものではないため、作っても作らなくてもよく、書式や記載する内容も基本的に自由です。当事者は、離婚協議書に書かれた内容を守らなければなりませんし、合意した内容を証明する大切な証拠資料になります。
さらに、離婚協議書を公正証書の形にすることもあります。
公正証書とは、公証役場にて公証人と呼ばれる専門家によって作成される公文書で、当事者同士で作った離婚協議書よりも、さらに強い効力を持つものです。
金銭の支払いについて公正証書で定めておくと、支払いが履行されなかったときに調停や裁判の手続きを経ずに強制執行を行えるようになります。
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・離婚時に公正証書を作成するメリットは?どうやって作成する?
離婚後の苗字は自由に選べる
結婚するときに苗字を変えた人(多くの場合は妻)は、離婚時に旧姓に戻るのが原則ですが、離婚から3か月以内に手続きを行えば、相手の苗字を使い続けることができます。
この制度を婚氏続称といいます。
婚氏続称に必要な手続きは役所への届出のみで、相手の許可も必要ありません。
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離婚の法律相談はどこでできる?
離婚の法的知識について気になることがあったら、専門家への相談も検討しましょう。
弁護士
弁護士は、離婚のあらゆる法律問題に対処することができます。
依頼者の代理人として相手方との交渉を行ったり、離婚調停や裁判に出廷することは、弁護士にしか認められていません。
弁護士に法律相談をするには、インターネットなどで離婚を扱う法律事務所を探して相談しに行ったり、弁護士会や法テラス、役所などの提供する法律相談を利用することもできます。
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行政書士・司法書士
行政書士は書類作成に関する専門家で、離婚協議書や公正証書などに関する相談が可能です。
司法書士は、登記の専門家です。離婚に伴って家や土地の名義を変えることはよくありますが、登記に関する相談をするなら司法書士が向いています。
行政書士や司法書士に、離婚交渉や離婚条件などについての具体的な法律相談をすることはできませんが、費用が比較的安価です。
自身の困りごとに合わせて、誰に相談するのかを決めるのがよいでしょう。
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無資格者の法律相談は違法
離婚カウンセラーや夫婦問題カウンセラーといった肩書の人が、離婚相談を行っていますが、これは法律相談というより夫婦の関係修復や気持ちに関する相談です。
弁護士や行政書士、司法書士の資格を持たない人が有償で法律相談を行うことは違法です。離婚協議書や調停、裁判手続きなどについて相談したい場合は、法律の専門家を選びましょう。
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離婚にまつわる裁判の心得・法律の落とし穴
裁判は法律や判例に基づいて判断される
夫婦の状態が法定離婚事由にあてはまるのか、離婚を認めてよいのかを決める際に、裁判官は、法律やこれまでに蓄積された裁判例に基づいて判断を下します。
先ほど述べた「精神疾患で離婚を認める基準」(具体的方途の理論。民法770条2項参照)も、過去の裁判例によって確立されたものです。
したがって、離婚裁判を起こす場合は、法律や判例を強く意識することになるでしょう。
とはいえ、裁判官には一定の裁量権があり、個々の事情を鑑みて柔軟に基準を解釈・適用することもあります。
少しでも有利に離婚裁判を進めるためにも、離婚をあつかう弁護士のナビゲートがあると心強いものです。
合意した離婚条件が法律で無効になることもある
夫婦の合意があれば、法律や判例などに縛られず、自由に離婚理由や離婚条件を決めることができます。
ただし、このルールには例外があり、公序良俗に反する条項や強行法規に違反する取り決めは、夫婦の合意があったとしても無効とされています。
公の秩序又は善良の風俗に反する法律行為は、無効とする。
民法90条
公序良俗とは、法律の中に細かく定められてはいないものの、社会通念上求められる道徳や秩序のことをいいます。
強行法規とは、法律の条文の中でも公の秩序に関する規定のことをいい、当事者の合意によって変更することはできません。
たとえば、以下のような条項は、当事者の合意があったとしても調停や裁判では認められませんし、離婚協議書に書いたとしても強制力を持ちません。
- 再婚を禁止する
- 婚姻中の苗字の使用を禁止する
- 利息制限法の上限を超える金利の遅延損害金を設定する
そのほか、夫婦の自由な取り決めよりも優先すべきものとして、子どもの利益が定められています。以下は、子どもの監護者(世話をする人)や面会交流、養育費についての条文です。
(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
民法766条
第七百六十六条
父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
たとえば、以下のような取り決めは、子どもの利益を害するおそれがあると考えられ、無効となる可能性があります。
- 養育費請求権を放棄する
- 面会交流権を放棄する
- 将来的な親権者の変更を予定する
- 将来的な親権者の変更を禁止する
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
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ご自身の事案で、婚姻を継続し難い重大な事由に該当する可能性があるかどうか、知りたい場合は、離婚をあつかう弁護士におたずねください。