配偶者から家などの不動産を相続したら相続税はかかる?使える特例と注意点

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配偶者から不動産を相続する場合、相続の流れや相続税の基本について理解しておく必要があります。

また、配偶者から不動産を相続する場合に利用できる控除や特例などを知っておくと、相続税の負担を減らしつつ、不動産を相続することが可能です。

この記事では、配偶者から住宅を相続する際に知っておきたい基礎知識について解説します。

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配偶者から不動産を相続する際の基本事項

配偶者から不動産を相続する流れ

配偶者から不動産を相続する流れは、以下のようになります。

  1. 相続人の確定
    被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を取り寄せて、相続人を特定する
  2. 遺言書の有無の確認
    被相続人が遺言書を残していないかを確認する
  3. 遺産の調査・財産目録の作成
    被相続人の財産をすべて洗い出して、財産目録を作成する
  4. 遺産分割協議の実施
    遺言書がない場合などに、相続人全員が参加して、遺産をどのように分けるのかを話し合う
  5. 遺産分割協議書の作成・署名押印
    遺産分割の合意内容を書面にまとめて、相続人全員の署名・押印を行う
  6. 相続税申告
    相続税の申告・納付が必要な場合は、手続きを行う
  7. 相続登記
    相続した不動産の相続登記を行う

遺言書がある場合は、原則として遺言書の内容に従って遺産を分けます。遺言書で取得する人が決まっている財産については、遺産分割協議を行う必要はありません。

遺産の調査は漏れがないように注意

相続税の対象となる遺産を見落とすと、過少申告加算税や無申告加算税、延滞税などのペナルティが生じる恐れがあるので注意しましょう。

相続税の課税対象となる財産について知りたい方は『相続税の課税対象が一覧でわかる!課税対象外の財産も解説』の記事をご覧ください。

相続登記は義務

令和6年(2024年)4月1日から、相続登記の申請が義務化されました。

義務化以前に発生した相続であっても、まだ相続登記が済んでいない不動産には登記義務があるので注意してください。

相続登記の期限

  • 令和6年4月1日以降(義務化以降)の相続
    不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内
    ※その後に遺産分割が成立した場合は、成立日から3年以内に分割内容を反映した登記が必要
  • 令和6年3月31日(義務化以前)までの相続
    原則として2027年3月31日まで
    ※不動産を相続したことを2024年4月1日以後に知った場合は、その日から3年以内

正当な理由なく放置した場合は、10万円以下の過料が科されます(不動産登記法第164条1項)。

また、相続登記を行う際には相続税とは別に登録免許税を支払う必要があります。

登録免許税がいくらになるのかを知りたい方は『相続登記の登録免許税はいくら?計算方法と軽減措置・費用を解説』の記事をご覧ください。

相続した不動産に相続税がかかる条件|相続税の基礎控除

原則、小規模宅地等の特例などを適用する前の課税価格の合計額が基礎控除額を超える場合には、相続税の申告が必要になります。

相続税の基礎控除とは、相続税の課税対象となる財産額から差し引くことができる金額です。

相続税の基礎控除額は、以下のように計算します。

【基礎控除額の計算方法】
基礎控除額=3,000万円+(600万円×法定相続人の数)

基礎控除額は、法定相続人が1人の場合は3,600万円、2人の場合は4,200万円です。

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相続税の申告期限は10か月以内

相続税の申告・納付が必要な場合は、相続の開始があったことを知った日(通常は被相続人が亡くなった日)の翌日から10か月以内に、被相続人の住所地を管轄する税務署に申告します。

申告書の提出方法は、持参や郵送のほか、e-Tax(電子申告)でも可能です。

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相続税申告書の概要と記載内容

相続税の申告書は、相続税の課税対象となる財産や相続税額などを申告するための書類です。

相続税の申告書は、税務署の窓口でもらえるほか、国税庁のホームページからもダウンロードできます。

申告書には、以下の情報などを記載します。

  • 被相続人および相続人の氏名、住所、生年月日
  • 相続財産の種類、評価額
  • 課税遺産の総額、相続税の総額

相続税申告書は、正確に記入することが重要です。

記載に誤りがある場合は、税務署から指摘を受ける可能性があります。

相続税の申告書作成は、自分で行うこともできますが、専門的な知識を要するため、税理士に依頼することをおすすめします。

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不動産の相続税評価額の計算方法

相続税を計算する際には、対象となる財産の相続税評価額を明らかにする必要があります。

不動産の相続税評価額は、土地部分と建物部分に分けて評価額を出し、合算して算定するのです。

住宅の土地部分の評価方法

土地は原則として時価を基準とし、路線価方式または倍率方式を用いて計算します。

路線価方式の基本計算式

  • 相続税評価額 = 路線価(円/㎡)× 補正率 × 地積(㎡)

倍率方式の基本計算式

  • 相続税評価額 = 固定資産税評価額 × 評価倍率

土地は相続税法上「時価」により評価するとされていますが、実務では国税庁が定める路線価方式または倍率方式を用いて算出し、この評価額は実際の売買価格(実勢価格)と必ずしも一致しない点に注意が必要です。

より詳しい評価方法を知りたい方は『土地の相続税評価額の計算方法と形状による減額補正をわかりやすく解説』の記事をご覧ください。

住宅の建物部分の評価方法

一般的な家屋は、固定資産税評価額を基準に「固定資産税評価額×1.0」で評価します。

ただし、建物を有償で貸している場合には計算方法が異なり、一定の分譲マンションは区分所有補正率による補正が必要です。

より詳しい計算方法を知りたい場合は『建物の相続税評価額の計算方法|築年数の影響と家屋の評価』の記事で確認可能です。

被相続人が亡くなって住宅を相続する配偶者は、住宅の相続税評価額を正しく把握することが重要です。

相続税評価額を過大に出してしまうと、相続税の負担が大きくなります。反対に、過少評価した場合は過少申告加算税等のペナルティの対象になる可能性があるでしょう。

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相続税評価額とは?土地や建物ごとの計算方法・調べ方と固定資産税評価額との違い

税務調査を受けやすいケースとは

税務調査とは、税務署が納税者の申告内容を調査し、正確な申告が行われているかどうかを調査するためのものです。

税務調査は、納税者全員に行われる可能性がありますが、特に以下のケースでは、税務調査の対象になりやすいと考えられます。

  • 相続財産全体の評価額が大きい場合
  • 申告額に対して不自然な点がある場合
  • 過去に悪質な申告漏れや申告内容に誤りがある場合

国税庁が公表している「令和6事務年度における相続税の調査等の状況」によると、資料情報などから申告額が過少と想定される事案や、申告義務があるのに無申告と想定される事案などについて、実地調査が行われています。不動産の評価を誤るなどして申告額が過少になっていると、調査の対象になる可能性があります。

税務調査の対象となった場合、税務署から申告内容について説明を求められることもあります。

また、申告内容に不備や誤りがあると、修正申告を促されることもあるでしょう。

税務調査のリスクを避けるためにも、申告書の記載内容や添付書類を誤りなく作成することが重要です。

相続税に強い税理士に相談し、申告書の作成や税務調査対策を依頼することも検討しましょう。

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不動産相続に関して配偶者が利用できる控除・特例

配偶者控除(配偶者の税額軽減)で相続税の負担を大幅に軽減

相続税における配偶者控除(配偶者の税額軽減)とは、被相続人の配偶者が取得した財産のうち、1億6,000万円または法定相続分のいずれか多い金額まで相続税が減額される制度です。

配偶者控除の適用により、配偶者が取得した財産の額が1億6,000万円または法定相続分相当額のいずれか多い金額までであれば、配偶者の相続税額が0円になります。

ただし、隠蔽や仮装をしていた財産は、配偶者の税額軽減の対象になりません。

配偶者控除の適用を受けるためには、以下の要件を満たす必要があります。

  • 被相続人と法律上の結婚関係にある
  • 原則として、相続税の申告期限までに遺産分割が完了している
  • 必要書類を添付して相続税の申告を行う

なお、申告期限までに遺産分割が完了していなくても、申告書に「申告期限後3年以内の分割見込書」を添付し、原則として申告期限から3年以内に遺産分割を行えば、分割成立日の翌日から4か月以内に更正の請求をすることで、配偶者控除を適用できます。

遺産が高額になる場合は、配偶者控除の適用も検討しましょう。

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相続税の配偶者控除とは?計算方法と二次相続への影響を解説

相続後も配偶者が家に居住できる「配偶者居住権」

配偶者居住権とは、被相続人が亡くなった後も、配偶者が自宅に住み続けることができる権利です。

配偶者居住権を設定することで、残された配偶者は、自宅を他の相続人が相続しても住み続けることができ、二次相続まで含めると相続税の負担を抑えられる場合があります。

たとえば、遺産が自宅(評価額3,000万円)と預貯金2,000万円で、相続人が妻と子2人の場合、法定相続分は妻が2,500万円、子が1,250万円ずつです。妻が自宅をそのまま相続すると、法定相続分を500万円上回るため、預貯金を受け取れないうえに、子に代償金を支払わなければならないこともあります。

自宅を配偶者居住権とそれ以外の所有権に分け、配偶者居住権を1,200万円と仮定すると、妻は配偶者居住権1,200万円と預貯金1,300万円を受け取り、子2人は所有権(1,800万円)と預貯金700万円を分け合う形にできます。自宅に住み続けながら、生活資金も確保しやすくする方法です。

※金額は説明のための仮定で、配偶者居住権の評価額は実際にはケースごとに計算する必要があります。

配偶者居住権は配偶者が亡くなると消滅するため、その配偶者が亡くなったときの相続(二次相続)では相続税の対象になりません。一方、最初の相続では、配偶者居住権も相続税の対象になる財産として評価されます。

配偶者居住権を設定するには、以下の要件を満たしている必要があります。

配偶者居住権の要件

  • 人的要件
    被相続人の法律上の配偶者であること(内縁の配偶者は対象外)
  • 建物の要件
    • 被相続人の単独所有建物、または被相続人と配偶者の共有建物であること
      ※被相続人が配偶者以外の者と共有していた建物には、配偶者居住権を設定できない
    • 相続開始時点で配偶者が居住していた建物であること
  • 取得方法の要件(以下のいずれかによって取得する)
    • 家庭裁判所の審判
    • 遺産分割協議による取得
    • 遺言による遺贈
    • 死因贈与契約

要件を満たせば配偶者居住権を設定できますが、第三者に対して居住の権利を主張するためには、登記をしておく必要があります。

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配偶者居住権の相続税評価額は?計算方法や評価明細書の書き方、節税効果

小規模宅地等の特例で不動産の相続税評価額を減額

小規模宅地等の特例とは、土地を相続したときに一定の要件を満たしている場合、その土地の評価額を減額できる制度です。

減額の程度については土地の種類によって違いがありますが、「特定居住用宅地等」に該当する土地ならば330㎡を限度に80%の減額が可能となります。

小規模宅地等の特例を適用できる土地の種類は、以下のとおりです。

  • 特定居住用宅地等:被相続人(または生計を一にする親族)の自宅などとして使用
  • 特定事業用宅地等:被相続人が個人事業で使用
  • 特定同族会社事業用宅地等:被相続人の会社(同族会社)として使用
  • 貸付事業用宅地等:被相続人が貸地や貸家など貸し付け用として使用

配偶者から自宅を相続する場合は、特定居住用宅地等に該当し、土地の相続税評価額を80%減額することが可能です。

被相続人が事業を営んでいた土地を配偶者から相続した場合は、事業の継続や宅地の保有などの要件を満たすことで特例による減額が可能となるでしょう。

配偶者が自宅の土地を相続する場合は、相続税の申告期限まで住み続けることや、その土地を持ち続けることは要件になっていません。一方、被相続人と同居していた子などの親族が相続する場合は、相続開始の直前から申告期限まで住み続け、その土地を持ち続けることが必要です(国税庁「No.4124 相続した事業の用や居住の用の宅地等の価額の特例(小規模宅地等の特例)」)。

ただし、配偶者が相続する場合でも、被相続人が自宅として使用していた土地であることが前提です。

被相続人が老人ホームなどに入居していた場合も、入居時の被相続人の状況や、入居後の自宅の使い方について一定の要件を満たせば、居住用の土地として扱われます。

一方、別のマンションに移って2年余り暮らしていた被相続人について、請求人(相続人)は転地療養のための一時的な入居だと主張しましたが、元の自宅の敷地は相続開始の直前に居住の用に供されていた宅地等に当たらないと国税不服審判所が判断した事例があります(令7.12.11 大裁(諸)令7-53)。被相続人が療養などで長く別の住まいで暮らしていた場合は、元の自宅で特例を使えるかを早めに確認しておくことが大切です。

小規模宅地等の特例を適用できる要件は複雑なケースもあるため、専門家である税理士に相談することをおすすめします。

なお、小規模宅地等の特例を利用するためには、原則として申告期限までに遺産分割が終了しており、申告書を提出することが必要です。

小規模宅地等の特例の制度に関して詳しく知りたい方は『小規模宅地等の特例とは?要件・計算方法をわかりやすく解説【フローチャート付き】』の記事をご覧ください。

配偶者からの不動産相続に関するよくある質問

被相続人(配偶者)の住宅を相続した場合、相続税はかかりますか?

被相続人の配偶者の場合、配偶者控除(配偶者の税額軽減)の適用により相続税がかからない場合もあります。ただし、税額が0円になる場合でも、相続税の申告書の提出が必要です。

配偶者控除(配偶者の税額軽減)とは、配偶者が取得した財産のうち、1億6,000万円または法定相続分相当額のいずれか多い金額まで、配偶者に相続税がかからない制度です。

ただし、配偶者控除の制度を利用するには、税額が0円になる場合も申告書の提出が必要となります。

住宅を相続する際、相続税の申告はいつまでに行えばいいですか?

相続税の申告期限は、被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10か月以内です。

申告期限を過ぎると、無申告加算税や延滞税などのペナルティが課される可能性があります。

そのため、相続税の申告は、必ず期限内に行うようにしましょう。

相続税の申告にはどのような書類が必要ですか?

相続内容によって異なりますが、一般的に、相続税の申告には以下の書類などが必要です。

  • 相続税申告書
  • 遺言書または遺産分割協議書
  • 印鑑登録証明書
  • 登記簿謄本
  • 固定資産評価証明書
  • 住宅地図
  • 路線価図または倍率表
  • 預貯金の残高証明書
  • 死亡保険金支払通知書

配偶者から住宅を相続する場合、どのような節税対策ができますか?

配偶者から住宅を相続する場合の節税対策として、以下の方法などが考えられます。

  • 配偶者控除の適用
  • 小規模宅地等の特例の適用

これらの適用について検討することで、配偶者にかかる相続税負担を軽減できるでしょう。

ただし、配偶者が多くの財産を相続すると、配偶者の税額軽減によって今回の相続税は抑えられても、その配偶者が亡くなったときの相続(二次相続)で子の相続税が重くなる場合があります。同居している子が自宅を相続すれば、子も一定の要件のもとで小規模宅地等の特例を使えるため、最初の相続で子が自宅を引き継ぐ方法も考えられます。

一次相続で配偶者がどれだけ相続するかは、二次相続の税額も含めて試算したうえで決めることが大切です。夫が亡くなり、80代の妻と独立して生計を立てている子3人が相続人となったケースでは、遺産は長年住んできた自宅の土地・建物と現預金でした。妻が相続する割合をいくつかのパターンで試算し、二次相続で子が支払う税額も含めた家族全体の税負担を示したうえで、小規模宅地等の特例を活用し、納税なしで期限内に申告を終えています。

相続について税理士に相談すると、どんなメリットがありますか?

相続税について税理士に相談することで、以下のようなメリットがあります。

  • 相続税の基礎知識や節税対策をアドバイスしてもらえる
  • 相続税の申告書の作成を代行してもらえる
  • 税務調査が行われた場合もサポートしてもらえる

相続税の申告には、専門的な知識や相続財産の正しい評価が求められます。

そのため、相続税に強い税理士に依頼することで、安心して相続税申告を進めることができるでしょう。

遺産分割がまとまらないまま申告期限が近づいている場合や、自宅の土地に小規模宅地等の特例を使えるか迷う場合は、早めに税理士へ相談しておくと、期限内の申告に向けた準備を進めやすくなります。

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