ネットの誹謗中傷|投稿者に法的責任を問うには?

更新日:
ネットで誹謗中傷

この記事でわかること

  • 誹謗中傷とは?
  • ネットの誹謗中傷で法的責任を追及できる?
  • ネットの誹謗中傷への対応方法

誹謗中傷とは?

誹謗中傷の意味

デジタル大辞泉(小学館)によると、誹謗中傷とは、次のように定義されています。

「誹謗中傷」

根拠のない悪口を言いふらして、他人を傷つけること。

デジタル大辞泉(小学館) weblio辞書

誹謗中傷という言葉は法律上の用語ではなく、一般的に用いられる言葉です。悪口、嫌がらせ、なりすまし、法律上の不法行為(権利侵害)、犯罪行為など、実にさまざまなケースが誹謗中傷には含まれます。一般的には、人や企業に対して不快な思いや恐怖心をもたらすものはすべて誹謗中傷と捉えられています。

ネットの誹謗中傷の具体例

ネット上の誹謗中傷は、SNSや掲示板をはじめとするあらゆる場面で起こりえます。代表的なものとしては、TwitterやInstagramで個人を攻撃する目的で発信されたコメントや、爆サイや5ちゃんねるで書き込まれた会社の悪評があります。実名をあげて誹謗中傷しているものも多く、単なる悪口では済まされない法的問題があるケースも少なくありません。

最近では、YouTubeやTikTokに代表される動画を使った誹謗中傷も目立ちます。個人の感想や主観的評価を超えて、他人を傷つけるコンテンツを配信している場合には、そのコンテンツやアカウントは規約違反として削除の対象になります。

ネットの誹謗中傷で法的責任を追及できる場合

刑事責任を追及できる場合

ネットの誹謗中傷は、単に個人を不快な思いにさせるだけではなく、法規範に触れる犯罪行為になることがあります。刑事事件として問題になる場合は、「〇〇罪」として処罰の対象になります。被害者として警察や弁護士に相談をする場合、その誹謗中傷がどのような犯罪を構成するか、代表的なものをまとめておきたいと思います。

犯罪になる誹謗中傷

  • 名誉毀損罪 
  • 侮辱罪
  • 信用毀損罪
  • 脅迫罪

それぞれの犯罪の詳細につきましては、記事『【ネットの誹謗中傷】弁護士が解説する法的責任の追及方法』で解説していますので参考にしていただければと思います。

民事責任を追及できる場合

ネット上で誹謗中傷された場合、その内容によって対応策は変わります。刑事事件として警察に通報するほかに、民事事件として投稿者に損害賠償請求を検討するケースがあります。

詳しくは各特集記事をご覧ください。

ネットの誹謗中傷で慰謝料請求は可能か?

SNSで誹謗中傷されたとき、投稿者に対して慰謝料を請求したいと考える方も多いです。権利侵害は民法709条に定められた不法行為責任を問いうる問題です。誹謗中傷によって損害を被った場合には、その損害額の賠償請求をすることもあります。

ただし、投稿者に民事責任を問うときには、投稿者を特定する手続きが必要になります。投稿者の特定ができる期間は限定されているため、注意が必要です。

投稿者がどこの誰であるかを特定することができれば、相手に慰謝料請求することが可能になります。

相手方の特定や視野領請求については、以下の関連記事もお役立てください。

ネットで誹謗中傷された場合の対応方法

投稿の削除を依頼する

ネット上の侮辱は、放置しておくとさらにひどい書き込みが行われたり、SNSで拡散される危険があります。いわゆる「炎上」の状態になると、完全に鎮火するには相当な時間と労力が必要になります。そのため、問題の部分を削除したり、問題のアカウントを凍結(垢BAN)することも重要な対策だといえます。

サイト管理者に削除を求めるときには、次の点に注意する必要があります。

  1. 誹謗中傷の被害者本人が削除の依頼を行うか、弁護士に依頼して行う
  2. 「誰に対する権利侵害か」がわかること
  3. 「権利侵害性」があること

削除を求める場合にも法的主張を行い、権利侵害性があることを述べる必要があります。手続き方法は誹謗中傷をされたコンテンツによりますので、特集記事で手続き方法やポイントをご確認ください。

誹謗中傷の削除依頼方法

法律事務所へ相談する

前述の通り、投稿の削除依頼はご自身で行うか、弁護士に依頼する必要があります。削除依頼には法的知識やネット分野の知識が必要になります。

あてはまる方は弁護士に依頼がおすすめ

  • 削除を求める際の法的主張をどうすればいいかわからない
  • 削除を自分で試したけれども削除できなかった、再トライしたい
  • 刑事告訴が認められなかった
  • 削除したい投稿数が多くて自分だけでは難しい

上記にあてはまる場合には、弁護士へ早めのご相談をおすすめします。

また、誹謗中傷の犯人を特定し、民事事件で訴えるという方法もあります。その場合、「犯人特定」「民事裁判の手続き」という二本立てで進める必要があります。裁判手続きが必要となるため、民事裁判を取り扱っている弁護士事務所を探しましょう。打合せ等が必要になることから、行きやすい範囲で探すことがおすすめです。

警察へ相談する(刑事告訴)

誹謗中傷が個人の感想や評価にとどまらず、名誉毀損的な内容であったり、誰かの身に危害を与えるような内容である場合には、刑事告訴に踏み切ることも重要な判断です。告訴を受けた警察は、犯人を特定し、呼び出しをして取調べをするか逮捕して身体を拘束します。
刑事事件の被疑者とされた者は、最終的には検察官に刑事処分を受けることになります。ネット誹謗中傷の再犯防止を狙うためにも、刑事事件化することも視野にいれておくことが望ましいです。

自分に向けられた誹謗中傷が立件可能かどうかお知りになりたい時は、事前に最寄りの警察署へ相談することができます。

まとめ

誹謗中傷を受けたとき、その心の痛みや恐怖は被害者にしかわかりません。例えば、配信活動で顔を出しているからといって、その個人に悪口を投げかけるのは、正当な表現行為とは認められません。企業や店舗の口コミは多くの人のためになるため、広く認められるべきものです。しかし、その中でも個人の意見や評価を超えて、信用を失墜させるような書き込みをすることは許されません。

ネット上で誹謗中傷・悪口・攻撃の対象となってしまったとき、大切なことは一人で抱え込まないことです。ネットに詳しい弁護士に相談し、事態が悪化するのを防ぐ方法や、炎上への正しい対応方法について情報収集してください。

岡野武志弁護士

監修者


アトム法律事務所

代表弁護士岡野武志

詳しくはこちら

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。

保有資格

士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士

学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

現在、相談窓口を鋭意準備中です。
何卒ご理解賜りますようお願い申し上げます。