第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。
「刑事事件弁護士アトム」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。
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刑事事件の流れを弁護士が解説|逮捕から判決までの時間制限と対処法

2025年6月より、懲役・禁錮刑が「拘禁刑」に統一されました。
刑事事件は、捜査→逮捕→勾留→起訴→裁判→判決という流れで進みます(在宅事件の場合は逮捕・勾留はされない)。
逮捕された場合、起訴されるかどうかが決まるまで最大23日間身柄を拘束され、起訴されると99%以上が有罪となり前科がつきます。一方で、不起訴処分を獲得できれば前科はつきません。
刑事事件は時間との勝負です。特に逮捕後から勾留請求されるまでの72時間以内の対応が、その後の結果を大きく左右します。
この記事では、刑事事件に精通した弁護士が、事件発覚から判決までの流れを時間制限と各段階でできることに焦点を当ててわかりやすく解説します。
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目次
刑事事件の流れ
刑事事件は、警察による捜査から始まり、状況に応じて逮捕・勾留され、検察による起訴判断を経て、刑事裁判、判決という流れで進行します。

まず理解しておきたいのは、刑事事件には大きく分けて「身柄事件」と「在宅事件」の2つがあるということです。
身柄事件と在宅事件の違い
すべての刑事事件で逮捕されるわけではありません。令和4年度の統計によると、捜査機関が認知した事件のうち被疑者が逮捕されたのは34.8%にとどまっています(令和6年版 犯罪白書より)。
身柄事件と在宅事件の違い
| 項目 | 身柄事件(逮捕あり) | 在宅事件(逮捕なし) |
|---|---|---|
| 割合 | 約35% | 約65% |
| 身柄拘束 | 最大23日間 | なし |
| 生活への影響 | 仕事・学校に行けない | 日常生活を継続可能 |
| 起訴/不起訴が決まるまでの期間 | 最大23日間 | 緩やか(数ヶ月〜1年以上) |
逮捕されていないからといって安心はできません。在宅事件でも最終的に起訴されれば、前科がつく可能性は身柄事件と同じです。
以下では、より緊急性の高い身柄事件(逮捕された場合)の流れを中心に解説していきます。
事件発覚〜逮捕|捜査の開始
刑事事件が始まるきっかけ
刑事事件の捜査は、警察などの捜査機関が事件の発生を認知することから始まります。
事件発覚の主なきっかけ
- 被害届の提出・刑事告訴・告発
- 職務質問・所持品検査
- 検問
- 自首
- 防犯カメラ映像の解析
事件を認知した警察は、被疑者(容疑者)本人の取調べや任意聴取、被害者・目撃者への聞き込み、証拠品の収集や家宅捜索などを行います。
逮捕の3つの種類
捜査の結果、警察が必要と判断すれば被疑者を逮捕します。逮捕には以下の3種類があります。
【種類別】逮捕の特徴
| 種類 | 要件 | 特徴 |
|---|---|---|
| 通常逮捕 | 犯罪の嫌疑+逃亡・証拠隠滅のおそれ | 裁判官が発付した逮捕状が必要 |
| 現行犯逮捕 | 犯行中または犯行直後 | 逮捕状不要、一般人も可能 |
| 緊急逮捕 | 重大事件で急を要する場合 | 逮捕後に逮捕状を請求 |
逮捕の要件を満たさない場合は在宅事件として捜査が進められます。在宅事件では、日常生活を送りながら、警察や検察の呼び出しに応じて取調べを受けることになります。
逮捕後72時間|勾留が決まる最初の壁
逮捕されてからの72時間は、刑事事件において最も重要な時間です。この間に勾留請求されるかどうかが決まり、ご家族であっても面会は原則として認められません。
警察官による取調べ(48時間以内)

逮捕された被疑者は警察署の留置場に入れられ、警察官による取調べを受けます。警察は逮捕から48時間以内に、事件を検察官に送致(送検)するかどうかを判断します。
なお、軽微な犯罪で一定の要件を満たす場合は、微罪処分として検察官に送致せずに事件が終了することもあります。この場合、前科はつきません。
検察官による取調べ(24時間以内)

送致を受けた検察官は、24時間以内に被疑者を取調べ、勾留請求を行うかどうかを判断します。
勾留請求が行われると、裁判官が被疑者と面会し(勾留質問)、勾留の必要性を判断します。
72時間で弁護士ができること
逮捕から勾留までに弁護士ができること
| 弁護活動 | 内容 |
|---|---|
| 接見(面会) | 家族が会えないこの期間、弁護士だけが被疑者と面会できる |
| 取調べ対応のアドバイス | 黙秘権の行使、供述調書への対応を助言 |
| 勾留阻止の意見書提出 | 検察官・裁判官に「勾留の必要がない」と働きかけ |
| 家族への状況報告 | 本人の様子や今後の見通しを伝える |
逮捕から勾留請求までの72時間以内に弁護士が活動を始めることで、勾留を回避し早期釈放される可能性が高まります。唯一面会ができる弁護士に、早めに連絡を取ることが重要です。
勾留期間|最大20日間の身柄拘束
勾留とは

勾留(こうりゅう)とは、逮捕に続いてさらに長期間、被疑者の身柄を拘束する手続きです。
裁判官が勾留を認めると、原則10日間、延長を含めて最大20日間、留置場や拘置所で身柄が拘束されます。つまり、逮捕から数えると最大23日間、自宅に帰れない状態が続く可能性があるのです。
なお、被疑者段階の勾留では保釈は認められません。保釈が認められるのは起訴された後(被告人勾留)に限られます。起訴直後に保釈請求ができるよう、勾留期間中から準備を進めることが重要です
勾留期間中に決まること
この勾留期間中に、検察官は起訴するか不起訴にするかを判断します。これが刑事事件における最大の分岐点です。
起訴と不起訴の違い
| 処分 | 意味 | その後 |
|---|---|---|
| 起訴 | 裁判にかける | 99%以上が有罪に(前科がつく) |
| 不起訴 | 裁判を行わない | 前科はつかない、即日釈放 |
日本の刑事裁判では、起訴されると99%以上が有罪判決となります。そのため、前科を回避するには不起訴処分の獲得が極めて重要です。
不起訴処分の3つの類型
検察官が不起訴とする理由には、主に以下の3つがあります。
| 類型 | 内容 |
|---|---|
| 嫌疑なし | 犯罪の疑いがない |
| 嫌疑不十分 | 証拠が不十分で立証できない |
| 起訴猶予 | 犯罪の嫌疑はあるが、諸事情を考慮して起訴しない |
被害者のいる事件では、示談の成立が起訴猶予による不起訴獲得に大きく影響します。
勾留期間中に弁護士ができること
勾留期間中の弁護活動と目的
| 弁護活動 | 目的 |
|---|---|
| 準抗告・勾留取消請求 | 勾留決定の取消しを求め、早期釈放を目指す |
| 示談交渉 | 被害者との和解を成立させ、不起訴を目指す |
| 検察官への意見書提出 | 起訴猶予を求める |
| 継続的な接見 | 取調べ対応の助言、精神的サポート |
起訴|正式起訴と略式起訴

検察官が「有罪の可能性が高く、刑事罰を科すべき」と判断した場合、被疑者を起訴します。起訴されると、呼び方が被疑者から被告人に変わります。
正式起訴と略式起訴の違い
起訴には正式起訴(公判請求)と略式起訴の2種類があります。
略式起訴は、100万円以下の罰金または科料を科す場合に限られ、必ず被告人の同意が必要です。検察官から略式請書へのサインを求められ、被告人がサインすることで略式手続きが進められます。
正式起訴と略式起訴の違い
| 項目 | 正式起訴 | 略式起訴 |
|---|---|---|
| 審理方法 | 公開の法廷で審理 | 書面のみで審理 |
| 被告人の出廷 | 必要 | 不要 |
| 科される刑罰 | 制限なし | 100万円以下の罰金・科料のみ |
| 期間 | 約1〜3ヶ月以上 | 即日〜2ヶ月程度 |
| 被告人の同意 | 不要 | 必要 |
略式起訴は、比較的軽微な事件で被告人が同意した場合に選択される簡易的な手続きです。書面審理のみで進み、罰金または科料の略式命令が出されます。
起訴後の身柄拘束と保釈
被疑者勾留中に起訴された場合、特別な手続きを経ることなく、そのまま被告人勾留に切り替わります。
被告人勾留の期間は起訴の日から2ヶ月間で、その後は1ヶ月ごとに更新が可能です(更新回数に上限はありません)。
被疑者段階では認められなかった保釈が、起訴後は認められる可能性があります。
保釈とは、一定の保釈金を納付することで、裁判が終わるまでの間、一時的に身柄を解放してもらう制度です。
保釈が認められれば自宅に戻って生活できますが、以下のような条件が付されます。
- 指定された住所に居住する
- 裁判所の呼び出しに必ず応じる
- 被害者や証人に接触しない
刑事裁判|公判手続きの流れ

正式起訴されると、公開の法廷で刑事裁判(公判)が行われます。
刑事裁判の進行
起訴されてから約1ヶ月後に第1回公判が開かれるのが一般的です。審理期間は事件の内容によって異なりますが、争点の少ない事件であれば2〜3回の公判で終結することが多く、平均で約3ヶ月程度です。
公判は以下の流れで進みます。
1.冒頭手続
- 人定質問
裁判官が被告人の氏名などを確認 - 起訴状朗読
検察官が起訴内容を読み上げる - 黙秘権の告知
裁判官が被告人の権利を説明 - 罪状認否
被告人・弁護人が起訴内容に対する意見を述べる
2.証拠調べ手続
- 冒頭陳述
検察官が証拠で証明しようとする事実を述べる - 証拠の取調べ
証人尋問、証拠書類の朗読、証拠物の展示など - 被告人質問
被告人本人への質問(黙秘権あり)
3.弁論手続
- 論告・求刑
検察官が意見を述べ、求める刑罰を示す - 最終弁論
弁護人が被告人に有利な事情を主張 - 最終陳述
被告人が最後に意見を述べる
これで審理が終わり(結審)、後日または当日に判決が言い渡されます。
刑事裁判の流れの詳細は別記事で解説しているので、興味のある方はご覧ください。
判決|有罪・無罪と刑罰の内容
判決の種類
| 判決 | 内容 | その後 |
|---|---|---|
| 無罪 | 犯罪の成立が認められない | 直ちに釈放、前科なし |
| 有罪(実刑) | 執行猶予なしの拘禁刑 | 刑務所に収監 |
| 有罪(執行猶予付き) | 刑の執行を一定期間猶予 | 日常生活に復帰可能 |
| 有罪(罰金・科料) | 金銭を納付 | 納付後、事件終了 |
執行猶予とは
執行猶予とは、有罪判決を受けても、一定期間(1〜5年)その刑の執行を猶予する制度です。
例えば「拘禁刑2年、執行猶予3年」の判決であれば、3年間犯罪を犯さずに過ごせば、刑務所に入ることなく刑の言い渡しが効力を失います。
ただし、執行猶予付きであっても有罪判決であることに変わりはなく、前科はつきます。
判決に不服がある場合
判決内容に不服がある場合は、判決言い渡しの翌日から14日以内に控訴(高等裁判所への不服申立て)が可能です。
刑罰の執行|判決確定後の流れ

実刑判決の場合
拘禁刑の実刑判決が確定した場合、被告人は受刑者となり刑務所に収監されます。
【判決時の状況別】刑務所への流れ
| 判決時の状況 | 刑務所への流れ |
|---|---|
| 勾留中 | 収容先が決まり次第、刑務所へ移送 |
| 保釈中 | 判決後すぐに身柄拘束、拘置所経由で刑務所へ |
| 在宅 | 後日、出頭命令を受けて刑務所へ |
なお、判決確定前に勾留されていた日数は、刑期から差し引かれます(未決勾留日数の算入)。
罰金・科料の場合
罰金または科料の判決を受けた場合は、後日送られてくる納付書に従って金銭を支払えば事件は終了します。
在宅事件の流れ|逮捕されない場合
ここまで身柄事件を中心に解説してきましたが、在宅事件の場合の流れも確認しておきましょう。
在宅事件の特徴
在宅事件では、逮捕・勾留されないため、捜査期間中も日常生活を送ることができます。ただし、以下の点に注意が必要です。
- 呼び出しには必ず応じる
警察・検察からの呼び出しを無視すると、逮捕される可能性が高まります - タイムリミットが緩やか
身柄事件のような厳格な期限がないため、解決まで数ヶ月〜1年以上かかることもあります - 起訴されれば前科がつく
逮捕されていなくても、起訴されて有罪になれば前科がつきます
書類送検とは
在宅事件では、被疑者の身柄ではなく捜査書類のみが検察官に送られます。これを「書類送検」と呼びます。
書類送検後、検察官が起訴・不起訴を判断するまでに数ヶ月かかることも珍しくありません。在宅起訴された場合は、勾留されることなく裁判を受けることになります。
刑事事件で弁護士に依頼するメリット
刑事事件において、弁護士は単なる「付き添い」ではありません。本人の権利を守り、最善の結果を目指すための唯一の味方です。
弁護士だからできること
| 段階 | 弁護士の役割 |
|---|---|
| 逮捕直後 | 家族が会えない間も接見可能、取調べ対応を助言 |
| 勾留段階 | 勾留阻止・早期釈放のための法的手続き |
| 起訴前 | 被害者との示談交渉、不起訴獲得に向けた活動 |
| 起訴後 | 保釈請求、裁判での弁護活動 |
| 判決後 | 控訴の検討、執行猶予獲得に向けた主張 |
示談交渉は弁護士を通じて
被害者のいる刑事事件では、示談の成立が不起訴や刑の軽減に大きく影響します。
しかし、警察や検察が加害者本人に被害者の連絡先を教えることはほとんどありません。また、被害者が加害者と直接会いたくないと考えるのは当然のことです。
弁護士であれば、被害者の連絡先を取得し、加害者の代理人として誠意ある謝罪と示談交渉を行うことができます。
刑事事件の流れに関するよくある質問
前科がつくと具体的にどのような不利益がありますか?
前科は一般に公開されるものではありませんが、一定の資格(医師、弁護士、公務員など)の取得や維持に影響する場合があります。
また、海外渡航時にビザ申請で申告が求められることもあります。就職活動で賞罰欄への記載を求められた場合、虚偽の記載は経歴詐称となる可能性があります。
被害者が示談に応じてくれない場合はどうなりますか?
被害者が示談を拒否した場合でも、謝罪文の送付や贖罪寄付(被害者支援団体などへの寄付)を行うことで、反省の意思を示すことができます。
これらの活動は、検察官の起訴判断や裁判での量刑に一定の影響を与える可能性があります。
まとめ|刑事事件は時間と対応で結果が変わる
刑事事件の流れを改めて整理します。
身柄事件のタイムライン
- 逮捕〜48時間
警察での取調べ、送致 - 送致〜24時間
検察での取調べ、勾留請求 - 勾留〜最大20日間
起訴/不起訴の判断 - 起訴後〜約1ヶ月
第1回公判 - 公判〜約3ヶ月
審理、判決
押さえておくべきポイント
- 逮捕から起訴まで最大23日間のタイムリミットがある
- 最初の72時間が勾留阻止の勝負どころ
- 不起訴を獲得できれば前科はつかない
- 起訴されると99%以上が有罪判決となる
- 弁護士は各段階で法的サポートが可能
刑事事件は、一度動き出すと止まることなく進んでいきます。「どうしたらいいかわからない」という状況であるほど、早期に専門家の力を借りることが、最善の結果への第一歩です。
アトム法律事務所では、24時間365日、刑事事件のご相談予約を受け付けています。逮捕直後の方、警察から呼び出しを受けた方は、お早めにご連絡ください。

高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。全国15拠点を構えるアトム法律グループの代表弁護士として、刑事事件・交通事故・離婚・相続の解決に注力している。
一方で「岡野タケシ弁護士」としてSNSでのニュースや法律問題解説を弁護士視点で配信している(YouTubeチャンネル登録者176万人、TikTokフォロワー数69万人、Xフォロワー数24万人)。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士、弁理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了

