第二東京弁護士会所属。刑事事件で逮捕されてしまっても前科をつけずに解決できる方法があります。
「刑事事件弁護士アトム」では、逮捕や前科を回避する方法、逮捕後すぐに釈放されるためにできることを詳しく解説しています。
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刑事事件の流れを詳しく解説|逮捕から刑務所に入るまでの流れは?
刑事事件は、警察による捜査から始まり、状況に応じて逮捕・勾留され、検察による起訴判断を経て、刑事裁判、判決という流れで進行します。
はじめて刑事事件への対処が必要になった方は、この先どうなるのか、どう対応すべきかがわからず不安を感じていることでしょう。
特に、逮捕されてしまうと起訴されるまで最大で23日間も身柄を拘束されるため、日常生活に大きな影響を与えます。また、裁判で有罪判決が確定すれば前科がつき、実刑となれば刑務所に収監されることにもなりかねません。
それぞれの段階で適切な弁護活動を行うことによって、逮捕を回避したり、起訴や有罪判決を回避できるケースも多いため、まずは刑事事件の流れや各段階でどのようなことが起こるのかを理解しておきましょう。
この記事では、事件発覚から刑務所に入るまでの刑事事件の流れと、各段階での対応方法を詳しく解説していきます。
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目次
刑事事件の流れ
(1)事件発覚~捜査
刑事事件の捜査は、警察などの捜査機関が事件の発生を認知することから始まります。
警察が事件を認知するきっかけとなるものは、被害届・告訴状の提出などがあります。また、職務質問で所持品検査が行われ、事件に関与している事実が発覚することもあります。
刑事事件発覚のきっかけ
- 被害届の提出・刑事告訴・告発
- 職務質問
- 検問
- 自首
etc.
その後、被疑者(容疑者)自身の取調べ・任意聴取、被害者・目撃者・関係者などへの聞き込みや事情聴取などが行われます。
事情聴取などと並行して、事件に関連する証拠品の収集や家宅捜索などが行われる場合もあります。
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(2)逮捕
捜査機関が捜査を行ったうえで、必要だと判断すれば被疑者を逮捕します。
逮捕には原則として、裁判官が発付した逮捕状(令状)が必要です。警察官が裁判官に逮捕状を請求し、発付された逮捕状を持って警察官が被疑者を捕まえに来るといった流れで逮捕が行われます。
逮捕の種類
逮捕には「通常逮捕(後日逮捕)」「現行犯逮捕」「緊急逮捕」の3つの種類があります。
逮捕の種類 | 要件(逮捕される場合) |
---|---|
通常逮捕 | ・犯罪を疑われる相当の理由がある ・逃亡や証拠隠滅のおそれがある |
現行犯逮捕 | ・犯行中や犯行直後である |
緊急逮捕 | ・重大事件で急を要する ・逮捕状の発付までに逃亡や証拠隠滅のおそれがある |
現行犯逮捕や緊急逮捕の要件に当てはまる場合は、逮捕状を請求している時間がないため、例外的に逮捕状なしで逮捕が可能です。
逮捕後された被疑者は、警察署の留置場に入れられ、警察官からの取調べを受けます。ただし、逮捕されても拘束の必要性がないと判断される場合は、釈放される可能性が高いです。
在宅事件|逮捕されない刑事事件もある
すべての刑事事件において被疑者が逮捕されるわけではありません。実際、令和4年度に捜査機関が認知した事件のうち、被疑者が逮捕された事件は34.3%にとどまっています(令和5年版 犯罪白書より)。
捜査機関が逮捕を行うのは、逮捕の要件である「嫌疑の相当性」と「逮捕の必要性」が満たされている場合です。
被疑者を逮捕しない場合、在宅事件として捜査が行われます。捜査が行われている間も被疑者は日常生活を送ることができますが、警察や検察に呼び出されたら、取り調べを受けることになります。取り調べはあくまで任意ですが、取り調べに応じないと逮捕される可能性が高まります。
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(3)送致
警察官が捜査をした刑事事件は、原則としてすべて検察官へと引き継がれます。事件を検察官に送ることを送致または送検と呼びます。
送致は、逮捕から48時間以内に行わなければいけません。
被疑者が逮捕されていてる場合は、身柄送検といって被疑者の身柄を検察官に引き渡します。一方、在宅事件の場合は、書類送検といって捜査書類のみを検察に送ります。
検察官は、警察から引き継いだ証拠と自ら調べた内容をもとに、勾留請求するかどうかを24時間以内に判断します。
微罪処分|送致されない場合とは?
微罪処分とは、一定の要件を満たす軽微な犯罪のときに、検察官に送致せずに事件を終了させることです。微罪処分となれば、今後捜査が行われることはなく、前科がつくこともありません。
また、逮捕されている被疑者は、微罪処分となれば釈放されます。
(4)勾留
勾留とは、逮捕後に引き続き被疑者の身柄を拘束する手続きです。
送致を受けた検察官が勾留の必要があると判断したら、送致から24時間以内に裁判官に勾留請求をします。裁判官は勾留の必要性・相当性を審査するため、被疑者に質問(いわゆる勾留質問)を行うなどします。
そして検討の結果、裁判官が勾留を決定した場合は、引き続き身柄が拘束されることになります。
勾留期間は原則として10日間となっています。ただし、10日間の勾留で十分な捜査を行うことができなかった場合、最大でさらに10日間勾留が延長されることもあります。
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(5)起訴
検察官は、警察官から引き継いだ資料や、補充捜査の結果をもとに、被疑者を起訴するかどうかを判断します。
起訴とは、検察官が裁判官に対して裁判を請求することを指します。検察官は、「有罪の可能性が高く刑事罰を科すべきである」と判断した場合に被疑者を起訴します。
原則として、起訴・不起訴の判断は勾留満期までに行われます。つまり、逮捕の時から数えると最大23日間のうちに起訴されるか決まることになります。
一方、在宅事件の場合は、公訴時効を除けば起訴の時間制限はありません。
起訴には、正式起訴と略式起訴の2種類があります。
正式起訴(公判請求)とは、正式裁判を開くように求める手続きです。一般的に「裁判」と言って思い浮かべるのはこの正式裁判でしょう。
略式起訴とは、略式手続を請求することです。略式手続は、一定の要件を満たす犯罪において選択される簡易的な裁判手続きです。
略式起訴の4つの要件
- 簡易裁判所の管轄する事件
- 100万円以下の罰金または科料を科すことができる事件
- 被疑者が同意
- 簡易裁判所が相当だと判断
略式起訴をするには、必ず被疑者の同意が必要です。検察官から略式請書という書類にサインするように求められ、被疑者がサインすると略式手続が進められます。
正式裁判と略式手続の流れについては次で詳しく説明します。
不起訴処分となれば事件終了
不起訴の判断がされれば、被疑者は釈放され、前科がつくこともなく事件が終了します。
検察が不起訴処分を下す理由としては、「嫌疑なし」「嫌疑不十分」のほか、犯人である可能性は高いものの情況などを鑑みて起訴しない「起訴猶予」があります。
日本では起訴された事件のうち99%以上が有罪判決になるとも言われているため、前科がつくのを避けたいのであれば不起訴処分の獲得を目指して弁護活動を行うことが非常に重要です。
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(6)刑事裁判~判決
起訴後は刑事裁判が始まります。正式起訴された場合は正式裁判が、略式起訴された場合は略式手続が行われます。
正式裁判の流れ
正式起訴されると、公開の法廷で正式裁判が開かれます。
多くの場合、起訴されてから約1か月後に1回目の公判が行われ、審理期間は平均で3か月程度です。
正式裁判の公判では、証拠調べ手続、弁論手続などが行われ、検察側と弁護側が意見を戦わせます。
被告人が罪を認めているなど争点の少ない事件ならば、1回目の公判期日で証拠調べを終わらせて、2回目の公判期日で判決が言い渡されるケースが多いでしょう。
一方、犯罪事実を争う、責任能力を争う、組織的犯罪であるなど複雑な刑事事件の場合は、何度も公判期日が開かれて審理に時間がかかります。
なお、身柄拘束中の被疑者が起訴された場合、被告人勾留といって引き続き拘置所または留置場で身柄が拘束されます。起訴された日から2か月間が勾留期限とされていますが、申請することで1か月ごとの勾留延長が認められており、延長回数に上限は決められていません。
したがって、保釈が認められない限りは裁判が終わるまで勾留が続く可能性があります。
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略式手続の流れ
略式手続は、正式裁判と違い、書面のみで審理が行われます。被告人には弁明の機会が与えられず、基本的にはすべて有罪判決となって罰金もしくは科料が科されます。
被告人が勾留中に略式起訴されることを在庁略式と呼びます。在庁略式になった場合、その日のうちに裁判所で略式命令を受け取り、検察庁で罰金・科料を支払ったらすぐに釈放されます。
在宅事件で略式起訴される場合は、呼び出しを受けて検察庁に出頭した際に略式請書にサインするよう言われ、サインすると1~2か月程度で納付書が送られてきます。納付期限までに罰金・科料を納付すれば、事件は終了となります。
略式命令に不服がある場合は、14日以内に正式裁判を請求することができます。
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判決の内容は?
正式裁判が終結したら、有罪もしくは無罪、有罪の場合は科される刑罰の内容、その結論に至った理由が判決で言い渡されます。
刑事事件の刑罰の種類は以下の通りです。
言い渡された判決は、すぐに確定するわけではありません。刑事事件においては判決内容に不服がある場合、判決の言い渡しの翌日から14日以内であれば、控訴(不服申し立て)が可能です。
執行猶予付判決とは?
有罪判決に基づく刑の執行を一定期間猶予する制度を執行猶予といいます。例えば、「被告人を懲役1年に処する。この裁判確定の日から5年間その刑の執行を猶予する」といったものが執行猶予付判決です。
執行猶予付きの判決でも前科にはなってしまいますが、直ちに刑務所に入る必要はなく、日常生活に戻ることができます。
ただし、執行猶予期間中に再犯を犯してしまうなど一定の事由が生じた場合、執行猶予が取り消されて刑務所に収監される可能性があります。
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(7)刑罰の執行
裁判で実刑判決(執行猶予なしの拘留、禁錮、懲役)が確定した場合、被告人は受刑者となり刑務所に収監されます。ただし、判決確定のあとすぐに刑務所に入るわけではありません。
勾留中の被告人は、収容される刑務所が決まり次第移送されます。
保釈中の場合、実刑判決を受けると保釈が取り消されます。判決言い渡しのあとすぐに身柄を拘束されてまずは拘置所に行き、その後刑務所に移送されます。
在宅事件で実刑判決を受けた場合は、ただちに拘束されるのではなく、14日間の控訴期間を経て判決が確定してから出頭命令を受けて刑務所に入ります。
なお、被告人勾留をされていた日数は、すでに服役したものとみなして刑の日数から差し引きます。
また、裁判で罰金や科料が科された場合は、後日送られてくる納付書に従って罰金・科料を支払って終了です。
刑事事件の流れに関するよくある質問
Q1.逮捕と起訴の違いは?
逮捕は犯罪を行った疑いのある人を拘束するために警察官が行う手続きで、起訴は検察官が裁判官に対して刑事裁判を開くよう求める手続きです。
逮捕されたからといって必ず起訴されるわけではありません。逮捕されても、微罪処分や不起訴処分を獲得できれば起訴されることなく事件が終了します。
また、逮捕されなかったからといって起訴されないわけでもありません。在宅で捜査が進められ、在宅起訴されて有罪判決を受けることもあるでしょう。
Q2.身柄解放のためにはどうすればいい?
刑事事件で逮捕されると、短くても2日間程度、長ければ23日間家に帰れません。また、勾留されたまま起訴されれば、裁判が終わるまで出てくることができない可能性があります。
早期の身柄解放を目指すならば、まずは勾留の回避を目標にすることになるでしょう。
弁護士は、勾留を回避するために、勾留請求をしないよう検察官に働きかけたり、勾留決定をしないよう裁判官に働きかけるなどの活動を行います。勾留請求は逮捕から約72時間以内に行われるため、時間との勝負です。
また、勾留が決まった後でも、準抗告や勾留取消請求が認められたり不起訴処分を獲得できれば、被疑者の身柄を解放することができます。
起訴後は、保釈申請を行うことになるでしょう。
いずれの段階でも、被害者と示談が成立していることは有利に働きます。まずは弁護士に相談して、弁護活動の方針を検討するのがよいでしょう。
Q3.刑事事件で示談するメリットは?
刑事事件の示談とは、犯罪行為で与えた被害について、加害者側から被害者側に謝罪をいれ和解を行うことです。
示談には、逮捕の回避や不起訴処分の獲得、刑罰の軽減などにおいて大きなメリットがあります。
被害者がいるような刑事事件の起訴・不起訴の判断においては、被害回復が行われているかどうかという点が重視されます。起訴が決まるまでに被害者との示談が成立すれば、不起訴処分を獲得できる可能性が高まるでしょう。
逮捕・勾留されてしまった場合も示談が重要です。逮捕・勾留は「逃亡するおそれ」や「証拠隠滅のおそれ」が認められるときに行われますが、示談が締結されたという事実は、これらのおそれがないことを示す証拠になります。
仮に起訴されてしまった場合でも、示談をすることによって実刑を回避できる可能性が高まります。
刑事事件の示談の一般的な流れは、加害者側の弁護士が被害者側に対して示談を申し入れ、加害者の代理人として謝罪を行い、その後、示談条件の交渉に入るというものです。
警察や検察が加害者本人に被害者の連絡先を教えてくれることはまれなので、弁護士を入れずに示談交渉を行うのは事実上難しいといえます。
被害者との示談は、早ければ早いほど大きな効果を発揮します。被害者のいる刑事事件を起こしてしまった方は、すぐに弁護士にご相談ください。
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刑事事件の流れに応じた対応は弁護士に相談を
弁護士相談のメリットは?
弁護士相談のメリットは、刑事事件の流れに応じて適切な対応ができるようになることです。
刑事事件の流れが理解できても、一般の方が捜査機関や裁判所に働きかけたり、被害者と示談交渉を進めるのは現実的には困難です。
不起訴を目指す、早期釈放を目指す、起訴後の保釈や執行猶予を獲得するなど、これらの実現可能性を高めるためには、法律の専門家の知識と経験が大きな力になります。
刑事事件を弁護士に相談するメリット
- 刑事事件の手続きの流れや、事件の見通しを教えてくれる
- 不起訴を目指す弁護活動を行う
- 示談交渉を誠意をもって行う
- 早期釈放の実現に奮闘する
- 不起訴処分・無罪判決・刑罰の軽減を目指して尽力してくれる
etc.
逮捕や起訴された場合には、早めに弁護士に相談し、サポートを受けることをおすすめします。
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高校卒業後、日米でのフリーター生活を経て、旧司法試験(旧61期)に合格し、アトム法律事務所を創業。弁護士法人を全国展開、法人グループとしてIT企業を創業・経営を行う。
現在は「刑事事件」「交通事故」「事故慰謝料」などの弁護活動を行う傍ら、社会派YouTuberとしてニュースやトピックを弁護士視点で配信している。
保有資格
士業:弁護士(第二東京弁護士会所属:登録番号37890)、税理士
学位:Master of Law(LL.M. Programs)修了